ヘパリンナトリウム

成分名

ヘパリンナトリウム

適応症状

・汎発性血管内血液凝固症候群の治療
・血液透析・人工心肺その他の体外循環装置使用時の血液凝固の防止
・血管カテーテル挿入時の血液凝固の防止
・輸血及び血液検査の際の血液凝固の防止
・血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、四肢動脈血栓塞栓症、手術中・術後の血栓塞栓症等)の治療及び予防

簡易説明

ヘパリンナトリウムは、汎発性血管内血液凝固症候群の治療、血液透析・人工心肺などの体外循環装置の使用時における血液凝固の防止、血管カテーテル挿入時の血液凝固の防止、輸血及び血液検査の際の血液凝固の防止について述べています。
具体的には、アンチトロンビンⅢという物質がトロンビン(血液凝固に関与する物質)の働きを阻害する作用を持っており、この作用を促進することで、播種性血管内凝固症候群や血栓塞栓症、人工透析などの治療に用いられることがあります。

処方可能な診療科目

血液内科/腎臓膠原病内科/透析科/循環器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
薬代1シリンジ当たりの目安:10単位/mlロック用10ml1シリンジ約114円/(薬価)
薬代後発薬1シリンジ当たりの目安:10単位/mlロック用10ml1シリンジ約84円/(薬価)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:2014年2月1日ヘパリンNa【製薬メーカー:ニプロ株式会社】
発売年月日:2004年7月1日ヘパリンフラッシ【製薬メーカー:テルモ】
発売年月日:1962年6月1日ヘパリンNa注【製薬メーカー:持田製薬】

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

・ヘパリンNa【製薬メーカー:ニプロ株式会社】
・ヘパリンフラッシ【製薬メーカー:テルモ】
・ヘパリンNa注【製薬メーカー:持田製薬】

関連製品(ジェネリック)

ヘパリンNaロック用10単位/シリンジ「オーツカ」5mL
ヘパリンNaロック用10単位/シリンジ「オーツカ」10mL
ヘパリンNaロック用100単位/シリンジ「オーツカ」5mL
ヘパリンNaロック用100単位/シリンジ「オーツカ」10mL
ヘパリンNa透析用150単位/シリンジ20mL「AT」
ヘパリンNa透析用200単位/シリンジ20mL「AT」
ヘパリンNa透析用250単位/シリンジ20mL「AT」
ヘパリンNa透析用150単位/「フソー」20mL
ヘパリンNa透析用200単位/「フソー」20mL
ヘパリンNa透析用250単位/「フソー」20mL
ヘパリンNa透析用250単位/「NS」20mL
ヘパリンNa透析用150単位/シリンジ20mL「フソー」
その他用法、剤型毎に様々な後発品が存在します。

海外での使用実績

へパリンナトリウム製剤としては、アメリカ、オーストラリア等で発売されています。
ロウヘパリン(enoxaparin): 1993年に欧州で承認され、その後、アメリカ、日本、カナダなどの多くの国で承認されました。
アンチトロンビンⅢ結合能低下型ヘパリン(danaparoid sodium): 1996年に英国で承認され、その後、欧州、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどの多くの国で承認されました。
ヘパリンナトリウム(unfractionated heparin): 1964年にアメリカで承認され、その後、世界中の多くの国で承認されました
フラクシパリン(tinzaparin): 1996年に欧州で承認され、その後、オーストラリア、ニュージーランドなどの多くの国で承認されました
ケミパリン(dalteparin): 1994年にスウェーデンで承認され、その後、世界中の多くの国で承認されました。
なお、承認年度に関しては、各国の承認状況によって異なるため、一部の製剤については特定の国の承認年度を示しています。

効果・作用

天然のグリコサミノグリカンである多糖類の一種であり、低分子量ヘパリン(LMWH)や非分画ヘパリン(UFH)の形態で使用されます。

ヘパリンナトリウムの作用機序は、アンチトロンビンIII(ATIII)と結合することによって実現されます。ATIIIは、血液中の凝固因子の活性化を阻害することで、血液凝固を抑制するタンパク質です。ヘパリンナトリウムはATIIIに結合することで、ATIIIの抗凝固作用を増強し、血液中のトロンビンや他の凝固因子の活性化を抑制します。この結果、血液凝固を防止し、血栓症や肺塞栓症などの病気を予防することができます。
ヘパリンナトリウムは、血液凝固を防止するために、多くの医療分野で使用されています。例えば、心臓手術や血栓症の治療に使用されることがあります。ただし、ヘパリンナトリウムは、その抗凝固作用が強力であるため、副作用や合併症が発生する可能性があります。そのため、医師の厳密な監視下で使用する必要があります。
最後に、ヘパリンナトリウムの投与量や使用方法については、医師の指示に従ってください。自己判断での使用や投与量の増減は、重大な副作用の原因となることがありますので、絶対に避けるようにしてください。

使用方法

本剤は、通常、下記の各投与法によって投与されますが、それらは症例または適応領域、目的によって決定されます。
通常、本剤投与後、全血凝固時間(Lee-White法)または全血活性化部分トロンボプラスチン時間(WBAPTT)が正常値の2〜3倍になるように年齢、症状に応じて適宜用量をコントロールします。

