ナファモスタットメシル酸塩

成分名

ナファモスタットメシル酸塩

適応症状

ナファモスタットメシル酸塩を主成分とする医薬品である注射用フサン10/50は、用量により効能又は効果が異なります。
注射用フサン10を使用した場合には、①膵炎の急性症状(急性膵炎、術後の急性膵炎、慢性膵炎の急性増悪、膵管造影後の急性膵炎、外傷性膵炎)の改善に対して適応症を持ちます。
また注射用フサン10及び注射用フサン50共通として、②汎発性血管内血液凝固症(DIC)、③出血性病変又は出血傾向を有する患者の血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析及びプラスマフェレーシス)に対して適応症を持ちます。

簡易説明

ナファモスタットメシル酸塩を主成分とする医薬品である注射用フサン10/50は、鳥居薬品株式会社研究所により製造された「蛋白分解酵素阻害剤」です。薬理学的また臨床的な検討の結果、「膵炎の急性病変の改善」、「汎発性血管内血液凝固症(DIC)」、及び「出血性病変又は出血傾向を有する患者の血液体外循環時のの灌流血液の凝固防止」において有用性が確認されました。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/脳神経外科内科/消化器内科外科/精神科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代1瓶あたりの目安:10mg約300円/50mg約650円
薬代後発薬1瓶の目安:10mg約200円/50mg約340円/100mg約800円/150mg約1,860円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

ナファモスタットメシル酸塩を主成分とする医薬品である注射用フサン10/50は、注射用フサン10mgを1986年4月30日に製造販売が承認され、1986年6月19日薬価基準収載した。その後1986年10月5日販売開始しました。また、販売名変更に伴い2001年9月12日に製造販売が再度承認され、2002年7月5日薬価基準に収載されました。その後2002年7月5日に販売が開始となりました。
注射用フサン50においては、1989年3月31日に製造販売が承認され、1989年5月26日に薬価基準に収載。その後1989年6月1日に販売が開始となりました。

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

注射用フサン10/50【製薬メーカー:日医工株式会社】

関連製品(ジェネリック)

ナファモスタットメシル酸塩注射用10mg/50mg/100mg/150mg「AY」【製薬メーカー:エイワイファーマ株式会社】
ナファモスタットメシル酸塩注射用10mg/50mg/100mg「日医工」【製薬メーカー:日医工ファーマ株式会社】
ナファモスタットメシル酸塩注射用10mg/50mg/100mg「旭化成」【製薬メーカー:旭化成ファーマ株式会社】
ナファモスタットメシル酸塩注射用10mg/50mg/100mg「NIG」【製薬メーカー:日医工岐阜工場株式会社】
ナファモスタットメシル酸塩注射用10mg/50mg/100mg「AFP」【製薬メーカー:共創未来ファーマ株式会社】
ナファモスタットメシル酸塩注射用10mg/50mg「SW」【製薬メーカー:沢井製薬株式会社】
ナファモスタットメシル酸塩注射用10mg/50mg「トーワ」【製薬メーカー:東和薬品株式会社】
ナファモスタットメシル酸塩注射用10mg/50mg「F」【製薬メーカー:富士製薬工業株式会社】
注射用ロナスタット50【製薬メーカー:コーアイセイ株式会社】

海外での使用実績

大韓民国ではFUTHAN 10 INJ.、FUTHAN 50 INJ.(販売名)をSK Chemicals(会社名)が2005年2月に発売しました。

効果・作用

注射用フサン10、並びに注射用フサン50は日医工株式会社が製造販売している製品であり、ナファモスタットメシル酸塩を主成分とする医薬品ですが、規格の違いによって適応症が異なる為注意が必要です。後発品ではさらに100mgの規格や150mgの規格もありますので疾患に適した製品を選択する事が大切です。
【注射用フサン10にのみ認められている適応】
①膵炎の急性症状(急性膵炎、術後の急性膵炎、慢性膵炎の急性増悪、膵管造影後の急性膵炎、外傷性膵炎)の改善
【注射用フサン10/50共通で認められている適応】
②出血性病変又は出血傾向を有する患者の血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析及びプラスマフェレーシス)
③汎発性血管内血液凝固症(DIC)
上記①~③に対して効果のある医薬品になります。

