ウリナスタチン

成分名

ウリナスタチン

適応症状

膵炎、ショック

簡易説明

ウリナスタチンはヒトの尿中から抽出、精製された糖蛋白質で、各種の酵素に対する阻害活性を持っています。
ヒトの尿中にトリプシン阻害物質があることは、1909年にBauerらに報告されていましたが、抗膵炎作用、抗ショック作用があることは日本で明らかにされました。
ウリナスタチンを主成分とするミラクリッド(以下、本剤)は1985年4月に用時溶解が必要な凍結乾燥製剤として製造承認を取得しましたが、緊急時に迅速・簡便に使用できる注射液剤を開発し、1994年3月12日に製造承認を取得しました。

処方可能な診療科目

消化器内科/救急科など

健康保険の適応

・急性膵炎(外傷性、術後及びERCP後の急性膵炎を含む)、慢性再発性膵炎の急性増悪期
・急性循環不全(出血性ショック、細菌性ショック、外傷性ショック、熱傷性ショック)

※ERCP
Endscopic Retrograde CholangioPancreatography:内視鏡的逆行性胆管膵管造影
内視鏡検査の一つ。胆管や膵管に直接細いチューブを使って造影剤を注入して胆嚢、胆管、膵管の異常を調べる検査

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません(薬価記載)
ミラクリッド注射液:5万単位(1mL1管) 895.00円/10万単位(2mL1管) 1,603.00円【製薬メーカー:持田製薬株式会社】

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:1994年7月18日

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ミラクリッド注射液(5万単位、10万単位)【製薬メーカー:持田製薬株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

本剤は、トリプシン、α‐キモトリブシン、エラスターゼなどの蛋白分解酵素やヒアルロニダーゼ、リパーゼなどの糖・脂質分解酵素を阻害する働きがあります。本剤の阻害作用が確認された酵素は下記になります。
蛋白質分解酵素:トリプシン、α‐キモトリプシン、白血球エラスターゼ、白血球カテプシンG、プラスミン、膵エラスターゼ、エンテロキナーゼ
脂質分解酵素:リパーゼ
糖質分解酵素:ヒアルロニダーゼ、アミラーゼ

本剤の薬理作用は各種動物実験等にて確認されています。
・膵酵素に対する阻害作用(イヌ)
ウリナスタチン使用による阻害効果(抑制率):総蛋白分解酵素活性(65%)、エラスターゼ様酵素(83%)、カテプシンA、B様酵素(13%)、カテプシンG様酵素(87%)、その他の蛋白分解酵素(58%)
・実験的急性膵炎に対する作用(イヌ、ラット)
生存率を有意に高めました。(イヌ)。また、血清アミラーゼ・リパーゼ上昇を有意に抑えました。(ラット)。
・実験的ショックに対する作用(マウス、ラット)
生存を有意に高めました。
熱傷性ショック(マウス)、外傷性ショック(ラット)、エンドトキシンショック(マウス)、出血性ショック(ラット)
・ライムゾームに対する作用(ラット)
グルコロニダーゼ、酸性フォスファターゼの遊離を有意に抑制しました。また、ショック状態でみられるライムゾームの空胞化、膜破壊を有意に抑えました。
・体外循環時の血中酵素に対する作用(ヒト)
AST、カテプシン、グルコロニダーゼの上昇を有意に抑えました。
・心筋抑制因子産生抑制作用
ショックにより生じる心筋抑制因子の産生を有意に抑えました。
・ショック時の循環動態に対する作用(イヌ)
平均動脈圧、心係数、大動脈血流量、腎血流量を有意に増加させました。
・サイトカインに対する作用(ヒト)
サイトカイン(IL-1α、IL‐1β、TNF‐α)の産生を有意に抑えました。
・好中球の活性化に対する作用(ヒト)
エラスターゼの遊離及び活性酵素の産生を抑え、好中球の活性化による細胞障害を抑制しました。

