含糖酸化鉄

成分名

含糖酸化鉄

適応症状

貧血

簡易説明

含糖酸化鉄は体内での鉄イオン化による急性中毒反応で実用できなかった注射用鉄剤を使用可能にするために、1947年にNissimが開発したコロイド性鉄剤です。
吉富製薬株式会社は含糖酸化鉄を理化学的に均一で安定な製剤化に成功し、1961年にフェジン(以下、本剤)を開発しました。
フェジンは三菱ウェルファーマ(旧 吉富製薬株式会社)から2003年に日医工株式会社が製造販売承認を承継しました。

処方可能な診療科目

内科など

健康保険の適応

鉄欠乏性貧血

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません(薬価記載)
フェジン静注40mg(2mL1管) 120.00円【製薬メーカー:日医工株式会社】

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:1961年10月10日

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

フェジン静注40mg【製薬メーカー:日医工株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

鉄欠乏性貧血はヘモグロビンの構成成分である鉄が不足することが原因の貧血で、その治療には鉄の補充が行われます。一般的には経口の鉄剤を使用しますが、副作用が強く経口鉄剤が飲めない、出血などにより鉄の損失が多く経口鉄剤では間に合わない、消化器疾患で内服が不適切、鉄吸収が極めて悪いなど経口鉄剤の使用が不適切な場合に限り、本剤のような注射用鉄剤が使用されます。

本剤は一旦、細網内皮系に取り入れられて、ここで徐々に解離してトランスフェリンの形となり、骨髄に運ばれヘモグロビンの合成に利用されます。鉄欠乏性貧血患者(アメリカ人)に含糖酸化鉄を静脈内投与した結果、赤血球内ヘモグロビン鉄として利用され、投与後10~14日で赤血球内の鉄は最高となることが確認されています。
本剤はブドウ糖注射液で希釈しますが、生理食塩水で希釈するとpH9.0~10.0で安定なコロイド性鉄剤である本剤のコロイド状態が不安定になり遊離した鉄イオンが多量に発生するおそれがあります。この遊離した鉄イオンは生体組織に直接作用するため、発熱、悪心、嘔吐などの原因となるおそれがあります。
本剤の投与部位は静脈内のみで、注射速度にも留意する必要があります。万一、血管外に漏出した場合は、漏出部位周辺に色素沈着をおこす他、疼痛、知覚異常、腫脹などの局所刺激をおこすことがあります。温湿布、マッサージ等で吸収を促進させるなどの適切な処置を行ってください(疼痛等の急性局所症状が強い場合は冷湿布で急性症状を抑えた後でマッサージを行います)。

本剤の臨床試験
(本態性低色素性貧血患者)
1管~3管を連続投与した場合のヘモグロビン増加量(13例):1日あたり0.181~0.527g/dL(平均0.341g/dL)
間歇的に投与した場合のヘモグロビン増加量(7例):0.089~0.329g/dL(平均0.152g/dL)
(術後貧血患者:8例)
1管連続投与した場合のヘモグロビン増加量:1日あたり0.6~1.7%(平均1.1%)
(妊娠貧血:5例)
本剤投与前後に肝機能検査を行った結果、妊娠負荷による影響の他には肝機能検査値に特別な変化はありませんでした。

使用方法

1日40~120mg(1管~3管)を2分以上かけて徐々に静脈内注射します。
年齢や症状によって使用量は適宜増減します。
※本剤の使用に際しては、あらかじめ必要鉄量を算出し、投与中も定期的な血液検査でフェリチン等を確認し、過量投与にならないよう注意します。

(必要鉄量の算出法)
ヘモグロビン値(Xg/dL)と体重Wkgより算出します。ただしヘモグロビン値は16g/dLを100%とします)。
総投与鉄量(mg)=〔2.72(16-X)+17〕W
(添付文書に総投与鉄量一覧が記載されています)
本剤投与中の鉄過剰症および二次性のヘモクロマトーシスを発現したとの報告があります。

※本剤はpH変化により配合変化を起こしやすいため、希釈する必要がある場合は用時10~20%のブドウ糖注射液で5~10倍に希釈します。

副作用

副作用発現率:6.93%(44例/635例)
主な副作用:頭痛 1.89%(12例)、悪心 1.10%(7例)、発熱 1.10%(7例)

