成分名 |
ガベキサートメシル酸塩 |
適応症状 |
膵炎/汎発性血管内血液凝固症(DIC) |
簡易説明 |
ガベキサートメシル酸塩は小野薬品工業株式会社が開発した蛋白分解酵素阻害剤です。ガベキサートメシル酸塩を主成分とした注射用エフオーワイ(以下、本剤)トリプシンなどの消化酵素を分解する作用が確認され、臨床的にも膵炎の治療効果が確認されたため、膵炎治療薬としての承認を取得しました。
その後、トロンビン等の血液凝固因子の阻害作用も確認され、汎発性血管内血液凝固症(DIC)の治療効果も認められたたためDICの適応が追加となりました。
本剤は2018年12月1日付で丸石製薬株式会社に製造販売承認が継承されました。 |
処方可能な診療科目 |
内科/消化器内科/救急科など |
健康保険の適応 |
・(100mg製剤のみ)蛋白分解酵素(トリプシン、カリクレイン、プラスミン等)逸脱を伴う下記諸疾患
急性膵炎、慢性再発性膵炎の急性増悪期、術後の急性膵炎
・汎発性血管内血液凝固症 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
この薬は処方薬ではありません(薬価記載)。
注射用エフオーワイ:100(100mg1瓶) 251.00円/:500(500mg1瓶) 1,063.00円【製薬メーカー:丸石製薬株式会社】
ガベキサートメシル塩酸塩注射用:100mg(100mg1瓶) 119.00円/500mg(500mg1瓶) 495.00円 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
厚生労働省による認可(製造承認年月日):1977年6月14日 |
国内のジェネリック認可 |
あり |
関連製品(先発薬) |
注射用エフオーワイ(100、500)【製薬メーカー:丸石製薬株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
ガベキサートメシル酸塩注射用「サワイ」(100mg、500mg)【製薬メーカー:沢井製薬株式会社】、ガベキサートメシル酸塩注射用「タカタ」(100mg、500mg)【製薬メーカー:高田製薬株式会社】、ガベキサートメシル酸塩注射用「日医工」(100mg、500mg)【製薬メーカー:日医工株式会社】、ガベキサートメシル酸塩注射用「AFP」(100mg、500mg)【製薬メーカー:アルフレッサファーマ株式会社】 |
海外での使用実績 |
台湾
販売名:FOY/販売会社:中国化学/効能効果(承認年月):急性膵炎(1978年10月)、DIC(1983年10月)/発売年月:1978年11月
韓国
販売名:FOY/販売会社:東亜製薬/効能効果(承認年月):急性膵炎(1980年2月)、DIC(1983年10月)/発売年月:1980年6月
イタリア
販売名:FOY/販売会社:Sanofi-Aventis/効能効果(承認年月):急性膵炎(1993年5月)/販売年月:1993年9月 |
効果・作用 |
本剤は消化酵素(トリプシン、カリクレイン)を阻害するとともに、膵液の出口であるOddi氏筋の弛緩させる働きから、蛋白分解酵素逸脱に伴う膵臓疾患の症状を和らげる作用があります。また、血液凝固因子(トロンビン、活性型第X因子)を阻害するとともに、血小板凝集を抑える働きから、DICに効果が認められています。
本剤は以下の酵素に阻害作用を示します。
トリプシン、プラスミン、血漿カリクレイン、膵臓カリクレイン、トロンビン、活性化X因子、C1エステラーゼ、ホスホリパーゼA2
本剤を用いた臨床試験では膵炎、DICに対する有効性が確認されました。
(膵炎)
急性膵炎、再発型慢性膵炎の急性増悪期、術後の急性膵炎を対象とした臨床試験
有効率(疼痛、圧痛や血清アミラーゼ値、尿アミラーゼ値の改善):76.6%(196/256例)
※病型別全般改善度(有効以上)
急性膵炎:86.3%(120/139例)、慢性再発性膵炎の急性増悪期:62.7%(42/67例)、術後の急性膵炎:68.0%(34/50例)
(DIC)
DICを対象とした臨床試験
有効率(出血症状の改善、凝固因子の消費抑制):57.5%(77/134例)
