ブピバカイン塩酸塩水和物

成分名

ブピバカイン塩酸塩水和物

適応症状

<マーカイン注0.125%>
硬膜外麻酔

<マーカイン注0.25%、0.5%>
伝達麻酔、硬膜外麻酔

<マーカイン注脊麻用0.5%高比重、マーカイン注脊麻用0.5%等比重>
脊椎麻酔(腰椎麻酔)

簡易説明

ブピバカイン塩酸塩水和物はり持続性のある局所麻酔薬です。ほかの麻酔薬と比べて作用時間が長いことが特徴です。製剤が、通常の注射液と高比重、等比重のものがあります。高比重は重力の影響で身体の床側に、等比重では天井側に麻酔が広がるため、手術台の傾きや体の傾きで用量を調節することが可能です。日本では吉富製薬株式会社が導入しましたが、現在はサンドファーマ株式会社に製造販売権が移管されています。

処方可能な診療科目

麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
マーカイン注0.125%【製薬メーカー:サンドファーマ】1mLV12.6円(薬価)
マーカイン注0.25%【製薬メーカー:サンドファーマ】1mLV14.4円(薬価)
マーカイン注0.5%【製薬メーカー:サンドファーマ】1mLV19.1円(薬価)
マーカイン注脊麻用0.5%高比重【製薬メーカー:サンドファーマ】1管340円(薬価)
マーカイン注脊麻用0.5%等比重【製薬メーカー:サンドファーマ】1管340円(薬価)

厚生労働省による認可、または発売年月日

<マーカイン注0.125%>
1972年4月発売
<マーカイン注0.25%、0.5%>
1969年11月
<マーカイン注脊麻用0.5%高比重、マーカイン注脊麻用0.5%等比重>
2000年4月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

マーカイン注0.125%/マーカイン注0.25%/マーカイン注0.5%/マーカイン注脊麻用0.5%高比重/マーカイン注脊麻用0.5%等比重【製薬メーカー:サンドファーマ】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

イギリス、ドイツ、スウェーデン、ロシア、カナダ、オーストラリア等で発売されています。

効果・作用

ブピバカイン塩酸塩水和物は麻酔の際に使用する薬です。1957年にスウェーデンの Bofors社によって開発されました。ブピバカインはメピバカインのピペリジン環にあるメチル基がブチル基にかわったものであり、メピバカインより持続性があることが特徴です。、神経膜のナトリウムチャネルをブロックし、神経における活動電位の伝導を可逆的に抑制し、知覚神経及び運動神経を遮断する作用機序を持っています。

手術患者を対象に、0.5%ブピバカインと 2%メピバカイン、それぞれに 1:200,000濃度アドレナリンを添加した薬液を 20mL硬膜外腔に投与し、麻酔効果を比較しました。
作用発現時間、麻酔が安定するまでの時間、1分節麻酔に必要な量については薬剤間に有意の差はありませんでしたが、持続時間においてはブピバカインの方が著明に長かったことが認められています。
また、12例の全麻下に実施された上腹部手術の術後、0.25%ブピバカインと 1%リドカイン(いずれも 1:200,000アドレナリン添加)を胸部持続硬膜外投与を行い、術後の鎮痛効果を二重盲検法により比較しました。
その結果、ブピバカインとリドカインの効果持続時間の比は平均 1.4であり、有意にブピバカインの方が鎮痛効果が長かったことが示されました。

麻酔効果に関する試験では、伝達麻酔あるいは硬膜外麻酔による手術及び疼痛管理において、0.25%及び0.5%ブピバカイン塩酸塩の麻酔効果は、それぞれ1%及び2%メピバカイン塩酸塩と同等であることが認められています。

使用方法

<マーカイン注0.125%>
硬膜外麻酔に用いますが、麻酔部位、年齢、全身状態等によって用量を決定します。
成人1回体重1kg当り2mg(注0.125%:1.6mL)まで使用します。

<マーカイン注0.25%、0.5%>
伝達麻酔あるいは硬膜外麻酔に用いますが、麻酔部位、年齢、全身状態等によって用量を決定します。
成人1回体重1kg当り2mg(注0.25%:0.8mL、注0.5%:0.4mL)まで使用します。

<マーカイン注脊麻用0.5%高比重、マーカイン注脊麻用0.5%等比重>
1回10~20mg(2~4mL)を脊髄クモ膜下腔に注入します。年齢、身長、麻酔領域、部位、組織、症状、体質に応じて増減が可能ですが、1回20mg(4mL)を超えないよう注意してください。

副作用

<マーカイン注0.125%、0.25%、0.5%>
主に、ショック、意識障害、振戦、痙攣などがあげられます。

循環器・・血圧上昇
中枢神経・・眠気、不安、興奮、霧視、眩暈等
消化器・・悪心・嘔吐等
過敏症・・蕁麻疹等の皮膚症状、浮腫等
泌尿器・・尿閉
眼・・複視
その他・・くも膜炎

重大な副作用としては下記に注意をしてください。
ショック・・徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害などの症状は初期症状の可能性があります。これらの症状を生じ、まれに心停止を来すことがあります。
意識障害、振戦、痙攣・・意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあります。
異常感覚、知覚・運動障害・・注射針又はカテーテルに神経が触れることで、一過性の異常感覚が発現することがあります。

