テトラカイン塩酸塩

成分名

テトラカイン塩酸塩

適応症状

表面麻酔、硬膜外麻酔、脊椎麻酔(腰椎麻酔)、浸潤麻酔、伝達麻酔

簡易説明

テトラカイン塩酸塩は、長時間作用型のアミノエステル型局所麻酔薬で、表面麻酔、硬膜外麻酔、脊椎麻酔(腰椎麻酔)、浸潤麻酔、伝達麻酔に使用します。具体的には、膜の安定化(細胞膜のナトリウムイオン透過性をブロックすることで、興奮する際に必要である脱分極現象もブロックすること)によって、知覚神経における興奮伝導を最終的にブロックします。

処方可能な診療科目

外科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1,000円~2,000円
薬代1瓶あたりの目安:20mg約80円
薬代後発薬1瓶の目安:現在ジェネリック医薬品の製造はありません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月:1959年8月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

テトカイン注用20mg「杏林」(杏林製薬)

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

テトラカイン塩酸塩は、長時間作用型のアミノエステル型局所麻酔薬で、表面麻酔、硬膜外麻酔、脊椎麻酔(腰椎麻酔)、浸潤麻酔、伝達麻酔に使用します。
通常、神経細胞における細胞膜は、静止状態の時には膜の内側がマイナス、膜の外側がプラスの状態となっており、神経細胞外にはナトリウムイオン、クロライドイオンの、細胞内にはカリウムイオンの濃度が高く保たれています。細胞が興奮した際は、細胞膜のナトリウムイオンの透過性が非常に大きくなり、細胞内にナトリウムイオンが多量に入ってくることによって、イオンのバランスが変化して、活動電位が発生します。活動電位が発生して興奮している部位は、となりあっている静止部を次々に興奮させることによって連鎖的なインパルス伝導を生じさせます。
テトラカイン塩酸塩は、上記の神経伝達スキームにおいて膜の安定化(細胞膜のナトリウムイオン透過性をブロックすることで、興奮する際に必要である脱分極現象もブロックすること)によって、知覚神経における興奮伝導を最終的にブロックします。これが治療上、麻酔効果として現れます。なお、麻酔薬であるプロカインよりも効力が約10倍強く、その分神経毒性も強くなっていることも特徴です。

使用方法

使用するケースに応じて、目的濃度の水性注射液または水性液として使用してください。
※ただし、年齢、麻酔する領域、組織、部位、体質、症状によって医師の判断の元、適宜増量または減量して使用することができます。また必要に応じて、アドレナリンを添加して使用します(通常濃度1:1万〜2万)。

■脊椎麻酔(腰椎麻酔)
テトラカイン塩酸塩として、成人(15歳以上)のケースでは以下の用量を使用してください。
・高比重溶液:0.1〜0.5%注射液としたうえで6〜15ミリグラム
・低比重溶液:0.1%注射液としたうえで、6〜15ミリグラム

■硬膜外麻酔
テトラカイン塩酸塩として、成人(15歳以上)のケースでは0.15〜0.2%注射液としたうえで30〜60ミリグラムを使用してください。

■伝達麻酔
テトラカイン塩酸塩として、成人(15歳以上)のケースでは0.2%注射液としたうえで10〜75ミリグラムを使用してください(基準最高用量:1回100ミリグラム)。

■浸潤麻酔
テトラカイン塩酸塩として、成人(15歳以上)のケースでは0.1%注射液としたうえで20〜30ミリグラムを使用してください(基準最高用量:1回100ミリグラム)。

■表面麻酔
テトラカイン塩酸塩として、成人(15歳以上)のケースでは0.25〜2%液としたうえで5〜80ミリグラムを使用してください。

副作用

重大な副作用
次に挙げるような重大な副作用が引き起こされる可能性があります。使用中は健康状態を常に意識し、万が一体調の悪化を感じた場合には使用を中止、または医療機関を受診するなど適切な処置を行ってください。
・中枢神経障害
※ふるえ、けいれんなどの中毒性症状が引き起こされる可能性があるので、使用中はモニタリングを十分に行って、これらの症状が引き起こされたケースではすぐに使用を中止し、チオペンタールナトリウムなどの超短時間作用型バルビツール酸製剤またはジアゼパムの使用など、適切な処置を行ってください。
・ショック
※重篤なショック症状が引き起こされる可能性があるので、使用中はモニタリングを十分に行って、顔面蒼白、血圧の低下、呼吸の抑制、脈拍の異常などが引き起こされたケースではすぐに使用を中止して医師の判断の元、適切な処置を行ってください。

