成分名 |
エポエチンベータ(遺伝子組換え) |
適応症状 |
腎性貧血、未熟児貧血、自己貯血 |
簡易説明 |
腎臓で産生されるエリスロポエチンは骨髄に働いて赤血球の分化、・増殖を促す糖蛋白質です。1950年代から研究が始められ、1977年には宮家、Goldwassserらによって再生不良性貧血患者の尿から精製されました。また、1985年にJacobs、Linらによってエリスロポエチンのクローニングが成功し、遺伝子組換えヒトエリスロポエチンの量産が可能になりました。
中外製薬が生産したエポエチンベータ(遺伝子組換え)は、再生不良性貧血患者から精製されたエリスロポエチンと同等の構造、生物活性があることが確認され、エポジンとして1990年に発売されました。
エポジンは当初、用時溶解の凍結乾燥製剤でしたが、調製の煩雑さの解消を目指し溶液シリンジに改良(2000年)、さらに減薬製造に用いる培地変更、注射時の疼痛軽減等の改良(2009年)を加え、現在のエポジン注シリンジ(以下、本剤)に至っています。
※本剤は、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造されています。 |
処方可能な診療科目 |
透析/腎臓内科/小児科/外科など |
健康保険の適応 |
透析施行中の腎性貧血(750、1500、3000)
透析導入前の腎性貧血(750、1500、3000)
未熟児貧血(750、1500、3000)
貯血量が800mL以上で1週間以上の貯血期間を予定する手術施行患者の自己貯血(1500、3000、24000) |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
この薬は処方薬ではありません(薬価記載)。
エポジン注シリンジ:750(0.5mL1筒) 306.00円/1500(0.5mL1筒) 485.00円/3000(0.5mL1筒) 873.00円/24000(0.5mL1筒) 14,042.00円 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
厚生労働省による認可(製造承認取得):1990年1月23日 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
エポジン注シリンジ(750、1500、3000、24000)【製薬メーカー:中外製薬株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
効果・作用 |
本剤は天然のエリスロポエチンと基本的に差異のない構造を持ち、骨髄中の赤芽球系前駆細胞に働いて、赤血球の文化と増殖を促すと考えられています。
赤血球増加作用がマウス等による実験でヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、赤血球数の用量依存的な増加が確認されています。これ以外の下記薬理作用も動物実験などで確認されています。
骨髄細胞に対する作用、赤血球の諸性質に対する影響、血液凝固・線溶系に対する影響、心・血行動態に及ぼす影響、運動能力に対する影響、免疫系への影響、レニン‐アンジオテンシン系、性ホルモン等への影響
この薬理作用による臨床効果は各種国内臨床試験で確認されています。
・透析試行中の腎性貧血
全国8施設の透析施行中の腎性貧血患者を対象とした臨床試験(静脈内投与)
有効率(貧血改善維持効果):88.3%(91例/103例)
全国53施設の連続携行式腹膜還流施行中の腎性貧血患者を対象とした臨床試験(皮下投与)
有効率(貧血改善効果):87.5%(114例/126例
・透析導入前の腎性貧血
全国115施設の透析導入前の腎性貧血を対象とした臨床試験(静脈内投与)
有効率(貧血改善効果):78.6%(136例/173例)
全国83施設の透析導入前の腎性貧血患者を対象とした臨床試験(皮下投与)
有効率(貧血改善効果):88.2%(225例/255例)
・未熟児貧血(皮下投与)
非投与群を対象とした比較臨床試験
有効率(最低ヘモグロビン濃度):69.2%(27例/39例) ※非投与群より有意に改善
・自己血貯血
全国128施設の待機的手術予定患者を対象とした臨床試験(静脈内投与)
有効率:88.2%(225例/255例(
心臓血管外科手術(人工心肺使用)が予定されている患者を対象とした比較臨床試験(皮下投与)
有効率:本剤群 77.8%(28例/36例)、プラセボ群 34.1%(15例/44例) |
使用方法 |
・透析施行中の腎性貧血
1回3000国際単位を週3回出来るだけ緩徐に投与します。
改善効果が得られた後は維持量として1回1500国際単位を週2~3回、あるいは1回3000国際単位を週2回投与します。
貧血の程度、年齢等により適宜増減しますが、最高投与量は1回3000国際単位、週3回投与とします。
・透析導入前の腎性貧血
1回6000国際単位を週1回出来るだけ緩徐に投与します。
