脂肪乳剤

成分名

脂肪乳剤

適応症状

次のケースにおける栄養の補給
手術の前後、慢性消化器疾患、急性消化器疾患、消耗性疾患、外傷、火傷(熱傷)、長期にわたる意識不明状態

簡易説明

イントラリポス輸液10%は輸液製剤の中の脂肪乳剤に分類され、おもにエネルギー補給と必須脂肪酸の補給目的に使用されます。具体的には、手術の前後、急性消化器疾患、慢性消化器疾患、外傷、火傷(熱傷)、消耗性疾患、長期にわたる意識不明状態において使用が検討されます。脂肪から供給されるエネルギーは高いので効率の良いエネルギー供給が可能ですが、オメガ6系脂肪酸の含まれる割合が高いので長期使用には注意が必要です。

処方可能な診療科目

外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約1,000円~2,000円
薬代1袋あたりの目安:250ml約1,058円
薬代後発薬1袋の目安:イントラリポス輸液10%に対する後発品はありません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月:1994年10月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

イントラリポス輸液10%/20%【製薬メーカー:大塚製薬】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

※本ページは、代表的な脂肪乳剤に分類されているイントラリポス輸液10%に関する記載となります。
※この分類は「輸液製剤協議会」の分類方法を参照しております。

■イントラリポス輸液10%の組成
1袋(250mL)中に下記成分を含んでいます。
<有効成分>
・精製大豆油:25g

<添加物>
・精製卵黄レシチン:3g
・濃グリセリン:5.5g
・水酸化ナトリウム(pH調整剤):適量

<熱量>
約275kcal

<その他>
イントラリポス輸液10%は原料のダイズ油に由来している微量のビタミンK1を含有しています。

<効果・作用>
イントラリポス輸液10%は輸液製剤の中の脂肪乳剤に分類され、手術の前後、急性消化器疾患、慢性消化器疾患、外傷、火傷(熱傷)、消耗性疾患、長期にわたる意識不明状態における栄養補給として使用されます。
イントラリポス輸液10%の投与の意義はおもにエネルギー補給と必須脂肪酸の補給になります。脂肪から供給されるエネルギーは9kcal/gと高いので、非常に効率の良いエネルギー供給源と考えられます。一般的に、日本人は投与するエネルギーの2割~3割を脂肪で投与することが多く、必須脂肪酸欠乏の予防目的としては、1週間に50gの脂肪乳剤を投与することが推奨されています。
イントラリポス輸液10%に含まれるエネルギーは大豆油由来ですが、大豆油脂肪乳剤に含まれる脂肪酸はLCT(長鎖脂肪酸)がメインで、オメガ6系脂肪酸であるリノール酸が脂肪酸の55%を占めており、オメガ3系脂肪酸の含まれる割合が非常に少なくなっています(オメガ6系脂肪酸が過剰に含有されています)。上記のような脂肪乳剤の使用によって、不飽和脂肪酸の酸化代謝物質が多く発生したり、人間の細胞膜に含まれるリン脂質のバランスに悪影響を及ぼしたりする可能性があると考えられています。また、オメガ6系脂肪酸であるリノール酸は、体内でオメガ6系の脂肪酸として代謝され、炎症性を持つプロスタグランジンやロイコトリエンを発生させます。これらの物質は免疫機能を低下させたり、全身に対して炎症反応を引き起こしたりするリスクがあるため、大豆油由来の脂肪乳剤は長期に渡る使用や重症な状態の方への投与には慎重に使用する必要があります。

使用方法

通常:1日500mL(ダイズ油として10%液)を3時間以上かけて点滴静注します。
なお、体重、年齢、症状に応じて、医師の判断のもと適宜増量、減量することができますが、体重1kgあたり1日の上限は脂肪として2g(本剤20mL)以内とします。

副作用

重大な副作用
・静脈塞栓
※静脈塞栓が引き起こされる可能性があります。このようなケースでは投与を中止して適切な処置を行ってください。
・アナフィラキシー反応、ショック
・アナフィラキシー反応、ショックが引き起こされる可能性があります。チアノーゼ、呼吸困難などが引き起こされたケースでは投与を中止して適切な処置を行ってください。

