ミダゾラム

成分名

ミダゾラム

適応症状

麻酔前投薬/全身麻酔の導入及び維持/集中治療における人工呼吸中の鎮静/歯科・口腔外科領域における手術及び処置時の鎮静

簡易説明

縮合したベンゼン環とジアゼピン環が中心となる化学構造をもつ向精神薬で、鎮静薬や麻酔導入薬として用いる薬になります。
世界保健機関 (WHO) が策定した、現代的な医療水準を維持するために必須と考えられる医薬品類である、WHO必須医薬品モデル・リスト(WHO Model List of Essential Medicines)に「ミダゾラム」が収載されています。
和名では、丸石製薬がドルミカムの商品名で販売し、また、アルフレッサファーマがミダフレッサの商品名で販売しています。
「ミダゾラム」は連用により依存症になる恐れや、急激な量の減少により離脱症状を生じることがあり、向精神薬に関する条約のスケジュールⅣに指定され、また麻薬及び向精神薬取締法の第3種向精神薬に指定されています。

処方可能な診療科目

内科/精神神経科/精神科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約2,000円~10,000円
新薬注射液1管あたりの目安:102円
新薬静注用1瓶の目安:3372円
後発品注射液1管あたりの目安の目安:92円
※病院によって差が有り。薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2014年12月販売開始(ミダフレッサ静注0.1%)

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

ドルミカム注射液10mg【製薬メーカー:丸石製薬】
ミダフレッサ静注0.1%【製薬メーカー:アルフレッサファーマ】

関連製品(ジェネリック)

ミダゾラム注射液10mg「テバ」/ミダゾラム注10mg「サンド」

効果・作用

本剤は、中枢神経系のベンゾジアゼピン受容体に結合し、抑制系のGABA受容体と相互作用してGABAとGABA受容体の親和性を向上させて、神経細胞の興奮性を鎮めて鎮静効果と抗痙攣作用を発揮します。
「ミダゾラム」は麻酔前投薬、全身麻酔の導入及び維持、集中治療における人工呼吸中の鎮静、歯科・口腔外科領域における手術及び処置時の鎮静などに使用される、縮合したベンゼン環とジアゼピン環が中心となる化学構造をもつ向精神薬となっており、静脈内注射後、通常10秒から2分以内に効果が発現して、1時間から6時間継続します。
マウス・ラット・カニクイザルなどの各種動物実験では、「ミダゾラム」の単回静脈内投与により、他のベンゾジアゼピン系薬剤と同様の鎮静・睡眠・麻酔増強・筋弛緩作用等の効果を示し、作用の発現が早くて持続時間は短い結果になりました。
厚生労働省は2017年3月に「ミダゾラム」の重大な副作用の項目に、「連用により依存症を生じることがあるので用量と使用期間に注意して慎重に投与し、急激な量の減少によって離脱症状が生じるため徐々に減量する。」旨を追加して、周知徹底のため関係機関に通達しています。
また、薬物療法で本来予想されるはずの作用の逆の反応が生じることがあり、錯乱や興奮が生じる旨が記載されています。
厚生労働省所管の独立行政法人である医薬品医療機器総合機構からは、必要性を考え漫然とした長期使用を避けることや、用量順守と類似薬の重複の確認など、慎重に少しずつ減量するよう、医薬品適正使用に関するお願いが出ています。
また、医薬品医療機器総合機構の調査結果には、日本の学術雑誌8誌と診療ガイドライン5つによる要旨が記載されています。

使用方法

・麻酔前投薬:成人にはミダゾラム0.08~0.10mg/kgを手術前30分~1時間に筋肉内に注射します。また、修正在胎45週以上(在胎週数+出生後週数)の小児にはミダゾラム0.08~0.15mg/kgを手術前30分~1時間に筋肉内に注射します。
・全身麻酔の導入及び維持:成人にはミダゾラム0.15~0.30mg/kgを静脈内に注射し、必要に応じて初回量の半量ないし同量を追加投与します。静脈内に注射する場合には、なるべく太い静脈を選んで、できるだけ緩徐に(1分間以上の時間をかけて)注射します。
・集中治療における人工呼吸中の鎮静
(導入)
通常、成人には、初回投与はミダゾラム0.03mg/kgを少なくとも1分以上かけて静脈内に注射します。
より確実な鎮静導入が必要とされる場合の初回投与量は0.06mg/kgまでとしてください。
必要に応じて、0.03mg/kgを少なくとも5分以上の間隔を空けて追加投与します。
但し、初回投与及び追加投与の総量は0.30mg/kgまでとしてください。
通常、修正在胎45週以上(在胎週数+出生後週数)の小児には、初回投与はミダゾラム0.05~0.20mg/kgを少なくとも2~3分以上かけて静脈内に注射します。
必要に応じて、初回量と同量を少なくとも5分以上の間隔を空けて追加投与してください。

(維持)
通常、成人にはミダゾラム0.03~0.06mg/kg/hより持続静脈内投与を開始し、患者の鎮静状態をみながら適宜増減します。
(0.03~0.18mg/kg/hの範囲が推奨されます)
通常、修正在胎45週以上(在胎週数+出生後週数)の小児には、ミダゾラム0.06~0.12mg/kg/hより持続静脈内投与を開始し、患者の鎮静状態をみながら適宜増減します。
(投与速度の増減は25%の範囲内とします)
通常、修正在胎45週未満(在胎週数+出生後週数)の小児のうち、修正在胎32週未満ではミダゾラム0.03mg/kg/h、修正在胎32週以上ではミダゾラム0.06mg/kg/hより持続静脈内投与を開始し、患者の鎮静状態をみながら適宜増減します。

