成分名 |
メチルチオニニウム塩化物水和物 |
適応症状 |
中毒性メトヘモグロビン血症 |
簡易説明 |
メチルチオニニウム塩化物水和物を主成分として発売している医薬品にはメチレンブルー静注50mg「第一三共」がありますが、投与によりメトヘモグロビン血症治療剤として効能効果を発揮します。
メトヘモグロビン血症が起きる原因と現れる症状としては、医薬品や農薬等の化学物質や種々の原因物質にが原因として、血中におけるメトヘモグロビンの濃度が上昇する事で、頭痛や眩暈、チアノーゼや呼吸困難、そして意識障害等の症状が現れる中毒性疾患になります。このメトヘモグロビン血症治療剤としてメチルチオニニウム塩化物水和物がこの度新たに承認されました。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/脳神経外科内科/呼吸器内科/消化器内科外科/精神科/麻酔科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
薬代1管あたりの目安:50mg約122,600円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
メチルチオニニウム塩化物水和物を主成分とする医薬品のメチレンブルー静注50mg「第一三共」は2014年12月26日に製造販売が承認され、2015年2月24日に薬価基準に収載されました。その後2015年3月20日に販売が開始となりました。 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
メチレンブルー静注50mg「第一三共」【製薬メーカー:第一三共株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
海外での使用実績 |
メチルチオニニウム塩化物は2011年5月6日にEUで最初に承認を取得しました。
現在36カ国で承認を取得し、28カ国で販売されています。
主な販売国として、米国、欧州各国(英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダ、スイス)、オーストラリア等があります。 |
効果・作用 |
メチルチオニニウム塩化物水和物を主成分として発売している医薬品にはメチレンブルー静注50mg「第一三共」がありますが、中毒性メトヘモグロビン血症の治療にたいして効果のある医薬品になります。
その作用機序は、2種類あり、①通常使用しているNADHを補酵素として酸化型チトクロムb5を介する経路と、②普段正常な状態ではほとんど働かないNADPHを補酵素としてメチレンブルーを介する経路があります。
①メトヘモグロビンはヘモグロビン中の2価の鉄イオン(Fe2+)が酸化されて3価の鉄イオン(Fe3+)に変換されたもので、赤血球内の機構であるNADHを補酵素とするNADH-チトクロムb5還元酵素系により還元されて1%以下に維持されています。
しかし、医薬品・農薬等の化学物質によりこの機構が崩れると、血中のメトヘモグロビン濃度が1~2%以上となり、チアノーゼ等、種々の臨床症状が誘発された状態である中毒性メトヘモグロビン血症となります。中毒性メトヘモグロビン血症では、ヘモグロビンが有する酸素供給のが障害され、組織が低酸素状態となります。
②そこで活躍するのが正常な状態での役割はほとんどない還元型NADPHを補酵素とするNADPHーフラビン還元酵素系があります。この系によりメチレンブルー(メチルチオニニウム塩化物水和物)からロイコメチレンブルーが生成され、このロイコメチレンブルーが、メトヘモグロビンを還元することによりヘモグロビンを生成し、メトヘモグロビン血症を改善します。 |
使用方法 |
通常、生後3ヶ月を過ぎた乳幼児、小児及び成人に投与する場合には、主成分であるメチルチオニニウム塩化物水和物を用いて、1回分として体重あたり1~2mgを、投与時間は5分以上かけて静脈内に注射します。投与1時間以内に症状が改善しない場合には、必要に応じて、同量を繰り返し投与する事が認められています。但し、累積投与量は最大体重当たり7mgまでとなります。
通常、新生児及び生後3ヶ月以下の乳児に投与する場合には、主成分であるメチルチオニニウム塩化物水和物を用いて、1回分として体重当たり0.3~0.5mgを、投与時間は5分以上かけて静脈内に注射します。投与1時間以内に症状が改善しない場合には、必要に応じて、同量を繰り返し投与する事が認められています。 |
副作用 |
重大な副作用
1)ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
2)溶血性貧血(頻度不明)、メトヘモグロビン血症の増悪(頻度不明)
グルコースー6-リン酸脱水素酵素欠損症もしくはNADPH還元酵素欠損症である可能性又は投与量が過剰となっている恐れがあります。
3)腎不全(頻度不明)
腎機能障害が現れる事があります。
その他の副作用
