モンテプラーゼ(遺伝子組換え)

成分名

モンテプラーゼ(遺伝子組換え)

適応症状

血栓溶解

簡易説明

モンテプラーゼ(遺伝子組換え)を出生分としたクリアクター(以下、本剤)は血栓溶解剤です。
エーザイ株式会社は1983年から遺伝子組換えによるヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)の研究を始めました。20種類以上の候補品の中から、血栓溶解作用持続と抗体産生がないものを探索した結果、1988年モンテプラーゼを選択して開発を進めました。
様々な臨床試験を経て、1984年6月に本剤を冠動脈血栓の溶解の有用性が確認されたため発売に至りました。その後、希少疾病である急性肺塞栓症の臨床試験を行い、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受け、急性肺塞栓症の適応を追加しました。
本剤はベビーハムスター由来の遺伝子組換え細胞、ウシ胎児血清、ウシ血清より製するプラスミン、ブタ膵臓より製するトリプシン、マウス腹水より製する抗モンテプラーゼモノクローム抗体、ウサギ血清より製する抗不純蛋白質抗体を使用しています。

処方可能な診療科目

救急科/循環器内科など

健康保険の適応

・急性心筋梗塞における冠動脈血栓の溶解(発症後6時間以内)
・不安定な結構動態を伴う急性肺塞栓症における肺動脈血栓の溶解

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません(薬価記載)。
クリアクター静注用:40万(1バイアル) 39,407.00円/80万(1バイアル) 67,357.00円【製薬メーカー:エーザイ株式会社】

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:1998年6月15日

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

クリアクター静注用(40万、80万)【製薬メーカー:エーザイ株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

本剤は、t-PAと同様にフィブリン結合性を持ち、フィブリンによりプラスミノーゲン活性化作用が増加されるため、血栓部分でプラスミンを産生して血栓を溶解します。
市販後の使用成績調査では、自覚症状、CAG(冠動脈造影)等の所見からの総合判断で、改善率は60.7%(1,332/2,195例)でした。なお不変・悪化の割合は29.9%(656/2195例)でした。なお、この調査で高齢者(65歳以上)の副作用発現率(14.4%)がそれ以下(4.6%)に比べ有意に高かったため、高齢者への注意喚起が示されることとなりました。
急性心筋梗塞患者の長期予後の追跡調査では、最長発症12ヵ月までの有用性が確認されました(症例数:1,060 ※長期予後集計対象)。
投与30日後の死亡率(推定値):6.9% ※日本国内の院内死亡率:8.3%~12.3%
投与12ヶ月の推定死亡率:11.0%
本調査では心破裂・心嚢液貯留は本剤投与5日以内であったことが確認されました。
急性肺塞栓症の全例調査では3,365症例を収集して有効性、安全性を確認しました。
有効性(画像所見による肺血栓評価):92.3%(2,048/2,219例)
※肝疾患、腎疾患のある方は有効性が低かったが、肺血栓(血流)評価の有効率への影響はありませんでした。
肝疾患有無の有効率:有89.3%(392/439例)、無93.2%(1,614/1,732例)
腎疾患有無の有効率:有88.0%(374/1,732例)、無93.5%(1,634/1,748例)

使用方法

(冠動脈血栓の溶解)
1㎏あたり27,500単位を静脈内投与します。
(肺動脈血栓の溶解)
1㎏あたり13,750~27,500単位を静脈内投与します。最大投与量は27,500単位/kgです。
※1mLあたり80,000単位となるよう日本薬局方生理食塩水で溶解し、1分間あたり約10mL(800,000単位)の注入速度で投与します。
本剤の投与は発症後できるだけ早期に行います。

副作用

重大な副作用
・重篤な出血:脳出血、消化管出血、肺出血(急性心筋梗塞患者)等があれわれることがあり、出血の増大に伴い、輸血を要する場合や出血性ショックに至ることがあります。
・心破裂、心室中隔穿孔、心タンポナーゼ:心タンポナーゼに至る心嚢液貯留などがあれわれることがあります。
・心室細動、心室頻脈:再灌流不整脈として重篤な不整脈があらわれることがあります。
・ショック:血圧低下、発汗、脈拍の異常、呼吸困難等があらわれた場合は投与を中止し、適切な処置を行います。

その他の副作用
副作用発現率:11.68%(376/3,218)
主な副作用:心室性期外収縮 4.57%(147例)、心室性頻脈 3.76%(121例)、心室細動 1.55%(50例)、洞性徐脈 0.84%(27例)

