エポエチンアルファ(遺伝子組換え)

成分名

エポエチンアルファ(遺伝子組換え)

適応症状

エポエチンアルファを主成分とする医薬品であるエスポー皮下用24000シリンジの適応症状には、下記の2点の適応症状があります。
①腎性貧血
②貯血量が800mL以上で1週間以上の貯血期間を予定する手術施行患者の自己血貯血

簡易説明

エポエチンアルファ(遺伝子組換え)を主成分とする医薬品であるエスポー皮下用24000シリンジは、ヒトエリスロポエチン製剤として使用されています。エリスロポエチンは赤血球前駆細胞の分化・増殖を促進する作用を有し、主として腎臓で産生される糖たんぱく質になります。エポエチンアルファ(遺伝子組換え)は赤血球前駆細胞、特に、後期赤血球前駆細胞に選択的に働き、成熟赤血球への文化・増力を促すと言う特異性の高い薬剤です。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/腎臓内科/脳神経外科内科/泌尿器科/消化器内科外科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代1錠あたりの目安:24,000国際単位約13,500円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

エポエチンアルファを主成分とする医薬品であるエスポー皮下用24000シリンジは2002年10月4日に製造販売が承認され、2002年12月13日薬価基準に収載されました。その後2003年4月7日に発売開始となりました。

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

エスポー注射液750【製薬メーカー:協和キリン株式会社】
エスポー皮下用24000シリンジ【製薬メーカー:協和キリン株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

本剤は、米国等で承認され販売されています。

効果・作用

エポエチンアルファを主成分とする医薬品であるエスポー皮下用24000シリンジは、
①腎性貧血
②貯血量が800mL以上で1週間以上の貯血期間を予定する手術施行患者の自己血貯血にたいして効果のある医薬品になります。

【作用部位】
エポエチンアルファの作用部位は骨髄の赤血球前駆細胞、主に後期赤芽球前駆細胞になります。
【作用機序】
成人において赤血球は骨髄における分化・増殖により産生されます。骨髄内には、各種血球に分化する能力を有する多能性幹細胞があり、この細胞から赤血球、白血球が分化してくると言われています。
赤血球系では、多能性幹細胞から前期赤芽球前駆細胞が形成され、その後後期赤芽球前駆細胞となり、赤芽球が形成されます。以後、次第にヘモグロビンを合成して成熟し好塩基性赤芽球、多染性赤芽球、正染性赤芽球を経て、脱殻した後、網状赤血球より赤血球と成熟していきます。
エリスロポエチンは、この赤血球前駆細胞の内、主に後期赤芽球前駆細胞に対して作用し、これを分化・増殖させることによって赤血球産生を促進させます。

【臨床試験結果】
各種造血前駆細胞に対して、エポエチンアルファのコロニー形成亢進作用を検討した結果、後期赤芽球前駆細胞由来のコロニー形成を明らかに促進させ、高濃度下では前期赤芽球前駆細胞由来のコロニー形成を促進させました。また腎性貧血患者においても同様に促進させたと認められています。

使用方法

【腎性貧血】
通常成人に投与する場合、エポエチンアルファを用いて、投与初期に1回6,000国際単位を週1回皮下投与します。その後貧血改善効果が得られたら、維持量に切り替え、1回6,000~12,000国際単位を用いて2週に1回皮下投与します。
通常小児に投与する場合には、エポエチンアルファを、1回100国際単位/kgを用いて週1回皮下投与を行います。
なお、貧血改善効果は、Hb濃度で10g/dL(ヘマトクリット値で30%)前後を目標値とします。
また、患者の貧血症状の程度、及び年齢等により、適宜増減する事が認められています。

【手術施行患者の自己血貯血(貯血量が800mL以上で1週間以上の貯血期間を予定とする場合)】
手術予定の待機患者に対しエポエチンアルファを投与する場合には、1回量として24,000国際単位を使用しますが、Hb濃度によって投与すべき日時の調整を行います。
投与すべき日時となるHb濃度の基準には、13g/dL未満の患者は、初回採血より1週間前、13~14g/dLの患者は、初回採血後直ちに投与を開始します。投与は週1回皮下投与で行い、最終採血まで続けます。
初回採血予定日は手術日を起点とし、0.8Lを貯血する場合は起点日よりも2週間前を、もしくは1.2Lを貯血する場合は起点日よりも3週間前を目安として初回の採血を行います。
予定貯血量、又はHb濃度等に応じて、投与期間や投与回数を適宜増減する事は認められています。