精神神経系、過敏症、消化器、循環器、呼吸器、腎臓・泌尿器、肝臓、血液、眼、投与部位(適用部位)、その他の副作用が報告されております。
発生頻度は以下の通りです。
1)精神神経系
錯乱状態、激越、頭痛、浮動性眩暈、不安、、失語症、振戦(頻度不明)
2)過敏症
蕁麻疹(頻度不明)
3)消化器
腹痛、嘔吐、悪心、変色便(青緑色)(頻度不明)
4)循環器
不整脈、胸痛、頻脈、高血圧、低血圧(頻度不明)
5)呼吸器
呼吸困難、、低酸素症、頻呼吸(頻度不明)
6)腎臓・泌尿器
排尿困難、腎機能障害、着色尿(青緑色)(頻度不明)
7)肝臓
高ビリルビン血症(頻度不明)
8)血液
ヘモグロビン減少(頻度不明)
9)眼
散瞳(頻度不明)
10)投与部位(適用部位)
注射部位の局所組織壊死(頻度不明)
11)その他
発汗、発熱、皮膚変色(青色)(頻度不明)
頻度不明の蕁麻疹等のように異常が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)本剤の成分、フェノチアジン系化合物及びその類似化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
■メチルチオニニウム塩化物水和物を配合した医薬品に、アレルギーをお持ちの方
下記、医薬品にアレルギーをお持ちの方、メチレンブルー静注50mg「第一三共」、フェノチアジン系化合物及びその類似化合物はアレルギー反応を起こしてしまう為、投与できません。
▼メチレンブルー静注50mg「第一三共」の有効成分
メチルチオニニウム塩化物水和物
▼代表薬の添加物
・該当なし
2)グルコースー6-リン酸脱水素酵素欠損症と判明している患者
メトヘモグロビン血症の増悪、及び溶血を起こす可能性がある為使用できません。
3)NADPH還元酵素欠損症と判明している患者
メトヘモグロビン血症の増悪、及び溶血を起こす可能性がある為使用できません。
4)塩素酸塩によるメトヘモグロビン血症患者
毒性の強い次亜塩素酸塩が形成される可能性がある為使用できません。
5)シアン化合物中毒の解毒剤として投与された、亜硝酸化合物によるメトヘモグロビン血症患者
シアンによる毒性が生じやすくなるため使用できません。
使用に注意が必要な方 1)合併症・既往歴等のある患者
①ジアフェニルスルホン又はアニリンによるメトヘモグロビン血症患者
溶血を起こしやすい為使用には注意が必要です。
2)腎機能障害患者
①中等度又は高度の腎機能障害がある患者
本剤の主たる排泄経路は腎臓である為、腎機能障害の悪化又は本剤の排泄遅延による副作用発現の恐れがある為使用には注意が必要です。
3)妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましいとされています。
動物実験において催奇形性及び胎児の脂肪増加が報告されています。
4)授乳婦
授乳中の患者に対する本剤の安全性は確立していない為使用には注意が必要です。
5)小児等
①新生児及び生後3ヶ月以下の乳児
本剤を投与する事により、メトヘモグロビン血症の増悪、又は溶血を起こしやすい為使用には注意が必要です。
6)高齢者
一般的に高齢者では生理機能が低下していることが多い為使用には注意が必要です。
上記にあてはまる方は、メチルチオニニウム塩化物水和物を使用する事が出来ない可能性があります。 メチルチオニニウム塩化物水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)選択的セロトニン再取り込み阻害剤
フルボキサミンマレイン酸塩、セルトラリン塩酸塩、パロキセチン塩酸塩水和物、エスシタロプラムシュウ酸塩等
2)セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤
ミルナシプラン塩酸塩、デュロキセチン塩酸塩等
3)三環系抗うつ剤
アミトリプチリン塩酸塩、ノルトリプチリン塩酸塩、イミプラミン塩酸塩、クロミプラミン塩酸塩等
4)ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ剤
ミルタザピン
セロトニン作動薬を併用する事によって、セロトニン症候群が現れる恐れがある為使用には注意が必要です。
上記を使用している方は、メチルチオニニウム塩化物水和物を使用する事が出来ない可能性があります。 メチルチオニニウム塩化物水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
メチルチオニニウム塩化物水和物に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
インタビューホーム 【第一三共株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】
くすりのしおり 【くすりの適正使用協議会】 |
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