ヘモコアグラーゼ

成分名

ヘモコアグラーゼ

適応症状

肺・鼻・口腔内・性器・腎出血
創傷からの出血など

簡易説明

ヘモコアグラーゼは蛇毒の酵素からできた止血薬の一つです。肺出血や鼻出血、創傷など体内外の出血に対して治療するために使用されます。分類としては凝固促進薬であり、日本では東菱薬品工業から先発薬としてレプチラーゼという商品が販売されています。この蛇毒の酵素は血液凝固反応で働くトロンビンと同じ作用を示します。またトロンボプラスチン様作用、血小板機能亢進作用なども併せ持っています。

処方可能な診療科目

各種内科/外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~5,000円
薬代1錠あたりの目安:レプチラーゼ注1単位109円/管(薬価)
レプチラーゼ注2単位192円/管(薬価)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1966年12月販売開始【レプチラーゼ】

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

レプチラーゼ注1単位/2単位【製薬メーカー:東菱薬品工業】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

・中国、インド、韓国
上記の3ヶ国でヘモコアグラーゼが発売されています。

効果・作用

止血を促す薬の総称が止血薬であり、いくつかの種類に分類されます。ヘモコアグラーゼは中でも蛇毒由来の酵素止血薬であり、凝固促進薬に分類されます。トロンビン様作用、トロンボプラスチン様作用により止血作用を発揮します。血小板機能亢進作用も併せ持つとされ、肺出血、鼻出血、性器出血、口腔内出血、腎出血や創傷出血などの治療を中心に用いられます。

◆蛇毒由来の作用について
主にトロンビン様作用とトロンボプラスチン様作用があります。トロンビン様作用はフィブリノゲンをフィブリンに転換する際にフィブリノペプチドAのみを遊離するため可溶性のフィブリン塊を形成します。この作用はヘパリンから阻害されません。またトロンボプラスチン様作用はプロトロンビンをトロンビンに転換させます。

◆開発の経緯
蛇毒に止血作用があることは18世紀ごろには既に知られていました。そこから作用が数種の酵素の存在により現れることが分かり、1950年代ごろにD.V.Klobusitzky教授等によって、ブラジル産のBothrops属の蛇毒から血液凝固での止血作用を持つ酵素が生成され、ヘモコアグラーゼとして開発されました。
蛇毒は昔から血液凝固の作用を持つことが多く知られており、様々な薬物において血液凝固作用を用いることが考えられていました。レプチラーゼは現代において臨床の場で使用される蛇毒製剤の一つとなっています。

◆試験で報告されている薬効薬理
クエン酸塩加血漿にCa2+を加えることがなくても凝固させますが、このトロンビン様作用は本来のトロンビンと違い比較的可溶性のフィブリン塊を形成するため血栓性エンボリズムが起きる危険性が大いに少ないと考えられています。

使用方法

通常ヘモコアグラーゼとして、成人1日1〜2クロブスイツキー単位を静脈内又は筋肉内注射を行います。小児の場合、1日0.3〜1.0クロブスイツキー単位になります。年齢や症状などにより適宜増減されます。

▼使用上の注意点
<アンブルカット時>
・異物混入を避けるため、首部の周りをエタノール綿などで清拭しカットして下さい。

<静脈内注射>
・急速に注入すると、悪心、胸内不快感、心悸亢進、頭痛や熱感などが現れることがあるため、緩やかに静脈内に投与して下さい。

<筋肉内注射>
※組織、神経などへの影響を避けるため下記の点に気をつけて下さい。
・神経走行部位を避けるよう注意して下さい。
・繰り返し注射する場合は、注射部位を変更して行って下さい。(例:左右交互、上下交互等)
・注射針を刺入した際、激痛を訴えられたり、血液の逆流を見た場合は、迅速に針を抜いて部位を変えて下さい。

副作用

ヘモコアグラーゼには、副作用が起こる可能性があります。
ヘモコアグラーゼを服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。

重大な副作用
・ショック(頻度不明)

極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。

その他の副作用
・過敏症(発疹、蕁麻疹、顔面紅潮、そう痒感、発赤)
・注射部位の硬結、痒み、発疹

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■トロンビンを服用中の患者
■ヘモコアグラーゼを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方レプチラーゼは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼レプチラーゼの有効成分
ヘモコアグラーゼ
▼代表薬の添加物
・ゼラチン加水分解物
・フェノール
・アミノ酢酸
・塩化カルシウム
・塩化ナトリウム
・水酸化ナトリウム

使用に注意が必要な方
■血栓のある患者、血栓症を起こす恐れのある方(脳血栓、心筋梗塞、血栓静脈炎等)
血栓・塞栓症を増悪させる恐れがあります。
■本剤に対して過敏症の既往歴がある方
■ゼラチン含有製剤又はゼラチン含有の食品にて、ショック、アナフィラキシー様症状(蕁麻疹、口唇浮腫,呼吸困難等)などの過敏症既往歴がある方
■高齢者
一般的に整理機能が低下しているため減量するなど注意をして下さい。
■妊婦、妊娠している可能性のある方、授乳婦など
上記の場合の投与に関する安全性は確立されていません。

上記にあてはまる方は、ヘモコアグラーゼを使用する事が出来ない可能性があります。
ヘモコアグラーゼを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・抗プラスミン剤(トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸等)
本剤によって形成されたフィブリン塊が上記の薬剤により長く残存し閉塞状態を持続させる恐れがあります。

上記を使用している方は、ヘモコアグラーゼを使用する事が出来ない可能性があります。
ヘモコアグラーゼを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
・トロンビン
血栓形成を促進する作用を持っており、血栓形成傾向が増大する恐れがあります。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
注射薬以外の投与方法はありますか?

ありません。先発薬として発売されたレプチラーゼという静脈又は筋肉内に注射する薬剤となります。

副作用で基本的に注意することはありますか?

添加物にゼラチン加水分解物を含有しているため、ショックやアナフィラキシー様症状が現れた報告が過去にあります。アレルギー等との関連もある恐れがあるため、十分に医師と相談し投与した際は経過にも気をつけて下さい。

その他取り扱いする上で注意することはありますか?

レプチラーゼは「一点カットアンプル」を使用しているためヤスリは使わないで下さい。本剤にあるアンプル枝部のマークの反対方向に折り取って使用して下さい。必ず使用方法・添付詳細を確認してから取り扱いを開始しましょう。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。