改善効果が得られた後は維持量として貧血の程度、年齢等により1週あたり6000国際単位以下の範囲で適宜調製します。
(透析施行中の腎性貧血、透析導入前の腎性貧血共通)
貧血改善効果も目標値はヘモグロビン濃度で10g/dL前後とします。
(皮下投与:1500、3000のみ)
1回6000国際単位を週1回投与します。
改善効果が得られた後は維持量として1回6000~12000国際単位を2週に1回投与します。
小児の場合は、1回50~100国際単位/kgを週1回投与します。
貧血改善効果が得られた後は維持量として1回100~200国際単位/kgを2週に1回投与します。
・未熟児貧血
1回200国際単位/kgを週2回投与します。
未熟児早期貧血期を脱し、ヘモグロビン濃度が10g/dL前後で症状が安定した場合は投与を中止します。
貧血症状の程度により適宜増減します。
・自己貯血
(1500、3000)
ヘモグロビン濃度が13~14g/dL以下の方を対象に1回6000国際単位を隔日週3回出来るだけ緩徐に投与します。
(24000)
1回24000国際単位を最終採血まで週1回投与します。
※ヘモグロビン濃度が13g/dL未満の方は初回採血1週間前から開始し、13~14g/dLの方は初回採血後から開始します。
(1500、3000、24000共通)
投与期間は予定貯血量が800mLの場合は術前2週間、1200mLの場合は術前3週間を目安とします。
自己血採血日の投与は採血終了後に行い、ヘモグロビン濃度や予定貯血量等に応じて投与回数や投与期間を適宜増減します。
※本剤の効果発現には鉄の存在が重要なので、鉄欠乏時には鉄剤の投与を行います。 |
副作用 |
主な副作用
血圧上昇、頭痛・頭重感
重大な副作用
(全規格胸痛)
・ショック、アナフィラキシー:蕁麻疹、呼吸困難、口唇浮腫、咽頭浮腫等をおこすことがあります。
・高血圧性脳症、脳出血:急激な血圧上昇により、頭痛、意識障害、痙攣等を示す場合があるので、血圧等の推移に十分注意しながら投与します。
・心筋梗塞、肺梗塞、脳梗塞:血液粘稠度が上昇し、血栓栓塞症を増悪あるいは誘発するおそれがあります。
・肝機能障害、黄疸:AST、ALT、γ-GPTの上昇を伴う症状があらわれることがあります。
(750、1500、3000、24000)
赤芽球癆:抗エリスロポエチン抗体産生を伴う症状があらわれることがあります。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■本剤、他のエリスロポエチン製剤・ダルペポエチンアルファ製剤およびエポエチンベータ(遺伝子組換え)を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
本剤、他のエリスロポエチン製剤・ダルペポエチンアルファ製剤および、下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、エポジンはアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼エポジンの有効成分
エポエチンベータ(遺伝子組換え)
▼エポジンの添加物
L-ヒスチジン塩酸塩水和物、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、塩化ナトリウム、リン酸水素ナトリウム水和物、水酸化ナトリウム希塩酸
使用に注意が必要な方 ・心筋梗塞、肺塞栓、脳梗塞等の方(罹患したことのある方を含む):血栓栓塞症を増悪あるいは誘発するおそれがあります。
・高血圧症の方:血圧上昇を認める場合があり、高血圧性脳症があらわれるおそれがあります。
・薬物過敏症に罹患したことのある方、アレルギー素因のある方:副作用の発現率が高くなると考えられています。
・脳室内出血および脳実質内出血のある未熟児:脳内出血を増悪するおそれがあります。
・妊婦、小児等:臨床試験を行っていません。
・授乳婦:乳汁移行のデータがないので、乳児に対する影響が不明です。
・高齢者:一般に生理機能が低下していて、循環器系疾患(高血圧等)を合併することが多いと考えられています。ヘモグロビン濃度を頻回に測定して投与回数、投与期間、投与量等を適宜調節します。一般に造血機能が低下しています。
上記にあてはまる方は、エポエチンベータ(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。 エポエチンベータ(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
エポエチンベータ(遺伝子組換え)に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
エポエチン ベータ(遺伝子組換え)(エポジン 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】 |
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