デヒドロコール酸

成分名

デヒドロコール酸

適応症状

デヒドロコール酸は胆道系、つまり胆管や胆のうにおける疾患に対する利胆(胆汁の分泌又は排出を促進する事、胆嚢の働きを良くする事)、及び胆汁うっ滞を伴う肝疾患(急性肝炎、肝硬変、B型/C型肝炎、肝がん、非アルコール性脂肪肝炎、その他の肝臓病等を指します)における利胆に対して適応を持ちます。

簡易説明

デヒドロコール酸を主成分とする商品は、10%デヒドロコール酸注「ニッシン」ただ一つになります。そして、薬価基準に収載されている利胆剤の注射剤も本剤のみになります。
デヒドロコール酸はもともとコール酸を酸化する事により精製された化合物で、強力な速効性の胆汁分泌促進薬になります。胆汁量の増加作用を持ちつつ、低比重の胆汁を分泌します。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/脳神経外科内科/泌尿器科/消化器内科外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代1管あたりの目安:10mL480円(薬価)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

【デヒドロコール酸を主成分とする医薬品:10%デヒドロコール酸注「ニッシン」】
1984年9月14日:製造販売承認
1975年1月1日:薬価基準収載
1975年1月:発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

10%デヒドロコール酸注「ニッシン」【製薬メーカー:日本新薬株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

デヒドロコール酸は胆道系、つまり胆管や胆のうにおける疾患に対する利胆(胆汁の分泌又は排出を促進する事、胆嚢の働きを良くする事)、及び胆汁うっ滞を伴う肝疾患(急性肝炎、肝硬変、B型/C型肝炎、肝がん、非アルコール性脂肪肝炎、その他の肝臓病等を指します)における利胆にたいして効果のある医薬品になります。

胆汁酸は5種類存在します。まず、肝臓で合成されるのはコール酸とケノデオキシコール酸になります。これらが胆汁の成分として腸に排出されると、腸内細菌によってリトコール酸、デオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸に変ります。
肝臓で作られた胆汁酸は、小腸で脂肪の消化吸収に働いたのち、95%以上が門脈を通って肝臓に戻り再利用されます。このサイクルを腸肝循環と呼びます。加齢等により肝臓の機能が低下してくると、胆汁流量が減少してしまいます。この腸肝循環のサイクルが滞ってしまうと、胆汁の排出が低下し脂肪の消化吸収が困難になってしまいます。

デヒドロコール酸の作用機序になりますが、10%デヒドロコール酸注「ニッシン」は強力且つ速効性のある胆汁分泌促進薬になります。投与する事により胆汁量は増加しますが、胆汁中の固形分の増加は伴わない為低比重の胆汁分泌が起こります。
薬理学的に類似した医薬品にウルソデオキシコール酸があります。こちらは内服薬になりますので経口摂取する事により腸管から吸収され、そのまま腸肝循環に入ります。ウルソデオキシコール酸は特徴の一つとして自分が胆汁酸として働く作用もあります。また肝細胞の機能を改善する事により胆汁分泌を促進します。
以上の作用によって、肝細胞内に滞っていた胆汁酸が分泌されると、脂肪の消化吸収が改善され、胃もたれや消化不良が解消されます。

デヒドロコール酸は胆道系疾患等における利胆作用に適応症を持ちます。利胆作用とは胆汁の流れを改善して肝臓を守る薬を言います。利胆薬の他に催胆薬(肝臓に働いて、胆汁生成を促進させる薬)や、排胆薬(胆嚢に働いて、胆汁分泌を促進する薬)があります。排胆薬の作用はオッジ括約筋を弛緩させる事によって、胆汁、膵液の十二指腸への排出を促進し膵胆道内圧を低下させます。

使用方法

デヒドロコール酸(10%デヒドロコール酸注「ニッシン」)として、通常成人に使用する場合には、1日100mg~1000mg(1mL~10mL)を1日~3日間隔で静脈内注射をすることとされております。なお、患者の年齢や症状によっては適宜増減する事が認められております。

副作用

重大な副作用
1)ショック(頻度不明)
血圧低下、喉頭痙攣、呼吸困難、全身硬直、痙攣、頻脈等があらわれるとの報告があります。この様な症状が現れた場合には投与を中止する事とされております。

その他の副作用
消化器、皮膚、その他の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
1)消化器
悪心・嘔吐、軟便、下痢等(頻度不明)
2)皮膚
発赤、全身掻痒感等(頻度不明)
3)その他
悪寒、発熱、咳嗽、頭痛、不快感(頻度不明)

消化器で見られるような症状が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)完全胆道閉塞のある患者
分泌が増量した胆汁は、胆道内圧を上昇させてしまい、逆に疼痛を起こし、かえって病像を悪化させる為使用できません。
2)急性期の肝・胆道疾患のある患者
急性期の炎症が存在する場合には、デヒドロコール酸(10%デヒドロコール酸注「ニッシン」)を使用する事により、大量の胆汁の排出が促進され、この胆汁の排出が炎症にかえって悪影響を与える事になる為使用できません。
3)重篤な肝障害のある患者
肝細胞が障害されている時には、肝臓における血流量、胆汁の流出量を著しく増加させるデヒドロコール酸(10%デヒドロコール酸注「ニッシン」)の使用は、肝細胞の疲憊を増強させてしまう為使用できません。
4)気管支喘息、アレルギー性疾患のある患者
胆汁酸及びその塩を静脈内に注射すると、痙攣、喉頭痙攣、全身の硬直、血圧低下を伴うショックが起こる事が報告されている為使用できません。
5)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
■デヒドロコール酸を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、10%デヒドロコール酸注「ニッシン」はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼10%デヒドロコール酸注「ニッシン」の有効成分
デヒドロコール酸
▼代表薬の添加物
・pH調整剤

使用に注意が必要な方
1)高齢者
一般的に高齢者では生理機能が低下している為使用には注意が必要です。
2)12歳以下の小児
小児(12歳以下)への投与に関する安全性は確立していない為使用には注意が必要です。
3)妊婦、産婦、授乳婦等
妊娠中の投与に関する安全性は確立していない為使用には注意が必要です。

上記にあてはまる方は、デヒドロコール酸を使用する事が出来ない可能性があります。
デヒドロコール酸を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

デヒドロコール酸に関する
よくある質問
薬の調整などで気を付ける事はありますか?

10%デヒドロコール酸注「ニッシン」はアルカリ性の医薬品です。酸性の注射液、例えばビタミンB1塩酸塩、若しくはビタミンC等と混合した場合には、pHが低下しデヒドロコール酸が析出して濁る事がある為注意が必要になります。
インタビューホーム 【日新製薬株式会社】

デヒドロコール酸を静注すると苦味を感じますが大丈夫でしょうか?

静注で苦味感を感じる事がありますが問題ありません。これはブドウ糖注射液で希釈し、緩徐に静注すれば和らげる事ができますので主治医と相談してみて下さい。
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参考元一覧

インタビューホーム 【日新製薬株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。