フルマゼニル

成分名

フルマゼニル

適応症状

ベンゾジアゼピン系薬剤による鎮静の解除及び呼吸抑制の改善

簡易説明

フルマゼニルは、世界で最初のベンゾジアゼピン受容体拮抗剤です。ベンゾジアゼピン系薬剤によって鎮静された状態の改善で適応を取得しています。もともとはロシュによって開発されましたが、2019年よりサンドファーマが販売しています。発売の歴史が長いため、ジェネリック医薬品も多数の製薬会社から発売されています。

処方可能な診療科目

麻酔科

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
<先発品>
アネキセート注射液0.5mg【製薬メーカー:サンドファーマ】0.5mg1管2123円(薬価)

<後発品>
フルマゼニル注射液0.5mg「F」【製薬メーカー:富士製薬工場】0.5mg1管1012円(薬価)
フルマゼニル静注液0.5mg「サワイ」 【製薬メーカー:沢井製薬】0.5mg1管1144円(薬価)
フルマゼニル静注液0.2mg「ケミファ」【製薬メーカー:日本ケミファ】0.2mg1管522円(薬価)
フルマゼニル静注液0.5mg「ケミファ」【製薬メーカー:日本ケミファ】0.5mg1管1012円(薬価)

フルマゼニル静注液0.5mg「テバ」【製薬メーカー:武田テバファーマ】0.5mg1管1012円(薬価)
フルマゼニル静注0.5mgシリンジ「テルモ」【製薬メーカー:テルモ】0.5mg1管1116円(薬価)
フルマゼニル静注液0.5mg「SW」【製薬メーカー:沢井製薬】0.5mg1管1144円(薬価)

厚生労働省による認可、または発売年月日

1992年4月発売

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

アネキセート注射液0.5mg 【製薬メーカー:サンドファーマ】

関連製品(ジェネリック)

フルマゼニル注射液0.5mg「F」【製薬メーカー:富士製薬工場】
フルマゼニル静注液0.5mg「サワイ」 【製薬メーカー:沢井製薬】
フルマゼニル静注液0.2mg「ケミファ」【製薬メーカー:日本ケミファ】
フルマゼニル静注液0.5mg「ケミファ」【製薬メーカー:日本ケミファ】
フルマゼニル静注液0.5mg「テバ」【製薬メーカー:武田テバファーマ】
フルマゼニル静注0.5mgシリンジ「テルモ」【製薬メーカー:テルモ】
フルマゼニル静注液0.5mg「SW」【製薬メーカー:沢井製薬】

海外での使用実績
【アメリカ】
1991年より発売されています。

<効能・効果>
成人患者
ベンゾジアゼピンの鎮静効果を完全または部分的に改善させるために本剤は使用されます。

小児患者(1~17歳)
フルマゼニル注射は、ベンゾジアゼピンで誘発された意識下鎮静の改善に適応されます。

<用法・用量>
成人患者
意識下鎮静のために投与されたベンゾジアゼピンの鎮静効果を逆転させるために、推奨されるフルマゼニルの初回投与量は、0.2 mg (2mL)を 15秒間かけて静脈内投与することです。
さらに45秒待っても目的のレベルの意識が得られない場合は、2回目の 0.2mg(2mL)を注射し、必要に応じて60秒間隔で繰り返すことができます (最大4回まで)。 最大総投与量は1mg(10mL)です。用量は患者の反応に基づいて個別化する必要があり、ほとんどの患者は 0.6mgから1mgの用量で反応します。

小児患者
1歳以上の小児患者の意識下鎮静のために投与されたベンゾジアゼピンの鎮静効果を改善させるために、推奨される初期用量は 0.01mg/kg (最大 0.2 mg) を 15 秒間かけて静脈内投与することです。 さらに45秒間待っても目的のレベルの意識が得られない場合は、さらに0.01mg/kg(最大0.2mg) の注射を行い、必要に応じて60秒間隔で繰り返すことができます(最大4回まで)。
最大総用量は0.05 mg/kg または 1mgのいずれか低い方まで。
投与量は、患者の反応に基づいて個別化する必要があります。 フルマゼニルの小児臨床試験で投与された平均総用量は 0.65mg(範囲:0.08mgから 1.00mg) でした。
患者の約半分は、最大5回の注射を必要としました。

成人患者における全身麻酔の回復
全身麻酔のために投与されたベンゾジアゼピンの鎮静効果を逆転させるために、推奨されるフルマゼニルの初回投与量は、15秒間かけて 0.2mg(2mL) を静脈内投与することです。 さらに45秒待っても必要なレベルの意識が得られない場合は、さらに 0.2mg(2mL) の用量を注射し、必要に応じて 60 秒間隔で (さらに最大 4 回まで) 繰り返すことができます。 最大総投与量は 1 mg (10 mL) です。用量は患者の反応に基づいて個別化する必要があり、ほとんどの患者は 0.6mgから 1mgの用量で反応します。

成人患者におけるベンゾジアゼピンの過剰摂取が疑われる場合の管理
既知または疑いのあるベンゾジアゼピンの過剰摂取の初期管理では、フルマゼニルの推奨初期用量は 0.2 mg(2mL) を 30秒間かけて静脈内投与することです。 30秒待っても意識レベルが得られない場合は、さらに30秒かけて0.3mg(3mL) を追加投与できます。 さらに 0.5mg(5mL) を 1分間隔で30秒かけて累積投与量3mgまで投与することができます。
効果・作用

フルマゼニルは1979年、ロシュ社によって発見されました。本剤は、ベンゾジアゼピン系薬剤の特異的アンタゴニストです。そのため、ベンゾジアゼピン系薬剤による麻酔、鎮静、中毒及び呼吸抑制等の改善として使用されています。