その他の副作用
・過敏症:じんましん、むくみ
・中枢神経系:興奮、ねむけ、不安感、霧視、悪心、嘔吐、めまい、吐き気
※モニタリングを十分に行ってください。ショックあるいは中毒症状への移行に注意して必要に応じて医師の判断のもと、適切な処置を行ってください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■脊椎麻酔(次に該当する方、部位には使用できません)
・注射部位、またはその周辺で炎症が起きている部位
・敗血症を発症している方
・ショック状態または重篤な出血状態の方
・テトラカイン塩酸塩、またはコカインを除く安息香酸エステル系局所麻酔剤に対して過敏症の経験のある方
・脊髄癆、髄膜炎、灰白脊髄炎を患っている方

■硬膜外麻酔(次に該当する方、部位には使用できません)
・注射部位、またはその周辺で炎症が起きている部位
・敗血症を発症している方
・ショック状態または重篤な出血状態の方
・テトラカイン塩酸塩、またはコカインを除く安息香酸エステル系局所麻酔剤に対して過敏症の経験のある方
・脊髄癆、髄膜炎、灰白脊髄炎を患っている方
※血管収縮剤に対して過敏症の経験のある方、動脈硬化、高血圧、心不全、糖尿病、甲状腺機能亢進、血管けいれんを治療中の方には、ノルアドレナリン、アドレナリンなどの血管収縮剤を使用することはできません。

■浸潤・伝達麻酔(次に該当する方、部位には使用できません)
・テトラカイン塩酸塩、またはコカインを除く安息香酸エステル系局所麻酔剤に対して過敏症の経験のある方
※血管収縮剤に対して過敏症の経験のある方、動脈硬化、高血圧、心不全、糖尿病、甲状腺機能亢進、血管けいれんを治療中の方、陰茎、指趾または耳の麻酔のケースでは、ノルアドレナリン、アドレナリンなどの血管収縮剤を使用することはできません。

■表面麻酔(次に該当する方、部位には使用できません)
・テトラカイン塩酸塩、またはコカインを除く安息香酸エステル系局所麻酔剤に対して過敏症の経験のある方
※血管収縮剤に対して過敏症の経験のある方、動脈硬化、高血圧、心不全、糖尿病、甲状腺機能亢進、血管けいれんを治療中の方には、ノルアドレナリン、アドレナリンなどの血管収縮剤を使用することはできません。

使用に注意が必要な方
■脊椎麻酔
・高血圧症が重症な状態の方
・若年者
・高齢者
・脊柱にあきらかな変形のある方
・妊娠している方
・抗凝血剤治療中の方、血液疾患をお持ちの方

■硬膜外麻酔
・高血圧症が重症な状態の方
・高齢者
・脊柱にあきらかな変形のある方
・妊娠している方
・抗凝血剤治療中の方、血液疾患をお持ちの方

■浸潤・伝達麻酔
・高齢者

■表面麻酔
・高齢者

上記にあてはまる方は、テトラカイン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
テトラカイン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

テトラカイン塩酸塩に関する
よくある質問
脊椎麻酔時において血圧低下が起こりやすいと言われていますが、モニタリングの目安はありますか?

テトラカイン塩酸塩を注入してからまず1分後に血圧を測定します。それ以降の14分間においては、2分に1回血圧を測定します。5分以上経った後は、2.5〜5分に1回の目安で血圧を測定してください。テトカイン 【テトカイン 添付文書】

表面麻酔における投与部位の注意点を教えてください。

表面麻酔における投与部位として、眼科用として使用することは禁止されています。テトカイン 【テトカイン 添付文書】

参考元一覧

テトカイン 【テトカイン 添付文書】

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