成分名 |
ヘパリンカルシウム |
適応症状 |
・汎発性血管内血液凝固症候群の改善
・静脈血栓症/心筋梗塞症/肺塞栓症/脳塞栓症/四肢動脈血栓塞栓症/手術中・術後の血栓塞栓症などの血栓塞栓症の治療と予防
・血管カテーテル挿入時または輸血や血液検査時の血液凝固防止 |
簡易説明 |
ヘパリンカルシウムは、血液が固まることを防ぐ薬剤で、注射して投与します。複数の適応を取得していますが、特に現在増加傾向にある静脈血栓塞栓症に対する予防投与が可能です。作用発現が比較的早く、持続的であることが特徴の1つです。1970年代から使用されている歴史の長い薬剤の1つであり、沢井製薬や持田製薬などさまざまなメーカーがジェネリック医薬品を扱っています。 |
処方可能な診療科目 |
循環器内科/心臓血管外科/脳神経外科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
この薬は処方薬ではありません。
<後発品>
ヘパリンCa皮下注2万単位/0.8mL「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬】1瓶944円(薬価)
ヘパリンCa注射液2万単位/20mL「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬】1瓶944円(薬価)
ヘパリンCa皮下注5万単位/50mL「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬】1瓶1274円(薬価)
ヘパリンCa皮下注10万単位/100mL「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬】1瓶2006円(薬価)
ヘパリンCa皮下注1万単位/0.4mL「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬】1瓶683円(薬価)
ヘパリンカルシウム皮下注5千単位/0.2mLシリンジ「モチダ」【製薬メーカー:持田製薬】1筒465円(薬価)
ヘパリンカルシウム注1万単位/10mL「AY」【製薬メーカー:エイワイファーマ】1瓶379円(薬価)
ヘパリンカルシウム注5万単位/50mL「AY」【製薬メーカー:エイワイファーマ】1瓶1274円(薬価) |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
1974年3月発売(ヘパリンCa皮下注/「サワイ」、ヘパリンCa注射液/「サワイ」)
1978年7月発売(ヘパリンカルシウム注/「AY」)
2010年2月発売(ヘパリンカルシウム皮下注/「モチダ」)
2016年1月発売ヘパリンCa皮下注1万単位/0.4mL「サワイ」) |
国内のジェネリック認可 |
あり |
関連製品(先発薬) |
なし |
関連製品(ジェネリック) |
ヘパリンCa皮下注1万・2万/「サワイ」、ヘパリンCa注射液2万・5万・10万/20mL「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬】
ヘパリンカルシウム皮下注5千単位/0.2mLシリンジ「モチダ」【製薬メーカー:持田製薬】
ヘパリンカルシウム注1万・5万/「AY」【製薬メーカー:エイワイファーマ】 |
効果・作用 |
ヘパリンカルシウムは、健康なブタ腸粘膜にあるDグルコサミンとウロン酸の二糖単位からできています。本剤は体内で血液が固まることを防ぐ薬剤で、ラットに対して抗血栓作用を調べた試験では、4時間後には最大の効果を示し、その後投与10時間後まで作用が持続することが示されています。よって、早い作用発現と長い持続時間が特徴の1つとなっています。
本剤はアンチトロンビンⅢを活性化することで、血液凝固に関わる多くの因子のうちのトロンビンなどを阻害し、血液凝固を抑制します。複数の適応を取得していますが、そのうち静脈血栓塞栓症は現代において増加傾向にある疾患です。静脈血栓塞栓症に対しては、症状の改善に加えて予防的に投与できます。
効果としては、動物実験ですがラットに対して本剤を皮下投与し、血液凝固の状況を経時的に追った試験を行っています。結果、投与2時間後から、活性化凝固時間と活性化部分トロンボプラスチン時間を延長させ、10時間後まで作用は持続しました。
持田製薬が行った試験で、正常状態もしくは血液凝固がある状態のラットにヘパリンを投与しました。下大静脈にプラチナ線を挿入し、血栓をつくり、本剤投与有無での血栓量を検討しました。正常状態・血液凝固があるラット両方において、ヘパリンを投与した群は非投与群に比べて生成された血栓量は有意に少ないことが示されました。 |
使用方法 |
使用する目的によって投与量や投与方法が異なっています。
・静脈内に点滴注射して投与する場合、1万~3万単位を5%ブドウ糖注射液/生理食塩液/リンゲル液1000mLで希釈します。投与速度は、最初1分間は30滴ほど、その後全血凝固時間もしくはWBAPTTが投与前の2~3倍になったら、1分間20滴ほどです。
