成分名 |
ドブタミン塩酸塩 |
適応症状 |
急性循環不全/心エコー図検査など |
簡易説明 |
ドブタミン塩酸塩はアメリカのイーライリリー社で開発された合成カテコールアミンで、心筋収縮力増強作用が強く、心拍数増加作用、不整脈誘発作用、末梢血管に対する作用が弱いドパミン誘導体です。
ドブトレックス(以下、本剤)は日本国内では1981年に塩野義製薬株式会社が輸入承認を取得しました。輸入製剤は用時溶解が必要な凍結乾燥製剤であったため、緊急時に溶解の手間を要しない水性注射液を開発しました。さらに、医療従事者の手技負担軽減、細菌感染・異物混入の防止を目的として、あらかじめ5%ブドウ糖液に溶解したキット製剤が開発されました。
本剤は2016年に共和薬品工業株式会社に販売移管されました。 |
処方可能な診療科目 |
救急科/循環器科など |
健康保険の適応 |
急性循環不全における心収縮力増強
心エコー図検査における負荷 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
この薬は処方薬ではありません(薬価記載)
ドブトレックス:注射液100mg(1管) 468.00円/キット点滴静注用200mg(200mL1袋) 1,396.00円/キット点滴静注用600mg(200mL1袋) 2,676.00円
ドブタミン点滴静注液100mg(1管) 207.00円~341.00円/200mgキット(200mL1袋) 1,126.00円/600mgキット(200mL1袋) 1,858.00円/50mgシリンジ(50mL1筒) 336.00円/150mgシリンジ(50mL1筒) 506.00円/300mgシリンジ(50mL1筒) 953.00円 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月日:1987年10月5日 |
国内のジェネリック認可 |
あり |
関連製品(先発薬) |
ドブトレックス(注射液100mg、キット点滴静注用200mg、キット点滴静注用600mg)【製薬メーカー:共和薬品工業株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
ドブタミン点滴静注液100mg「サワイ」【製薬メーカー:沢井製薬株式会社】、ドブタミン点滴静注液100mg「F」:【製薬メーカー:富士製薬工業株式会社】、ドブタミン点滴静注液100mg「アイロム」【製薬メーカー:ネオクリティケア製薬株式会社】、ドブタミン点滴静注液100mg「AFP」【製薬メーカー:共創未来ファーマ株式会社】、ドブタミン点滴静注液「VTRS」(注射液100mg、200mgキット、600mgキット)【製薬メーカー:ヴァイトリス製薬株式会社】、ドブタミン持続静注「KKC」(50mgシリンジ、150mgシリンジ、300mgシリンジ)【製薬メーカー:協和キリン株式会社】
※ドブタミン持続静注「KKC」は「急性循環不全における心収縮力増強」のみ |
海外での使用実績 |
アメリカ、エジプト、ブラジル、中国等で発売されています(2018年2月現在)。 |
効果・作用 |
心臓の動きは自律神経でコントロールされていて、交感神経から分泌されるアドレナリンがβ1受容体を刺激することで心筋の収縮がおこります。本剤はβ1受容体を刺激する働きにより、心収縮力を増強します。
動物実験(イヌ等)で本剤は他のカテコールアミン製剤と同等の心筋収縮力増強作用が確認された一方、不整脈を引き起こす作用は他のカテコールアミン製剤よりも弱いことが確認されました。また本剤は心収縮力を増強することで、心拍出量の増加、冠血流量の増加、左室拡張終期圧の低下等の循環動態の改善が確認されています。
日本国内390施設で集積した急性循環不全における心収縮力増強に対する本剤の有効性は79.0%(3,030例/3,835例)でした。また、改善度は74.0%(1,705例/2,305例)でした。
本剤は、急性循環不全という生命の危機にある場合のほか、心エコー図検査で用いられる場合があります。生命の危機にある状態ではない検査での使用に関しては、警告が設定されています。
【警告】
心エコー図検査における負荷に用いる場合は、以下の点に注意します。
・緊急時に十分措置できる医療施設において、負荷心エコー図検査に十分な知識・経験を持つ医師の下に実施します。
・心停止、心室頻拍、心室細動、心筋梗塞等があらわれるおそれがあるため、蘇生処置ができる準備を行い実施します。
・負荷試験中は、心電図、血圧等の継続した監視を行い、状態を注意深く監視します。
・重篤な胸痛、不整脈、高血圧又は低血圧等が発現し、検査の継続が困難と判断した場合は、速やかに本剤の投与を中止します。
なお、負荷終了の目安等を含めた投与方法等についてはガイドライン等の最新の情報を参考にすることとされています。 |
使用方法 |
(急性循環不全における心収縮力増強)