・歯科・口腔外科領域における手術及び処置時の鎮静
通常、成人には、初回投与としてミダゾラム1~2mgをできるだけ緩徐に(1~2mg/分)静脈内に注射し、必要に応じて0.5~1mgを少なくとも2分以上の間隔を空けて、できるだけ緩徐に(1~2mg/分)追加投与します。
但し、初回の目標鎮静レベルに至るまでの、初回投与及び追加投与の総量は5mgまでとします。
なお、いずれの場合も、患者の年齢、感受性、全身状態、手術術式、麻酔方法等に応じて適宜増減します。

副作用

主な副作用
ミダゾラムには、副作用が起こる可能性があります。
ミダゾラムを服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。

副作用発現状況の概要について、総症例4,240例中199例(4.7%)で副作用が確認されており、主な副作用は嘔気・悪心46例(1.1%)、嘔吐34例(0.8%)、発汗31例(0.7%)等が報告されています。

重大な副作用
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
・依存性(頻度不明)
・無呼吸、呼吸抑制(いずれも頻度不明)、舌根沈下(0.1~5%未満)
・アナフィラキシーショック(頻度不明)
・心停止(頻度不明)
・心室頻拍、心室性頻脈(いずれも頻度不明)
・悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明)
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。

その他の副作用
・しゃっくり、咳
・喀痰
・不整脈、血圧低下、血圧上昇、頻脈
・徐脈、血圧変動、心房細動
・覚醒遅延、悪夢、めまい、頭痛
・不穏、興奮、ふるえ、視覚異常
・せん妄、不随意運動
・悪心、嘔吐
・嘔気
・ST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇、総ビリルビン上昇
・ALT(GPT)低下、LDH上昇、Al-P上昇
・紅斑、蕁麻疹、発疹
・そう痒感
・体動、発汗
・顔面浮腫、体温低下、白血球数上昇
・CK(CPK)上昇
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。
・急性閉塞隅角緑内障の患者には投与しないでください。
・重症筋無力症のある患者には投与しないでください。
・HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビルを含有する薬剤、インジナビル、ネルフィナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル、ダルナビルを含有する薬剤)、エファビレンツ、コビシスタットを含有する薬剤及びオムビタスビル・パリタプレビル・リトナビルを投与中の患者には投与しないでください。
・ショックの患者、昏睡の患者、バイタルサインの抑制がみられる急性アルコール中毒の患者には投与しないでください。
上記にあてはまる方は、ミダゾラムを使用する事が出来ない可能性があります。
ミダゾラムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

使用に注意が必要な方
・高度重症患者、呼吸予備力の制限されている患者には慎重に投与してください。
・高齢者には慎重に投与してください。
・肝障害、腎障害のある患者には慎重に投与してください。
・衰弱患者には慎重に投与してください。
・脳に器質的障害のある患者には慎重に投与してください。
・妊婦又は妊娠している可能性のある患者、授乳婦には慎重に投与してください。
・低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児には慎重に投与してください。
・重症心不全等の心疾患のある患者には慎重に投与してください。
・重症の水分又は電解質障害のある急性期患者には慎重に投与してください。
・手術中の出血量の多い患者、多量の輸液を必要とした患者には慎重に投与してください。
・アルコール又は薬物乱用の既往のある患者には慎重に投与してください。
・睡眠時無呼吸症候群の患者には慎重に投与してください。
・上気道閉塞に関連する疾患の患者には慎重に投与してください。
上記にあてはまる方は、ミダゾラムを使用する事が出来ない可能性があります。
ミダゾラムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

上記にあてはまる方は、ミダゾラムを使用する事が出来ない可能性があります。
ミダゾラムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・中枢神経抑制剤
(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体、麻薬性鎮痛剤等)
・モノアミン酸化酵素阻害剤
・アルコール(飲酒)
・CYP3A4を阻害する薬剤
・カルシウム拮抗剤
(ベラパミル塩酸塩、ジルチアゼム塩酸塩)
・アゾール系抗真菌剤
(ケトコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール等)
(シメチジン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、キヌプリスチン・ダルホプリスチン等)
・抗悪性腫瘍剤
(ビノレルビン酒石酸塩、パクリタキセル等)
・プロポフォール
・CYP3A4を誘導する薬剤
(リファンピシン、カルバマゼピン、エンザルタミド、ダブラフェニブ、ミトタン、アメナメビル、ロルラチニブ等)

上記を使用している方は、ミダゾラムを使用する事が出来ない可能性があります。
ミダゾラムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
・HIVプロテアーゼ阻害剤
・リトナビルを含有する薬剤(ノービア、カレトラ)
・インジナビル(クリキシバン)
・ネルフィナビル(ビラセプト)
・アタザナビル(レイアタッツ)
・ホスアンプレナビル(レクシヴァ)
・ダルナビルを含有する薬剤(プリジスタ、プレジコビックス)
・エファビレンツ(ストックリン)
・コビシスタットを含有する薬剤(スタリビルド、ゲンボイヤ、プレジコビックス)
・オムビタスビル.パリタプレビル.リトナビル(ヴィキラックス)

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
使用後の注意点に関しては?

歯科や口腔外科でこの薬を使用する場合、手術や処置の後は医師がこの薬の作用がなくなったと判断しますが、作用が残っていると感じる場合は、自動車の運転など危険を伴う作業は行わないでください。

後遺症はありますか?

偶発症では、呼吸が弱くなったり、血圧が低くなったり、強い眠気が数時間続いてふらふらすることがあります。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。