成分名 |
アセメタシン |
適応症状 |
肩関節周囲炎、腰痛症、頸肩腕症候群、変形性関節症、関節リウマチ、急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む) |
簡易説明 |
インドール酢酸系の非ステロイド性抗炎症薬です。インドメタシンをグリコール酸エステルとしたプロドラッグで、インドメタシンよりも消化器障害作用が少ないとされています。
作用機序はプロスタグランジンの生合成を阻害することです。効果はインドメタシンとほぼ同等で、主に関節リウマチや腰痛症、術後や外傷後などの消炎・鎮痛、急性上気道炎の解熱・鎮痛に用いられます。 |
処方可能な診療科目 |
整形外科/内科 |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
ランツジール錠:10.10円
※病院によって差が有り。薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
製造販売承認年月日:2008 年 4 月 3 日(販売名変更による) |
国内のジェネリック認可 |
- |
関連製品(先発薬) |
ランツジールコーワ錠30mg(興和) |
関連製品(ジェネリック) |
- |
効果・作用 |
炎症を引きおこしたり痛みや発熱の原因となるプロスタグランジンという物質の働きを抑え、抗炎症・鎮痛・解熱作用を示します。作用はインドメタシンとほぼ同じですが、インドメタシンにみられる副作用を抑えるための加工が施された薬で、鎮痛効果も強力です。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は,胃腸粘膜において、直接そのシクロオキシゲナーゼを阻害し、プロスタグランジンの生合成を抑制することによって、胃腸障害を発現します。プロドラッグであるアセメタシンは胃腸粘膜を通過後、血液中に吸収され、活性本体であるインドメタシンに代謝されるので、インドメタシンに比較して、胃腸障害が少ないとされています2)。アセメタシンは、対症療法的に炎症を抑えることで、熱や痛みといった症状を緩和するお薬です。
抗炎症・鎮痛:五十肩、腰痛症、頸肩腕症候群、変形性関節症、慢性関節リウマチ、手術後、外傷後
解熱・鎮痛:急性上気道炎
有効率は以下の通りです。
<肩関節周囲炎>
肩関節周囲炎:50.8%(66/130 例)(※)
<腰痛症>
腰痛症:55.3%(213/385 例)(※)
※また、インドメタシンを対照薬として、二重盲検比較試験を行った結果、アセメタシンの効果が証明されました。
<頸肩腕症候群>
頸肩腕症候群;50.6%(43/85 例)
<変形性関節症>
変形性関節症:55.3%(176/318 例)
また、インドメタシンを対照薬として、二重盲検比較試験を行った結果、アセメタシンの効果が証明されました。
<関節リウマチ>
関節リウマチ;34.5%(90/261 例)
<急性上気道炎>
急性上気道炎:67.3%(101/150 例)
また、イブプロフェンを対照薬として二重盲検比較試験を行った結果、アセメタシンの効果が証明されました。
<手術後及び外傷後の消炎・鎮痛>
手術後及び外傷後の炎症、疼痛:52.9%(127/240 例) |
使用方法 |
〈肩関節周囲炎、腰痛症、頸肩腕症候群、変形性関節症、関節リウマチ、手術後・外傷後の消炎・鎮痛〉
通常、成人にはアセメタシンとして1回30mgを1日3~4回(1日量として90~120mg)経口投与します。1日最高用量は180mgです。
〈急性上気道炎の解熱・鎮痛〉
通常、成人にはアセメタシンとして、1回量30mgを頓服として使用します。ただし、原則として1日2回までとし、1日最大90mgを限度とします。また、空腹時の投与は避けることが望ましです。
用法及び用量に関連する注意として、他の消炎鎮痛剤との併用は避けることが望ましいです。 |
副作用 |
主な副作用
・ ショック、アナフィラキシー;冷汗、顔面蒼白、呼吸困難、血圧低下等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行う必要があります。
・消化管穿孔、消化管出血、消化管潰瘍、出血性大腸炎、腸管の狭窄・閉塞、潰瘍性大腸炎