ドブタミンとして1分あたり1~5μg/kgを点滴静注します。病態に応じて適宜増減しますが、最大量は1分間あたり20μg/kgまで増量できます。
※注射液は用事5%ブドウ糖注射液又は日局生理食塩水で希釈します。
(心エコー図検査における負荷)
ドブタミンとして1分間あたり5μg/kgから点滴静注を開始し、病態が評価できるまで1分間あたり10、20、30、40μg/kgまでと3分毎に増量します。 |
副作用 |
重大な副作用
(心エコー図検査における負荷)
心停止、寝室頻拍、心室細動、心筋梗塞
ストレス心筋症
(注射液)
副作用発現率:2.55%(166例/6,506例)※使用成績調査の累計
主な副作用:頻拍 1.00%(65例)、心室性期外収縮 0.66%(43例)、上室性期外収縮 0.15%(10例)
(キット)
副作用発現率:3%(3例/88例)※承認申請時
発現した副作用:右前腕発疹、頻拍型心房細動(疑い)、身体の熱感
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 (効能共通)
■肥大型閉塞性心筋症(特発性肥厚性大動脈弁下狭窄)の方
症状が悪化するおそれがある為、使用できません。
■ドブタミン塩酸塩およびドブトレックスを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ドブトレックスはアレルギー反応を起こしてしまう為、使用出来ません。
▼ドブトレックスの有効成分
ドブタミン塩酸塩
▼ドブトレックスの添加物
・D-マンニトール、亜硫酸水素ナトリウム、塩酸、注射用水、(キットのみ)ブドウ糖
(心エコー図検査における負荷)
■急性心筋梗塞後早期の方
致死的な心破裂がおきたとの報告がある為、使用出来ません。
■不安定狭心症の方、重症の心拍性不整脈のある方、急性の心膜炎、心内膜炎の方、褐色細胞腫の方、高度な伝導障害のある方、心室充満の障害(収縮性心膜炎、心タンポナーデ等)のある方、循環血液量減少症の方
症状が悪化するおそれがある為、使用出来ません。
■左冠動脈主幹部狭窄のある方
広範囲に心筋虚血をおこすおそれがある為、使用出来ません。
■重症心不全の方
心不全が悪化するおそれがある為、使用出来ません。
■重篤な血管病変(大動脈解離等)のある方
状態が悪化するおそれがある為、使用出来ません。
■コントロール不良の高血圧症の方
過度の昇圧をおこすおそれがある為、使用出来ません。
使用に注意が必要な方 (効能共通)
・重篤な冠動脈疾患のある方:心筋局所灌流が不均一になることがあります。また、一般に心収縮力、心拍数を増やす薬には心筋梗塞を拡大するおそれがあるとの報告があります。
・高血圧の方:過度の昇圧をおこすおそれがあります。
・妊婦:治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ使用します。
・授乳婦:治療上の有益性、母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続・中止を検討します。
・高齢者:一般に生理機能が低下しているため、少量から使用を開始します。
(急性循環不全における心収縮力増強)
・重篤な血流閉塞(高度の大動脈弁狭窄等)のある方:改善がみられない可能性があります。
・心房細動のある方:心拍数を増加するおそれがあります。
・境界型糖尿病および糖尿病の方(キットのみ):血糖コントロールを乱すおそれがあります。
・新生児・乳幼児・高齢者等の重篤な心疾患の方(きっとのみ):水分摂取量が過剰にならないように注意します。
・小児等:少量より慎重に開始します。開心術後に心拍数の多い小児等に使用して過度の頻拍をおこしたとの報告があります。
(心エコー図検査における負荷)
・重症心臓弁膜症の方:心機能が悪化するおそれがあります。
・心膜炎、心筋炎、心内膜炎の方:症状が悪化するおそれがあります。
上記にあてはまる方は、ドブタミン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 ドブタミン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 β遮断薬:本剤の効果の減弱、末梢血管抵抗の上昇等がおこるおそれがあります。
上記を使用している方は、ドブタミン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 ドブタミン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
ドブタミン塩酸塩に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
ドブタミン塩酸塩(ドブトレックス 添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】 |
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