副作用

重大な副作用
1)ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
蕁麻疹、呼吸困難、口唇浮腫、咽頭浮腫等が現れる事があります。
2)高血圧性脳症、脳出血(いずれも頻度不明)
急激な血圧上昇により、頭痛・意識障害・痙攣等を示す高血圧性脳症、高血圧性脳出血が現れる事があります。
3)心筋梗塞、肺梗塞、脳梗塞(いずれも頻度不明)
4)赤芽球癆(頻度不明)
5)肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸が現れる事があります。

その他の副作用
循環器、皮膚、肝臓、消化器、感覚器系、血液、その他の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
1)循環器
血圧上昇(0.1~5%未満)
動悸(0.1%未満)
2)皮膚
掻痒感、発疹(0.1~5%未満)
ざ瘡(頻度不明)
3)肝臓
肝機能異常、AST上昇、ALT上昇、LDH上昇、Al-P上昇(0.1~5%未満)
ビリルビン上昇、γーGTP上昇(0.1%未満)
4)消化器
腹痛、嘔気・嘔吐、食欲不振(0.1%未満)
下痢(頻度不明)
5)感覚器系
頭痛、発熱、熱感、ほてり感、全身倦怠感(0.1~5%未満)
関節痛、眩暈、不眠(0.1%未満)
筋肉痛、口内苦味感(頻度不明)
6)血液
白血球数増多、好酸球増多(0.1%未満)
7)その他
BUN上昇、血清カリウム上昇(0.1~5%未満)
尿酸上昇、クレアチニン上昇、浮腫、脾腫増大、鼻出血(0.1%未満)
眼底出血(網膜動脈血栓症、網膜静脈血栓症等)(頻度不明)

皮膚の発疹等のように異常が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)本剤の成分又は他のエリスロポエチン製剤・ダルボポエチンアルファ製剤に過敏症の患者
■エポエチンアルファ(遺伝子組換え)を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、エスポー皮下用24000シリンジはアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼エスポー皮下用24000シリンジの有効成分
エポエチンアルファ(遺伝子組換え)
▼代表薬の添加物
・L-アルギニン塩酸塩、ポリソルベート80、リン酸二水素ナトリウム水和物、等張化剤、pH調節剤

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
①心筋梗塞、肺梗塞、脳梗塞等の患者、又はそれらの既往歴を有し血栓塞栓症を起こすおそれのある患者
血栓塞栓症を増悪あるいは誘発するおそれがある為使用には注意が必要です。
②高血圧症の患者
血圧上昇を認める場合があり、また、高血圧性脳症が現れる恐れがある為使用には注意が必要です。
③薬物過敏症の既往歴のある患者
④アレルギー素因のある患者
2)妊婦
動物実験において、胎児・出生児の発育の遅延が報告されている為使用には注意が必要です。
3)授乳婦
動物実験において、乳汁中への移行が報告されている為使用には注意が必要です。
4)小児等
低出生体重児、新生児、乳児又は幼児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施しておりません。
5)高齢者

上記にあてはまる方は、エポエチンアルファ(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。
エポエチンアルファ(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

エポエチンアルファ(遺伝子組換え)に関する
よくある質問
エポエチンアルファ(遺伝子組換え)は後期赤芽球前駆細胞に選択的に作用しますか?

臨床試験の結果より高濃度化において前期赤芽球前駆細胞に対しても作用する事が認められています。
インタビューホーム 【協和キリン株式会社】

エポエチンアルファ(遺伝子組換え)は投与後どのくらい持続しますか?

エポエチンアルファ(遺伝子組換え)投与後12時間後に最高血中濃度を示しました。その後半減期は22.2または22.4時間で消失していきます。
インタビューホーム 【協和キリン株式会社】

エポエチンアルファ(遺伝子組換え)は静脈内投与でも使用できますか?

承認された適応症は皮下注射となっている為投与できません。静脈内投与よりも皮下投与の方が投与後36時間以降は高い濃度で推移しているとの報告があります。
インタビューホーム 【協和キリン株式会社】

参考元一覧

インタビューホーム 【協和キリン株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】
くすりのしおり 【くすりの適正使用協議会】

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