ラモセトロン塩酸塩

成分名

ラモセトロン塩酸塩

適応症状

下痢型過敏性腸症候群 など

簡易説明

「ラモセトロン塩酸塩」は、下痢型過敏性腸症候群の治療に用いられる薬で、体内神経伝達物質セロトニンの作用を抑えて過敏性腸症候群による下痢や腹痛などの症状を改善するはたらきがあります。
日本では、アステラス製薬がイリボーの商品名で販売しており、また、高田製薬がラモセトロン塩酸塩の商品名で販売しています。
「ラモセトロン塩酸塩」は、セロトニン受容体を選択的に阻害するはたらきがあり、消化管運動亢進を助長するセロトニンの伝達経路を遮断することで、大腸輸送能亢進あるいは大腸水分輸送異常にもとづく排便亢進や下痢症状を改善して、大腸痛覚伝達を抑制することから、知覚過敏や腹痛をやわらげます。

処方可能な診療科目

内科/胃腸科/消化器科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約2,000円~10,000円
イリボー錠2.5μg 85.9円/錠(薬価)
イリボー錠5μg 140.5円/錠(薬価)
*病院によって差が有ります。初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2008年10月認可

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり

関連製品(先発薬)

イリボー錠2.5μg 【製薬メーカー:アステラス製薬】
イリボー錠5μg 【製薬メーカー:アステラス製薬】

関連製品(ジェネリック)

ラモセトロン塩酸塩注射液0.3mg「EMEC」【製薬メーカー:高田製薬】

効果・作用

「ラモセトロン塩酸塩」は、体内神経伝達物質の一種であるセロトニンの作用を抑えることで、過敏性腸症候群による下痢や腹痛などの症状を改善する薬です。
過敏性腸症候群(IBS)はお腹の不快感や便秘、下痢などが続く状態で、腹痛などは排便によって軽快するのが特徴的で、ライフスタイルと関連があることが多く、ストレスなどによっても悪化することがあります。
過敏性腸症候群は便形状などによって便秘型、下痢型、便秘型と下痢型の両方の特徴を併せ持つ混合型、分類不能型に分かれます。
神経伝達物質のセロトニンは腸の活動を活発にして排便が亢進し下痢を引き起こし、セロトニンによる刺激や興奮が脳に伝わることで腹痛などが生じる場合があります。
「ラモセトロン塩酸塩」は体内5-HT3受容体を阻害することで過剰なセロトニンの作用を抑えることで、過敏性腸症候群による下痢や腹痛などの症状を改善します。

使用方法

▼用法用量
[男性における下痢型過敏性腸症候群]
・成人男性にはラモセトロン塩酸塩として5μgを1日1回経口投与します。なお、症状により適宜増減しますが、1日最高投与量は10μgまでとします。

[女性における下痢型過敏性腸症候群]
成人女性にはラモセトロン塩酸塩として2.5μgを1日1回経口投与します。なお、効果不十分の場合には増量することができますが、1日最高投与量は5μgまでとします。

▼薬剤交付時の注意
・PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導してください。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがあります。

副作用

重大な副作用
▼ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)の治療のためにラモセトロン塩酸塩を静脈内投与された患者において、ショック、アナフィラキシーが報告されています。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼虚血性大腸炎(頻度不明)
腹痛、血便等の虚血性大腸炎が疑われる症状があらわれた場合には、本剤の投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

▼重篤な便秘(頻度不明)
本剤では便秘、硬便が認められ、類薬では海外において重篤な便秘の発現とその合併症(腸閉塞、イレウス、宿便、中毒性巨大結腸、続発性腸虚血、腸管穿孔)が報告されており死亡例も認められています。本剤の投与により便秘、硬便が認められた場合には患者の症状に応じて休薬、中止等の適切な処置を行ってください。

その他の副作用
・貧血、白血球数減少、白血球数増加、血小板数減少
・動悸
・便秘、硬便
・腹部膨満
・腹痛、上腹部痛、悪心、胃不快感、胃炎、腹部不快感、痔核、排便障害、下痢、嘔吐、逆流性食道炎、十二指腸潰瘍、下腹部痛、肛門周囲痛、痔出血
・血便
・胸部不快感、倦怠感、口渇
・肝機能異常、γ-GTP上昇
・AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、ビリルビン上昇、LDH上昇
・憩室炎
・背部痛
・頭痛、傾眠
・尿中蛋白陽性、尿中ブドウ糖陽性、血中尿素増加
・頻尿
・発疹、蕁麻疹
・前立腺炎

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。

使用に注意が必要な方
■腹部手術歴のある患者
本剤の投与による便秘、硬便等の発現に伴うイレウス等の発現に注意してください。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。

■授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続又は中止を検討してください。ラットにおいて乳汁中への移行が報告されています。

■小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していません。

■高齢者
高齢者は一般に生理機能が低下していることから、患者の状態を観察しながら慎重に投与してください。副作用が発現した場合には、投与を中止してください。

上記にあてはまる方は、ラモセトロン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ラモセトロン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・フルボキサミン
・抗コリン作用を有する薬剤(抗コリン剤、三環系抗うつ剤、フェノチアジン系薬剤、モノアミン酸化酵素阻害剤など)
・止しゃ剤(ロペラミド塩酸塩など)
・アヘンアルカロイド系麻薬(アヘンチンキなど)

上記を使用している方は、ラモセトロン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ラモセトロン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
報告なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
「ラモセトロン塩酸塩」はどのような薬ですか?

「ラモセトロン塩酸塩」は、下痢や腹痛をおさえる薬で、下痢型の過敏性腸症候群の治療に用いられます。男性の下痢型過敏性腸症候群に対してはこれまでの使用経験を経て、薬剤治療の第一選択薬の一つとして推奨されており、女性の下痢型過敏性腸症候群に対しては実績が少ないことから、慎重に用いる必要があります。

「ラモセトロン塩酸塩」を使用するにあたって気をつけることはありますか?

「ラモセトロン塩酸塩」は便秘型や混合型の過敏性腸症候群には適応していないことから、便秘を起こすことのある人は医師に伝えてください。また、腹部手術歴がある場合は、イレウスの発現に注意するなど慎重に用いる必要があります。その他、女性は男性に比べ硬便や便秘など副作用の発現率が高いことに留意してください。

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