本剤は1989年1月に再審査(最新の知見による承認条件の再検証)を受け、「承認拒否事由に該当しない」との結果を得ました。これにより薬の有効性、安全性が再確認されました。 |
使用方法 |
(膵炎)
1回1バイアルを5%ブドウ糖注射液又はリンゲル液に溶かし、全量500mLにする、モスクは注射用水5mLに溶かした後、5%ブドウ糖注射液又はリンゲル液に混和して、8mL/分以下で点滴静注します。
※原則として初期投与量は1日量1~3バイアル(溶解液500~1,500mL)として以後は症状改善に応じて減量しますが、症状によってはさらに1~3バイアル(溶解液500~1,500mL)を追加することができます。症状により適宜増減します。
(汎発性血管内血液凝固症)
1日量20~39mg(ガベキサートメシル酸塩として)の範囲内で24時間かけて持続静脈内投与します。 |
副作用 |
主な副作用
(膵炎)
副作用発現率:2.2%(85例/3,893例、117件)
主な副作用:注射部位関連(血管痛・静脈炎・発赤) 1.5%(59例)、過敏症関連(発疹・掻痒等) 0.6%(25例)、血圧降下 0.1%(5例)、消化器系関連(悪心・嘔吐等) 0.3%(12例)
(DIC)
副作用発現率:2.9%(56例/1,952例、68件)
主な副作用:注射部位関連(血管痛・静脈炎・発赤等) 1.9%(37例)、過敏症関連(発疹・掻痒等) 0.3%(5例)、肝機能異常(AST・ALTの上昇等) 0.3%(5例)
重大な副作用
・ショック、アナフィラキシーショック
・アナフィラキシー:市販後に報告されたショック、アナフィラキシーショック、アナフィラキシーの80%は投与開始10分以内に発現しています。初期症状として循環器障害(血圧低下、頻脈、徐脈等)、皮膚症状(発赤、発疹、掻痒等)、呼吸器症状(呼吸困難、胸部苦悶感、喘息様症状等)が多く認められています。このような症状が見られたら直ちに投与を中止し、点滴ルート・気道の確保、ステロイド投与、ショックに対する適切な処置を行います。
・注射部位の皮膚潰瘍・壊死:注射部位刺や入した血管に沿って静脈炎、潰瘍・壊死等の重篤な血管障害が報告されています。これらの症例は濃度に比例して増加していて、下肢からの投与で重症例が多く、血管外に漏出した場合に潰瘍・壊死がおこりやすいことがわかっています。投与部位に血管痛、発赤、炎症等が現れた場合は投与部位の変更や投与を中止し、適切な処置を行います。
・無顆粒球症、白血球減少、血小板減少:初発症状として発熱が認めれれていて、投与開始1ヶ月以内に発現しています。皮下出血等の症状や血小板数の著しい減少が認められた場合は投与を中止し、適切な処置を行います。
・高カリウム血症:自覚症状がなく検査により判明した症例が多数ですが、心電図異常、不穏等が認められた場合もあります。ほとんどの症例が投与開始半月以内に発現しています。発現した場合は直ちに投与を中止して、適切な処置を行います。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■本剤にアレルギーをお持ちの方
本剤にアレルギーをお持ちの方、エフオーワイはアレルギー反応を起こしてしまう為、使用出来ません(添加物未使用)。
使用に注意が必要な方 ・高齢者:一般に生理機能が低下しているので減量するなどの注意が必要です。
・妊婦又は妊娠している可能性のある方:大量投与を避けてください。動物実験で大量投与した際に胎児への悪影響が報告されています。
上記にあてはまる方は、ガベキサートメシル酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 ガベキサートメシル酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
ガベキサートメシル酸塩に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
ガベキサートメシル酸塩(エフオーワイ 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】 |
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