※警告
本剤の投与により脳出血が発現し、死亡したとの報告があります。
本剤を投与する場合には、適用患者の選択や投与量の選択(急性肺塞栓症の方)を身長に行い、投与中・投与後の出血の有無を十分に観察するとともに、血液凝固能などの血液検査・臨床症状の観察などを頻回に行います。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■出血している方(消化管出血、尿路出血、後腹膜出血、頭蓋内出血、喀血)
出血をさらに助長し、止血が困難になるおそれがある為、使用出来ません。
▼出血をおこすおそれの以下の方
・頭蓋内または脊髄の手術又は障害を受けた方(2ヵ月以内)
・頭蓋内腫瘍、動静脈奇形、動脈瘤のある方
・出血性素因のある方
・重篤な高血圧の方
出血をひきおこし、止血が困難になるおそれがある為、使用できません。
▼デフィブロチドナトリウムを使用中の方
併用禁忌薬参照
■本剤、蛋白製剤およびモンテプラーゼ(遺伝子組換え)を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
本剤、蛋白製剤および下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、クリアクターはアレルギー反応を起こしてしまう為、使用出来ません(添付文書では【使用に注意が必要な方】に記載されています)。
▼クリアクターの有効成分
モンテプラーゼ(遺伝子組換え)
▼クリアクターの添加物
L-アスパラギン酸、L-アルギニン、塩酸、水酸化ナトリウム、D-マンニトール

使用に注意が必要な方
・出血するおそれがある以下の患者:出血をひきおこすおそれがあります。
大手術、臓器生検、血管穿刺後10日以内の方、外傷後10日以内の方、脳血管障害に罹患したことのある方、消化管潰瘍・消化管の憩室炎・大腸炎のある方、活動性結核のある方、月経期間中の方、糖尿病性出血性網膜症・出血性眼疾患の方
・左心房内血栓の疑い(心房細動を伴う僧帽弁狭窄の方等)のある方:脳塞栓をひきおこすおそれがあります。
・亜急性細菌性心内膜炎・急性心膜炎の方:脳塞栓や心嚢液貯留をひきおこすおそれがあります。
・脳梗塞の方:出血性脳梗塞をひきおこすおそれがあります。
・重篤な肝障害のある方:本剤の作用が増強するおそれがあります。
・妊婦:分娩・早流産後2週間以内で分娩に関連した出血が報告されていて、出血をひきおこすおそれがあります。また本剤の作用(繊維素溶解作用)から早期胎盤剥離がおこる可能性が考えられます。
・小児:臨床試験を行っていません。
・高齢者:出血の危険性、心破裂・心室中隔穿孔(急性心筋梗塞の場合)の危険性が高まるおそれがあります。

上記にあてはまる方は、モンテプラーゼ(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。
モンテプラーゼ(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
下記薬剤を併用すると出血傾向が増強し、重篤な出血をきたすことがあります。
血栓溶解剤(t-PA、ウロキナーゼ等)
血液凝固阻止作用を有する薬(ヘパリン、ワルファリン、Xa阻害剤等)
血小板凝集作用を有する薬(アスピリン、クロピドグレル硫酸塩等)

上記を使用している方は、モンテプラーゼ(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。
モンテプラーゼ(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
デフィブロチドナトリウム:出血の危険性が増大するおそれがあります。本剤の作用が増強されるとの報告があります。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

モンテプラーゼ(遺伝子組換え)に関する
よくある質問
調製時の注意事項はありますか?

モンテプラーゼ(遺伝子組換え)80,000IUあたり、日本薬局方生理食塩液 1mLを加えて溶解する。また、本剤の溶解には日本薬局方生理食塩液のみを用い、他剤との配合は避けること。

モンテプラーゼ(遺伝子組換え)(クリアクター インタビューフォーム)

【上記引用元:PMDA 医療用医薬品 情報検索】

使用する際の注意事項はありますか?

〈急性心筋梗塞における冠動脈血栓の溶解(発症後 6 時間以内)〉
本剤は冠動脈造影により血栓を確認した後、投与を開始することが望ましいが、冠動脈造影の実施が困難な場合は、強い胸痛を伴い心電図上明らかなSTの上昇が認められ、かつ、冠血管拡張剤投与によっても胸痛が緩解しない患者に対して投与すること。
〈不安定な血行動態を伴う急性肺塞栓症における肺動脈血栓の溶解〉
急性肺塞栓症の診断は肺動脈造影などにより、血栓、塞栓あるいは血流の障害を確認すること。
実施が困難な場合は、臨床症状から不安定な血行動態を伴う急性肺塞栓症が強く疑われ、かつ、低酸素血症、右心負荷の増大などの検査所見を確認した患者に対して投与すること。
急性肺塞栓症においては、へパリン投与などによる抗凝固療法を基礎治療として行うこと。[

モンテプラーゼ(遺伝子組換え)(クリアクター インタビューフォーム)

【上記引用元:PMDA 医療用医薬品 情報検索】

参考元一覧

モンテプラーゼ(遺伝子組換え)(クリアクター 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。