デフェロキサミンメシル酸塩

成分名

デフェロキサミンメシル酸塩

適応症状

原発性ヘモクロマトーシス/続発性ヘモクロマトーシスにおける尿中への鉄排泄増加

簡易説明

デフェロキサミンメシル酸塩は体内から鉄を排泄する薬剤です。体内に過剰な鉄があると、遺伝性ヘモクロマトーシスやサラセミア、鎌状赤血球症などの遺伝性貧血や、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群などが起こることがあり、可能な限り余剰な鉄を排泄する支持療法がおこなわれています。本剤は、鉄と同じ割合で結合することで、体外に鉄を排出させる役割を持っています。日本ではノバルティスファーマが発売しています。

処方可能な診療科目

血液内科/腎臓内科/小児科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
デスフェラール注射用500mg【製薬メーカー:ノバルティスファーマ】500㎎1瓶1205円(薬価)

厚生労働省による認可、または発売年月日

1975年2月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

デスフェラール注射用500mg【製薬メーカー:ノバルティスファーマ】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

適応などは日本と異なっておりますが、アメリカでは1968年から発売されています。

効果・作用

デフェロキサミンメシル酸塩は、国内で1つしかない鉄キレート注射剤です。3価の鉄に対して選択的に強い親和性を示し、鉄と1:1で結合します。その後、安定的な水溶性のフェリオキサミンBを形成し、体内から排出される作用機序を持っています。本剤は、フェリチンならびにヘモジデリンから鉄を除去しますが、ヘモグロビン鉄とは反応せず、ミオグロビン又は呼吸系酵素中のポルフィリン鉄とは反応しないと考えられています。
1963年にスイスで初めて発売され、その後日本では1975年にノバルティスファーマから発売されています。

原発性ヘモクロマトーシス22名、続発性ヘモクロマトーシス35名を対象に1日尿中排泄鉄量を検討した試験を行っています。1日投与量、投与期間は500~1,000mg、3週~3ヵ月が多くを占めています。
結果は以下の通りでした。
【原発性ヘモクロマトーシス】
<一日尿中排泄鉄量平均>
3mg以上・・ 12/14(85.7)
5mg以上・・10/14(71.4)
10mg以上・・4/14(28.6)

<一日尿中排泄鉄量最高>
3mg以上・・15/16(93.8)
5mg以上・・13/16(81.3)
10mg以上・・8/16(50.0)


【続発性ヘモクロマトーシス】
<一日尿中排泄鉄量平均>
3mg以上・・ 16/17(94.1)
5mg以上・・14/17(82.3)
10mg以上・・10/17(58.8)

<一日尿中排泄鉄量最高>
3mg以上・・ 26/26(100)
5mg以上・・24/26(92.3)
10mg以上・・19/26(73.1)

使用方法

本剤を日本薬局方注射用水5mLに溶かして使用します。
慢性鉄過剰症の場合、1日1000mgを1~2回に分けて筋肉内に注射してください。
維持量としては、患者の効果発現によって、500mgに減量することが可能です。
もし、患者が重篤な症状、もしくはショック状態にある場合、1000mgを毎時1kgあたり15mgスピードで徐々に点滴静注し、1日量が1kgあたり80mgを超えない範囲とします。

副作用

主な副作用
発疹や疼痛などがあげられますが、多いものでも5%未満となっています。
項目別の発現頻度は以下の通りです。

血液・・血小板減少/白血球数減少(頻度不明)
神経系・・めまい/頭痛/痙攣(頻度不明)
循環器・・低血圧/頻脈(頻度不明)
胃腸・・下痢/腹痛/嘔気/嘔吐(頻度不明)
肝臓・・黄疸/肝機能障害(AST/ALT上昇等)(頻度不明)
過敏症・・発疹(0.1~5%未満)、紅斑/蕁麻疹(頻度不明)
筋骨格系障害・・筋痙縮/関節痛/骨痛(頻度不明)
腎臓・・血尿/乏尿/血中クレアチニン増加(頻度不明)
全身症状・・発熱/けん怠感(頻度不明)
注射部位・適用部位・・疼痛(0.1~5%未満)、硬結(頻度不明)
その他・・血清Ca低下/副甲状腺機能亢進症の悪化(頻度不明)

重大な副作用
<ショック、アナフィラキシー>
頻度不明ですが、ショック、アナフィラキシー、血管浮腫があらわれることがあります。

<眼障害>
頻度不明ですが、水晶体混濁、視力低下、夜盲、色覚異常、視野欠損、霧視、網膜色素変性、視力消失、視神経炎、暗点、角膜混濁があらわれることがあります。
れることが

<聴力障害>
難聴等の聴力障害、耳鳴、高音域での感音性難聴があらわれることがあります。

<エルシニア感染症>
発熱、下痢、腹痛等の症状があらわれた場合には、初期症状の可能性がありますので、すぐに投与を中止し、抗菌剤を投与するなどの処置を行ってください。

<ムーコル症>
ムーコル症などの重症真菌感染症があらわれることがあります。

< 急性腎障害、腎尿細管障害>

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■デフェロキサミンメシル酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼デスフェラールの有効成分
デフェロキサミンメシル酸塩

▼代表薬の添加物
なし

・以前、デフェロキサミンメシル酸塩を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・妊婦もしくは妊娠している可能性のある女性
・無尿もしくは重篤な腎障害のある方は排泄が遅延することがあるため使用できません。

使用に注意が必要な方
・血清フェリチン値の低い方(が2,000ng/mL以下の方)は、は眼障害、聴力障害等の副作用があらわれやすいため注意をしてください。
・糖尿病のある方は、網膜病変があらわれやすいため注意をしてください。
・心機能不全のある方
・透析中の方や腎機能障害のある方は、眼障害、聴力障害等の副作用があらわれやすいため注意をしてください。
・重篤な肝障害のある方は肝機能が悪化する可能性があります。
・小児は高用量を使用した場合、成長遅延、骨成長発育障害があらわれやすいとの報告があるので、定期的に身長や体重を測定してください。
・高齢者は一般的に生理機能が低下しているため、減量するなど注意をしてください。

上記にあてはまる方は、デフェロキサミンメシル酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
デフェロキサミンメシル酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<ビタミンC>
1日500mg以上の経口ビタミンCと併用すると、心機能の低下がみられたとの報告があります。

<プロクロルペラジン>
一過性の意識障害があらわれたとの報告があるので注意をしてください。

上記を使用している方は、デフェロキサミンメシル酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
デフェロキサミンメシル酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

デフェロキサミンメシル酸塩に関する
よくある質問
本剤投与で気を付けることはありますか?

海外において、高用量での静注療法により間質性肺炎、呼吸困難・チアノーゼを伴う急性呼吸窮迫症候群があらわれたとの報告があります。
また、同様に海外において、アルミニウム過剰症の方に投与したところ、神経症状(痙攣等)の悪化、透析性認知症の誘発・悪化がみられたとの報告がありますので注意をしてください。

その他の注意

【上記引用元:デスフェラール注射用500mg 医薬品インタビューフォーム】

過量に投与してしまった場合はどうしたらよいですか?

本剤を過量投与すると、眼障害、聴力障害、腎障害が起こる可能性があります。そのため、もし本剤を多めに投与してしまった場合は、すぐに投与を中止して医療機関を受診してください。本剤は血液透析によって除去されることが分かっています。

過量投与

【上記引用元:デスフェラール注射用500mg 医薬品インタビューフォーム】

参考元一覧

デスフェラール注射用500mg 添付文書

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