パロノセトロン塩酸塩

成分名

パロノセトロン塩酸塩

適応症状

シスプラチンなどの抗悪性腫瘍剤投与に伴う悪心、嘔吐などの消化器症状(遅発期を含む)

簡易説明

パロノセトロン塩酸塩は、シスプラチンなどの抗悪性腫瘍剤投与に伴う悪心、嘔吐などの消化器症状に使用します。具体的な作用として、セロトニン受容体のうち5-HT3受容体に対して拮抗作用を示します。つまり、本来セロトニンが結合する受容体(5-HT3受容体)に結合し、セロトニンがその受容体に結合することを防止することによって、セロトニンの過剰な作用を阻害することで、吐き気の発生を抑制します。

処方可能な診療科目

内科/腫瘍内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~3,000円
薬代1瓶あたりの目安:0.75mg約9,870円
薬代後発薬1瓶の目安:0.75mg約4,930円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月:2010年4月

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

アロキシ静注0.75mg、アロキシ点滴静注バッグ0.75mg(大鵬薬品)

関連製品(ジェネリック)

パロノセトロン静注0.75mg/5mL「タイホウ」(大鵬薬品)、パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg/50mL「タイホウ」(大鵬薬品)/パロノセトロン静注0.75mg/2mL「日医工」(日医工)、パロノセトロン静注0.75mg/2mLシリンジ「NP」(シオノギファーマ)、パロノセトロン静注0.75mg/2mLシリンジ「トーワ」(東和薬品)

効果・作用

パロノセトロン塩酸塩は、シスプラチンなどの抗悪性腫瘍剤投与に伴う悪心、嘔吐などの消化器症状に使用します。
悪心や嘔吐は、中枢神経系および末梢神経系の複雑な相互作用によって引き起こされますが、脳内の化学物質であるセロトニンが吐き気の引き金となることが知られています。セロトニンは、脳内の化学物質が変化することによって、脳内の複数の場所で放出されます。抗悪性腫瘍剤などの薬剤療法や放射線療法によってセロトニンの過剰な放出が引き起こされ、結果として悪心や嘔吐を経験することがあります。
パロノセトロン塩酸塩は、セロトニン受容体のうち5-HT3受容体に対して拮抗作用を示します。つまり、本来セロトニンが結合する受容体(5-HT3受容体)に結合し、セロトニンがその受容体に結合することを防止することによって、セロトニンの過剰な作用を阻害することで、吐き気の発生を抑制します。パロノセトロン塩酸塩のその他の特徴として、従来の5-HT3受容体ブロッカーよりもかなり長い時間作用し続けるため、1回の投与だけでも多くの時間にわたって抗悪性腫瘍剤投与に伴う悪心、嘔吐などの消化器症状に対して効果を発揮します。またセロトニン受容体は数種類存在しますが、パロノセトロン塩酸塩は5-HT3受容体に選択的に作用するため、余計な副作用が起こりにくいのは利点の一つと言えます。

使用方法

パロノセトロンとして0.75ミリグラムを1日1回静注または点滴静注します。
ただし、18歳以下の方のケースではパロノセトロンとして20マイクログラム/体重kgを1日1回静注または点滴静注することとし、使用量の上限は1.5ミリグラムとします。
※パロノセトロン塩酸塩は強い吐き気、悪心、嘔吐が生じる恐れのある抗悪性腫瘍剤(シスプラチンなど)を使用する予定のある場合に限って使用することができます。
※抗悪性腫瘍剤を使用する前にパロノセトロン塩酸塩の投与を終了してください。
※パロノセトロン塩酸塩の成分が身体から半分抜けるまでにかかる時間は40時間であり、短期間に反復して使用すると過剰に血液中の濃度が上昇する可能性があります。1週間未満の間隔においてパロノセトロン塩酸塩をがん方さんへ反復投与した臨床経験がないため、短期間で反復投与をすることは避けてください。