【作用機序】
ナファモスタットメシル酸塩は蛋白分解酵素阻害剤であり、トリプシン様セリン蛋白分解酵素を可逆的に阻害すると考えられています。

【治療学的特性】
1)本剤は、血液凝固・線溶系(トロンビン、Ⅻa、Ⅹa、Ⅶa、プラスミン)、カリクレインーキニン系(カリクレイン)、補体系及び膵酵素(トリプシン、膵カリクレイン)に対する阻害作用を有しています。
2)トロンビンに対する阻害はアンチトロンビンⅢに依存せず、実験的な血液凝固時間も延長します。更に、血小板凝集に対する抑制効果も有しています。
3))「血液体外循環時の灌流血液の凝固防止」としてナファモスタットメシル酸塩を使用した場合、その作用はほぼ回路内に限局します。
4)トリプシン及びα2-マクログロブリン結合トリプシンの両方に対し阻害作用を有しています。また、ホスホリパーゼ A2 に対する阻害作用も有しています。

使用方法

【膵炎の急性症状(急性膵炎、術後の急性膵炎、慢性膵炎の急性増悪、膵管造影後の急性膵炎、外傷性膵炎)の改善】
通常、注射用フサンを投与する場合、希釈溶液として5%ブドウ糖注射液500mLを用いて、主成分であるナファモスタットメシル酸塩を1回量として10mg溶解し、1日1~2回約2時間前後かけて静脈内に点滴注入を行います。なお、患者の症状によっては適宜増減する事が認められています。

【汎発性血管内血液凝固症(DIC)】
通常、注射用フサンを投与する場合、主成分であるナファモスタットメシル酸塩として、1日量を5%ブドウ糖注射液1,000mLを用いて溶解し、ナファモスタットメシル酸塩として毎時0.06~0.2mg/kgを24時間かけて静脈内に持続注入を行います。

【出血傾向を有する患者、又は出血性病変の血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析及びプラスマフェレーシス)】
通常、体外循環開始に先立ち、ナファモスタットメシル酸塩として20mgを生理食塩液500mLに溶解した液で血液回路内の洗浄・充填を行い、体外循環開始後は、ナファモスタットメシル酸塩として毎時20~50mgを5%ブドウ糖注射液に溶解し、抗凝固剤注入ラインより持続注入します。なお、患者の症状に応じて適宜増減する事が認められています。

副作用

重大な副作用
1)ショック、アナフィラキシー(膵炎:頻度不明、血液体外循環時の灌流血液の凝固防止:0.16%、DIC:頻度不明)
血圧低下、意識障害、気管支喘息様発作、喘鳴、呼吸困難、胸部不快、腹痛、嘔吐、発熱、冷汗、掻痒感、紅潮、発赤、痺れ等が現れる事があります。
2)高カリウム血症(DIC:4.53%、血液体外循環時の灌流血液の凝固防止:0.02%、膵炎:0.19%)
高カリウム血症の発現によって不整脈を誘発した例が報告されています。
3)低ナトリウム血症(血液体外循環時の灌流血液の凝固防止:頻度不明、膵炎:頻度不明、DIC:0.47%)
4)血小板減少(膵炎:0.04%、血液体外循環時の灌流血液の凝固防止:0.02%、DIC:0.03%)
5)白血球減少(DIC:0.08%、血液体外循環時の灌流血液の凝固防止:頻度不明、膵炎:0.13%)
6)肝機能障害(頻度不明)、黄疸(膵炎:0.01%、DIC:0.28%、血液体外循環時の灌流血液の凝固防止:頻度不明)
AST、ALT、γーGTPの上昇等を含む肝機能障害、黄疸が現れる事があります。