脳は活性化と抑制との動的な相互関係で成り立っており、抑制を調節する最大の神経伝達物質はGABAと呼ばれています。GABAは神経終末から放出され、GABA受容体に結合するとイオンチャンネルを介してクロルイオンが細胞内に流入し、神経細胞の興奮性が低下します。GABA機構はGABA受容体、ベンゾジアゼピン受容体及びクロルチャンネルの複合体を形成しています。ベンゾジアゼピン誘導体がベンゾジアゼピン受容体に働くと、両受容体の相互作用によりGABA受容体でのGABA親和性が増し、間接的にGABAの作用を増強するとされています。フルマゼニルはベンゾジアゼピン受容体に結合し、ベンゾジアゼピン類の生物学的作用に拮抗しますが、フルマゼニル自身は生物学的作用を欠いているか又は微弱であると考えられています。

ベンゾジアゼピン系薬剤により鎮静状態にある患者を対象として用量設定試験 、二重盲検比較試験 、一般臨床試験 、及び臨床薬理試験 (418 例)が実施されました。
①ベンゾジアゼピン系薬剤による鎮静からの覚醒効果を検討した二重盲検比較試験において、本剤の有用性がプラセボに比し有意に高いことが確認されました。

②鎮静からの覚醒に関する総合効果が「有効」以上の割合は二重盲検比較試験において82.5%(52/63)でした。

③ベンゾジアゼピン系薬剤による呼吸抑制に対して、一回換気量、動脈血炭酸ガス分圧及び炭酸ガス換気応答の有意な改善作用を示しました。
また、ICU 領域において呼吸抑制が認められた8例全例に対し有効と判定されました。

使用方法

初回0.2mgを緩徐に静脈内投与します。投与後4分以内に望まれる覚醒状態が得られない場合は更に0.1mgを追加投与します。
以後必要に応じて、1分間隔で0.1mgずつを総投与量1mgまで、ICU領域では2mgまで投与を繰り返します。ただし、患者の状態にあわせて適宜増減が可能です。

副作用

主に、頭痛、興奮、血圧上昇やAST/ALT上昇があげられます。

項目別の発現頻度は下記の通りです。

精神神経系・・頭痛/興奮(0.1~5%未満)、不穏/幻覚/不安感/体動(0.1%未満)、痙攣(頻度不明)
血液・・白血球減少(0.1%未満)
循環器・・血圧上昇(0.1~5%未満)、頻脈/徐脈(0.1%未満)
呼吸器・・咳/咽頭異和感(0.1%未満)
消化器・・嘔気/嘔吐(0.1~5%未満)、胸部不快感(0.1%未満)
肝臓・・AST(GOT)上昇/ALT(GPT)上昇/血清ビリルビン上昇(0.1~5%未満)、Al-P上昇(0.1%未満)
腎臓・・クレアチニン上昇(0.1%未満)
その他・・羞明(0.1%未満)、過換気(頻度不明)

重大な副作用として、ショックアナフィラキシー(いずれも頻度不明)が報告されています。蕁麻疹、顔面蒼白、血圧低下、呼吸困難、嘔気等の症状があらわれた場合には投与を中止してください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■フルマゼニルを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼フルマゼニルの有効成分
フルマゼニル

▼代表薬の添加物
エデト酸ナトリウム水和物、氷酢酸、等張化剤、pH調節剤

・以前、フルマゼニルを使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・長期間ベンゾジアゼピン系薬剤を投与されているてんかん患者は、痙攣が生ずることがあるため使用できません。

使用に注意が必要な方
・手術前あるいは鎮静される前の不安の程度が高い方、特に冠動脈疾患を有する方は早期に覚醒させるよりもある程度鎮静状態を保つほうが良い場合が多いので、本剤を投与する場合は、少量より投与を開始し、個々人に合わせたに必要量を投与してください。
・ICU領域における高血圧を有する方は覚醒時に血圧上昇がみられることがあります。本剤を投与する場合は、少量より投与を開始し、個々人に合わせたに必要量を投与してください。
・ベンゾジアゼピン系薬剤を投与されている重症頭部外傷の方又は不安定な頭蓋内圧を有する方はベンゾジアゼピン系薬剤の解除に伴い、頭蓋内圧亢進が起こることがあります。
・ベンゾジアゼピン系薬剤と三(四)環系抗うつ剤を服用している方はベンゾジアゼピン系薬剤の作用低下に伴い、抗うつ剤の中毒症状(自律神経系症状等)が顕在化することがあります。
・高齢者
・肝機能障害を有する方はベンゾジアゼピン系薬剤の作用消失時間の延長が起こることがあります。

上記にあてはまる方は、フルマゼニルを使用する事が出来ない可能性があります。
フルマゼニルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<ベンゾジアゼピン系薬剤三(四)環系抗うつ剤>
ベンゾジアゼピン系薬剤の作用低下に伴い三(四)環系抗うつ剤の中毒作用が増強するため、注意をしてください。

上記を使用している方は、フルマゼニルを使用する事が出来ない可能性があります。
フルマゼニルを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

フルマゼニルに関する
よくある質問
自動車の運転はいつからできますか?

本剤の投与後24時間経過後から行ってください。インタビューフォームの重要な基本的注意には「本剤投与後 24 時間は危険な機械の操作や自動車の運転等完全な精神的緊張を必要とする仕事に従事させないように注意してください」との記載があります。

重要な基本的注意

【上記引用元:アネキセート注射液0.5mg医薬品インタビューフォーム】

どのくらいから作用が発現しますか?

臨床試験では投与1分後から効果が認められています。

作用発現時間・持続時間

【上記引用元:アネキセート注射液0.5mg医薬品インタビューフォーム】

参考元一覧 アネキセート注射液0.5mg添付文書
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