ブロムフェナクナトリウム水和物

成分名

ブロムフェナクナトリウム水和物

適応症状

結膜炎/術後炎症など

簡易説明

ブロムフェナクナトリウム水和物を主成分とするブロナック(以下、本剤)は(NSAID非ステロイド性抗炎症)点眼薬です。
開発当時はステロイド性の点眼薬に比べ、NSAID点眼薬は種類が少なく選択肢が限られていたため、新規のNSAID点眼薬の開発が求められていました。
ブロムフェナクナトリウム水和物は、A.H.Robins社(現ファイザー社)により見いだされたプロスタグランジン(炎症を引き起こす生理活性物質)を強力に阻害する新規NSAIDで、抗炎症作用と鎮痛作用の持続性を目指して開発されました。
千寿製薬株式会社はこの強いプロスタグランジン生成阻害作用に着目し、1987年から開発を進め、2003年3月にブロナック点眼液として上市しました。

処方可能な診療科目

眼科

健康保険の適応

外眼部及び前眼部の炎症性疾患の対症療法(眼瞼炎、結膜炎、強膜炎〈上強膜炎を含む〉、術後炎症)

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:180円~380円(1本あたり)
※1本(5mL)の処方本数は症状等により異なります。
薬代1mLあたりの目安:76.80円
薬代後発品1mLの目安:36.00
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:2000年7月3日

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

ブロナック点眼液0.1%【製薬メーカー:千寿製薬株式会社】

関連製品(ジェネリック)

ブロムフェナクNa点眼液0.1%「日新」【製薬メーカー:日新製薬株式会社】、ブロムフェナクNa点眼液0.1%「ニットー」【東亜薬品株式会社】、ブロムフェナクNa点眼液0.1%「日点」【製薬メーカー:ロートニッテン株式会社】

※下記製品は下記メーカーも販売しています。
ブロムフェナクNa点眼液0.1%「日新」:日本ジェネリック株式会社、テイカ製薬株式会社
ブロムフェナクNa点眼液0.1%「ニットー」:日東メディックス株式会社

海外での使用実績

下記の国てSENJUが販売しています。
中国:製品名 BRONUCK(2009年発売)
ベトナム:製品名 BRONUCK SLUTION 0.1%(2015年発売)
ロシア:製品名 NUCKONE(2017年発売)

効果・作用

本剤は様々な原因により生成されるプロスタグランジンを抑制するNSAIDです。プロスタグランジンは体内に侵入した異物などを炎症を起こすことで排除する生体防御反応の一つです。一方、炎症が起こると痛みや腫れなどがおこり、この反応が例えば結膜でおこると結膜炎となります。
本剤はこの炎症を抑える働きはありますが、その炎症の原因となる細菌感染などに対する作用(抗菌作用など)はありません。あくまで症状を抑える目的(対症療法)で使用されます。このことは逆に原因によらず症状を抑える働きがあると言い換えることができますので、白内障などの眼内レンズ手術後の炎症や花粉症による結膜炎(季節性アレルギー性結膜炎)の炎症を抑える働きがあります。
このことは【使用に注意が必要な方】に記載の「感染症の不顕化」に影響します。本剤は前述のように原因に関わらず炎症を抑えますので、感染症による炎症も抑えます。このことから、あたかも感染症が治ったように見えることもありますが、本剤は抗菌作用がないので感染症を治す作用はありません。自己治癒力によって感染症が治る場合もありますが、本剤で感染症が不顕化することによって密かに感染症が進んでしまうリスクもはらんでいるため、観察を十分に行い慎重に投与する必要があると医師等に注意がなされています。

