フィダキソマイシン

成分名

フィダキソマイシン

適応症状

クロストリジウム・ディフィシル菌による感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)

簡易説明

フィダキソマイシンは抗生物質の一種で、クロストリジウム・ディフィシル菌を殺菌する抗菌薬です。
偽膜性大腸炎をはじめとした、ディフィシル菌による感染性胃腸炎の治療に使われます。
ディフィシル菌は抗生物質の使用により、腸内細菌のバランスが崩れ、大腸内で異常に増殖することがあります。それらが原因で腹痛から下痢などが起こってしまい、重症化また致死的な病態になる恐れがあります。
初発、再発または重症度に関わらずフィダキソマイシンは治療に適用可能です。

処方可能な診療科目

内科/消化器科/胃腸科 など

健康保険の適応

健康保険の適応あり

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~10,000円
薬代1錠あたりの目安:200mg約4012.8円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売開始:2018年9月【ダフクリア錠200mg】

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ダフクリア錠200mg【製薬メーカー:アステラス製薬】
DIFICID【製薬メーカー:Optimer】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

・アメリカ 2011年5月27日
・ヨーロッパ(イギリス、オーストリア、ベルギー、スウェーデンなど) 2011年12月5日
・カナダ 2012年6月21日
・台湾 2012年9月7日
・オーストラリア 2013年4月23日
・ニュージーランド 2014年4月10日
・スイス 2014年5月1日
・ジョージア 2014年6月11日
・トルクメニスタン 2014年7月2日
・モルドバ 2014年8月20日
・アゼルバイジャン 2014年9月17日
・タジキスタン 2014年10月8日
・キルギスタン 2014年10月31日
・アルメニア 2014年12月29日
・カザフスタン 2015年1月16日
・ウズベキスタン 2015年4月30日
・ウクライナ 2015年8月20日
・メキシコ 2016年1月8日
・コロンビア 2016年1月13日
・ベラルーシ 2016年3月2日
・イスラエル 2016年3月8日
・アルゼンチン 2016年7月11日
・サウジアラビア 2016年10月23日
・南アフリカ共和国 2017年11月23日
・トルコ 2017年12月12日
2018年時点でフィダキソマイシンが上記含め55か国と地域で承認されています。

効果・作用

フィダキソマイシンは抗生物質の一つで、クロストリジウム・ディフィシルに対する抗菌力を持っています。クロストリジウム・ディフィシル菌(clostridium difficile;C. difficile)によって引き起こされる感染症の事を別名CDIとも呼ばれています。
主な作用として、細菌の遺伝子転写にかかわるRNAポリメラーゼという酵素を阻害し、クロストリジウム・ディフィシル菌の増殖を止める作用があります。抗菌スペクトルは狭いため、クロストリジウム・ディフィシル菌などのグラム陽性菌には強い効果がありますが、それ以外のグラム陰性菌に対しては抗菌力を発揮しません。また、耐久性の高い芽胞細胞の形成の抑制、毒素産生の阻害をする作用も併せて持っています。

◆ディフィシル菌による感染性胃腸炎(CDI)とは
通常健康な人間の大腸には様々な細菌が正常なバランスを保って、健康維持として役割をしています。
何らかの治療など抗生物質の服用によって、そのバランスが乱れ、毒素を産生する細菌の一つディフィシル菌が異常に増殖してしまうことで、大腸に炎症が起こることを指します。大腸の粘膜表面に数mmほどの白がかった半球状の膜ができる特徴を持った病気です。
抗生物質の使用、または飲み終わって数日経過後、腹部の膨張感/吐き気/発熱/腹痛/高頻度の下痢などの症状がある場合は偽膜性大腸炎の疑いが出てきます。
重篤な状態になってしまうと、敗血症、消化管穿孔、脱水症状、ショック状態などが引き起こされてしまうことがあります。
高齢患者、長期入院、重症疾患、免疫不全などにより抗生物質等の投与が腸内細菌の増殖に繋がり偽膜性大腸炎などの感染性胃腸炎が継続的に再発するリスクが高いとされています。
偽膜性大腸炎に対し抗菌薬療法として、以前まではバンコマイシン及びメトロニダゾールが推奨されていましたが、近年フィダキソマイシンも日本で適応されることとなりました。
治療に関しては、基本的に症状が軽度の場合、原因となる抗生物質の使用中止が挙げられます。症状に応じてフィダキソマイシンをはじめとする抗菌薬を使用していくことになります。

◆同効果を持つバンコマイシンとの違いについて
バンコマイシンは偽膜性大腸炎を含む感染性腸炎のほかにMRSAや消化管内殺菌など適応される症状がいくつかあるのに比べ、フィダキソマイシンはクロストリジウム・ディフィシル菌に対して選択的に作用します。
そのためバンコマイシンより腸内細菌への影響が少ないとされています。
ディフィシル菌に対しての効果はどちらも同等という研究結果も出ていますが、選択的な作用をするかがフィダキソマイシンとの大きな違いとなります。

使用方法

感染性腸炎の場合、通常、成人にはフィダキソマイシンとして1日2回経口投与をします

※フィダキソマイシンの使用については、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を必ず確認してください。
※フィダキソマイシンの投与期間は原則として10日間であり、この期間を超えて使用する場合、ベネフィットリスクを考慮して投与の継続は医師に相談し判断してください。
▼飲み忘れの際の注意点
気が付いた際に直ぐに服用してください。ただし、次に服用する時間が近しい場合は、忘れた分は飲まず通常の服用タイミングで1回分を飲んでください。2回分を一度にまとめて飲まないでください。
その他、服用期間は、原則10日間であることから、自身の判断で止めてしまうと、再発したり治りにくくなるおそれがあります。医師の指示に従い、正しく服用してください。

副作用

重大な副作用
▼アナフィラキシー(頻度不明)
アナフィラキシー(発疹、そう痒症、血管浮腫、呼吸困難等)があらわれることがあります。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。

その他の副作用
・便秘、悪心、嘔吐
・腹部膨満、下痢、口内乾燥、鼓腸
・浮動性めまい、味覚異常、頭痛
・ALT上昇、食欲減退

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。
■フィダキソマイシンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方ダフクリアは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ダフクリアの有効成分
フィダキソマイシン
▼代表薬の添加物
・結晶セルロース
・酸化チタン
・部分アルファー化デンプン
・三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄
・タルク
・マクロゴール
・ヒプロメロース
・ヒドロキシプロピルセルロース
・デンプングリコール酸ナトリウム
・ステアリン酸マグネシウム

使用に注意が必要な方
■妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
■授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮して、授乳の継続又は中止を検討してください。
■小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していません。
■高齢者
高齢者は一般に生理機能が低下していることから、患者の状態に注意して投与してください。高齢者のクロストリジウム・ディフィシルによる腸炎患者に本剤200mgを1日2回反復経口投与したときのフィダキソマイシン及びOP-1118の血漿中濃度は、非高齢患者に比べ高い傾向を示しました。これは血漿中薬物濃度の差について臨床的意義は無いと考えられます。

上記にあてはまる方は、フィダキソマイシンを使用する事が出来ない可能性があります。
フィダキソマイシンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
肝機能障害や透析を行っている場合は服用できますか?

できます。肝機能障害・透析患者でも、フィダキソマイシンの用法や使用用量を調整する必要は無いとされています。

服用をする際に食事など気にしなくてはいけませんか?

基本的にフィダキソマイシンは腸管からほとんどが吸収されません。全身に対する作用が少なく、食事からの影響は認められていません。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。