酢酸リンゲル

成分名

酢酸リンゲル

適応症状

代謝性アシドーシスの補正
大量出血を伴わない循環血液量減少時の細胞外液の補給/補正
大量出血を伴わない組織間液減少時の細胞外液の補給補給/補正
高張性脱水の細胞外液の補給補給/補正

簡易説明

イオン(電解質)/水が主な主成分で、体液より電解質濃度が低く、細胞内や体全体に水分を補給できる輸液剤です。体内の電解質濃度や水分量が何かしらの異常により崩れると、生命活動が正常に維持できなくなります。輸液剤を点滴によって水分や電解質を補給することで体液のバランスを整え、病態の治療をより効果的にする働きがあります。各種ミネラルやブドウ糖(糖質)を含む薬です。

処方可能な診療科目

内科/消化器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1,000円~5,000円
薬代1袋あたりの目安:500ml1袋/約225円
薬代後発薬1袋の目安:500ml1袋/約197円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売開始年月 : 1995年7月

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

フィジオ70/140輸液【製薬メーカー:大塚製薬工場】

関連製品(ジェネリック)

ペロール注【製薬メーカー:マイランEPD】
アクメイン注【製薬メーカー:光製薬】
ソリューゲンG/F注【製薬メーカー:ネオクリティケア製薬D】
ヴィーンD/F輸液【製薬メーカー:扶桑薬品】
アクメインD/F輸液【製薬メーカー:光製薬】
ソルアセトD/F輸液【製薬メーカー:テルモ】
リナセート輸液【製薬メーカー:エイワイファーマ】
リナセートD/F輸液【製薬メーカー:エイワイファーマ】

効果・作用

▼病理作用
何かの異常により恒常性が崩れてしまった場合に、電解質や水分やを含む輸液剤を点滴により補給することで、体内の体液(水)のバランスを整え、治療効果を高めることが期待できます。輸液剤の中でも「低張電解質輸液」に分類され、体液より電解質濃度が低い輸液製剤です。水は浸透圧の低い方から高い方へと移動するため、細胞内液を含む体全体に水分を補給することができます。

▼作用機序
酢酸リンゲル液の元々は生理食塩水です。浸透圧が血液とほぼ同じなため「等張液」とも言われます。等張液の目的は、循環血液量を増やすことです。出血などで循環血液量が減少している時、等張液を使うことで血管外への漏出を抑え、循環血液量を増やし、血圧を一時的に維持することを目的としています。出血が少量の時は、一時的ではなくその後も循環血液量を維持することが可能です。しかし、生理食塩水では電解質バランスが崩れてしまうので、クロールやカリウムイオンなどを足すことで、より血漿成分に近づけたのがリンゲル液です。リンゲル液には「HCO3-」などの重炭酸イオンがないので、より生理的な補液ができないか考案されたのが「乳酸リンゲル液」です。乳酸が肝臓で代謝されることで「HCO3-」が作られ、結果的にアシドーシスの補正にもつながります。しかし、乳酸は肝臓で代謝されるため、大量に使うと肝機能が悪化している方は「乳酸アシドーシス」を起こしてしてしまうという弱点がありました。そこで考案されたのが「酢酸リンゲル液」です。酢酸は、肝臓だけでなく筋肉でも代謝され「HCO3-」が作られます。代謝経路は、ミトコンドリア等により、炭酸ガスと水とに分解されて体外へ流出します。

▼リンゲル液とは?
生理食塩水にはナトリウムイオンNaやクロールイオンClが含まれており、さらにカリウムイオンKやカルシウムイオンCaの電解質を加えて人間の血漿成分(細胞外液)に近づけたものです。酢酸リンゲル液は、酢酸は肝臓だけでなく、全身の臓器で代謝することができます。

▼低張液・高張液・等張液とは?
細胞内液と外液は半透膜という細胞膜で仕切られており、半透膜は分子の大きいものは通すことができないため、水分を移動させて濃度を一定に保とうとする働きがあります。
・高張液:細胞内液より濃い⇒細胞内液より水を引っ張る力が強いものです。
・低張液:細胞内液より薄い⇒細胞内液より水を引っ張る力が弱いものです。
・等張液:細胞内液と水を引っ張る力が同じものです。

▼輸液ー1号液~4号液の違いは?
・1号液(開始液)
0.9%の生理食塩水を水で半分に薄めたものです。 カリウムKを含まず、腎機能障害があるときに使われます。
・2号液(脱水補給液)
Na、Clの含有量は1号液と変わりません。カリウムやリンなどの電解質を含み、低張性脱水に使われます。
・3号液(維持液)
Na、Clの濃度は1号、2号の半分程度でカリウムを含みます。 経口摂取困難なときに一番選択される補液です。
・4号液
3号液からNa、Clをさらに減らし、カリウムを抜いたものです。主に手術後や高カリウム血症、腎機能障害に使用されます。

▼他の低張電解質輸液
ソリタ−T輸液 YDソリタ−T輸液/ソルデム/KN1~4号輸液、KNMG3号輸液/トリフリード

・医薬品製造元のメーカー発表
・厚生労働省などの役所機関
・論文(大学の記事など)

使用方法

1回500~1000mLを点滴静注してください
投与速度はブドウ糖として1時間当たり0.25g/kg体重以下です
※なお、年齢、症状、体重により適宜増減します

副作用

主な副作用
酢酸リンゲルには、副作用が起こる可能性があります。
酢酸リンゲルを服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。

脳浮腫、肺水腫、末梢浮腫

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■酢酸リンゲルを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方フィジオは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼フィジオの有効成分
酢酸リンゲル
▼代表薬の添加物
塩酸(pH調整剤)

使用に注意が必要な方
高齢者
閉塞性尿路疾患により尿量が減少
心不全
腎不全
糖尿病

上記にあてはまる方は、酢酸リンゲルを使用する事が出来ない可能性があります。
酢酸リンゲルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
輸液の保存期間はどのくらいですか?

使用期限は約3年程度となります。

輸液に味はありますか?

無色~微黄色澄明の液体で、弱い塩味と甘味があります。

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医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。