<マーカイン注脊麻用0.5%高比重、マーカイン注脊麻用0.5%等比重>
主に、血圧低下(13.4%)や徐脈(13.4%)があげられます。

項目別の発現頻度は以下の通りです。
循環器 血圧低下(5%以上)、徐脈(1~5%)、 洞性不整脈(1%未満)
消化器・・嘔気(1~5%)、 嘔吐(1%未満)
中枢・末梢神経系・・下肢しびれ感(1%未満)
呼吸器・・動脈血酸素飽和度低下、呼吸困難(1%未満)
過敏症・・発疹、そう痒(1%未満)
その他・・くも膜炎(1%未満)

重大な副作用としては以下の通りです。
ショック(0.1%未満)・・過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制、心停止等があらわれることがあります。
振戦、痙攣(0.1%未満)・・振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあります。症状があらわれた場合は、すぐにジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)の投与をしてください。
異常感覚、知覚・運動障害(0.1%未満)・・注射針の留置時に神経(神経幹、神経根)に触れることにより一過性の異常感覚が発現することがあります。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
【マーカイン注0.125%、0.25%、0.5%共通】
■ブピバカイン塩酸塩水和物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼ブピバカイン塩酸塩水和物の有効成分
ブピバカイン塩酸塩水和物

▼代表薬の添加物
塩化ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、pH調整剤

・以前、ブピバカイン塩酸塩水和物を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。

【マーカイン注0.125%のみ】
・本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある方は使用できません。
・大量出血やショック状態の方は過度の血圧低下が起こることがあるため使用できません。
・注射部位又はその周辺に炎症のある方は化膿性髄膜炎症状を起こすことがあるため使用できません。
・敗血症の方は敗血症性の髄膜炎を生じる恐れがあるため使用できません。

【マーカイン注脊麻用0.5%高比重、マーカイン注脊麻用0.5%等比重】
■ブピバカイン塩酸塩水和物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼ブピバカイン塩酸塩水和物の有効成分
ブピバカイン塩酸塩水和物

▼代表薬の添加物
塩化ナトリウム、ブドウ糖

・以前、ブピバカイン塩酸塩水和物を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・大量出血やショック状態の方は過度の血圧低下が起こることがあるため使用できません。
・注射部位又はその周辺に炎症のある方は化膿性髄膜炎症状を起こすことがあるため使用できません。
・敗血症の方は敗血症性の髄膜炎を生じる恐れがあるため使用できません。
・中枢神経系疾患:髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の方は脊椎麻酔により症状が悪化することがあるため使用できません。
・脊椎に結核、脊椎炎及び転移性腫瘍等の活動性疾患のある方は脊椎麻酔により症状が悪化することがあるため使用できません。

使用に注意が必要な方
【マーカイン注0.125%、0.25%、0.5%共通】
・高齢者
・全身状態が不良な方
・心刺激伝導障害のある方
・重篤な肝機能障害又は腎機能障害のある方

【マーカイン注0.125%のみ】
・中枢神経系疾患:髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の患者及び脊髄・脊椎に腫瘍又は結核等のある方
・血液凝固障害や抗凝血薬投与中の方
・脊柱に著明な変形のある方
・妊産婦
・腹部腫瘤のある方
・重篤な高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある方

【マーカイン注脊麻用0.5%高比重、マーカイン注脊麻用0.5%等比重】
・脊柱管狭窄、又は外傷性の脊柱変形のある方
・高齢者
・妊産婦
・若年者
・腹部腫瘤のある方
・身長の低い方
・ 血液凝固障害や抗凝血薬投与中の方
・重篤な高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある方
・脊柱に著明な変形のある方
・全身状態が不良な方
・心刺激伝導障害のある方
・重篤な肝機能障害又は腎機能障害のある方
・神経学的疾患:多発性硬化症、運動麻痺、神経筋疾患等のある方

上記にあてはまる方は、ブピバカイン塩酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
ブピバカイン塩酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
【マーカイン注0.125%、0.25%、0.5%】
<ジゴキシン>
ブピバカインによる中毒症状が発現しやすくなるため注意をしてください。
<アミド型局所麻酔剤>
中毒症状が相加的に起こるおそれがあるため注意をしてください。
<アミオダロン等(クラスⅢ抗不整脈剤)>
心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行いながら投与をしてください。
【マーカイン注脊麻用0.5%高比重、マーカイン注脊麻用0.5%等比重】
<アミド型局所麻酔剤>
中毒症状が相加的に起こる恐れがあります。
<アミオダロン等(クラスⅢ抗不整脈剤)>
心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行いながら投与をしてください。

上記を使用している方は、ブピバカイン塩酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
ブピバカイン塩酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ブピバカイン塩酸塩水和物に関する
よくある質問
投与時の注意はありますか?

関節内への投与は避けてください。因果関係は明らかではありませんが、外国において術後に本剤を関節内(特に肩関節)に持続投与された患者で軟骨融解を発現したとの報告があります。

その他の注意

【上記引用元: ブピバカイン塩酸塩水和物医薬品インタビューフォーム】

作用発現時間はどのくらいですか?

0.5%投与では、5分で作用が発現しました。(40mL(患者、外国人データ))

作用発現時間・持続時間

【上記引用元: ブピバカイン塩酸塩水和物医薬品インタビューフォーム】

参考元一覧

第4回 脊髄くも膜下麻酔(腰椎麻酔、脊椎麻酔)|適応・禁忌、使用薬剤、方法・手順、看護のポイント 【ナース専科】

ブピバカイン塩酸塩水和物添付文書

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