ダナパロイドナトリウム

成分名

ダナパロイドナトリウム

適応症状

汎発性血管内血液凝固症(DIC)

簡易説明

ダナパロイドナトリウムは、血が固まってしまうことを防ぐ注射剤です。似ている薬剤にヘパリンがありますが、本剤は出血のリスクが低く、作用の持続時間が長いという特徴を持っています。海外と適応が異なり、日本ではDICに使用されます。MSD株式会社が日本では開発を行っていましたが、2015年から共和クリティケア株式会社が販売権を承継しています。

処方可能な診療科目

循環器内科/外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
オルガラン静注1250単位【製薬メーカー:ネオクリティケア製薬】1管994円(薬価)

厚生労働省による認可、または発売年月日

2000年12月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

オルガラン静注1250単位【製薬メーカー:ネオクリティケア製薬】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

イギリスやフランス、ドイツやイタリア、オランダなど10か国以上で発売されています。
日本での適応はDICですが、海外では深部静脈血栓症(DVT)/ヘパリンに起因する血小板減少症(HIT)などで適応を取得しています。

効果・作用

ダナパロイドナトリウムは、血が固まってしまうことを防ぐ薬剤です。血液凝固に関わるとされている、アンチトロンビンⅢによる第Ⅹa因子の阻害作用を強くすることが作用機序の1つです。出血のリスクが低く、かつ、作用時間が長いという特徴を持っています。本剤の主成分はヘパラン硫酸であり、肝臓での代謝をほとんど受けません。そのため、半減期が長くなり、以前までは24時間かかっていたDICの点滴に対し、1日2回のみの投与を実現させました。

DICの患者117名を対象として、ヘパリンナトリウムと比較した臨床試験を実施しています。本剤は 1回量1250単位を12時間ごとに 1日2回静脈内注射し、ヘパリンナトリウムは168~240U/kg/日を24時間かけて静脈内に持続的に投与しました。ダブルダミー法を用いて、5日間投与しました。出血や臓器症状などの臨床症状、検査値、またはDICスコアの推移の全般的な改善率は本剤群28名に認められ、割合は65.1%、ヘパリンナトリウム群は19名に認められ、45.2%でした。本剤の有効性が示されました。

また、DICもしくはDICが疑われる患者13名を対象に、本剤1回1250単位を12時間ごとに1日2回静脈内注射し、3日以上連続投与しました。全般改善度の改善率は5日後で44.4%、終了時で55.6%でした。

使用方法

1回あたり1250単位を12時間ごとに静脈内投与します。患者の症状によって減量してください。

副作用

主な副作用
主に、AST/ALT上昇や、めまい、血球数の減少などがあげられます。
項目別の発現頻度は以下の通りです。

精神神経系・・めまい(1%未満)
過敏症・・発疹/局所又は全身の過敏反応(頻度不明)
血液・・赤血球数減少/血色素量減少/ヘマトクリット減少/白血球数減少/好酸球増多/好塩基球増多/単球増多(1%未満)
肝臓・・AST上昇/ALT上昇(1~5%未満)、総ビリルビン上昇/ALP上昇/LAP上昇/γ-GTP上昇/LDH上昇(1%未満)
腎臓・・BUN上昇/クレアチニン上昇/尿蛋白/尿潜血(1%未満)
代謝異常・・中性脂肪上昇(1%未満)
その他・・血腫(頻度不明)

重大な副作用
<アナフィラキシー>
頻度不明ですが、血圧低下や呼吸困難があらわれた場合は、初期症状の可能性があるため、投与を中止してください。

<血小板減少症>
以前、HITにかかったことのある方は再発のリスクが上がるため、血小板数を定期的に測定し、もし現象がみられた場合には、投与を中止してください。

<出血>
消化管出血など、重篤な出血がおこることがあります。

<ショック>
頻度不明ですが、症状があらわれた場合には投与を中止し医療機関を受診してください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ダナパロイドナトリウムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼オルガラン注射の有効成分
ダナパロイドナトリウム

▼代表薬の添加物
乾燥亜硫酸ナトリウム、等張化剤、pH調節剤

・以前、ダナパロイドナトリウムを使用して過敏症となったことのある方は注意をしてください。

使用に注意が必要な方
・出血している方は、症状が悪化する恐れがあるため、なるべく投与は避け、使用する場合でも注意をしてください。
・血液透析が必要な方は、排泄が遅くなり出血が起こる可能性があります。
・急性細菌性心内膜症、重症高血圧症、糖尿病網膜症など出血のリスクが高い方は、障害部位に出血が起こることがあります。
・以前、HITにかかったことがあり、ヘパリン抗体と本剤との交差反応性のある方は血小板減少症が起こることがあるので、注意をしてください。
・脳、脊椎、眼科手術もしくは頭部外傷からあまり日が経っていない方は、出血が悪化する可能性があるため注意をしてください。
・喘息のある方はアナフィラキシー症状が起こりやすくなる恐れがあるため注意をしてください。
・重篤な腎機能障害のある方は、排泄が遅くなることで出血を起こすことがあります。
・重篤な肝機能障害のある方は、本剤の作用が強まるもしくは弱まるなど変動する恐れがあるので注意をしてください。
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性
・小児
・高齢者

上記にあてはまる方は、ダナパロイドナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ダナパロイドナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<抗凝固剤>
本剤の作用が強まる恐れがあります。

<血栓溶解剤(ウロキナーゼ/t-PA製剤等)、血小板凝集抑制作用を有する薬剤(アスピリン/ジピリダモール/チクロピジン塩酸塩等)、非ステロイド系抗炎症剤等>
本剤と似ているヘパリンにおいて、作用が増強することが報告されております。

<ペニシリン系抗生物質(クロキサシリンナトリウム/チカルシリンナトリウム)>
本剤の作用が強まる恐れがあります。

<潰瘍性のある薬剤(コルチコステロイド)>
出血傾向が強まってしまう恐れがあります。

<強心配糖体(ジゴキシン)>
本剤の作用が弱まってしまう恐れがあります。

<テトラサイクリン系抗生物質、ニトログリセリン製剤>
本剤と似ているヘパリンにおいて、作用が減弱することが報告されております。

上記を使用している方は、ダナパロイドナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ダナパロイドナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ダナパロイドナトリウムに関する
よくある質問
過量投与してしまった場合はどのようにしたらよいですか?

過量投与によって、出血症状があらわれるリスクがあります。異常がみられた場合には新鮮凍結人血漿を投与してください。もしくはプラスマフェレーシスなど血漿分離交換といった適切な処置を行ってください。プロタミンについては、本剤の出血症状を改善する効果は不十分ですので、過量投与の際は避けてください。

過量投与

【上記引用元ダナパロイドナトリウム 医薬品インタビューフォーム】

似ているヘパリンとの違いは何ですか?

本剤は血小板に対する作用がほとんど認めらておりません。そのため、ヘパリンと比べて、血小板減少症発現リスクが極めて低いことが違いと考えています。

製品の治療学的・製剤学
的特性

【上記引用元ダナパロイドナトリウム 医薬品インタビューフォーム】

参考元一覧

ダナパロイドナトリウム 添付文書

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