酪酸菌

成分名

酪酸菌

適応症状

・腸内菌叢の異常の諸症状の改善

簡易説明

酪酸菌は、おなかの調子をよくすし、下痢や便秘の改善に使用されます。
ビフィズス菌や乳酸菌と同様に食物繊維をエサにして増えますが、腸内細菌の中で「酪酸」を生み出すことが可能なのは酪酸菌だけとなっています。
善玉菌が発酵することで生成される短鎖脂肪酸は3つあり「酪酸」「酢酸」「プロピオン酸となっており、体の脂肪を構成する脂肪酸のことです。腸内を弱酸性に保って悪玉菌の増殖を抑制し、免疫力を整える効果があります。

処方可能な診療科目

内科/消化器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1,000円~3,000円
薬代1錠あたりの目安:5.7円
薬代細粒1gあたりの目安:6.3円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:1972年3月【ミヤBM錠】

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

▼酪酸菌のみ
ミヤBM錠【製薬メーカー:ミヤリサン製薬】
ミヤBM細粒 【製薬メーカー:ミヤリサン製薬】
▼酪酸菌+ラクトミン+糖化菌
ビオスリー配合散【製薬メーカー:東亜薬品工業】
ビオスリー配合錠【製薬メーカー:東亜薬品工業】
ビオスリー配合OD錠【製薬メーカー:東亜薬品工業】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

▼酪酸菌の作用▼
・腸内には多種多様な細菌が生息しており、その集団を「腸内菌叢」もしくは「腸内フローラ」と呼び、大きく善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分かれます。消化器症状は、何らかの原因によりこのバランスが崩れ異常をきたすと起こり、腸内にこれらの菌を補うことで腸内細菌環境を整え、消化器症状を改善します。
・酪酸菌は酪酸を大腸管腔に放出しますが、一部はパイエル板においてマクロファージを活性化し、未分化のT細胞を調節性T細胞(Treg)への分化を誘導、全身の免疫の過剰を抑制します。
・酪酸菌優位な腸内環境は全身の免疫系を調節する能力があると考えられており、この作用により、I型アレルギーやリウマチや骨粗鬆症などに対して予防、治療改善効果があると期待されています。
・腸内は本来酸性ですが、状態が悪いとアルカリ性に傾く事があります。酪酸菌は腸内のpH(ペーハー)のバランスを整える効果も期待されています。

▼酪酸菌の効果▼
「免疫調整」
・酪酸には「制御性T細胞」という、免疫の過剰な反応を抑制するする細胞を増やす働きがあり、自己免疫疾患や炎症、アレルギーなどの病的な免疫応答を抑制する可能性があるち考えられています。
「大腸がん抑制」
・食物繊維の摂取により腸が生成する酪酸の量が増加することで、結腸がんのリスクを減らす可能性があるという研究があり、結腸がん・直腸がん細胞の増殖を阻害し、細胞死を誘発すると考えられています。
「インスリンの感受性改善」
・酪酸菌が作り出す酪酸は、インスリンの感受性を改善し、血糖値の上昇を抑制する効果が期待されます。また、2型糖尿病の治療に役立つ可能性が示唆されています。
「過敏性腸症候群改善」
・実験で、マイクロカプセル化酪酸ナトリウムの投与により、過敏性腸症候群の方の排便時の痛みや排便習慣が改善したという報告があり、酪酸サプリメントの使用は過敏性腸症候群だけでなく、クローン病の治療薬としても利用できる可能性があるという研究もあります。

▼酪酸菌の特徴▼
「胃酸や胆汁に強い」
・乳酸菌やビフィズス菌は、胃液のような強い酸性下では殆どが死滅してしまうのに対し、酪酸菌は体内に入ると芽胞を形成して自らを守るため、殺菌されにくく生きたまま腸に届きます。
「高熱に強い」
・芽胞に包まれた酪酸菌は、酸だけでなく熱にも強いのも特徴の一つで、100℃にも耐えうる胞子(芽胞)を形成し増殖が出来ない場所では活動を停止(休眠)し、環境が良くなると改めて生育を開始します。
「抗生物質に強い」
・抗生剤は腸内細菌も殺してしまうため、腸内のバランスは大きく崩れてしまいますが、酪酸菌は抗生物質と一緒に飲んでも殺菌されることがなく、腸管内で発芽、増殖することがわかっています。
「安全性が高い」
・酪酸菌はもともと人間の体内に存在する菌ですので、安全性が高く、中毒や副作用が起こった例は未だに報告されていません。
「減量に向いている」
・蓄積しにくい脂肪酸なので、ダイエットや肥満予防の面でも注目されています。

