ビスベンチアミン

成分名

ビスベンチアミン

適応症状

●ウェルニッケ脳炎
●脚気衝心
●以下の条件下でのビタミンB1補給
甲状腺機能亢進症/妊産婦/授乳婦/消耗性疾患/激しい肉体労働時/食事からの摂取が不十分
●ビタミンB1欠乏症の治療、予防
●ビタミンB1欠乏による以下の症状
胃腸運動機能障害/関節痛/筋肉痛/神経痛/便秘/末梢神経炎/末梢神経麻痺
●ビタミンB1代謝障害による以下の症状
胃腸運動機能障害/関節痛/筋肉痛/神経痛/便秘/末梢神経炎/末梢神経麻痺

簡易説明

ビスベンチアミンは、ウェルニッケ脳炎、脚気衝心など、体内のビタミンB1不足に起因して生じる疾患、症状を改善する成分です。

本成分は「ビタミンB1誘導体」と呼ばれる化合物の一つで、ビタミンB1の構造を少しだけ変化させて、より体内で吸収されやすいようにしたものです。そうして体内のビタミンB1量を増加させ、同栄養素不足の状態を解消します。

本成分は副作用、注意事項もほぼ皆無という非常に安全なものなのですが、長期摂取は推奨されていません。
ビタミンB1は、豚肉、魚、米、麦、豆など身近な食材に多く含まれています。
本成分を摂取して症状を落ち着かせながら、そうした食材を積極的に日々の食事に取り入れるような意識も大切になります。

処方可能な診療科目

救急科/神経内科/内分泌科/耳鼻科/耳鼻咽喉科/頭頚部外科/消化器科/胃腸科/心療内科/内科/肛門科/リハビリテーション科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~3,000円(初診料のみ)
薬代1錠あたりの目安:25mg 5.9円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

1962年7月10日(発売)

国内のジェネリック認可

ジェネリックなし

関連製品(先発薬)

ベストン糖衣錠(25mg)(製薬会社:ニプロESファーマ)

関連製品(ジェネリック)

ジェネリックなし

効果・作用

ビスベンチアミンは「ビタミンB1誘導体」に分類される成分の一つで、体内のビタミンB1を補給したりビタミンB1のはたらきを助けたりする作用があります。

ビタミンB1は、糖類(炭水化物)をエネルギーに変換する際に必要な補酵素で、多くのエネルギーが必要な際、つまり体力を消耗する場面で多量に消費されます。

体内のビタミンB1量に対して糖類が過剰にある場合、代謝しきれなかった糖の一部は「乳酸」という疲労物質として体内に蓄積されていきます。

厚生労働省によれば、ビタミンB1の1日の推奨摂取量は成人男性で1.2-1.4mg、成人女性で0.9-1.1mg(※)とされているのですが、ビタミンB1は豚肉や魚、牛乳、卵、豆類、米、麦などに多く含まれており、通常は日々の食事で推奨摂取量を十分に摂取することが出来ます。

しかし、ひどい肉体労働や妊娠中など、エネルギーを大量消費する状況下、また甲状腺機能亢進症を始めとするビタミンB1消耗性疾患、胃腸運動機能障害、慢性的なアルコール大量摂取など、内外の事情によって不足する場合があります。

体内のビタミンB1量が不足すると、「ビタミンB1欠乏症」、及び同疾患に起因する「脚気」「ウェルニッケ脳症(中枢神経障害)」を発症し、以下のような症状が発現することがあります。

【脚気】
・心不全の症状 :だるさ、動悸、むくみ
・末梢神経障害の症状:筋力低下、手足の感覚の鈍化、手足が動かしにくい

【ウェルニッケ脳症】
認知機能の低下、記憶障害(物忘れ)、見当識障害(日付や場所がわからなくなる)

このウェルニッケ脳症は、無治療のまま放っておくと、健忘(物忘れ)、作話、見当識障害といった殊更に回復困難な症状を伴う「コルサコフ症候群」へと、やがて移行します。

他にも、「ビタミンB1量の不足=糖の量が過剰」であるため、前半に記載したように、体内に疲労物質の乳酸が蓄積されていきます。

さらに、脳が機能するには大量のエネルギーが必要なのですが、ビタミンB1不足によって糖の代謝が滞るため、結果としてエネルギー不足となり、そのことが集中力や記憶力の低下、また脳からの指令で動く末梢神経の障害、足の痺れや運動能力の低下、精神不安定など様々な障害を引き起こします。

そうした事態にならないよう、体内のビタミンB1量が不足している場合、それを補う必要があります。そこで用いられるのが、ビタミンB1誘導体である本成分ビスベンチアミンです。

誘導体とは、ある有機化合物を母体として考えたとき、母体の構造や性質を大幅に変えない程度の改変がなされた化合物のことです。
ビスベンチアミンで言えば、ビタミンB1を、その成分が腸や消化管で吸収されやすくなるように構造を少し変えた化合物、になります。

ビスベンチアミンはそうして、体内で吸収されるビタミンB1量、すなわち体内に存在するビタミンB1の量を増加させ、同栄養素不足を解消します。
そのため、ビスベンチアミンの摂取によって、ビタミンB1不足に伴う各症状を改善させる効果を得られるのです。

(※)厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準 2015年版」によるデータ参照

使用方法

通常、成人はビスベンチアミンとして1日量28.58~114.32mg(チアミン塩化物塩酸塩として25~100mg)を内服します。
年齢や症状に応じて適宜増減が必要なため、医師による用法用量の指示に従ってください。

副作用

主な副作用
胸やけ 、 下痢 、 軟便 、 悪心 、 食欲不振 など

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用に注意が必要な方、使用出来ない方は現在報告されていません。

※何か異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ビスベンチアミンに関する
よくある質問
ビスベンチアミンの摂取にあたり、何か注意することはありますか?

ビスベンチアミンは、本来であれば日々の食事で十分な量を摂取出来るビタミンB1が、何らかの事情で不足した際、その不足分を補うために用いられる成分です。そのため、重大な副作用、併用禁忌薬及び併用注意薬がほとんどない非常に安全なものです。そうした意味で注意事項は特にありません。
ただ一つご留意頂きたいのが、本成分はあくまで栄養摂取の「補助」を担っているという点です。
ビタミンB1量不足の原因が何かしらの疾患であればそちらの治療、栄養バランスの偏りであれば食生活の見直し、アルコールの大量摂取であれば節制など、ビスベンチアミンの摂取と並行して根底にある問題を解決することが重要になります。

胃腸運動機能障害や便秘、関節痛などの症状改善に効果のあるビタミンB1。
医薬品やサプリメントを駆使してビスベンチアミンを多量摂取し、体内のビタミンB1量を増やすとその分効果は上がりますか?

ビタミンB1は肝臓内や血中内での飽和量が決まっています。飽和量に達するまでは体内に吸収されていくのですが、それを超えると超えた分だけ尿中に排泄されるようになります。そのため過剰な摂取はあまり意味を成しません。適切な量の摂取を心掛けてください。

有効時間はどのくらいですか?

ヒトに本成分30mgを投与したところ、投与前7.2μg/dLであった血中の総ビタミンB1量が、2時間後には19.8μg/dLでピークを迎え、6時間後も12.4μg/dLを示したという報告が上がっています。
正確な有効時間を示すデータはありませんが、この結果からその長さを窺い知ることが出来ます。

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