副作用

重大な副作用
次に挙げるような重大な副作用が引き起こされる可能性があります。服用中は健康状態を常に意識し、万が一体調の悪化を感じた場合には服用を中止、または医療機関を受診するなど適切な処置を行ってください。
・アナフィラキシー、ショック
※かゆみ感、発赤、胸の苦しさ、呼吸困難、血圧低下などを初期症状とするアナフィラキシーやショックがあらわれることがあるので注意してください。

その他の副作用
次に挙げるような重大な副作用が引き起こされる可能性があります。
・臨床検査系:ALPの上昇、ASTの上昇、γ-GTPの上昇、ALTの上昇、LDHの上昇
・代謝系:尿に糖分が混じる、食欲の減退、食欲の不振、高血糖状態、低カリウム血症、高カリウム血症、電解質変動
・皮膚系:発疹、ぼつぼつ、アレルギー性皮膚炎
・精神神経系:めまい、頭痛、不安、眠気、多幸感、異常感覚、不眠症、過眠症、末梢感覚性ニューロパシー
・心臓、循環器系:QT延長、静脈拡張、上室性期外収縮、心筋虚血、低血圧、頻脈、洞性不整脈、徐脈、洞性頻脈、静脈退色、高血圧
・耳系:耳鳴り、乗り物酔い
・呼吸器系:しゃっくり・腎臓、泌尿器系:尿の出が悪くなる
・消化器系:下痢、口腔内の乾燥、便秘、上腹部の痛み、腹痛、お腹のハリ、消化不良
・肝臓系:肝機能検査値の異常、高ビリルビン血症
・眼系:弱視、眼の刺激感
・その他:血管の痛み、潮紅、だるさ、静脈の炎症、発熱、熱感、悪寒、注射部位反応(痛み、赤み)、関節痛、無気力症、インフルエンザのような症状、疲労感

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・パロノセトロン塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
※下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、アロキシ静注はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼アロキシ静注の有効成分
パロノセトロン塩酸塩
▼代表薬の添加物
D-マンニトール、エデト酸ナトリウム水和物、クエン酸ナトリウム水和物、クエン酸水和物、水酸化ナトリウム、塩酸

・パロノセトロン塩酸塩に対し過敏症の経験のある方

使用に注意が必要な方
・消化管障害をお持ちの方
※パロノセトロン塩酸塩使用後に観察を十分に行ってください。消化管運動の低下が起こるリスクがあります。
・心臓、循環器系機能障害をお持ちの方
※パロノセトロン塩酸塩使用によって循環している血液量が増加し、心臓に負担がかかり、症状が悪化してしまうことがあります。
・腎機能障害をお持ちの方
※塩化ナトリウム、水分の過剰な投与に陥るリスクがあり、症状が悪化してしまう可能性があります。
・妊娠している方
※妊娠している、または妊娠している可能性のある方は治療上のメリットがデメリットを上回ると医師が判断した場合にのみ使用してください。
※動物実験(ラット):胎児へのパロノセトロン塩酸塩の移行が報告されています。
・授乳している方
※授乳している方は治療上のメリットがデメリットを上回ると医師が判断した場合にのみ服用してください。
※動物実験(ラット):パロノセトロン塩酸塩の乳汁中への移行が報告されています。
・小児など
※低出生体重児および新生児を対象としている臨床試験が実施されていません。
・高齢者
※高齢者は一般的に薬の分解、排泄などの生理機能が低下しているため、減量するなど注意をしながら使用してください。

上記にあてはまる方は、パロノセトロン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
パロノセトロン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

パロノセトロン塩酸塩に関する
よくある質問
アロキシ点滴静注バッグ0.75mgの投与方法で注意点はありますか?

原則として、連結管を用いたタンデム方式による投与は不可であると添付文書に記載があります。
アロキシ 【アロキシ 添付文書】

パロノセトロン塩酸塩の半減期が非常に長いと添付文書に記載がありますが、使用後何時間くらいで身体から完全に成分が排出されますか?

個人差はありますが、半減期が非常に長いので6日~8.5日ほどかかって排泄されます。
アロキシ 【アロキシ 添付文書】

参考元一覧

アロキシ 【アロキシ 添付文書】

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