成分名 |
タンニン酸アルブミン |
適応症状 |
下痢症 |
簡易説明 |
タンニン酸アルブミンは一般的な下痢症状を改善する目的で使用される医薬品になります。「下痢症状」の定義は主に水分の多い液状便またはそれに近い状態の便を、たびたび排泄する状態のことを言います。特に水分含有量が一つの指標となり、正常な有形便の水分含有量は70~80%と言われております。この水分量が80~90%になると泥状便、90%以上になると水様便と呼ばれるものになります。
タンニン酸アルブミンは止瀉薬とも呼ばれ、下痢や軟便の改善に広く使用されます。またストレスによって起こる過敏性腸症候群の下痢の治療にも使用されております。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/泌尿器科/産婦人科/小児科/精神科/心療内科/消化器科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約2,000円~5,000円
薬代1gあたりの目安:約10円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
1985年12月26日製造承認(旧販売名:タンナルビン「ホエイ」)
2019年1月16日製造承認(販売名変更)
1950年9月1日薬価基準収載(旧販売名:タンナルビン「ホエイ」)
2019年6月6月14日薬価基準収載(旧販売名:タンニン酸アルブミン「ファイザー」)
2022年4月1日薬価基準収載(販売名変更)
1953年9月発売開始 |
国内のジェネリック認可 |
なし |
関連製品(先発薬) |
タンニン酸アルブミン「メタル」 【製薬メーカー:中北薬品株式会社】
タンニン酸アルブミン「NikP」【製薬メーカー:日医工株式会社】
タンニン酸アルブミン「ニッコー」【製薬メーカー:日興製薬株式会社】
タンニン酸アルブミン「VTRS」原末【製薬メーカー:マイランEPD合同会社】
タンニン酸アルブミン「ケンエー」【製薬メーカー:健栄製薬株式会社】
タンニン酸アルブミン「三恵」【製薬メーカー:株式会社三恵薬品】
タンニン酸アルブミンシオエ【製薬メーカー:シオエ製薬株式会社】
タンニン酸アルブミン〈ハチ〉【製薬メーカー:東洋製薬化成株式会社】
タンニン酸アルブミン(山善)【製薬メーカー:山善製薬株式会社】
タンニン酸アルブミン原末「マルイシ」【製薬メーカー:丸石製薬株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
なし |
効果・作用 |
タンニン酸アルブミンは「下痢症」に効果のある医療用医薬品になります。
【作用機序】
本剤を経口投与した場合には、水には溶解せずに、口腔・胃では分解を受けない為、収斂作用を現しません。腸管内において膵液によって徐々にタンニン酸アルブミンが分解して、タンニン酸を遊離します。このタンニン酸は腸粘膜の表面においてタンパク質と結合する事で被膜を形成し、炎症を起こして水分を吸収できないでいる腸粘膜を優しくいたわる収斂作用を現すことによって止瀉作用を示します。
【下痢の原因】
1)運動亢進性下痢
腸の運動が何らかの原因で異常に高まると、腸管内での便の移動が速くなり、便に保持されている水分を腸管内で再吸収できないことにより引き起こされます。
その原因として精神的ストレス、暴飲暴食、消化不良、冷え等があります。
2)分泌性下痢
腸の粘膜から腸液と呼ばれる液体の分泌が何らかの原因で異常に亢進される事でおこります。また、腸における粘膜障害や、細菌による毒素等によって腸管内における塩類と水分の分泌が促進される場合もあります。
その原因として食あたり、水あたり、食物アレルギー等があります。
3)浸透圧性下痢
腸管内における浸透圧が何らかの原因で上昇する事により、水分や電解質などの吸収が十分できなくなることが要因です。
その原因としていわゆる下痢、サプリメントや人工甘味料の摂りすぎ、暴飲暴食などがあります。
【下痢症状における注意点】
1)水分・電解質をしっかり補給する事
下痢症状が起きているときは、いわゆる脱水症状や電解質異常をきたす危険性が考えられます。スポーツ飲料などで、水分・電解質を補給し、体液バランスを回復させることが大切になります。食事もとれないほどひどい場合には入院・点滴などが必要になりますが、口から摂取できる状態の場合は入院・点滴を必要としません。出来る時はOS-1での水分摂取を推奨しております。今現在ゼリー状のOS-1もありますので自分に適したものを取捨選択する事が可能です。
2)食中毒などの感染性下痢が疑われる場合は、安易に下痢止め薬を服用しない事
感染性における下痢の際には、下痢と一緒に有害菌や有害物質を体外へと排泄しようとする生体防御反応の一つになります。下痢止め薬で下痢を止めてしまうと、有害な菌や物質等を腸管内に留めることとなり、かえって状態の悪化を引き起こします。しかし感染性の下痢はその名の通り家族や同居人にまで感染させてしまう可能性を持っております。下痢は止めずに排泄させつつ感染拡大をしないよう全員で注意する必要があります。
