ヒドロキシエチルデンプン70000配合剤

成分名

ヒドロキシエチルデンプン70000配合剤

適応症状

ヒドロキシエチルデンプンを主成分とする医薬品にはサリンヘス輸液6%、並びにヘスパンダー輸液がありますが、共に各科領域における出血多量の場合、体外循環における血液希釈液に対して適応症状を持ちます。

簡易説明

ヒドロキシエチルデンプン70000配合剤を成分とする医薬品にはヘスパンダー輸液がありますが、こちらは代用血漿・体外循環希釈剤として使用されています。ヒドロキシエチルデンプンはデンプンをヒドロキシエチル化したものです。これを主成分とした輸液は浸透圧が295mOsmであり血漿浸透圧に近似している為、赤血球形態に悪影響を及ぼさず、また血液の粘度を低下させ、微小循環に好影響を及ぼします。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/皮膚科/耳鼻咽喉科/脳神経外科内科/泌尿器科/消化器内科外科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代1袋あたりの目安:約700円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

ヒドロキシエチルデンプン70000配合剤を成分とする医薬品であるヘスパンダー輸液は2009年6月29日に新販売名として製造販売が承認されました。薬価基準には旧販売名では1974年2月1日に、また新販売名では2009年9月25日に収載されました。そして1974年3月1日に発売開始しています。

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ヘスパンダー輸液【製薬メーカー:フレゼニウスカービジャパン株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

ドイツ、スペイン、スイス、オーストリアではPharmaciaがExpafusin(医薬品)を発売しています。
またドイツではB.BraunがRheohes(医薬品)を発売しています。
インドネシアではP.T.PfrimmerがExpafusin(医薬品)を発売しています。
タイではUniversal Medical IndustryがHespander(医薬品)を発売しています。
台湾では台湾永豊行がHespander(医薬品)を発売しています。

効果・作用

ヒドロキシエチルデンプン70000配合剤を成分とする医薬品であるヘスパンダー輸液は、各診療科の領域における出血多量の場合、体外循環における血液希釈液にたいして適応のある医薬品になります。

その作用機序は、ヘスパンダー輸液の成分であるヒドロキシエチルデンプンは、膠質浸透圧を有する高分子であり、静脈内投与によって血圧保持効果を発揮します。

1)臨床における薬理作用
①コロイド浸透圧及び晶質浸透圧と体内における水分バランスについて
本剤のコロイドにおける浸透圧、そして晶質浸透圧は、それぞれ血漿の浸透圧に似ている為、細胞間質液の血管内取り込みも、更に、血管外に対する早期移行も少なく、体内水分バランスを崩しませんでした。
②循環血液量維持効果
血液量の維持効果について乳酸リンゲル液と比較した場合、循環血液量の維持効果が優れていました。
③末梢循環改善作用について
本剤投与により血液粘度をわずかに低下させる事によって、末梢循環を改善しました。

2)基礎薬理作用
①血圧保持効果と循環血漿量について
動物実験の結果より、点滴注入により血圧の回復が見られ、以後5時間目まで血圧保持効果が認められました。更に、心臓へ負担をかけていないことも認められています。
②血液粘度低下作用
動物実験において血液粘度の低下に効果的に作用しました。
③浸透圧と赤血球形態
浸透圧が血漿に近似している為、赤血球形態に悪影響を及ぼしませんでした。
④電解質組織と酸塩基平衡について
本剤の電解質組成が細胞外液と近似、また動物実験より配合されている乳酸塩によりアシドーシスの予防に有効と認められました。

使用方法

成人には1回100~1,000mLを静脈内に注射します。また小児に対して投与する場合には通常体重kgあたり、10mL以内を用います。投与する患者の症状に応じて、適宜増減する事が認められています。血液希釈液として体外循環に対して用いる場合には、通常体重kgあたり10~20mLを用います。

副作用

重大な副作用
1)ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、喘鳴等)
2)腎機能障害
類薬において、急性腎不全等の腎機能障害が現れるとの報告があります。

