成分名 |
シベレスタットナトリウム水和物 |
適応症状 |
急性肺障害 |
簡易説明 |
シベレスタットナトリウム水和物は、世界初の好中球エラスターゼ阻害剤です。
全身性炎症反応症候群(SIRS)に伴う急性肺障害の治療に用いられます。
1985年から小野薬品工業によって開発が始められ、1989年に選択的にエラスターゼを阻害する物質として合成に成功し、注射用エラスポール100として開発が進められました。
基礎実験で肺障害を抑制し肺機能を改善することが明らかにされ、臨床試験でSIRSに伴う急性肺障害に対する効果が確認されました。 |
処方可能な診療科目 |
救急科/集中治療科/呼吸器内科など |
健康保険の適応 |
全身性炎症反応症候群に伴う急性肺障害の改善
本剤は下記(1)、(2)両基準を満たす方に投与します。
(1)全身性炎症反応症候群に関しては以下の項目のうち2つ以上を満たす方
・体温:38℃以上または36℃以下
・心拍数:90回/分以上
・呼吸数:20回/分以上またはPaCO2が32mmHg以下
・白血球数:12,000/μL以上または4,000μL以下、または桿状球が10%以上
(2)急性肺障害に関しては以下の全項目を満たす方
・肺機能低下(機械的人工呼吸挿管管理下でPaCO2/F1O2が300mmHg以下)の方
・胸部X線で両方の肺に浸潤陰影が認められる方
・肺動脈楔入圧が測定された場合には、肺動脈楔入圧が18mmHg以上、測定されない場合には、左房圧上昇が認められない方 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
この薬は処方薬ではありません。
注射用エラスポール100【製薬メーカー:丸石製薬】100mg1瓶3,449.00円(薬価)
シベレスタットNa点滴静注用100mg 100mg1瓶953.00円~1,311.00円(薬価) |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
製造販売承認年月日:2002年4月11日 |
国内のジェネリック認可 |
国内ジェネリック認可あり |
関連製品(先発薬) |
注射用エラスポール100【製薬メーカー:丸石製薬】 |
関連製品(ジェネリック) |
シベレスタットNa点滴静注用100mg「サンド」【製薬メーカー:サンド】
シベレスタットナトリウム点滴静注用100mg「F」【製薬メーカー:富士製薬工業】
シベレスタットNa点滴静注用100mg「VTRS」【製薬メーカー:ヴィアトリス製薬】
シベレスタットNa点滴静注用100mg「ニプロ」【製薬メーカー:ニプロ】
シベレスタットNa点滴静注用100mg「NIG」【製薬メーカー:日医工】 |
海外での使用実績 |
韓国
製薬メーカー:東亜製薬
販売名:ELASPOL
発売年月:2006年12月 |
効果・作用 |
シベレスタットナトリウム水和物は、世界初の好中球エラスターゼ阻害剤です。
重症感染症・手術・外傷・熱傷・重症膵炎等の侵襲によって全身的に引き起こされる炎症反応を全身性炎症反応症候群(SIRS)に伴う急性肺障害の治療に用いられます。
手術、感染症等による生体への侵襲は全身性炎症反応症候群(SIRS)を引き起こします。
SIRSによる好中球活性化は活性型好中球の肺への集積を引き起こし、蛋白分解酵素である好中球エラスターゼが放出され、肺結合組織の分解、肺血管の透過性亢進などにより急性肺障害へと進展していきます。
シベレスタットナトリウム水和物の好中球エラスターゼ阻害作用はヒトを含む各種動物由来の好中球エラスターゼを用いた実験で、活性を強力に阻害することが確認されました。他のプロテアーゼへの阻害作用を示さず、好中球エラスターゼを選択的に阻害することも確認されています。
さらに、エラスターゼ阻害因子であるα1アンチトリプシンの影響を受けないことも確認されています。
またSIRSに伴う急性肺障害では好中球エラスターゼが活性化されますが、シベレスタットナトリウム水和物投与により好中球エラスターゼの活性は低下します。
急性肺障害モデルのハムスターを用いた実験では、気管支中の出血を抑え、エラスターゼの活性低下を伴う肺障害抑制効果が確認されました。
シベレスタットナトリウム水和物投与による肺機能の改善に伴う生存率の改善もハムスターで確認されました。
シベレスタットナトリウム水和物の有効性・安全性を確認する臨床試験は主にVFD(Ventilator Free Days:28日間での人工呼吸器を使用しない状態での生存率)を指標に行われました。
市販後に行われた特別調査(177施設)では改善率68.4%(277/405例)で、VFDは13.06±10.09日でした。
市販後臨床試験では本剤投与群と本剤非投与群の比較試験が行われ、生存率に対する影響はいずれも本剤投与群が有意に優れた成績を示しました。
VFD:本剤群(351例) 15.7±0.5、非投与群(157例) 12.1±1.0
28日生存率:本剤群(374例) 88.6%、非投与群(168例) 77.0%
180日生存率:本剤群(384例) 71.8%、非投与群(172例) 56.3%
投与期間の適切性については本剤群で高い有効性が確認できました。
人工呼吸器離脱率:本剤群 63.5%、非投与群 44.8%
VFD:本剤群 10.9±8.4、非投与群 8.0±8.5日 |
使用方法 |
シベレスタットナトリウム水和物を生理食塩水に溶解した後、1日量を250~500mLの輸液で希釈し、24時間かけて静脈内に持続投与します。
投与期間は14日以内とします。
※本剤の投与は肺障害発症後72時間に開始することが望ましいとされています。
症状に応じてより短期間で投与終了することも検討します(本剤投与5日後の改善度が低い場合はその後(14日後)の改善度も低いことが示されています)。 |
副作用 |
主な副作用
・副作用発現率:12.9%(207例/1,610例)
AST・ALT上昇等の肝機能異常 7.7%(124例)、アルカリホスファターゼの上昇 4.2%(68例)、ビリルビンの上昇 1.8%(29例)、LDH上昇 0.99%(16例)
重大な副作用
・呼吸困難(0.2%)呼吸困難が:あらわれた場合は投与を中止し、適切な処置を行います。
・白血球減少(0.2%)、血小板減少(0.2%):これらがあらわれた場合は投与を中止し、適切な処置を行います。
・肝機能障害(0.2%)、黄疸(頻度不明):AST、ALTの著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれた場合は投与を中止し、適切な処置を行います。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■本剤およびジベレスタットナトリウム水和物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、エラスポールはアレルギー反応を起こしてしまう為、使用出来ません。
▼エラスポールの有効成分
ジベレスタットナトリウム水和物
▼エラスポールの添加物
D-マンニトール、pH調整剤
※4臓器以上の多臓器障害を合併する方、熱傷、外傷に伴う急性肺障害の方には投与しないことが望ましいとされています。
高度な慢性呼吸器症状を合併する方については、有効性・安全性が確認されていません。
使用に注意が必要な方 ・高齢者:一般に生理機能が低下しているので慎重に投与します。
・妊婦:妊娠している可能性のある女性:安全性が確立していません。
・授乳婦:動物実験で乳汁中への移行が確認されています。
・小児:使用経験がありません。
上記にあてはまる方は、シベレスタットナトリウム水和物を使用する事が出来ない可能性があります。 シベレスタットナトリウム水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
シベレスタットナトリウム水和物に関する よくある質問 |
|
参考元一覧 |
ジベレスタットナトリウム水和物(エラスポール100 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】
医薬品マスター検索(エラスポール、ジベレスタットナトリウム) 【厚生労働省 診療報酬情報提供サービス】 |
サイト利用に関する注意事項 | 医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。 医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。 |