オミデネパグイソプロピル

成分名

オミデネパグイソプロピル

適応症状

緑内障、高眼圧症

簡易説明

オミデネパグイソプロピルには眼の中の圧力(眼圧)を下げる作用があります。

眼の中、具体的には角膜と水晶体の間、及び虹彩と水晶体の間は「房水」と呼ばれる透明な液体で満たされており、その存在によって眼圧、また光彩の位置は維持されています。

通常は房水の産生と排出が均衡を保った状態で循環しているため、眼圧は一定に保たれています。
それが何かしらの要因で房水が過剰産生されたり、うまく排出されなくなったりすると、眼圧が高くなって視神経が障害され、眼が見えづらい、視野が欠損するなどの症状があらわれます。これが緑内障のメカニズムです。

標記のとおりオミデネパグイソプロピルには眼圧を下げるはたらきがあるので、緑内障や高眼圧症の治療に効果を発揮するのです。

処方可能な診療科目

眼科

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

【薬価】
・エイベリスミニ点眼液0.002%(参天製薬):93.9円/0.002%0.3mL 1個
・エイベリス点眼液0.002%(参天製薬):925.6円/0.002%1mL 1個

厚生労働省による認可、または発売年月日

2018年11月(発売)

国内のジェネリック認可

ジェネリックなし

関連製品(先発薬)

・エイベリスミニ点眼液0.002%(製薬会社:参天製薬)
・エイベリス点眼液0.002%(製薬会社:参天製薬)

関連製品(ジェネリック)

ジェネリックなし

効果・作用

オミデネパグイソプロピルを主成分とする点眼薬は、主に緑内障の治療に用いられます。

緑内障は、眼圧が異常に上昇することで視神経が圧迫され、進行すると徐々に視界が狭くなったり見えづらくなったりしていき、治療が遅れると最悪失明に至る疾患です。
そのため進行を抑えるには眼圧を下げる措置が必要となります。

眼圧の調整に関わっているのは、角膜と水晶体の間、並びに虹彩と水晶体の間に存在する「房水」という液体です。
房水は毛様体で産生され、主経路(シュレム管(経線維柱帯流出路)を通る経路)、副経路(ブドウ膜強膜流出路を通る経路)を通って静脈に流れ込み、眼外に排出されます。

通常はこの産生と排出のバランスが取れているため、眼球内の房水の量が一定で眼圧も正常に保たれているのですが、様々な原因によって房水が過剰産生されたり排出経路が障害されたりすると、過剰な量の房水が眼の中に貯留されてしまいます。それにより眼球内が房水で圧迫されて眼圧が高くなってしまうのです。

本成分オミデネパグイソプロピルには、眼圧を下げるはたらきがあります。

そのメカニズムとしては、まず生体内には「プロスタグランジンE2(PGE2)」という物質が存在しています。これは生理活性物質(生体の特定の生理的調整機能に対して作用する物質)の一つです。
そして、PGE2が作用する相手の物質(受容体)の一つに「プロスタノイドEP2受容体」があり、この受容体は眼内の様々な平滑筋に存在しています。

オミデネパグイソプロピルは、プロスタノイドEP2受容体に選択的に作用します。
具体的には、オミデネパグイソプロピルは眼内に投与されると加水分解されて、オミデネパグに変換されます。オミデネパグによってプロスタノイドEP2受容体が刺激されると、平滑筋が弛緩して、先述の二経路からの房水排出が促進されます。その結果、眼内の房水が減少して眼圧が低下します。

このような作用機序により、オミデネパグイソプロピルは眼圧低下に効果を示すのです。

使用方法

1日1回、1滴を次のように点眼してください。

【点眼のしかた】
対象の眼を十分に開けて結膜囊内に点眼し、1~5分ほど眼を閉じて涙囊部を圧迫させてから再度眼を開けます。


また点眼にあたっては、以下ご留意ください。

【注意点】
・薬液汚染防止、及び怪我防止の観点から、点眼の際には容器の先端が直接目に触れないようにすること。
・開封時の容器破片除去のため、使用の際は、最初の1~2滴を捨ててから点眼すること。
・ソフトコンタクトレンズを装用している場合は、点眼前にレンズを外し、点眼後少なくとも5~10分の間隔をあけてから再装用すること。

副作用

主な副作用
結膜充血/角膜肥厚/虹彩炎/前房内細胞/前房フレア/眼痛/羞明/眼不快症状/眼刺激感/角膜上皮障害/眼乾燥感

重大な副作用
嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫
(視力低下や視力障害などの症状が見られた場合は直ちに受診してください。視力検査や眼底検査、光干渉断層計、蛍光眼底造影等の検査を行い、黄斑浮腫が確認された場合には、使用中止も含め医師の指示に従ってください。)

その他の副作用
頭痛

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■オミデネパグイソプロピルに対し過敏症の既往歴のある方

■無水晶体眼又は眼内レンズ挿入眼の方
嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫、及びそれに伴う視力低下及び視力障害を起こす危険性があります。

■タフルプロストを投与中の方

使用に注意が必要な方
■ 虹彩炎、ぶどう膜炎等の眼炎症性疾患のある方
眼炎症が悪化するおそれがあります。

■閉塞隅角緑内障を患っている方
使用経験がなく、安全性が確立されていません。

■妊婦又は妊娠している可能性のある女性
妊娠中のウサギを用いた動物実験において、死亡胚胎児数や着床後胚損失率の高値、生存胎児数及び胎児生存率の低値がみられたとの報告があります。そのため標記の方に対しては、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用するようにしてください。

■授乳婦
授乳期のラットを用いた動物実験においては乳汁中への移行は認められませんでしたが、ヒトにおいての乳汁中への移行は不明で、安全性が確立されていません。
治療上の有益性および母乳栄養の有益性を照らし合わせ、授乳の継続、中止については医師の判断を仰ぐようにしてください。

■小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施しておらず、安全性が確立されていません。

上記にあてはまる方は、オミデネパグイソプロピルを使用する事が出来ない可能性があります。
オミデネパグイソプロピルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
■緑内障・高眼圧症治療薬(タフルプロストを除く)
チモロールマレイン酸塩も、緑内障、高眼圧治療に用いられる目薬ですが、オミデネパグイソプロピル点眼液との併用で、結膜充血等の眼炎症性副作用の発現頻度の上昇が認められています。こちらも副作用の機序は不明です。
また、他の薬剤との飲み合わせについては、現時点で併用経験がありません。

上記を使用している方は、オミデネパグイソプロピルを使用する事が出来ない可能性があります。
オミデネパグイソプロピルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
■タフルプロスト点眼液
タフルプロスト点眼液、オミデネパグイソプロピル点眼液はいずれも緑内障、高眼圧治療に用いられる目薬なのですが、作用機序が異なるため理論上は併用可能と考えられていましたが、併用により中等度以上の羞明、虹彩炎等の眼炎症が高頻度に認められたため、2018年11月に併用禁忌となりました。なお、上記副作用の機序は不明です。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
オミデネパグイソプロピルを主成分とする点眼薬を保管する際、注意することはありますか?

当該点眼薬は、開封後は(遮光して)室温で保管してください。開封後1ヶ月は室温保管での安定性が確認されています。
使用時に冷所から常温に戻ることや、使用する際に手にもつことによって容器内の空気が膨張し、容器先端付近の点眼がを押し出されて溢れることがあります。ご注意ください。

オミデネパグイソプロピルを主成分とする点眼薬の使用直後に、他の点眼薬を使用しても問題ないですか?

本成分を含む点眼薬と他の点眼薬を併用する際には、少なくとも5分以上間隔を開けてください。

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