ヒドロモルフォン塩酸塩

成分名

ヒドロモルフォン塩酸塩

適応症状

中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛

簡易説明

がんの疼痛にはオピオイド受容体というタンパク質が関与しており、μ、δ、κの3つのタイプに分類され、それぞれ異なる作用で鎮痛効果に対して影響し合っています。ヒドロモルフォン塩酸塩はその中でも主にμ受容体に対して強く結合することで鎮痛作用を発揮します。μ受容体は、脳や脊髄の神経細胞に広く存在しており、痛みを感じる神経細胞の活性を抑制することで、痛みを和らげることができます。

処方可能な診療科目

内科/腫瘍内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~3,000円
薬代1錠あたりの目安:2mg約207円/6mg約540円/12mg約990円/24mg約1816円
薬代後発薬1錠の目安:現在ジェネリック医薬品の製造はありません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月:2017年6月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

・ナルサス錠2,g/6mg/12mg/24mg(第一三共)
・ナルラピド錠1mg/2mg/4mg(第一三共)

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

ヒドロモルフォン塩酸塩はオピオイド系鎮痛剤の一種であり、主に強い疼痛の治療に使用されます。特にがんによる疼痛に対しては、ヒドロモルフォン塩酸塩が非常に有効であり、疼痛の強度や患者さんの個人差に応じて、投与量をコントロールすることができるため広く医療現場で使用されています。
がんにおける疼痛のメカニズムは非常に複雑で、腫瘍自体が神経組織を圧迫することによって痛みを引き起こす場合があります。また、がんの治療そのものによっても痛みが引き起こされることがあります。例えば、がんの手術や放射線療法、化学療法は、神経組織にダメージを与えることがあり、これが疼痛の原因になることもあります。
上記の中でも、オピオイド受容体というタンパク質が痛みに影響するケースに対しては薬で対処が可能です。オピオイド受容体はμ、δ、κの3つのタイプに分類され、それぞれ異なる作用で鎮痛効果に対して影響し合っています。ヒドロモルフォン塩酸塩はその中でも主にμ受容体に対して強く結合することで鎮痛作用を発揮します。μ受容体は、脳や脊髄の神経細胞に広く存在しており、痛みを感じる神経細胞の活性を抑制することで、痛みを和らげることができます。

使用方法

■初回投与
※オピオイド鎮痛剤による治療をしているかどうかによって以下の通り初回服用量を設定してください。
・オピオイド鎮痛剤を使用していない方
1日4ミリグラムmgからスタートし、痛み止めの効果および副作用の発現状況を観察しながら服用量を調整して下さい。
・オピオイド鎮痛剤を使用している方
その他のオピオイド鎮痛剤からヒドロモルフォン塩酸塩に変更する場合には、変更前の治療薬の服用量などを鑑み、服用量を決めてください。ヒドロモルフォン塩酸塩の1日服用量は、モルヒネ経口剤1日用量の1/5量を目安としてください。
・フェンタニル貼付剤を使用している方
フェンタニル貼付剤からヒドロモルフォン塩酸塩へ変更する場合には、フェンタニル貼付剤をはがした後にフェンタニルの血液中濃度が50%以下に減少するまで約17時間以上かかると言われていることから、はがした直後のヒドロモルフォン塩酸塩の服用は避け、使用をスタートするまでに、フェンタニルの血液中濃度が適切な濃度に下がるまでの時間をしっかりあけ、ヒドロモルフォン塩酸塩を少ない量から服用してください。
■痛みが強い時
※痛みが増強した場合や鎮痛効果が現れているなかで突発性の痛みがあらわれた場合は、直ちにヒドロモルフォン塩酸塩などの即放性製剤を臨時的に追加で服用してください。
■増量について
・ヒドロモルフォン塩酸塩服用スタート後は、適切な痛み止め効果が得られつつ副作用が最小限となるような服用量に調節してください。増量の目安は服用中のヒドロモルフォン塩酸塩の要領の30〜50%増とします。
■減量について
・連続的に服用している中での急激な減量は、退薬症候が引き起こされる可能性があるので行ってはいけません。副作用などによって減量する際は慎重に行ってください。
■投与の中止について
・急な中止は退薬症候が引き起こされる可能性があるので行ってはいけません。

副作用

重大な副作用
※次に挙げるような重大な副作用が引き起こされる可能性があります。服用中は健康状態を常に意識し、万が一体調の悪化を感じた場合には服用を中止、または医療機関を受診するなど適切な処置を行ってください。
・依存症
・呼吸抑制
・意識障害
・昏睡、昏迷、錯乱、せん妄などの意識障害
・イレウス
・中毒性巨大結腸

その他の副作用
※次に挙げるような副作用が引き起こされる可能性があります。
・過敏症:かゆみ、発疹、じんましん
・精神神経系:ミオクローヌス、傾眠、味覚異常、めまい、頭痛
・呼吸器系:呼吸困難
・消化器系:嘔吐、悪心、食欲不振、便秘、腹部不快感、口の渇き
・肝臓系:肝機能異常
・その他:発熱、倦怠感、尿がでない

