トリメブチンマレイン酸塩

成分名

トリメブチンマレイン酸塩

適応症状

慢性胃炎における消化器症状(腹部疼痛、悪心、あい気、腹部膨満感)/過敏性腸症候群 など

簡易説明

「トリメブチンマレイン酸塩」は、胃腸の調子を整える薬で、過敏性腸症候群、慢性胃炎の曖気、慢性胃炎の悪心、慢性胃炎の消化器症状、慢性胃炎の腹部疼痛、慢性胃炎の腹部膨満感の治療に用いられます。
日本では、田辺三菱製薬がセレキノンの商品名で販売しており、また、東和薬品がトリメブチンマレイン酸塩の商品名で販売しています。
「トリメブチンマレイン酸塩」は、弱った胃腸を活発にして、食べ物を胃から腸へ送り出すのを助けて、逆に胃腸運動が亢進していると抑制的に働きます。
「トリメブチンマレイン酸塩」は、慢性胃炎の吐き気や痛み、胸やけ、食欲不振や膨満感などに用いるほか、下痢や便秘を繰り返す過敏性腸症候群にも適応しており、下痢型の過敏性腸症候群に高い効果あり、好んで用いられます。

処方可能な診療科目

内科/消化器科/胃腸科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約2,000円~10,000円
セレキノン錠100mg 11.5円/錠 (薬価)
*病院によって差が有ります。初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1984年5月認可

国内のジェネリック認可

ジェネリックあり

関連製品(先発薬)

セレキノン錠100mg 【製薬メーカー:田辺三菱製薬】

関連製品(ジェネリック)

トリメブチンマレイン酸塩錠100mg「ツルハラ」 【製薬メーカー:鶴原製薬】
トリメブチンマレイン酸塩細粒20%「ツルハラ」 【製薬メーカー:鶴原製薬】

効果・作用

「トリメブチンマレイン酸塩」は、過敏性腸症候群、慢性胃炎の曖気、慢性胃炎の悪心、慢性胃炎の消化器症状、慢性胃炎の腹部疼痛、慢性胃炎の腹部膨満感などの、治療に用いられて、胃腸の調子を整える薬です。
「トリメブチンマレイン酸塩」は、弱った胃腸を活発にして、食べ物を胃から腸へ送り出すのを助けて、逆に胃腸運動が亢進している場合は抑制的に働き、そのような両方の作用により、胃腸の調子を整えます。
慢性胃炎にともなう吐き気や痛み、胸やけ、食欲不振や膨満感、などに用いるほか、下痢や便秘を繰り返す過敏性腸症候群にも適応することや、下痢型の過敏性腸症候群に効果が高いことから、好んで用いられます。
「トリメブチンマレイン酸塩」は、胃腸に存在するオピオイド受容体に作用して、胃腸の運動を正常化さて、低用量ではノルアドレナリンを抑制し、アセチルコリンの働きを強めて消化管運動を促進する作用が優位になります。
逆に高用量ではアセチルコリンの遊離をおさえて、消化管運動を抑制する作用が強まります。

薬効薬理としては以下になります。
▼消化管平滑筋に対する作用
トリメブチンは、平滑筋細胞の弛緩した細胞に対しては、Kチャネルの抑制に基づく脱分極作用で細胞の興奮性を高めて、一方で細胞の興奮性に応じてCaチャネルを抑制することで過剰な収縮を抑制することが推測されます。

▼オピオイド受容体を介する作用
トリメブチンは、運動亢進状態の腸管では、副交感神経終末のオピオイドμ及びκ受容体に作用して、アセチルコリン遊離を抑制して、消化管運動を抑制します。一方、運動低下状態の腸管では、交感神経終末にあるμ受容体に作用し、ノルアドレナリン遊離を抑制します。その結果、副交感神経終末からのアセチルコリン遊離が増加し、消化管運動を亢進します。