本剤の抗炎症作用は各種動物実験で確認されています。抗炎症作用はラットの実験的急性結膜浮腫に対して確認され、レーザー照射による前眼部炎症に対してはウサギを用いた実験で房水中へのタンパク流入抑制作用が確認されています。
この実験結果から国内臨床試験で外眼部炎症、術後炎症への有効性が確認されています(プラノプラフェン:製品名:ニフラン)との比較試験
(外眼部炎症性疾患患者を対象とした治療効果)
2週間投与後の有効性(有効以上):本剤群 63.4%(59/93例)、ニフラン群 54.7%(53/95例)
※本剤の疾患別有効率:眼瞼炎 62.5%(5/8例)、結膜炎 64.0%(48/75例)、角膜炎 0.0%(0/1例)、強膜炎 66.7%(6/9)
(眼内レンズ挿入術後炎症患者を対象とした治療効果)
2週間後の有効性(有効以上):本剤群 83.8%(71/105例)、ニフラン群 67.6%(71・105例)
(使用成績調査結果の改善率:2000年7月~2004年1月)
眼瞼炎 88.37%(152/172)、結膜炎 87.50%(1,358/1,552)、強膜炎 88.24%(45/51)、上強膜炎 88.82%(135/152)、術後炎症 91.90%(930/1,012)

使用方法

1日1~2滴、1日2回点眼します。

副作用

副作用発現率:1.87%(72例/3,843例)
主な副作用:角膜びらん 0.42%(16件)、結膜炎(結膜充血、結膜濾胞を含む) 0.29%(11件)、眼瞼炎 0.23%(9件)、刺激感 0.21%(8件)、眼痛(一過性) 0.21%(8件)、点状表層角膜炎 0.16%(6件)、搔痒感 0.16%(6件)、角膜上皮剝離 0.03%(1件)熱感(眼瞼) 0.03%(1件)

重大な副作用
角膜潰瘍、角膜穿孔

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■本剤及びブロムフェナクナトリウム水和物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
本剤及び下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ブロナックはアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼ブロナックの有効成分
ブロムフェナクナトリウム水和物
▼ブロナックの添加物
ホウ酸、ホウ砂、乾燥亜硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム水和物、ポピドン、ポリソルベート80、ベンザルコニウム塩化物、pH調節剤

※本剤は抗炎症剤であり、感染性炎症の原因菌に対する抗菌作用はありません。また、本剤は対処療法薬であり、炎症の発生原因を改善する薬ではありません。
※海外で販売されているブロムフェナクナトリウムの飲み薬を1か月以上の長期にわたり1,500mg以上(総投与量)投与した方に死亡例を含む重篤な肝障害が認められたとの報告があります。このため肝障害の初期症状に関連する異常があった場合には投与を中止します(※1,500mgに相当する量は本剤通常用量で3,750日分に相当します)。

使用に注意が必要な方
・角膜上皮障害のある方:角膜びらんなどの角膜上皮障害等があらわれた場合、角膜潰瘍、角膜穿孔へと進行するおそれがあります。
・眼の感染による炎症のある方:感染症を不顕化するおそれがあります(「効果・作用」の項、参照)。
・妊婦、産婦、授乳婦等、低出生体重児、新生児の方:臨床試験を行っていません。

上記にあてはまる方は、ブロムフェナクナトリウム水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
ブロムフェナクナトリウム水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ブロムフェナクナトリウム水和物に関する
よくある質問
1日のどの時間帯に点眼すればよいですか?また、点眼間隔はどのくれいあければよいですか?

通常、1回1~2滴を1日2回点眼します。医師の指示があれば、指示にしたがってください。
ブロナック点眼液0.1%は1日2回点眼であるため、12時間あけて点眼することを勧めます。

ブロナック点眼液0.1%に関するよくあるご質問

【上記引用元:千寿製薬株式会社】

非ステロイド性抗炎症剤の内服で喘息(アスピリン喘息)の既往歴のある患者に投与できますか?

ブロナック点眼液0.1%は非ステロイド性抗炎症点眼剤です。
アスピリン喘息はアスピリンだけでなくプロスタグランジン(PG)合成酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX1)阻害作用を持つ全ての非ステロイド性抗炎症剤に対する過敏症状であるため、アスピリン喘息を発症した患者は本剤の投与で発症する可能性を否定できないと考えます。
ブロナック点眼液0.1%では「アスピリン喘息又はその既往歴のある患者」は禁忌ではないですが、投与に際しては、医師が患者の既往歴を確認した上で慎重にご判断いただくようお願いします。

ブロナック点眼液0.1%に関するよくあるご質問

【上記引用元:千寿製薬株式会社】

参考元一覧

ブロムフェナクナトリウム水和物(ブロナック 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】

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