クエン酸マグネシウム

成分名

クエン酸マグネシウム

適応症状

X線や内視鏡を用いた大腸検査の前処置に対する腸管内容物の排除または腹部外科手術時における前処置用下剤に対して適応を持ちます。

簡易説明

クエン酸マグネシウムは大腸検査・腹部外科手術前処置用下剤として使用されております。現在は剤形が散剤のものと液剤のものが発売されています。どちらも適応症状や使用方法は同じですが散剤の場合は水に溶解する作業が前段階としてあります。使用目的によって高張液投与や、等張液投与を使い分けします。高張液投与は強制的に水分を腸内に引き込むため積極的に水分補給が必要です。等張液投与は大量の溶液を服用しなければならないのが非常に大変な作業になります。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~5,000円
薬代1錠あたりの目安:50g約380円/100g約770円/250mL約380円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

【マグコロール散68%分包50g】
1987年5月15日製造販売が承認され、1987年10月1日に薬価基準に収載されました。その後1988年11月20日に販売開始しました。
医療事故を防止する為の対策として販売名を変更し2020年7月13日製造販売を承認し直し、2020年12月11日に薬価基準に収載されました。

【マグコロール散68%分包100g】
1987年5月15日製造販売が承認され、1987年10月1日に薬価基準に収載されました。その後1988年1月20日に販売開始しました。
医療事故を防止する為の対策として販売名を変更し2020年7月13日製造販売を承認し直し、2020年12月11日に薬価基準に収載されました。

【マグコロール内用液13.6%分包250mL】
1973年4月28日製造販売が承認され、1974年3月1日に薬価基準に収載されました。その後1974年3月1日に販売開始しました。
医療事故を防止する為の対策として販売名を変更し2020年7月1日製造販売を承認し直し、2020年12月11日に薬価基準に収載されました。

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

マグコロール散68%分包50g/マグコロール散68%分包100g/マグコロール内用液13.6%分包250mL【製薬メーカー:堀井薬品工業株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

クエン酸マグネシウムは検査用下剤として適応を持ちます。X線や内視鏡を用いた大腸検査における前処置として腸管内容物の排除、また腹部外科手術時における前処置用下剤として使用されています。

その作用機序は、主に大腸の腸内容積を増大させることにより瀉下効果を発揮します。
クエン酸マグネシウムを高張液として使用すると、その溶液は腸管内で浸透圧に差が出るため、等張になるまで体内水分を徐々に腸管内に移行させて腸内容積を増大させます。また、クエン酸マグネシウムを等張液として投与した場合、その溶液は体内での水分移動を行うことなく腸内容積を増大させることができます。腸内容積が増大すると腸管の蠕動運動が亢進する事で排便がなされます。
高張液の場合には体内水分を強制的に吸収する為脱水状態が現れる事がある為、水分を十分に摂取させる必要があります。但し水分摂取量によっては早く効果が出る事もあります。低張液の場合は大量の水を時間をかけて内服する為術前の場合には時間が間に合わないため使用する事はありません。主に検査目的での使用になります。検査の所要時間は内容によっても変わってきますがおおよそ2~3時間程度です。大腸検査の場合にはポリープが見つかった場合は検査時に同時に切除をすることもあります。医療機関によっては胃内視鏡検査と同時に受ける事もできます。

使用方法

マグコロール散68%分包50g/100gについて解説いたします。マグコロール内用液13.6%分包250mLもありますが使用方法はおおむね同様になります。

1)大腸X線検査前処置または腹部外科手術時における前処置の場合
①高張液投与の場合
クエン酸マグネシウムとして34gを、分包品使用の場合は本剤50g分包品1包を水に溶解し、約180mL溶液を作成します。こちらを用いて、通常成人においては1回量として144~180mLを検査予定時間の10~15時間前にあらかじめ投与します。なお、患者の年齢や症状によっては適宜増減する事が認められております。

2)大腸内視鏡検査前処置の場合には高張液または低張液の調整が可能です。
①高張液投与の場合
クエン酸マグネシウムとして34gを、分包品使用の場合は本剤50g分包品1包を水に溶解し、約180mL溶液を作成します。こちらを用いて、通常成人においては1回量として144~180mLを検査予定時間の10~15時間前にあらかじめ投与します。なお、患者の年齢や症状によっては適宜増減する事が認められております。
等張液投与の場合
クエン酸マグネシウムとして68gを、分包品使用の場合は本剤100g分包品1包を水に溶解し、約1,800mL溶液を作成します。こちらを用いて、通常成人においては1回量として1,800mLを検査予定時間の4時間以上前にあらかじめ200mLずつ約1時間かけて経口投与します。なお患者の年齢や症状によっては適宜増減する事が認められておりますが、2400mLを超えての投与は認められておりません。