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・ヒドロモルフォンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ナルサス錠はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ナルサス錠の有効成分
ヒドロモルフォン
▼代表薬の添加物
D-マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、黒酸化鉄、フマル酸ステアリルナトリウム
・ヒドロモルフォン塩酸塩およびアヘンアルカロイドに対して過敏症の経験のある方
・出血性大腸炎の方
※上記症状の悪化や治療期間の延長を引き起こす可能性があります。
・気管支喘息の発作中の方
※気道分泌が妨げられ発作が悪化する可能性があります。
・重篤な呼吸抑制の状態にある方
※呼吸抑制が増強される可能性があります。
・慢性肺疾患によって起こる心不全状態の方
※呼吸抑制、循環不全が増強される可能性があります。
・麻痺性イレウスの方
※ヒドロモルフォン塩酸塩は消化管運動を抑制してしまいます。
・破傷風、てんかん重積症、ストリキニーネ中毒などのけいれん状態にある方
※脊髄の刺激効果が引き起こされる可能性があります。
・急性アルコール中毒に陥っている方
※呼吸抑制が増強される可能性があります。
・ナルメフェン塩酸塩水和物を使用中または使用中止後1週間以内の方

使用に注意が必要な方
・心機能障害、低血圧を患っている方
※循環不全が増強する可能性があります。
・甲状腺機能低下症を治療中の方
※呼吸抑制や昏睡状態に陥る可能性があります。
・細菌性下痢を患っている方
※治療期間の延長が引き起こされる可能性があります。
・呼吸機能障害をお持ちの方
※呼吸抑制が悪化する可能性があります。
・ショック状態に陥っている方
※循環不全や呼吸抑制が増強される可能性があります。
・薬物依存、アルコール依存またはその経験のある方
※さらに依存性を生じやすくなります。
・脳に器質的な障害をお持ちの方
※頭蓋内圧の上昇や呼吸抑制が引き起こされる可能性があります。
・重篤な炎症性腸疾患をお持ちの方
※連続的に使用した場合、巨大結腸症が起こる可能性があります。
・代謝性アシドーシス状態の方
※呼吸抑制が引き起こされる可能性があります。
・器質的幽門狭窄または最近消化管の手術を行った方
※消化管運動が抑制される可能性があります。
・副腎皮質機能低下症を治療中の方
※呼吸抑制が起こりやすい状態になっています。
・衰弱している方
※呼吸抑制が起こりやすい状態になっています。
・胆嚢における障害があるまたは胆石症、膵炎を治療中の方
※症状が増悪する可能性があります。
・前立腺肥大による尿道狭窄、排尿障害、尿路手術の術後の方
※排尿障害が悪化する可能性があります。
・けいれんの経験のある方
※けいれんが引き起こされる可能性があります。
・肝機能障害をお持ちの方
※副作用があらわれる可能性が高くなります。
・腎機能障害をお持ちの方
※副作用があらわれる可能性が高くなります。
・授乳している方
※※授乳している方は治療上のメリットがデメリットを上回ると医師が判断した場合にのみ服用してください。
・妊娠している方
※妊娠している、または妊娠している可能性のある方は治療上のメリットがデメリットを上回ると医師が判断した場合にのみ服用してください。
・高齢者
※高齢者は一般的に薬の分解、排泄などの生理機能が低下しているため、減量するなど注意をしながら服用してください。
・小児
※小児などを対象とした臨床試験が行われていません。

上記にあてはまる方は、ヒドロモルフォン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ヒドロモルフォン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体、フェノチアジン誘導体など)、吸入麻酔剤、モノアミン酸化酵素阻害剤、三環系抗うつ剤β遮断剤、アルコール
※低血圧、呼吸抑制および著しい鎮静や昏睡が引き起こされる可能性があります。
・クマリン系抗凝血剤(ワルファリンなど)
※クマリン系抗凝血剤の作用が増強される可能性があります。
・抗コリン作動性薬剤
※麻痺性イレウス症状が引き起こされる可能性があります。
・ペンタゾシン、ブプレノルフィンなど
※ヒドロモルフォン塩酸塩の効果を減弱させる可能性があります。

上記を使用している方は、ヒドロモルフォン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ヒドロモルフォン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
・ナルメフェン塩酸塩水和物(セリンクロ)
※ヒドロモルフォン塩酸塩の離脱症状が引き起こされる可能性があります。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ヒドロモルフォン塩酸塩に関する
よくある質問
痛みがコントロールされている時、錠剤を割って量を調節してもよいですか?

ヒドロモルフォン塩酸塩のうち「ナルサス錠」に関しては服用後ゆっくり効いてくる特徴を持つため、砕いたり、割ったり、あるいはかみ砕かないようにしてください。急激な血液中濃度の上昇によって重篤な副作用が引き起こされる可能性があります。
ナルサス 【ナルサス 添付文書】

食事の影響を受けると聞きましたが、食後だと効果がどうなりますか?

空腹時と比較して、食後の服用で血液中濃度の最大値が約1.6倍になったというデータがあります。
ナルサス 【ナルサス 添付文書】

参考元一覧

ナルサス 【ナルサス 添付文書】

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