デクスラゾキサン

成分名

デクスラゾキサン

適応症状

アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤による血管外漏出

簡易説明

デクスラゾキサンは、日本で初めてのアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤によって起こった血管外漏出の改善薬剤です。アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤によって起こる血管外漏出は他の薬剤と比べて組織障害を起こすリスクが高いとされていましたが、本剤は、組織障害を抑えることが可能となっています。既に海外30か国以上で販売されており、日本でも開発する必要要望書が提出されたことからキッセイ薬品工業株式会社が開発に着手しました。

処方可能な診療科目

外科/皮膚科/形成外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
サビーン点滴静注用500mg【製薬メーカー:キッセイ薬品工業】500㎎1瓶46437円(薬価)

厚生労働省による認可、または発売年月日

2014年4月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

サビーン点滴静注用500mg【製薬メーカー:キッセイ薬品工業】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

イギリスやオーストリア・フランスドイツなどでは2006年から、ブルガリア・ルーマニア・アメリカでは2007年から、クロアチアでは2013年から発売されています。

効果・作用

デクスラゾキサンは、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤によって起こった血管外漏出を改善する薬剤として、日本で初めて発売されました。抗がん剤の血管外漏出は発熱や痛みなど患者の自覚症状を有しますが、特にアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤は、血管に漏出すると組織障害などを起こすリスクが高いとされていました。アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤は、トポイソメラーゼⅡとDNAを除外したまま結合するため、DNAが再結合できず、細胞毒性を生じてしまいます。本剤は、DNAの再結合を阻害しているトポイソメラーゼⅡの作用をブロックすることで、組織障害抑制作用を示します。

アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出患者57例に、血管外漏出の発生後から6時間以内に本剤の投与を開始した海外第2・3相試験があります。初回投与開始24時間後は1000mg/m2、そして48時間後には500mg/m2投与を繰り返したところ、血管外漏出に対する手術まで至った患者は36例中1例であり、割合として2.8%でした。。また、最終評価時において血管外漏出による壊死が確認された患者は36例中1例、割合として2.8%であり、外科的処置を行った患者と同じ症例でした。

日本では、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出患者2例に本剤を投与した国内臨床試験を実施しています。1人目の患者は腎機能低下があったため、投与量を通常の半量とし、1日目と2日目は500mg/m2、3日目は250mg/m2をそれぞれ投与しました。2人目の患者は1日目と2日目に1000mg/m2、3日目は500mg/m2を投与したところ、血管外漏出に対する外科的処置は行われず、血管外漏出による壊死も確認されませんでした。

使用方法

1日1回、投与1日目もしくは2日目は体表面積として1000mg/m2、3日目は500mg/m2を1~2時間かけて3日間連続で静脈内投与します。血管外漏出が起こってから可能な限り6時間以内に投与を開始し、投与2日目または3日目は投与1日目と同じ時間に投与を開始してください。また、用量は、投与1日目または2日目はそれぞれ2000mg、3日目は1000mgを上限とします。クレアチニンクリアランス:40mL/min未満のような中等度もしくは高度の腎機能障害のある方では投与量を通常の半量としてください。

副作用

主な副作用
悪心や嘔吐、AST/ALT上昇、クレアチニン上昇、注射部位反応、発熱などがあげられます。

項目別の発現頻度は以下の通りです。

消化器・・悪心/嘔吐(10%以上)、下痢/口内炎/口内乾燥/口渇/食欲減退/腹痛/胃炎(10%未満)
皮膚・・脱毛/点状出血/そう痒(10%未満)
肝臓・・AST上昇/ALT上昇/総ビリルビン上昇(10%以上)、Al-P上昇(10%未満)、γ-GTP上昇(頻度不明)
腎臓・・クレアチニン上昇(10%以上)
精神神経系・・浮動性めまい/頭痛/感覚消失/傾眠/失神/振戦/うつ病/不眠症(10%未満)
呼吸器・・呼吸困難/咳/肺炎(10%未満)
循環器・・高血圧/深部静脈血栓症/ほてり/心房細動(10%未満)
注射部位・・注射部位反応(注射部位の疼痛/紅斑/腫脹/肥厚/硬結/注射部位静脈炎/血管穿刺部位血栓/血栓性静脈炎等)(10%以上)
その他・・発熱(10%以上)、感染(創傷感染/丹毒/ヘルペスウイルス感染/好中球減少性感染等)/創部痛/疲労/関節痛/浮腫/顔面浮腫/衰弱/腹水/脱水/骨盤痛/腟出血/貧血/かすみ目/体重減少/カルシウム上昇/カルシウム低下/ナトリウム低下/カリウム上昇/カリウム低下(10%未満)

重大な副作用
白血球減少、好中球減少、血小板減少、ヘモグロビン減少などの骨髄抑制があげられます。発現頻度は不明ですが、本剤を投与してから10日以上経過してから重篤な血球減少が報告されています。同時に、、骨髄抑制に伴った感染症や発熱を伴う好中球減少症が現れる可能性もあります。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■デクスラゾキサンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼デクスラゾキサンの有効成分
デクスラゾキサン

▼代表薬の添加物
なし

・以前、デクスラゾキサンを使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性

使用に注意が必要な方
・腎機能障害のある方は、副作用が強くあらわれる可能性があるため注意をしてください。
・肝機能障害のある方は、、副作用が起こる可能性があります。
・生殖可能な年齢の方は、性腺に対する影響を考慮したうえで注意しながら投与してください。
・妊娠する可能性がある女性患者及びパートナーが妊娠する可能性のある男性患者は、妊娠に対して及ぼす危険性についてしっかりと説明したうえで、投与をしてください。また、本剤の投与中もしくは投与3か月以内は避妊をしてください。
・小児
・高齢者では、一般的に腎機能が低下しているため注意しながら投与してください。

上記にあてはまる方は、デクスラゾキサンを使用する事が出来ない可能性があります。
デクスラゾキサンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<フェニトイン>
痙攣の悪化を引き起こす可能性があるため、併用する際には注意をしてください。

上記を使用している方は、デクスラゾキサンを使用する事が出来ない可能性があります。
デクスラゾキサンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

デクスラゾキサンに関する
よくある質問
なぜ血管外漏出後6時間以内に投与する必要があるのですか?

動物を対象に行った試験において、ダウノルビシン投与3時間後に、本剤を投与開始した場合、潰瘍発現率が低下することがわかりました。また、ダウノルビシン投与6時間後に、本剤を投与開始した場合、潰瘍発現率に影響はありませんでしたが、潰瘍の面積AUCは対照とした群を比較して34%減少していました。上記の結果から、血管外漏出6時間後に本剤を投与することが良いとされ、実際に日本人に対して行った試験でも6時間以内に投与した結果有効性も安全性も問題なかったことが示されています。

サビーン点滴静注用 Q&A

【上記引用元:KISSEI Medical Navi】

サビーンの投与時間に決まりはありますか?

本剤は調整してから150分以内に投与を完了することとされています。理由は、本剤を乳酸リンゲル液と配合したところ、180分経過したときに類縁物質が規格不適合となったため、180分は超えないよう150分以内に投与を完了する旨を記載しています。

サビーン点滴静注用 Q&A

【上記引用元:KISSEI Medical Navi】

参考元一覧

サビーン点滴静注用500mg 添付文書

サビーン点滴静注用500mg 医薬品インタビューフォーム

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