ロートエキス

成分名

ロートエキス

適応症状

下記疾患における分泌・運動亢進並びに疼痛
胃酸過多
胃炎
胃・十二指腸潰瘍/痙攣性便秘

簡易説明

ロートエキスは、胃腸などの内臓における痙攣(けいれん)性の痛みをとる薬です。ナス科の有毒植物「ハシリドコロ」を原料としています。
胃炎や胃潰瘍などによる腹痛に用いられます。副交感神経を亢進させるアセチルコリンの作用を抑えることで、内臓の平滑筋の痙攣を抑えたり、胃酸の分泌を抑えます。
市販薬(ストッパ下痢止めEXやパンシロンなど)の成分として使われることが多く、馴染みのある薬です。

処方可能な診療科目

内科/消化器科/消化器内科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約1,000円~3,000円(保険により3割負担の場合)
薬代1gあたりの目安:7円~(薬価)
病院によって差ががあります。また、診察料・薬代の他に、初診料・検査料などが必要になる場合があります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:1956年10月【ロートエキス散 製薬メーカー:山善製薬】

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ロートエキス散【製薬メーカー:山善製薬】
ロートエキス散「NikP」【製薬メーカー:日医工】
ロートエキス散「司生堂」【製薬メーカー:司生堂製薬】
ロートエキス散「ケンエー」【製薬メーカー:健栄製薬】
ロートエキス散「ニッコー」【製薬メーカー:日興製薬】
ロートエキス散「ホエイ」【製薬メーカー:マイランEPD】
ロートエキス散「JG」【製薬メーカー:日本ジェネリック】
ロートエキス散シオエ【製薬メーカー:シオエ製薬】
ロートエキス散〈ハチ〉【製薬メーカー:東洋製薬化成】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

胃腸など消化器系臓器の運動は、副交感神経の命令によって亢進します。この神経の働きはアセチルコリンという神経伝達物質により強まります。
ロートエキスは、アセチルコリンをおさえることで、副交感神経の刺激を弱めます。
これは「抗コリン作用」と呼ばれます。
その結果として、胃腸の異常な運動(痙攣)がおさえられ、腹痛や下痢の症状がやわらぎます。
ロートエキスは、ナス科植物の「ハシリドコロ」の根茎や根を乾燥させた生薬である「ロートコン」を原料としています。ロートコンにはヒヨスチアミン、スコポラミンなどのアルカロイド類が含まれます。アルカロイドとは、植物中に存し、窒素を含む塩基性化合物の総称です。良く知られたものに、ニコチン・コカイン・カフェインなどがあります。
アルカロイド類が含まれるため鎮痛、鎮痙などの作用があるのですが、毒性が極めて強いため劇薬に指定され、医療用にしか用いられません。アルカロイド類は草全体に含まれており、特に根茎や根に強い毒性が含まれます。食すと副交感神経を麻痺させ、嘔吐、下痢、血便、瞳孔散大、めまい、幻覚、異常興奮などを引き起こし、最悪の場合死に至ります。
ハシリドコロという和名は、食べるとこうした症状により苦しみ、錯乱して走り回ることからきています。キチガイイモ、キチガイナスビとも呼ばれます。ハシリドコロは本州から九州に分布し、春になると芽を出して、紫色の可憐な花を咲かせます。新芽は一見したところフキノトウと似ており、葉は青々として如何にも食べられそうに見えるため誤食されやすく、十分な注意が必要です。
有毒植物ではありますが、専門家が所定の用法・用量で使用すれば有用であり、成分の強い根茎と根はロートコン(莨菪根)という薬品として日本薬局方(日本で常用する代表的医薬品の性質・純度・定量法・常用量などを規定した公定書)にも収められています。ロートコンに含まれるアトロピンは硫酸アトロピンの原料になり、ロートエキスは、ロートコンの成分を水またはエタノールに浸出させて抽出されます。

使用方法

通常、成人1日0.2~0.9g(ロートエキスとして、20~90mg)を2~3回に分割経口投与して下さい。
なお、年齢、症状により適宜増減して下さい。

副作用

その他の副作用
散瞳/羞明/霧視/調節障害/口渇/悪心・嘔吐/便秘/排尿障害/頭痛/頭重感/めまい/頻脈/過敏症状/顔面潮紅など

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・閉塞隅角緑内障の患者〔抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがあります。〕
・前立腺肥大による排尿障害のある患者〔更に尿を出にくくすることがあります。〕
・重篤な心疾患のある患者〔心拍数を増加させ、症状を悪化させるおそれがあります。〕
・麻痺性イレウスのある患者〔消化管運動を抑制し、症状を悪化させるおそれがあります。〕
・ロートエキスを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方。
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方(ロートエキス散の場合)は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ロートエキス散の有効成分
ロートエキス
▼ロートエキス散の添加物
バレイショデンプン

使用に注意が必要な方
慎重投与
・前立腺肥大のある患者〔尿を出にくくすることがあります。〕
・うっ血性心不全のある患者〔心拍数を増加させ、症状を悪化させるおそれがあります。〕
・不整脈のある患者〔心拍数を増加させ、症状を悪化させるおそれがあります。〕
・潰瘍性大腸炎のある患者〔中毒性巨大結腸をおこすおそれがあります。〕
・甲状腺機能亢進症のある患者〔心拍数を増加させ、症状を悪化させるおそれがあります。〕
・高温環境にある患者〔汗腺分泌を抑制し、体温調節を障害するおそれがあります。〕
・開放隅角緑内障の患者〔抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがあります。〕
・高齢者〔抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘等があらわれやすいです。〕
・妊婦、産婦、授乳婦等〔妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人には投与しないことが望ましいです。乳汁分泌が抑制されることがあります。また、胎児又は新生児に頻脈等を起こすことがあります。〕

重要な基本的注意
視調節障害、散瞳、羞明、めまい等をおこすことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険をともなう機械の操作に従事させないように注意して下さい。

上記にあてはまる方は、ロートエキスを使用する事が出来ない可能性があります。
ロートエキスを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
三環系抗うつ剤/フェノチアジン系薬剤/モノアミン酸化酵素阻害剤/抗ヒスタミン剤/イソニアジド
〔併用により本剤の抗コリン作用(口渇、眼の調節障害、心悸亢進等)が増強することがあります。〕

上記を使用している方は、ロートエキスを使用する事が出来ない可能性があります。
ロートエキスを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
ロートエキスは、有毒植物から作られていると聞きましたが、毒性は大丈夫なのでしょうか。

原料のハシリドコロは強い毒性をもちますが、ロートエキスは用法・容量を守れば毒ではありません。逆に、用法・容量を間違えると、最悪の場合は死に至ります。「薬と毒は紙一重」とも言われるように、薬は使い方によっては有毒になったり、薬理作用が出たりします。他の例を出すと、かの猛毒のトリカブトも、漢方薬に使われています。

ロートエキスは下痢止め薬に含まれていることが多く、下痢止めの効果があるかと思います。下痢止めではない胃腸薬にロートエキスが含まれる場合、それを飲めば下痢止めの効果は得られますでしょうか。

効果があると思われます。下痢は腸管の活発な運動が原因であり、ロートエキスは腸管の運動を抑制するためです。

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