シクロペントラート塩酸塩

成分名

シクロペントラート塩酸塩

適応症状

散瞳/調節麻痺

簡易説明

診断または治療を目的とする散瞳と調節麻痺に使用します。
近くの物を見る時は、目の中の筋肉をゆるめたり、きつくしたりしてピントを合わせます。
この働きを「調節」といいますが、「調節」をしていない状態の時に検査をしないと正確な症状を知ることはできません。
とくに子供はこの調節力が非常に強く、ピントを強引に合わせることができてしまうので、調節機能をあえて麻痺させる効果のあるサイプレジン1%点眼液(シクロペントラート塩酸塩)を点眼したうえで検査する必要があります。

処方可能な診療科目

眼科

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約800円~1,000円
薬代1本あたりの目安:10ml 785円
薬代後発薬1本あたりの目安:後発薬は現在発売されておりません
※病院によって差が有り、薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要です
※薬代は薬価(保険適応されていない状態)です。患者様により負担割合が異なります。
※2022年時点の情報です

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売開始日:1972年4月1日

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

サイプレジン1%点眼液【製薬メーカー:参天製薬株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

・この成分は副交感神経においてアセチルコリンのはたらきを弱め、瞳孔の筋肉を緩めることによる「散瞳(※1)」、毛様体(※2)の筋肉を緩めることによる「調節麻痺」の効果があります。

※1瞳孔:眼の中心にある黒目の部分。暗いところでは大きく開き(散瞳)、明るいところでは小さくなります(縮瞳)。
※2網様体:ゆるんだり、こわばったりして、レンズのはたらきをする水晶体の厚さを調節しピントを合わせています

・調節麻痺作用(※3)
大きな屈折異常のない18~47歳の健康人12名に、このシクロペントラート塩酸塩を5分間隔で1滴ずつ2回点眼し、調節幅を観察したとき、点眼後調節麻痺は急速に進み、30分後には10名、45分後には全員に調節麻痺作用が現れました。この状態は2時間後まで続きました。

※3スマホやパソコン、本の近くをずっと長時間見ると、調節がはたらきすぎになり、眼の筋肉は筋肉疲労を起こします。
また、老眼では眼のレンズが硬くなり、ピントを調節する力が衰えるためどんどん近くが見えにくくなりますし、老眼のまま矯正をせずに無理をして近くを見続けると、目がどんどん疲れやすくなります。度があっていない眼鏡や、コンタクトレンズの装着、近視、遠視、乱視のなのに眼鏡を使っていない方も、無理やりピント調節が繰り返され、目の疲労が蓄積します。

・散瞳作用(※4)
調節麻痺作用を検討した上記の12名において瞳孔の幅の測定も行った。瞳孔は点眼後15分以内に散瞳し始め、25分~3時間、平均1時間35分で最高に達しました。

※4光を眼に当てると反射的に瞳孔が収縮します。そのため眼の奥の診察が十分に行えなくなるため、強制的に瞳孔を開いたままの状態にして検査をする必要があります。

・目に見える眼の疾患や視覚中枢の異常によるわかりやすい視力障害は,子供の行動を見ている保護者が気づいたり、乳幼児健診などの機会に発見したりされることが比較的多いですが、視力発達の遅れは日常の生活では気づかれないことが多く課題となっています。
特に弱視に関しては3歳児健診で発見されれば小学校に通うにようになるまでに治すことができますが、発見されずに8歳頃を迎えてしまうと十分に視力が回復しないといわれています。そこで、視力検査が可能となる3歳児に対して視覚検査を早期に実施していくことは意義があると考えられています。サイプレジン1%点眼液は眼科における各種検査に使用され正しい検査結果を導くための一役を担っています。

使用方法

・通常、1日1回1滴点眼する。もしくは1滴点眼後5~10分して更に1滴点眼することも可能です。
・目薬の衛生状態を保つため、点眼のとき、容器の先端が直接目に触れないように注意が必要です。
・点眼した後、1~5分間は目を閉じ、目の内側を圧迫させた後で目を開く必要があります。
・再投与する場合は、10~30分の間隔をおいて慎重に投与する必要があります。
・他の目薬も一緒に使う場合は、少なくとも5分以上間隔をあけてから使う必要があります。

副作用

主な副作用
頻度は明らかになっていませんが副作用があらわれることがあります。
・過敏症(アレルギーのような症状)
・眼(眼の圧力の上昇、点眼直後に眼に熱さを感じる、一時的な充血)
・循環器(心臓がドキドキする、脈が早くなる)
・精神神経系(一時的な幻覚、けいけん、何かしらの運動失調など)
・消化器(口が乾く)
・その他(顔が赤くなる)

重大な副作用
なし

その他の副作用
なし

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
緑内障や眼圧(眼の圧力)が上昇しやすい体質を持つ方は、急性閉塞隅角緑内障の発作を起こすおそれがあるため、使用出ません。
点眼後に大きな機械の操作や自動車等の運転をする予定のある方は、薬の効果で一時的に光を強く感じて危険なため、使用できません。
症状が回復したら大きな機械の操作や自動車等の運転は可能です。

使用に注意が必要な方
以下の方は注意をしたうえで使用してください。
・ソフトコンタクトレンズを使用している方
目薬に含まれている添加物がソフトコンタクトレンズに吸着されることがあるため目薬を使う前にソフトコンタクトレンズを外し、点眼後少なくとも5~10分間の間隔をあければソフトコンタクトレンズを再装着することができます。
▼添加物
ベンザルコニウム塩化物

・サングラスを着用する方
一時的に光を強く感じるため、太陽光や強い光を直接見ないでください。

・ 妊娠されている方
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には診断又は治療上のメリットがデメリットを上回ると判断される場合にのみ医師が処方します。

・授乳されている方
診断又は治療上のメリット、母乳栄養のメリットを加味し、授乳の継続又は中止を医師と相談する必要があります。

・小児等
全身の副作用が起こりやすく、けいれん等があらわれることがあります。
(小児等を対象とした臨床試験は実施されていません)

・高齢者
一般的に身体の生理機能が低下しているの

上記にあてはまる方は、シクロペントラート塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
シクロペントラート塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
「調節麻痺」は点眼後どのくらいで元にもどりますか?

3~4時間後から回復に向かい、10~24時間でほぼ点眼前の調節力にもどります。

「散瞳」は点眼後どのくらいで元にもどりますか?

散瞳からの回復は調節力の回復よりも遅れてみられます。
8~24時間後から回復に向かい、完全な回復には48~72時間かかります。

同じ分類の目薬である「ミドリン点眼液」との違いは?

ミドリン点眼液の持続時間は5~6時間と短いのが特徴です。
検査後の「散瞳作用」「調節麻痺作用」からの回復が早く多くの医療機関で使用されています。
しかしながら、ミドリン点眼液の「調節麻痺作用」はサイプレジン点眼液と比較すると弱いとみられ、調節に使われる筋肉のこわばりが取れない可能性もあります。
したがって「調節に使われる筋肉のこわばり」が強い方は、ミドリン点眼液による検査では、実際の視力や近視の度合いとは異なる結果となるおそれがあり、そのまま矯正すると、「過矯正(矯正のしすぎ)」になる可能性があります。
どの目薬を使用するかは医師の判断にはなりますが、よく相談の上検査を受けてください。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。