成分名 |
ラクチトール水和物 |
適応症状 |
非代償性肝硬変の高アンモニア血症 |
簡易説明 |
・腸内で酸性度を高めることで、腸管でのアンモニア産生や吸収などを低下させ血液中のアンモニアを低下させる効果があり、主に非代償性肝硬変の高アンモニア血症に使用されます。
・体内の乳酸菌を増やし腸内を酸性にし、悪玉のアンモニア産生菌を減らすことで、便通もよくなり、アンモニアの排泄が促されることで吸収を抑制することができます。
・アンモニアを産生する腸内細菌を減らすことにより、肝性脳症を改善いたします。 |
処方可能な診療科目 |
内科/消化器内科/泌尿器科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安:約1,000円~3,000円
薬代原末1gあたりの目安:6.5円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月日:1998年12月【ポルトラック原末】 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
ポルトラック原末 【製薬メーカー:日本新薬】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
効果・作用 |
▼ラクチトール水和物の作用
・ラクチトールは、腸内で細菌によって分解され有機酸(酢酸など)を生成し、腸管内が通常よりも酸性になり、腸管でのアンモニア産生及びアンモニアの腸管吸収の抑制作用によって、血液中のアンモニアを低下させる作用があります。
・血液中のアンモニアを減らすことにより、肝硬変などによる意識障害、運動障害の症状を抑制する効果があります。
・消化管粘膜にはラクチトールを分解する酵素が存在しないため、経口投与後、分解・吸収されることなく大腸に到達、大腸内の細菌により利用・分解され、有用菌であるBifidobacteriumを増加させます。生成した短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)による腸管内pH低下作用、並びに腸管輸送能の活発化により、腸管内アンモニアの生成や吸収を抑えます。また、腸管の運動を促進し、ガスを出したり、便を柔らかくする作用もあります。
▼ラクチトールで生成された短鎖脂肪酸の役割
・短鎖脂肪酸は、小腸の毛細血管から吸収、門脈経由で肝臓に送られ、大腸の組織を正常に保つための栄養源や、大腸内を弱酸性にして悪玉菌の増殖を防ぎ腸内環境を整えたりする働きもあります。カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラルの吸収を助ける効果もあります。
▼高アンモニア血症の基準値と症状
・基準値は15~70μg/dlとなります。成人より小児のほうが高値です。 アンモニアは、激しい運動をしたあとや高蛋白質の食事をとったあとに高値になります。症状としては、嘔吐、哺乳力低下、多呼吸、痙攣、意識障害、行動異常、発達障害などで、時には命にかかわるような重篤な状態になることもあります。
▼腸内酸性度と悪玉菌
・腸内のpHは低い(酸性が強い)ほど便の色は黄色っぽくなり、pH7(中性)を越えると茶色、pH8(弱アルカリ性)になると黒っぽくなります。pHに大きく影響しているのが腸内細菌の状態で、「大腸菌、ウェルシュ菌」などの悪玉菌が作り出す成分は、腸内をアルカリ性にするので「焦げ茶色~黒色の濃い色の便」は悪玉菌が増えているサインなので要注意です。
▼非代償性肝硬変とは
・肝硬変は程度により「代償性」と「非代償性」に分けられます。
「代償性」・・肝臓の機能がなんとか保たれており、症状は現れないことが多い
「非代償性」・・肝機能を代償することが出来ない程度にまで悪化している状態
症状としては、腹水や黄疸、肝性脳症、浮腫などがあります。
主な原因は、ウイルス性、アルコール性、非アルコール性、自己免疫性などによる炎症が長期に渡り起こることです。ラクチトールは非代償性肝硬変による高アンモニア血症に効果があります。
▼腸内環境を整えることで高アンモニア血症の予防
・ビフィズス菌は大腸の善玉菌の99.9%を占めますが、年齢を重ねるにつれ減っていき、成人で10~20%、老年期では1%未満まで減ります。そこで「サプリメント、ヨーグルト、青汁」などで補充し、穀類(玄米、胚芽米、麦飯など)、豆類、いも、野菜、きのこ、海藻、果物、こんにゃく、ゴボウ、玉ねぎ、ハチミツ、バナナ、きなこなどを摂取することでビフィズス菌が増加いたします。善玉菌を増やすことで悪玉菌を減らし腸内環境を正常にすることで、高アンモニア血症の予防にもつながります。
▼アンモニア代謝を浴することで防げる肝性脳症
・肝硬変などで肝障害が悪化すると、アンモニアなどの有毒な物質が、体内や脳に溜まって、アンモニアの代謝ができなくなります。血液中のアンモニアが増加すると、脳に悪影響し眠気をもたらし、人格変化、異常行動、ふるえなどを起こし昏睡状態になることもあります。
肝性脳症の分類は3つに分けられます。
A型・・急に肝臓が悪くなることが原因で起こる肝性脳症
B型・・血管の異常に対して、カテーテル手術が必要になる場合があります。
C型・・慢性的にもともとある肝硬変が原因で起こる肝性脳症
アンモニアの代謝を上げることで、初回発症後の再発を予防します。
▼ラクチトールとラクツロース
ラクツロースの効果は、高アンモニア血症に伴う下記症候の改善、精神神経障害、脳波異常、手指振戦。と、若干違いがります。また、浸透圧作用による緩下作用(緩やかに排便を促進する作用)や分解をうけて生成した有機酸による腸管運動活発化作用により、排便(便秘)改善などの目的で使われるものもあります。 |
使用方法 |
・成人にはラクチトール水和物として1日量18~36gを3回に分けて用時、水に溶解後経口投与してください。
※本剤の投与により下痢が惹起されることがあるので、初回投与量は1日量18gとして漸増し、便通状態として1日2~3回程度の軟便がみられる量を投与してください。
※ただし、1日量36gを超えないよう注意してください。
用法及び用量に関連する注意
・水様便があらわれた場合には、減量又は投与を一時中止してください |
副作用 |
主な副作用
下痢、悪心、嘔吐、腹部膨満、腹痛、放屁、排便回数増加、食欲不振、皮膚そう痒感、LDH上昇、ヘモグロビン減少
※異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。
その他の副作用
好酸球増多、倦怠感
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ・妊婦/産婦の方
・ガラクトース血症の方
使用に注意が必要な方 ・授乳婦の方
・新生児(低出生体重児を含む)
・乳児
・幼児・小児
・高齢者
上記にあてはまる方は、ラクチトール水和物を使用する事が出来ない可能性があります。 ラクチトール水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用禁忌薬 ▼消化器系副作用が増強してしまう
αグルコシダーゼ阻害剤/アカルボース/ボグリボース/ミグリトール
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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