・無顆粒球症、再生不良性貧血、溶血性貧血、骨髄抑制:血液検査を行うなど観察を十分に行う必要があります。
・急性腎障害、間質性腎炎、ネフローゼ症候群
・皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、剥脱性皮膚炎
・ 喘息発作(アスピリン喘息)等の急性呼吸障害
・痙攣、昏睡、錯乱
・性器出血
・ うっ血性心不全、肺水腫
・血管浮腫
・肝機能障害、黄疸:肝機能検査を行うなど観察を十分に行うことが必要です。
その他の副作用
胃痛、胃部不快感、吐き気、嘔吐、食欲不振、胸やけ、下痢、軟便、口内炎、過敏症(発疹)、頭痛、むくみなどがおこることがあります。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 重い消化性潰瘍のある方に対しては、胃腸から出血することがあります。
重い血液の異常のある方に対して、血液の異常が現れるおそれがあります。
・重い肝障害のある方
アセメタシンは、主に肝臓で代謝されますが、肝障害が悪化するおそれがあります。
重い腎障害のある方
アセメタシンは、腎臓で排出されますが、腎障害が悪化する恐れがあります。
プロスタグランジン合成を阻害することにより、水、Na貯留傾向が強まります。重い心機能不全のある方や重い高血圧症のある方の症状を悪化させたり、血圧を更に上昇させるおそれがあります。
重い膵炎のある方にアセメタシンを投与した場合、膵炎が悪化するおそれがあります。
アセメタシン、インドメタシン、サリチル酸系化合物(アスピリン等)に対し過敏症のある方やアスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)の方は、プロスタグランジン合成を阻害することにより、喘息が悪化したり喘息を引き起こしたりする場合があります。
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性
妊娠後期に投与した場合、アセメタシンが体内で代謝され、インドメタシンに変化し、以下の症状が起きるおそれがあります。
胎児循環持続症(PFC)・胎児の動脈管収縮・動脈管開存症・胎児腎不全・胎児腸穿孔・羊水過少症
早期出産した新生児:壊死性腸炎
使用に注意が必要な方 ・消化器系
アセメタシンを長期投与すると消化器系を傷つけるおそれがあるため、消化性潰瘍に罹ったことがある方特にミソプロストールによる治療をしている方への投与には、注意が必要です。アセメタシンを長期投与する際は、経過観察を十分に行い、慎重に投与することが必要です。
また、潰瘍性大腸炎やクローン病は、非ステロイド性消炎鎮痛剤により、症状が悪化するおそれがあります。
〈補足〉
ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤の投与で生じた消化性潰瘍を治療するお薬です。ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もあります。
・循環器系
血液の異常のある者(重篤な場合を除く)や出血傾向のある方へ投与にも注意が必要です。血液の異常が悪化したり再発したりすることがあります。
特に、血小板機能異常が起こることがあるため、出血傾向が悪化するおそれがあります。
高血圧症のある方や心機能異常のある方に関しては、プロスタグランジン合成阻害作用によって、水、Na貯留傾向が強まります。それにより、症状が悪化するおそれがあります。
・呼吸器系
気管支喘息のある方は、重症喘息発作を起こすおそれがあります。
・その他の臓器
膵炎のある方が非ステロイド性消炎鎮痛剤を投与すると膵炎を発症する場合があります。
肝障害のある方や腎障害のある方
アセメタシンは、肝臓で代謝され、腎臓で排出されるため、肝障害や腎障害を患うおそれがあります。
・その他の疾患
中枢神経系疾患のある方 (てんかん、パーキンソン病など)やSLE(全身性エリテマトーデス)のある方は、非ステロイド性消炎鎮痛剤により、症状が悪化するおそれがあります。
感染症を併発している方には、必要に応じて適切な抗菌剤を併用します。また、十分な観察を行い慎重に投与することが必要です。アセメタシンは、炎症を抑える働きがあるため感染症かどうかがわからなくなるおそれがあります。
・その他の注意が必要な状況や年代の人