▼胃運動調律作用
モルモット摘出胃前庭部の輪状筋標本に対して、10~5g/mLで自動運動の振幅を減少させます。一方で、同標本の28℃での不規則かつ減弱した運動には頻度及び振幅を増加させて、規則的な律動性収縮運動へ移行させます。胸部迷走神経を切断した麻酔イヌの不規則な胃運動に対し、3mg/kgの静脈内投与で規則的な胃運動に移行させます。消化器疾患患者の胃幽門部運動に対して、1mg/kgの静脈内投与で運動機能亢進群では運動抑制が認められます。一方、運動機能低下群では運動亢進が認められます。

▼消化管連動運動誘発作用
ヒトの消化管運動に対して、4~6mg/kgの空腸内投与で生理的な消化管連動運動の誘発が認められます。

▼胃排出能改善作用
上腹部消化器不定愁訴を有する慢性胃炎患者に対して、200mgの経口投与で、胃排出能の低下している場合には亢進させます。一方、亢進している場合には抑制傾向が認められます。

▼腸運動調律作用
モルモット摘出結腸標本に対して、10~5g/mLで筋の緊張度が低い場合(低負荷時)にはトーヌスを増加させます。一方、筋の緊張度が高い場合はトーヌスを低下させて、振幅を減少させます。過敏性腸症候群患者の心理ストレス負荷による大腸運動亢進に対して、300mg経口投与で運動抑制が認められます。ネオスチグミン負荷により運動亢進したヒトの回腸、上行結腸、S状結腸に対して、50mg静脈内投与で、負荷前のレベルまで運動を抑制します。

▼食道下端括約圧(LESP)調節作用
麻酔イヌにおけるテトラガストリン負荷誘発食道下端括約圧上昇は、0.6mg/kg静脈内投与で低下します。一方、セクレチン負荷誘発内圧低下は上昇します。

▼消化管平滑筋直接作用
モルモット摘出胃前庭部の輪状筋標本における自動運動抑制作用は、フェントラミン、アトロピン、プロプラノロール及びテトロドトキシンの存在下でも発現します。モルモット摘出回腸のアセチルコリンによる収縮を非競合的に抑制します。また、麻酔イヌの消化管運動に対する作用は胸部迷走神経を切断しても発現します。

▼末梢性鎮吐作用
イヌにおいて、アポモルヒネ誘発の嘔吐の抑制作用は弱いですが、硫酸銅誘発の嘔吐に対して、3mg/kgの静脈内投与又は60mg/kgの経口投与で嘔吐発現潜時を明らかに延長させます。

使用方法

▼用法用量
[慢性胃炎における消化器症状]
・トリメブチンマレイン酸塩として、通常成人1日量300mgを3回に分けて経口投与します。なお、年齢や症状により適宜増減します。
[過敏性腸症候群]
・トリメブチンマレイン酸塩として、通常成人1日量300~600mgを3回に分けて経口投与します。

▼適用上の注意
[薬剤交付時の注意]
・PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導してください。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがあります。

副作用

重大な副作用
▼肝機能障害(0.1%未満)、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、ALP、LDH、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあります。なお、発現頻度は、製造販売後調査の結果を含みます。

その他の副作用
・便秘、下痢、腹鳴、口渇、口内しびれ感、悪心、嘔吐
・心悸亢進
・眠気、めまい、倦怠感、頭痛
・発疹、蕁麻疹、そう痒感
・排尿障害、尿閉

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
報告なし

使用に注意が必要な方
■授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続又は中止を検討してください。非臨床試験で乳汁への移行が認められています。

■小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していません。

■高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下していることから、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与してください。

上記にあてはまる方は、トリメブチンマレイン酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
トリメブチンマレイン酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

報告なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
「トリメブチンマレイン酸塩」はどのような特徴がありますか?

「トリメブチンマレイン酸塩」は、一般によく処方される胃腸薬で、薬理学的には、「オピアト作動薬」の部類になります。薬効分類的に「消化管運動調律薬」もしくは「胃腸機能調整薬」に分類されて、比較的少量で消化管運動を促進、大量では逆に抑制します。下痢型の過敏性腸症候群に用いられることが多く、安全性が高くて副作用も少ない薬です。

「トリメブチンマレイン酸塩」を飲むにあたり、食生活で気をつけることはありますか?

慢性胃炎(機能性胃腸症)では、薬だけに頼るのでなく、食生活の改善も必要です。暴飲暴食を避けて、普段から腹八分目を心がけてください。

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