<静脈内点滴注射法>
10,000〜30,000単位を5%ブドウ糖注射液、生理食塩液、リンゲル液1,000mLで希釈し、最初1分間30滴前後の速度で、続いて全血凝固時間またはWBAPTTが投与前の2〜3倍になれば1分間20滴前後の速度で、静脈内に点滴注射します。

<静脈内間歇注射法>
1回5,000〜10,000単位を4〜8時間ごとに静脈内注射します。
注射開始3時間後から、2〜4時間ごとに全血凝固時間またはWBAPTTを測定し、投与前の2〜3倍になるようにコントロールします。

<皮下注射・筋肉内注射法>
1回5,000単位を4時間ごとに皮下注射または筋肉内注射します。なお、筋肉内注射にあたっては、組織・神経などへの影響をさけるため、下記の点に配慮してください。

・神経走行部位をさけるように注意してください。
・繰り返し注射する場合には、注射部位をかえ、たとえば左右交互に注射するなど行ってください。なお、乳・幼・小児には連用しないことが望ましいとされています。
・注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射してください。

<体外循環時(血液透析・人工心肺)における使用法>
・人工腎では各患者の適切な使用量を透析前に各々のヘパリン感受性試験の結果に基づいて算出しますが、全身ヘパリン化法の場合、通常、透析開始に先だって、1,000〜3,000単位を投与し、透析開始後は、1時間当り、500〜1,500単位を持続的に、または1時間ごとに500〜1,500単位を間歇的に追加してください。局所ヘパリン化法の場合は、1時間当り1,500〜2,500単位を持続注入し、体内灌流時にプロタミン硫酸塩で中和してください。
・術式・方法によって多少異なりますが、人工心肺灌流時には、150〜300単位/kgを投与し、さらに体外循環時間の延長とともに必要に応じて適宜追加する。体外循環後は、術後出血を防止し、ヘパリンの作用を中和するためにプロタミン硫酸塩を用いてください。

<輸血及び血液検査の際の血液凝固防止法>
輸血の際の血液凝固の防止には、通常、血液100mLに対して400〜500単位を用います。
血液検査の際の血液凝固の防止にもほぼ同様に、血液20〜30mLに対して100単位を用います。

副作用

重大な副作用
投与中に次の副作用が現れることがありますので、注意深く観察し、異常が見られた場合は適切な処置を行ってください。

ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
投与中に、血圧低下、意識低下、呼吸困難、チアノーゼ、蕁麻疹などの異常が見られた場合は、投与を中止し、適切な処置を行ってください。

出血(頻度不明)
投与中に、脳出血、消化管出血、肺出血、硬膜外血腫、後腹膜血腫、腹腔内出血、術後出血、刺入部出血などの重篤な出血が現れることがあります。

血小板減少(頻度不明)、HIT等に伴う血小板減少・血栓症(頻度不明)
投与中に、著明な血小板減少が現れることがあります。HITは、ヘパリン−血小板第4因子複合体に対する自己抗体(HIT抗体)の出現による免疫学的機序を介した病態であり、著明な血小板減少と脳梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症などの血栓症やシャント閉塞、回路内閉塞などを伴うことがあります。また、投与終了数週間後に、HITが遅延して発現したとの報告もあります。血小板数の著明な減少や血栓症を疑わせる異常が見られた場合は、投与を中止し、適切な処置を行ってください。

その他の副作用
頻度不明
・過敏症:掻痒、蕁麻疹
・皮膚:脱毛、白斑
・肝臓:AST・ALTの上昇など
・長期投与:骨粗鬆症、低アルドステロン症

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ヘパリンナトリウムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ヘパリンナトリウムはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ヘパリンナトリウムの有効成分
ヘパリンナトリウム
▼代表薬の添加物
塩化ナトリウム/ベンジルアルコール

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
2)腎機能障害の方
3)肝機能障害の方
4)妊婦の方
5)小児等
6)高齢者

上記にあてはまる方は、ヘパリンナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ヘパリンナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
▼抗凝固剤
本剤の抗凝固作用と血液凝固因子の生成阻害作用により相加的に出血傾向が増強される可能性があるため、併用の際は注意してください。
▼血液溶解剤(ウロビリノーゲン/t-PA製剤など)
本剤の抗凝固作用とフィブリン溶解作用により相加的に出血傾向が増強される可能性があるため、併用の際は注意してください。
▼血小板凝集作用を有する薬剤(アスピリン/ジピリダモールなど)
本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される可能性があるため、併用の際は注意してください。

上記を使用している方は、ヘパリンナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ヘパリンナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ヘパリンナトリウムに関する
よくある質問
透析での除去率はどうですか?

蛋白結合率が高く、分子量も大きいため除去されにくい

ヘパリンNa注「モチダ」インタビューフォーム

【上記引用元:持田製薬株式会社】

投与中止する際の注意点はありますか?

急に投与を中止した場合、血栓を生じるおそれがあるので徐々に減量すること。 8.4 本剤の抗凝固作用を急速に中和する必要のある場合にはプロタミン硫酸塩を投与すること。 特に血液透析、人工心肺による血液体外循環終了時に中和する場合には反跳性の出血があらわ れることがある。

ヘパリンNa注「モチダ」インタビューフォーム

【上記引用元:持田製薬株式会社】

参考元一覧

ヘパリンNa注「モチダ」添付文章【持田製薬株式会社】
ヘパリンNa注「モチダ」インタビューフォーム【持田製薬株式会社】

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