イカチバント酢酸塩

成分名

イカチバント酢酸塩

適応症状

遺伝性血管性浮腫の急性発作

簡易説明

イカチバント酢酸塩は、HAEと呼ばれている遺伝性血管性浮腫の急性発作治療薬です。HAEはC1エステラーゼインヒビターの欠損や機能低下により、顔、手や足、消化管などに急性の浮腫が生じる遺伝疾患です。日本では約2500人が患者と推定されますが、ほとんどが未治療です。本剤の有効成分、イカチバント酢酸塩はブラジキニン B2 受容体に対して選択的かつ競合的に拮抗し、浮腫の肥大化を軽減します。皮下投与が可能なため、在宅自己投与による早期治療が可能となり、患者のQOL改善が期待されます。2018年9月に日本で「遺伝性血管性浮腫の急性発作」治療薬として承認されました。

処方可能な診療科目

腎・高血圧内科/皮膚科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約6000~33000円
薬代1筒あたりの目安:30mg約307291円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。
高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2018年11月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

フィラジル皮下注30mgシリンジ 【製薬メーカー:武田薬品工業】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

45か国以上で販売されております。

効果・作用

イカチバント酢酸塩はHAEと呼ばれている遺伝性血管性浮腫の突然起こった発作に使用する治療薬です。HAEは顔や唇、手や足、消化管など様々な場所に急性的に浮腫が生じる遺伝性の疾患です。5万人に1人ほどの希少な疾患であり、日本では2500名ほどの患者がいると推測されていますが、実際に治療をしている人は400名ほどと、治療していない人が多数を占める現状となっていました。発作の症状は数日でよくなりますが、発作を繰り返す中で身動きが取れないほどの激しい症状をきたすこともありますので、発作が確認された場合、すぐに治療をすることが推奨されています。このような中で本剤はHAEの直接的な原因となるブラ
ジキニン B2 受容体に対して作用を阻害することで、浮腫の肥大化を提言させます。本剤は皮下投与が可能となっているため、患者が自己投与ができるようになれば在宅自己投与も可能となり、発作が起きた後、すぐに治療をすることも可能になります。

臨床試験としては、18歳以上の遺伝性血管性浮腫患者を対象にとした海外第3相試験が実施されています。本剤30mgを皮下投与したところ、喉頭浮腫以外のITT集団における患者のVASスコアに基づく症状緩和までの時間は、本剤群で2時間、プラセボ群で19.8時間であり、プラセボに対する本剤の有効性が検証されました。
国内患者のみに絞って行われた第3相試験では、18歳以上の遺伝性血管性浮腫患者に対して、本剤30mgを皮下投与したところ、患者のVASスコアに基づくTOSRの中央値は、1.75時間でした。
小児に対しても試験を行っており、2歳以上18歳未満の遺伝性血管性浮腫患者22名に対して、本剤1kgあたり0.4mgを皮下投与した結果、症状スコアを用いた医師の評価に基づくTOSRの中央値は、1.0時間でした。
2歳以上18歳未満かつ12kg以上の遺伝性血管性浮腫患者を対象に国内第3相臨床試験を実施しています。本剤を体重区分別で投与したところ、症状スコアを用いた医師の評価に基づくTOSRは、思春期前の1名で1時間、思春期/思春期後の1名でそ0.9時間でした。

使用方法

成人の場合、1回30mgを皮下注射します。
2歳以上の小児には体重に応じて、以下の表を参考に1回10〜30mgを皮下注射してください。

【2歳以上の子供に対する投与量】
・12~25kg 投与量:10㎎
・26~40kg 投与量:15㎎
・41~50kg 投与量:20㎎
・51~65kg 投与量:25㎎
・66kg異常 投与量:30㎎


効果が不十分な場合もしくは症状が再発した場合は、6時間以上の間隔をおいて同用量を追加投与することが可能です。しかし、24時間あたりの投与回数は3回までとしてください。

本剤は自己投与も可能となっておりますが、十分な教育訓練を施したうえで行ってください。また、投与部位は腹部とし、用量調節が必要な場合は、目盛付きシリンジやコネクタを用いて行うこととしてください。

副作用

主な副作用
注射部位反応やがあげられます。96.7%の割合で確認されています。

項目別の発現頻度は以下の通りです。
投与部位・・注射部位反応(内出血/血腫/灼熱感/紅斑/知覚低下/刺激感/しびれ感/浮腫/疼痛/不快感/そう痒感/腫脹/じん麻疹/熱感)(10%以上)、
皮膚・・発疹/紅斑/そう痒症(10%未満)、じん麻疹(頻度不明)
その他・・悪心/浮動性めまい/頭痛/発熱/トランスアミナーゼ上昇(10%未満)

重大な副作用
アナフィラキシーなどの重篤な過敏症に注意をしてください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■イカチバント酢酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼フィラジル皮下注の有効成分
イカチバント酢酸塩

▼代表薬の添加物
塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、氷酢酸

・以前、イカチバント酢酸塩を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。

使用に注意が必要な方
・急性虚血性心疾患及び不安定狭心症の方は、虚血状態下においてブラジキニンB2受容体拮抗作用により、心機能低下と冠血流量減少が生じる可能性があります。
・脳卒中後数週間以内の方は、ブラジキニンの後期神経保護作用を弱めるリスクがあります。
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性は、治療するメリットが上回るとされる場合にのみ投与を検討してください。
・低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施しておりません。幼いラットに対して、本剤の成分を毎日投与した時、本剤を投与した雄と交配した非投与の雌で着床前死亡率の高値が確認されています。
・高齢者は一般的に生理機能が低下しているため、副作用などに注意をしてください。65歳以上の方では、非高齢者と比較して本剤の曝露量が増加する可能性があります。

上記にあてはまる方は、イカチバント酢酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
イカチバント酢酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

イカチバント酢酸塩に関する
よくある質問
本剤は発作部位によって投与方法は変わりますか?

発作部位によって投与方法、投与場所が変わることはありません。1回1本をお腹に皮下注射してください。また、発作部位が喉頭にあらわれた場合には、すぐにお近くの医療機関を受診してください。

フィラジル よくあるご質問

【上記引用元:武田薬品工業メディカルサイト】

本剤の投与スピードはどのくらいが良いでしょうか?

目安としては、ゆっくりと30秒以上かけてお腹へ皮下注射していただくようお願いいたします。

フィラジル よくあるご質問

【上記引用元:武田薬品工業メディカルサイト】

参考元一覧

フィラジル皮下注30mgシリンジ 添付文書

フィラジル皮下注30mgシリンジ 医薬品インタビューフォーム

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