副作用

重大な副作用
1)腸管穿孔、腸閉塞(頻度不明)
2)虚血性大腸炎(頻度不明)
3)高マグネシウム血症(頻度不明)

その他の副作用
過敏症、消化器、循環器、精神神経系、内分泌、肝臓、腎・尿路系、血液、代謝・電解質の副作用が挙げられます。

発生頻度は以下の通りです。
1)過敏症
発疹、蕁麻疹、掻痒感等(頻度不明)
2)消化器
腹部膨満感(5%以上)
腹痛、悪心、嘔吐、腹鳴等(0.1~5%未満)
3)循環器
熱感、潮紅、痺れ、顔面蒼白、血圧低下等(0.1%未満)
4)精神神経系
眩暈、フラツキ、脱力感、不快感等(0.1%未満)
5)内分泌
尿ケトン体の陽性化(5%以上)
尿酸値の上昇(0.1~5%未満)
6)肝臓
総ビリルビンの上昇(5%以上)
AST、ALT、総コレステロールの上昇(0.1~5%未満)
7)腎・尿路系
尿pHの上昇(5%以上)
BUNの低下、尿蛋白の陽性化(0.1~5%未満)
8)血液
白血球数の増加、単球数の増加・減少(0.1~5%未満)
9)代謝・電解質
血清マグネシウム上昇(5%以上)
血清カルシウム上昇・低下、血清ナトリウム上昇、血清カリウム上昇・低下、血清クロール低下(0.1~5%未満)
血清ナトリウム低下(頻度不明)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)消化管に閉塞があるもしくはその疑いがあると診断された患者及び重症の硬結便のある患者
2)急性腹症が疑われる患者
3)腎障害のある患者
4)中毒性巨大結腸症の患者

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
①心機能障害がある患者(心機能を抑制するおそれがあります。)
②高マグネシウム血症の患者
③胃切除の既往歴がある患者
④腹部において外科的手術の既往歴がある患者
⑤腸管に憩室のある患者(腸管穿孔を起こしたとの報告があります。)
⑥腸管に狭窄及び高度な便秘の患者(腸閉塞や腸管穿孔を起こすおそれがあります。)
⑦誤嚥を起こす恐れのある患者
⑧糖尿病用薬を投与中の患者
2)腎機能障害患者(投与しない事、使用できない方に該当します)
3)妊婦(子宮収縮を誘発して、流早産の危険性があります。)
4)授乳婦
5)小児等(電解質異常等の副作用があらわれやすいとの報告があります。)
6)高齢者

上記にあてはまる方は、クエン酸マグネシウムを使用する事が出来ない可能性があります。
クエン酸マグネシウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)テトラサイクリン系抗生物質、ニューキノロン系抗菌剤
これらの薬剤とマグネシウムイオンが消化管内で難溶性のキレートを形成して、吸収を阻害します。その結果これらの薬剤の効果が減弱する恐れがある為同時に服用はさせない事。

2)酸性薬物(サリチル酸等)
本剤が尿pHを上昇させることによって、排泄を促進させます。その結果酸性薬物の効果が減弱する恐れがあります。

3)塩基性薬物(メタンフェタミン等)
本剤がpHを上昇させることによって、排泄を阻害します。その結果塩基性薬物の効果が増強する恐れがあります。

上記を使用している方は、クエン酸マグネシウムを使用する事が出来ない可能性があります。
クエン酸マグネシウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬は報告されていません

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
糖尿病の薬を飲んでいますが継続していて大丈夫ですか?

糖尿病用薬を使用している人は、検査当日は検査終了まで薬の使用は避け、検査終了後はじめての食事の後に使用するようにしましょう。
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

服用後効果が出るまでどのくらい時間がかかりますか?

高張液の場合効果が出るまでは10~15時間ほどかかります。
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

高張液と等張液の2種類の投与方法があるのはなぜですか?

目的によって使い分けができます。高張液は強制的に水分を腸内に引き込む事で腸内洗浄をおこないます。等張液は大量の水を使用する事で腸内洗浄を行います。
メーカーホームページ 【堀井薬品工業株式会社】

参考元一覧

薬価検索 【KEGG MEDICUS 医薬品情報】
メーカーホームページ 【堀井薬品工業株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

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