その他の副作用
過敏症、血液、消化器、その他の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
1)過敏症
発疹、掻痒感等(頻度不明)
2)血液
出血時間の延長、出血傾向(頻度不明)
3)消化器
悪心、嘔吐(頻度不明)
4)その他
悪寒(0.1~5%未満)
発熱、頭痛(頻度不明)

過敏症の発疹等のように異常が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)うっ血性心不全のある患者
循環血流量の増加によりうっ血性心不全を悪化させる恐れがある為使用できません。
2)乏尿等を伴う腎障害又は脱水状態のある患者
腎不全を起こすおそれがある為使用できません。
3)本剤及び本剤の成分に対し発疹等過敏症の既往歴のある患者
■ヒドロキシエチルデンプン70000、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム水和物、乳酸ナトリウムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ヘスパンダー輸液はアレルギー反応を起こしてしまう為、投与できません。
▼ヘスパンダー輸液の有効成分
ヒドロキシエチルデンプン70000、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム水和物、乳酸ナトリウム
▼代表薬の添加物
・ブドウ糖(等張化剤)、水酸化ナトリウム(pH調整剤)、塩酸(pH調整剤)
4)重症敗血症等の重症患者管理における相対的な循環血液量低下には使用出来ません。

使用に注意が必要な方
1)線維素原減少症又は血小板減少症等の出血傾向のある患者
大量投与により出血傾向が助長される恐れがある為、投与しないことを原則としますが特に必要とする場合には慎重な投与が必要です。
2)高齢者
一般的に高齢者では生理機能が低下している為使用には注意が必要です。
3)臨床検査を行う方
血液型の判定または交叉試験を行う必要がある場合には、試験結果を妨害する可能性が考えられる為、本剤の投与前に実施する事とされています。

上記にあてはまる方は、ヒドロキシエチルデンプン70000配合剤を使用する事が出来ない可能性があります。
ヒドロキシエチルデンプン70000配合剤を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)アミノ糖系抗生物質(カナマイシン、ゲンタマイシン等)
機序は明確ではありませんが、併用する事でアミノグリコシド系抗生物質の血中への蓄積、近位尿細管上皮の空胞変性が生じると言う報告があります。
併用薬の腎毒性を増強させる恐れがある為併用には注意が必要です。
腎障害が発生した場合には、投与を中止し、透析療法等適切な処置を行う必要があります。

併用禁忌薬はありませんので比較的使いやすい医薬品ですが、使用により組織残留性が認められますので、投与する場合には緊急時に短期間に留める必要があります。

上記を使用している方は、ヒドロキシエチルデンプン70000配合剤を使用する事が出来ない可能性があります。
ヒドロキシエチルデンプン70000配合剤を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ヒドロキシエチルデンプン70000配合剤に関する
よくある質問
ヒドロキシエチルデンプン70000配合剤は認められている適応症以外ではどのように使用されていますか?

ヒドロキシエチルデンプン70000配合剤は薬理作用が同様と推定されている為、原則として脊椎麻酔、硬膜外麻酔、局所麻酔等の全身麻酔以外の麻酔に伴う血圧低下の管理に対して使用する事が認められています。
ヒドロキシエチルデンプン(麻酔科21) 【社会保険診療報酬支払基金】

ヒドロキシエチルデンプン70000配合剤は腎障害に注意が必要ですがどの様な機序で起こりますか?

膠質浸透圧の上昇による糸球体濾過圧の低下により、糸球体濾過量が減少する事が原因と考えられています。
インタビューホーム 【フレゼニウスカービジャパン株式会社】

ヒドロキシエチルデンプン70000配合剤はなぜ配合剤になっているのですか?

主成分であるヒドロキシエチルデンプン70000以外に塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム水和物、乳酸ナトリウムが配合されています。コロイド浸透圧や塩類バランスを考慮した溶液にしてあります。結果として赤血球形態に対する影響であったり、電解質バランスの維持に適した溶液となっています。
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