その他の副作用
・血管、血液系:血管の痛み、静脈炎、出血傾向
・過敏症:発疹、かゆみ
・肝臓系:肝臓の機能的障害
・循環器系:頻脈、血圧の降下、頻呼吸
・呼吸器系:呼吸困難
・消化器系:嘔吐、下痢、嘔気、口の渇き
・その他:悪寒、発熱、顔面の赤み、異臭感、顔面のむくみ、胸部の圧迫感

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・精製大豆油を配合した医薬品の成分、添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、成分、添加物にアレルギーをお持ちの方、イントラリポス輸液10%はアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼イントラリポス輸液10%の有効成分
精製大豆油
▼代表薬の添加物
精製卵黄レシチン、濃グリセリン、水酸化ナトリウム(pH調整剤)
※添加物ではありませんが、原料のダイズ油に由来する微量のビタミンK1を含みます。

・高脂血症を患っている方
※上記症状の悪化が引き起こされる可能性があります。
・重篤な肝機能障害を患っている方
※上記症状の悪化が引き起こされる可能性があります。
・血栓症を患っている方
※血液が固まりやすくなり、上記症状の悪化が引き起こされる可能性があります。
・重篤な血液凝固障害を患っている方
※出血しやすくなる可能性があります。
・ケトーシスを伴っている糖尿病を患っている方
※ケトーシス状態が悪化する可能性があります。

使用に注意が必要な方
・重篤な敗血症を患っている方
※上記症状の悪化が引き起こされる可能性があります。
・血液凝固障害を患っている方
※血液の固まりやすさが亢進または低下する可能性があります。
・肝機能障害を患っている方
※肝機能の悪化が引き起こされる可能性があります。
・呼吸障害を患っている方
※上記症状の悪化が引き起こされる可能性があります。
・高齢者
※高齢者は一般的に薬の分解、排泄などの生理機能が低下しているため、減量するなど注意をしながら使用してください。
・小児など

上記にあてはまる方は、脂肪乳剤を使用する事が出来ない可能性があります。
脂肪乳剤を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・ワルファリン
※イントラリポス輸液10%の原料のダイズ油にビタミンK1が含まれており、ワルファリンの効果に拮抗してしまいワルファリンの作用を減弱させる可能性があります。

上記を使用している方は、脂肪乳剤を使用する事が出来ない可能性があります。
脂肪乳剤を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

脂肪乳剤に関する
よくある質問
イントラリポス輸液10%を小児に投与する際の注意点はありますか?

新生児、とくに極低出生体重児、アシドーシスや呼吸障害を伴う新生児、生後日数がまだ短い新生児に関して脂肪の処理能力が低いのでとくに慎重に投与する必要があります。投与速度はできるだけゆっくり、具体的には0.08g(イントラリポス輸液10%:0.8mL、イントラリポス輸液20%製剤:0.4mL)/kg/時以下のスピードでの注入が推奨されています。なお、脂肪の処理能力がさらに低いケースでは、血中の脂質濃度をしっかりと測定し、著しい血中脂肪濃度の上昇が起きないスピードで注入してください。イントラリポス輸液10% 【イントラリポス輸液10% 添付文書】

イントラリポス輸液10%は室温でどのくらい使用期間がもちますか?

イントラリポス輸液10%の長期保存試験の結果、室温において18ヶ月間安定状態であったことが確認されています。安定性をキープするため、脱酸素剤が封入されているのでソフトバッグの外側の袋は使用直前まで開けないでください、また、未開封時での安定性が18ヶ月なので、開封後は可能な限り速やかに使用してくださいイントラリポス輸液10% 【イントラリポス輸液10% 添付文書】

参考元一覧

イントラリポス輸液10% 【イントラリポス輸液10% 添付文書】
組成表検索 【輸液製剤協議会】

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