【重大な副作用と初期症状】
・ショック:ショック症状(脈拍異常、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがあります。これらの症状および不快感、胸内苦悶感、悪心・嘔吐等があらわれた場合は使用を中止して、適切な処置を行います。
・骨軟化症:長期使用により、骨痛、関節痛等を伴う骨軟化症があらわれることがあります。症状があらわれた場合は使用を中止します。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■鉄欠乏状態にない方
鉄過剰症をきたすおそれがある為、使用出来ません。
※競技パフォーマンスの低下を理由にスポーツ競技者が本剤使用を要望される事例が確認されていますが、本剤は鉄欠乏状態にない方への使用はできません。スポーツ庁 競技スポーツ課長および政策課長ならびに参事官(地域振興担当)より、2019年1月11日付「不適切な鉄剤の静脈内注射の防止について(依頼)」が発出され、厚生労働省 医政局総務課医療安全推進室および医薬・生活衛生局医薬安全対策課からも同日付で「注射用鉄剤の適正使用について」が発出されています。
鉄剤の過剰投与は鉄過剰症をきたし、重篤な症状が発現したとの報告があります。なお、鉄過剰症では肝炎や心不全などの重大な健康被害を引き起こす可能性があります。また、長期にわたる本剤の投与は【重大な副作用と初期症状】に記載の低リン血症による骨軟化症を引き起こす場合があります。

■重篤な肝障害のある方
肝障害を増悪させるおそれがある為、使用出来ません。
■本剤にアレルギーをお持ちの方
本剤にアレルギーをお持ちの方、フェジンはアレルギー反応を起こしてしまう為、使用出来ません(本剤は添加物を使用していません)。

※本剤は経口鉄剤の使用が困難又は不適当な場合に限り使用します。
※本剤は静脈内にのみ使用し、血管外に漏出しないよう注意します。
※本剤を生理食塩水で希釈することは避けてください。

使用に注意が必要な方
・発作性夜間血色素尿症の方:溶血を誘発することがあります。
・腎障害のある方:腎障害が悪化するおそれがあります。
・高齢者:一般に生理機能が低下しているので、用量に注意が必要です。

上記にあてはまる方は、含糖酸化鉄を使用する事が出来ない可能性があります。
含糖酸化鉄を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

含糖酸化鉄に関する
よくある質問
側管から投与する際にルート内を洗浄したほうがいいですか?

側管から投与する場合、フェジンの投与前後にルート内を洗浄していただくことをお奨めします。
フェジンはpH9.0~10.0で安定なコロイド製剤です。
他剤との配合によってフェジンのコロイド状態が不安定になると、遊離した鉄イオンが多量に生じるおそれがあります。遊離した鉄イオンは、生体組織に直接作用し、発熱、悪心・嘔吐などの原因となるおそれがあります。
そのため、フェジンを側管から投与する場合、主管を止めて、フェジンの投与前後に10~20%のブドウ糖液で洗浄し、他剤と混ざらないようにしていただくことをお奨めしています。

よくあるご質問 フェジン静注40mg

【上記引用元:日医工株式会社】

投与期間の制限は?

フェジンの投与期間に制限はありません。
ただし、フェジンは過量に投与された場合、鉄過剰症が生じるおそれがあります。鉄過剰症を防ぐために、フェジンでの治療は、開始前にあらかじめ投与回数・日数を決めていただくことが大切です。
まず患者様のヘモグロビン値、体重から総投与鉄量を求めます。次に求めた総投与鉄量を、1回の投与量(鉄としてのmg数)で割り、投与回数を算出します。フェジンを1日1回で投与する場合、投与回数=投与日数です。総投与鉄量の算出は添付文書をご参照ください。
なお、投与後の検査値によっては、必ずしも総投与鉄量を全量投与する必要はありません。

よくあるご質問 フェジン静注40mg

【上記引用元:日医工株式会社】

参考元一覧

含糖酸化鉄(フェジン 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】

よくあるご質問(フェジン静注40mg 【日医工株式会社】

フェジン静注40mg 適正使用のお願い 【PMDA 適正使用のお願い】

フェジン静注40mg 適正使用のお願い 【PMDA 適正使用のお願い】

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