授乳婦は、授乳しないことが望ましいです。アセメタシンの活性代謝物であるインドメタシンでヒト母乳中への移行が報告されています。
小児等に対しては、ほかのお薬が無効又は使用できない関節リウマチの場合にのみアセメタシンの投与を検討します。投与する場合には必要最小限の使用にとどめるなど、慎重に投与することが必要です。また、アセメタシンの活性代謝物のであるインドメタシン経口投与時の大量投与により、重篤な副作用(感染症の不顕化、肝炎)が報告されています。
高齢者に対しては、少量から投与を開始するなど必要最小限の使用にとどめます。患者の状態を観察しながら慎重に投与することが必要です。過度の体温下降、虚脱、四肢冷却等があらわれることがあるので、特に高熱を伴う高齢者又は消耗性疾患の患者においては、投与後の患者の状態に十分注意する必要があります。
上記にあてはまる方は、アセメタシンを使用する事が出来ない可能性があります。 アセメタシンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・インドメタシンの作用増強
プロベネシドは、腎臓の尿細管で、お互いの薬の排泄部位で競合します。インドメタシンの胆汁排泄が減少し、インドメタシンの排泄が抑制されます。インドメタシンの血中濃度が上昇するため、作用が増すことがあります。
・インドメタシンの作用減弱
アスピリンを併用すると、消化器系の副作用が現れやすくなります。また、インドメタシンの作用が弱まるおそれがあります。
・出血の危険性
抗凝血剤・抗血小板薬(ワルファリン、クロピドグレル等)を併用すると、インドメタシンがプロスタグランジンの生合成を阻害することにより血小板凝集が抑制されます。また、インドメタシンが血漿蛋白結合部位でワルファリンを遊離させ、その抗凝血作用を増強させると考えられています。この作用により、出血の危険性が増すことがあります。
・腎血流量の減少
インドメタシンは、プロスタグランジンの合成を阻害し、腎血流量を減少させます。
メトトレキサートを併用すると、メトトレキサートの尿細管での分泌が抑制されます。そのため、メトトレキサートの血中濃度が上昇し、その副作用が増すことがあります。
リチウムを併用すると、リチウムの腎排泄も減少するため、血中リチウム濃度が上昇し、リチウム中毒を引き起こすおそれがあります。
ジゴキシンを併用すると、ジゴキシンの腎排泄も減少します。このため、血中ジゴキシン濃度が上昇し、作用が増すおそれがあります。
シクロスポリンを併用すると、シクロスポリンによる腎毒性が増すことがあります。
・血圧降下作用の減弱
インドメタシンは、プロスタグランジンの合成を阻害し、血圧降下作用を減弱させるおそれがあります。
β-遮断剤(プロプラノロール、アテノロール、ピンドロール等)やACE阻害剤(エナラプリル、カプトプリル、リシノプリル等)を併用した場合、これらの医薬品の血圧を下げる作用を弱めるおそれがあります。
ループ利尿剤(フロセミド等)やチアジド系及びその類似降圧利尿剤(ヒドロクロロチアジド等)を併用した場合、水、塩類が体内に貯留します。これは、利尿剤の水、塩類排泄作用に拮抗するためと考えられています。このため、これらの医薬品の利尿降圧作用を弱めることがあります。
カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン等、エプレレノン)を併用した場合、これらの医薬品の降圧作用が弱まり、腎機能障害患者で重度の高カリウム血症が現れるおそれがあります。
上記を使用している方は、アセメタシンを使用する事が出来ない可能性があります。 アセメタシンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 ・腎臓への悪影響
トリアムテレン(トリテレン)との投与はできません。トリアムテレンによる腎血流量の低下により、腎障害が起こる恐れがあります。代償的に腎でのプロスタグランジン合成が促進されます。インドメタシンによりそのプロスタグランジン合成が阻害されるため、相互に副作用が増し、急性腎障害を引き起こすことがあります。
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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