・静脈内間歇注射法の場合、1回5千~1万単位を4~8時間ごとに静脈内投与します。注射開始3時間経過後は、2~4時間ごとに全血凝固時間もしくはWBAPTTを測定し、投与前の2~3倍になるように調節してください。
・輸血及び血液検査の際の血液凝固防止のために投与する場合、輸血の際は血液100mLあたり400~500単位を使用します。血液検査の際は血液20~30mLあたり100単位を使用します。
・血液透析・人工心肺などの体外循環時に使用する場合は、全身ヘパリン化法では、透析開始前に、1千~3千単位を投与します。透析がスタートした後は、1時間あたり、500~1,500単位を持続的に、
もしくは1時間ごとに500~1,500単位を一定の時間を置いて追加します。局所ヘパリン化法では、1時間あたり1,500~2,500単位を持続投与し、体内灌流時にプロタミン硫酸塩で中和してください。
人工心肺灌流時では、1kgあたり150~300単位を投与し、体外循環時間の延長があれば必要に応じて追加投与します。体外循環後は、プロタミン硫酸塩を服用して、ヘパリンの作用を中和します。 |
副作用 |
主な副作用
副作用として、脱毛や発赤、発熱や気管支喘息などがあげられます。
発現頻度はすべて頻度不明ですが、項目別の副作用は以下の通りです。
過敏症・・そう痒感/蕁麻疹/悪寒/発熱/鼻炎/気管支喘息/流涙等
皮膚・・脱毛/白斑/出血性壊死等
肝臓・・AST上昇/ALT上昇
長期投与・・骨粗鬆症/低アルドステロン症
投与部位・・発赤/紅斑/腫脹/硬結/そう痒感/局所の疼痛性血腫等
重大な副作用
<ショック、アナフィラキシー>
頻度不明ですが、血圧低下、意識低下、呼吸困難、チアノーゼ、蕁麻疹等が現れた場合には、初期症状の可能性があるため、すぐに投与を中止し適切な処置を行ってください。
<出血>
脳出血、消化管出血、肺出血、硬膜外血腫、後腹膜血腫、腹腔内出血、術後出血、刺入部出血など起こることがあり、重篤な有害事象に至る可能性もありますので、注意をしてください。
<血小板減少、HIT等に伴う血小板減少・血栓症>
著名な血小板減少が起こることがあります。投与中だけではなく、投与終了後数週間経過してから、発現したとの報告もありますので、症状が現れた場合にはすぐに投与を中止し医療機関を受診してください。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 なし
使用に注意が必要な方 ■ヘパリンカルシウムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼有効成分
ヘパリンカルシウム
▼代表薬の添加物
生理食塩液、pH調節剤、水酸化カルシウム、塩酸
・以前、ヘパリンカルシウムを使用して過敏症となったことのある方は注意をしてください。
・出血している方は、症状を悪化させる可能性があるので、可能な限り使用は避けてください。
・内臓に腫瘍があったり、重症な糖尿病の方は出血する可能性があるため、使用には注意をしてください。
・中枢神経系の手術もしくは外傷後あまり経過していない方は、出血が悪化する可能性があるため注意をしてください。
・以前、HITとなったことがある方は、再発のリスクが上がるため使用には注意をしてください。
・重篤な腎機能障害のある方は、本剤の作用が長くなる可能性があります。
・重篤な肝障害のある方は、本剤の作用が強まったり弱まったりする可能性があります。
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性
・小児
・高齢者
上記にあてはまる方は、ヘパリンカルシウムを使用する事が出来ない可能性があります。 ヘパリンカルシウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 併用注意薬:
<抗凝固剤、血栓溶解剤(ウロキナーゼ/t-PA製剤等)、血小板凝集抑制作用を有する薬剤(アスピリン/ジピリダモール/チクロピジン塩酸塩等)>
併用することで本剤の作用が強まり、出血が起こりやすくなるため使用には注意をしてください。
<テトラサイクリン系抗生物質、強心配糖体(ジギタリス製剤)、ニトログリセリン製剤>
本剤の作用が弱まることがあります。
<筋弛緩回復剤(スガマデクスナトリウム)>
併用によって、本剤の抗凝固作用が強まる恐れがあります。
上記を使用している方は、ヘパリンカルシウムを使用する事が出来ない可能性があります。 ヘパリンカルシウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
ヘパリンカルシウムに関する よくある質問 |
|
参考元一覧 |
ヘパリンCa皮下注2万単位/0.8mL「サワイ」 添付文書
ヘパリンCa注射液 インタビューフォーム |
サイト利用に関する注意事項 | 医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。 医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。 |