その他の副作用
皮膚、筋・骨格系、消化管、肝臓・胆管系、代謝・栄養系、心拍数・リズム、適用部位、血小板・出血凝固、白血球・網内系、泌尿器系、その他の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
【膵炎の急性症状の改善】
1)皮膚:発疹(0.1~1.0%未満)、紅斑、掻痒感(0.1%未満)
2)筋・骨格系:筋肉痛、関節痛(頻度不明)
3)消化管:下痢、悪心・嘔吐(0.1%未満)、食欲不振(頻度不明)
4)肝臓・胆管系:AST上昇、ALT上昇(0.1~1.0%未満)、LDH上昇、総ビリルビン上昇(0.1%未満)
5)白血球・網内系:好酸球増多(0.1%未満)
6)適用部位:血管炎(発赤又は疼痛を伴うものを含む)(0.1%未満)
7)泌尿器:BUN上昇、クレアチニン上昇(0.1%未満)
8)その他:頭重感、発熱、胸部不快感(0.1%未満)、頭痛、胸痛、全身倦怠感(頻度不明)

【汎発性血管内血液凝固症(DIC)】
1)皮膚:発疹(0.1~1.0%未満)、掻痒感(頻度不明)
2)筋・骨格系:筋肉痛(頻度不明)
3)消化管:悪心・嘔吐(0.1~1.0%未満)、下痢(頻度不明)
4)肝臓・胆管系:AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、LDH上昇、総ビリルビン上昇(0.1~1.0%未満)
5)代謝・栄養系:高尿酸血症(0.1%未満)
6)心拍数・リズム:動悸(頻度不明)
7)適用部位:血管炎(疼痛又は腫脹を伴うものを含む)(0.1%未満)
8)白血球・網内系:好酸球増多(頻度不明)
9)血小板・出血凝固:血小板増加(0.1%未満)、出血傾向(頻度不明)
10)その他:発熱(0.1%未満)、胸部不快感(頻度不明)

【出血性病変又は出血傾向を有する患者の血液体外循環時の灌流血液の凝固防止】
1)皮膚:掻痒感(0.1~1.0%未満)、発疹(0.1%未満)、紅斑(頻度不明)
2)筋・骨格系:筋肉痛、関節痛(0.1%未満)
3)消化管:悪心・嘔吐、食欲不振(0.1~1.0%未満)、下痢(頻度不明)
4)肝臓・胆管系:AST上昇、ALT上昇(0.1%未満)
5)心拍数・リズム:動悸(0.1%未満)
6)白血球・網内系:好酸球増多(0.1%未満)
7)血小板・出血凝固:出血傾向(頻度不明)
8)その他:全身倦怠感(0.1~1.0%未満)、頭痛、発熱、胸痛(0.1%未満)、胸部不快感(頻度不明)

皮膚の発疹等のように異常が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■ナファモスタットメシル酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、注射用フサン10/50はアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼注射用フサン10/50の有効成分
ナファモスタットメシル酸塩
▼代表薬の添加物
・コハク酸、D-マンニトール

使用に注意が必要な方
1)妊婦
動物実験において、大量投与により、胎児脂肪率の増加、及び体重増加抑制、分娩率の低下が報告されている為使用には注意が必要です。
2)授乳婦
動物実験において、母乳中への代謝物の移行が認められている為使用には注意が必要です。
3)小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない為使用には注意が必要です。
4)高齢者
一般的に高齢者では生理機能が低下している事が多い為使用には注意が必要です。

上記にあてはまる方は、ナファモスタットメシル酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ナファモスタットメシル酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ナファモスタットメシル酸塩に関する
よくある質問
ナファモスタットメシル酸塩投与後の効果はどのくらい持続しますか?

臨床試験の結果より投与開始後60~90分で最高血中濃度を示し、投与終了後から1時間でほぼ消失してしまいます。
インタビューホーム 【日医工株式会社】

体内の蓄積時間はどの臓器で一番長く存在していますか?

腎臓・肺・膵臓において投与後4時間まで存在が認められています。
インタビューホーム 【日医工株式会社】

併用禁忌薬及び併用注意薬の該当はありませんでしたが、治療に際し注意すべき医薬品はありますか?

高カリウム血症が現れる事がある為、カリウム含有製剤(輸液等)、カリウム保持性利尿剤等を併用する場合には注意が必要です。
インタビューホーム 【日医工株式会社】

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。