▼酪酸菌と乳酸菌の違い▼
・乳酸菌と酪酸菌は違う菌です。生息場所も違っており、同じ腸内に生息することが可能です。
違い① 
「作る酸の種類」
・酪酸菌は酪酸(短鎖脂肪酸)を作ります。
・乳酸菌は乳酸を作ります。
違い② 
「主な働き」
・酪酸菌は、大腸の中でも肛門に近い酸素が少ない場所に生息し、大腸全体のエネルギー源である「酪酸」を作ります。悪玉菌の増殖を押さえます。また、酪酸を作りながら酸素を消費するので、酸素がニガテなビフィズス菌などの善玉菌にとってよりよい腸内環境を作ります。
・乳酸菌は、小腸の下の方や大腸の小腸に近い部分に生息し「乳酸」を作り、悪玉菌の増殖を押さえます。

▼長寿との関連▼
・酪酸菌は乳酸菌とともに長寿との関連が注目されており、高齢者の多い地域での住民の腸内細菌を解析したところ、酪酸菌が多く検出されることが報告されています。
また、65歳以上の人の腸内細菌を調べたところ、統計的に有意差のある腸内細菌のトップ4を占めたのはすべて酪酸菌だったと報告があります。

▼新型コロナウィルスとの関連▼
・新型コロナ感染との関連も指摘されており、腸内細菌叢の崩壊が重症化へのリスクを増加させることが報告されています。
酪酸菌の消失が大きなカギであることが明らかになっており注目されています。
これにより、酪酸菌を増やす食材を積極的に摂取し、腸内細菌叢を酪酸菌優位にしておけば新型コロナに感染しにくいか、もしくは重症化しにくいと考えられています。

▼大腸がんとの関連▼
・酪酸が、ヒストンのアセチル化を促進し、これにより「p21遺伝子」を刺激、細胞サイクルをG1期で留めるタンパク質であるp21が大腸がんをG1期に留め置き大腸がんを抑制することが報告されています。

▼糖尿病と酪酸の関係▼
・酪酸は、近年の研究から、2型糖尿病との関連も指摘されています。
研究では、酪酸が血糖値の上昇の抑制に役立つ可能性が示唆され、食物繊維を豊富に含む食事(高繊維食)を摂取した群と通常の糖尿病治療食を摂取した群とで、糞便中の短鎖脂肪酸の濃度を比較した結果、短鎖脂肪酸のうち酢酸の濃度には差が認められなかったが、酪酸の濃度は高繊維食群で増加が認められる結果がでました。これにより、高繊維食群ではインスリンの分泌を促進するGLP1というホルモンが生成され、長期的な血糖値の指標のHbA1cの低下がみられたと報告があります。

新型コロナウイルス感染症予防・治療に関して

▼新型コロナウィルスとの関連▼
・新型コロナ感染との関連も指摘されており、腸内細菌叢の崩壊が重症化へのリスクを増加させることが報告されております。酪酸菌の消失が大きなカギであることが明らかになっており注目されております。これにより、酪酸菌を増やす食材を積極的に摂取し、腸内細菌叢を酪酸菌優位にしておけば新型コロナに感染しにくいか、もしくは重症化しにくいと考えられております。

使用方法

・1日3~6錠を3回に分割経口投与してください。
※なお、年齢、症状により適宜増減してください。

副作用

副作用は現在報告されていません。

※異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用に注意が必要な方、使用出来ない方は現在報告されていません。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
酪酸菌は健康にいい理由はなんですか?

調節性T細胞 ( Treg )の 分化 を促進し、全身の免疫機能を調節改善いたします。長寿の老人は酪酸菌が優位であるという報告もございます。

妊娠中・授乳中でも服用は大丈夫でしょうか?

問題ありません。服用後、赤ちゃんに悪影響が及んだ報告はありません。

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