ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチル

成分名

ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチル

適応症状

胃の痛み/吐き気/嘔吐/胃部不快感 など

簡易説明

ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチルは胃粘膜局所麻酔作用、及び薬物誘発性の小腸痙攣に対する鎮痙作用を持つ成分です。

口から摂取した食物は、消化吸収をしながら約9mの消化管を通り肛門まで運ばれますが、その移送や消化にあたっては「蠕動運動」「分節運動」「振子運動」、まとめて「消化管運動」と呼ばれる運動を行っています。

通常穏やかに行われているこの運動ですが、胃腸に大きな負担をかけるような飲食、生活習慣の乱れ、精神的な負荷などあらゆる原因によって過剰になることがあります。
そして消化管運動は過剰になると、胃痛、胃部不快感など主に消化器の不調を引き起こします。

ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチルには、消化器にのみ麻酔がかかった状態にする作用があり、それにより鎮痛効果をもたらすとともに、過剰な消化器運動を抑制し上記諸症状を改善する効果を示します。

処方可能な診療科目

内科/消化器内科/胃腸科/循環器内科/心療内科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約6,000円~15,000円
薬代1錠あたりの目安:100mg 5.7円
薬代後発薬1錠の目安:100mg 5.7円/1000mg(顆粒) 6.3円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1967年3月5日(発売)

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり

関連製品(先発薬)

スルカイン錠100mg(製薬会社:日本新薬)

関連製品(ジェネリック)

・ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチル錠100mg「日医工」(製薬会社:日医工ファーマ)
・ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチル顆粒20%「日医工」(製薬会社:日医工ファーマ)

効果・作用

ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチルは、主に胃粘膜局所麻酔薬の成分として用いられている物質です。

口から入った食物は、消化管((口腔→)咽頭→食堂→胃→小腸(十二指腸、空腸、回腸)、→大腸(盲腸、結腸、直腸))を通り、途中消化液と混ざりあったり必要な栄養分を体内に吸収されたりしながら、最終的に肛門まで運ばれていきます。

そうした食物の移送や消化にあたり、消化管は3つの運動
・蠕動運動(筋肉が収縮して食物を押し出す動き)
・分節運動(くびれを作って食物を混ぜる動き)
・振子運動(筋肉が収縮と弛緩を繰り返す動き)
を行っており、これらはまとめて「消化管運動」と呼ばれています。

通常は穏やかに行われているこの運動ですが、暴飲暴食や不規則な生活、また過度のストレスなど様々な原因により過剰になることがあります。
そして消化管運動が過剰になると、場合によって胃や腸、食道などの痙攣、胃酸過多、胃炎や腸炎、潰瘍などの発生、悪化、吐き気、腹痛、便意等の症状が現れます。

冒頭にも挙げたように、ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチルには胃粘膜局所麻酔作用があります。
胃粘膜局所麻酔とは、文字通り胃粘膜、ひいては消化管でのみ効果を発揮する麻酔のことで、消化管運動が過剰になっている時にこれをかけるとその運動が抑えられます。

さらに同麻酔には、胃の幽門前庭部と呼ばれる部分の粘膜で作られるホルモン、「ガストリン」の分泌を抑制するはたらきもあります。

ガストリンは胃酸分泌作用を有しているので、同ホルモンの分泌を抑えることで同時に胃酸の分泌も軽減されます。

胃酸はその分泌量が増える、いわゆる胃酸過多の状態になると、胸やけ、胃もたれ、空腹時の胃痛などを引き起こします。逆を言えば、胃酸の分泌量が減ることはそうした諸症状の改善に繋がります。

こうした作用機序により、ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチルは、胃痛や吐き気といった消化器疾患や症状の治療に効果を示すのです。

使用方法

通常、成人は1回1~2錠(ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチルとして、1日100~200mg)を1~4回服用します。なお、年齢や症状により適宜増減する必要があります。医師に指示された用法用量に従ってください。

副作用

重大な副作用
便秘、下痢、過敏症状、食欲不振、悪心、口渇

その他の副作用
アレルギー症状(発疹)、頭痛、めまい、眠け、脱力感

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチルに対し過敏症の既往歴のある方

使用に注意が必要な方
■妊婦、産婦、授乳婦の方
上記の方への服用に関する安全性は確立していません。
そのため妊婦、産婦、授乳婦、また妊娠している可能性のある女性は、治療上の有益性が危険性を上回るという医師の判断があった場合のみ服用するようにして下さい。

上記にあてはまる方は、ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチルを使用する事が出来ない可能性があります。
ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

報告はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチルの摂取にあたり、上記以外に注意する点はありますか?

服用にあたり本成分が長く口内にあると、服用後、口内に痺れが残ることがあります。
それを避けるため、本成分を含む薬剤、特に錠剤の形のものを口に入れた後は、噛み砕くことなく速やかに飲みくだすようにしてください。

局所麻酔と聞くと部分的な手術の際などに用いられるイメージがありますが、それほど強い成分なのでしょうか?

一括りに麻酔といっても、全身麻酔で使われるものから処方薬の主成分、第二類医薬品に成分の一つとしてに含まれているものまで、その強度は様々です。
本成分の強さは歯科医院などで用いられる「プロカイン」という麻酔と同等ですので、非常に強いというものではありません。
とは言え長期間の摂取には適しませんので、医師と相談しながら摂取期間があまり長くならないようにご注意ください。

他の胃粘膜局所麻酔薬成分と異なる点はどこですか?

本成分以外の胃粘膜局所麻酔薬成分としては、「オキセサゼイン」「リドカイン」などが挙げられます。
いすれも胃痛や吐き気等の症状改善に効果を示すという点は同じで、また各成分をそれぞれ主原料とする医薬品も発売されていますが、以下のように成分固有の性質もあります。

・ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチルは小腸などの痙攣を抑える鎮痙作用もある
・オキセサゼインを主成分とする医薬品には顆粒タイプのものがあり、嚥下能力の低下した方でも服用しやすい
・リドカインは咽喉頭及び食道部の麻酔や口腔内麻酔として使用出来るほか、胃切除後障害の一つであるダンピング症候群の改善にも効果がある

そのため服用される方の症状や年齢、状態を鑑みて、最適と思われるものを選ぶことが求められます。

ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチルの、各疾患及び症状に対する有効率はどのくらいですか?

ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチルを主成分とする医薬品の、二重盲検比較試験(※)を含む臨床試験の有効率(有効以上例数/評価対象例数)は以下のとおりで、症状改善に対し優れていることが見て取れます。

・胃炎     :87.6%(127/145)
・心窩部痛  :83.3%(70/84)
・嘔気     :88.4%(38/43)
・胃部不快感:62.5%(15/24)

(※)二重盲検比較試験とは、医薬品の効果を客観的に検定するため、薬の種類や治療法の性質などを医師にも患者にも明かさない状態で行われる治験のことです。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。