膵炎は膵臓の酵素が膵臓の組織に障害を与える病気であり、本剤はその酵素の働きを抑えることで、膵炎の症状を抑えます。また炎症性サイトカインを抑える働きなどから、急性循環不全で用いられます。本剤の急性循環不全に対する効果は一般的なショックの治療法(輸液療法、酸素吸入、外科的処置、抗菌剤等)に代わるものではありません。ショック症状が改善したら使用を中止します。

本剤(凍結乾燥製剤)を用いた臨床試験で膵炎及び急性循環不全への治療効果が確認されています。
(膵炎)
有効率(改善以上):76.4%(2,178例/2,850例)
(急性循環不全)
有効率(改善以上):74.1%(1,832例/2,471例)

使用方法

(膵炎)
初期投与量として1回25,000~50,000単位を500mLの輸液で希釈して、1回当たり1~2時間かけて、1日1~3回点滴静注します。以後は症状に応じて減量します。年齢、症状によって適宜増減します。
(急性循環不全)
1回100,000単位を500mLの輸液で希釈して、1回あたり1~2時間かけて、1日1~3回点滴静注します。又は1回100,000単位を1日1~3回、緩徐に静注します。年齢、症状によって適宜増減します。

副作用

主な副作用
副作用発現率:0.8%(74例/8,710例)
肝機能異常(AST、ALT上昇等)、血液検査値の異常(白血球減少等)、過敏症状(発疹、掻痒感等)、消化器症状(下痢等)、注射部位の異常(血管痛等)

重大な副作用
・ショック、アナフィラキシーショック:血圧降下、頻脈、胸内苦悶、呼吸困難、皮膚の紅潮、蕁麻疹等があらわれた場合は投与を中止して適切な処置を行います。
・白血球減少:定期的に臨床検査を行うなどの観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止して適切な処置を行います。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■本剤及びウリナスタチンを配合した医薬品の添加物にアレルギーをお持ちの方
本剤及び下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ミラクリッドはアレルギー反応を起こしてしまう為、使用出来ません。
▼ミラクリッドの有効成分
ウリナスタチン
▼ミラクリッドの添加物
塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム水和物、氷酢酸
※抗原性試験において抗体産生は認められていませんが、本剤は蛋白製剤なので、アレルギー症状やショック症状が発現する可能性があります。

使用に注意が必要な方
・薬物過敏症の方(過去に罹患した方を含む)、過敏症素因の方、過去にウリナスタチン製剤を使用した方:過敏症があらわれることがあります。
・妊婦、小児:使用経験が不十分です。
・授乳婦:動物実験で乳汁への移行が示唆されています。
・高齢者:一般的に生理機能が低下している為、減量などの注意が必要です(70歳以上の方の副作用発現率が高いという報告はありません)。

【警告】
本剤は緊急時に十分対応できる医療施設で状態を観察しながら行います。
(何か不測の事態が現れた場合に、直ちに副作用であるか同課の判断や適切な処置が行える施設で使用されることが大切です)

上記にあてはまる方は、ウリナスタチンを使用する事が出来ない可能性があります。
ウリナスタチンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ウリナスタチンに関する
よくある質問
他の薬と混ぜる場合の注意点はありますか?

ガベキサートメシル酸塩製剤あるいはグロブリン製剤と配合すると変化を起こすので混注は避けること。(白濁または沈殿物が見られることがある)

ウリナスタチン(ミラクリッド インタビューフォーム)

【上記引用元:PMDA 医療用医薬品 情報検索】

作用持続時間の目安となるデータはありますか?

健康成人男性 5 名に、生理食塩液 10mL に溶解したミラクリッド(凍結乾燥製剤)30 万単位を静注したところ、投与後 6 時間までに投与量の約 24%が尿中に排泄された(測定は高速液体クロマトグラフィーにより検体を分画し、規格の定量法に準じて行った)。

ウリナスタチン(ミラクリッド インタビューフォーム)

【上記引用元:PMDA 医療用医薬品 情報検索】

参考元一覧

ウリナスタチン(ミラクリッド 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】

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