3)長く続く下痢の時は医師の診断を受ける事
長く続くような慢性的な下痢の場合は、他に原因となる疾患のあることが多いと言われております。その為下痢の原因疾患を特定し、適切な処置を受けることが大切です。
例えばストレスが原因の過敏性腸症候群、また潰瘍性大腸炎、クローン病など様々な疾患が考えられますが、今は治療法が確立されている為早めに受診する方が良いでしょう。
4)食事の内容については消化の良いものを摂る事
下痢症状時には消化・吸収によい「おかゆ」などを、少量ずつゆっくり食べましょう。「人参」「ほうれん草」等の緑黄色野菜は、ビタミン・ミネラルが豊富です。果物を摂る場合は、「すりおろしりんご」等がおすすめです。料理の味付けはできるだけ薄味を心がけましょう。
5)脂っぽい物や刺激の強いものは避ける事
下痢症状時はフライや天ぷらなど脂っぽい料理や糖分を多く含む料理、お菓子などは腸管に負担をかけるため避ける事。カレー等の香辛料の効いた料理や食物繊維を多く含む生野菜などは、腸の運動を活発にする事によって症状の悪化を来してしまうため避けた方が良いでしょう。 |
使用方法 |
タンニン酸アルブミンとして、通常成人に対して1日3~4gを用い、1日3~4回に分割して経口投与する事とされております。
なお、年齢や症状によって適宜増減する事もできます。 |
副作用 |
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー様症状(頻度不明)
呼吸困難、蕁麻疹、顔面浮腫等の過敏症状あるいは気管支喘息発作等の症状が発現する可能性があります。ショック、アナフィラキシー様症状の可能性が考えられる場合には速やかに服薬を中止し直ちに受診し主治医に相談するようにしましょう。
その他の副作用
1)長期・大量投与:肝障害(頻度不明)
2)消化器:便秘、食欲不振(ともに頻度不明)
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)出血性大腸炎の患者
腸管出血性大腸菌や赤痢菌等の重篤な細菌性下痢患者においては、下痢を抑えることにより体内に在留する時間が延長する為、症状の悪化や治療期間の延長をきたす可能性があります。
基本的な考え方として感染性胃腸炎の場合には下痢は止めずにおくこととし、点滴や経口補水液等の水分摂取をこまめにとることが必要となります。そういった理由からタンニン酸アルブミンなどの下痢止めは服用できません。
2)牛乳アレルギーのある患者
本剤はタンニン酸とタンパク質との化合物であり、そのたんぱく質は「乳性カゼイン」になります。牛乳アレルギーの多くは、牛乳タンパクの中の「カゼイン」が原因になります。これらの摂取によりショックまたはアナフィラキシー様症状を起こす可能性がある為服用できません。
3)本剤に対し過敏症の既往歴のある患者
■タンニン酸アルブミンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方タンニン酸アルブミン「VTRS」原末は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼タンニン酸アルブミン「VTRS」原末の有効成分
タンニン酸アルブミン
▼代表薬の添加物
タンニン酸アルブミン
本剤は、タンニン酸とたん白質との化合物であり、そのたん白質は乳性カゼインになります。
4)細菌性下痢のある患者
治療期間の延長をきたす可能性がある為服用できません。
使用に注意が必要な方 1)肝障害のある患者
服用する事により肝障害を悪化させる可能性がある為服薬に注意が必要になります。特に、長期・大量投与は避けることとされております。
2)高齢者
一般的に高齢者は生理機能が低下している為減量するなどの注意が必要になります。
上記にあてはまる方は、タンニン酸アルブミンを使用する事が出来ない可能性があります。 タンニン酸アルブミンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 塩酸ロペラミド(医薬品名:ロペミンカプセル1mg/ロペミン細粒0.1%)
本剤により塩酸ロペラミドが吸着されるため、塩酸ロペラミドの効果が減弱する可能性がある為、投与間隔を開けるなど服薬の際には注意が必要になります。
上記を使用している方は、タンニン酸アルブミンを使用する事が出来ない可能性があります。 タンニン酸アルブミンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 経口鉄剤(クエン酸第一鉄ナトリウム製剤・硫酸鉄等)
本剤は鉄と結合し、タンニン酸鉄となることによって、タンニン酸による収斂作用が減弱すると共に鉄剤による鉄欠乏性貧血改善の効果も減弱する為併用して服用する事はできません。
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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