レバロルファン酒石酸塩

成分名

レバロルファン酒石酸塩

適応症状

麻薬による呼吸抑制への拮抗

簡易説明

レバロルファン酒石酸塩はモルヒネに対抗する作用を持っているため、麻薬を投与したことで呼吸抑制が生じてしまったケースに本剤を投与して症状を改善します。本剤はスイスで開発され、日本では武田薬品工業が発売していました。しかし、2016年から武田テバ薬品株式会社に販売権が移管しています。1961年から使用されており、副作用も多くありません。

処方可能な診療科目

麻酔科

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
ロルファン注射液1mg 【製薬メーカー:武田テバ薬品】1mg1管136円(薬価)

厚生労働省による認可、または発売年月日

1961年1月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ロルファン注射液1mg 【製薬メーカー:武田テバ薬品】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

レバロルファン酒石酸塩はモルヒネに対抗して、呼吸が抑制されている症状を改善する効果を持っています。モルヒネ薬剤を投与すると、呼吸中枢の炭酸ガスに対して閾値が上昇してしまうが、本剤は元の値近くまで下げる作用を持ちます。麻薬に対して効果を示しますが、バルビツレートもしくは麻酔剤による呼吸抑制には有効性を示さないことがわかっております。

本剤は承認された用量を用いれば、同時に使用している麻薬の鎮痛作用を減少させることなく、呼吸抑制の症状を改善させることができます。
上記の麻薬の鎮痛作用に影響を及ぼさないことは、ウサギに対して行われた試験が根拠となっています。
ウサギにレボルファノールのみ、もしくはレボルファノールとレバロルファンを同時投与し、どのくらい鎮痛効果と呼吸抑制に影響を及ぼすか試験を行いました。
結果、レボルファノール 0.002mmol/kg投与とレボルファノール0.008mmol/kg+レバロルファン0.0016mmol/kg投与時の鎮痛作用は、同程度の効果であることがわかりましたが、呼吸抑制はレバロルファンの併用により有意に抑制されました。
また、同じ試験で、レボルファノールは、モルヒネと比較して鎮痛効果と呼吸抑制が約2倍強いことが裏付けられました。

本剤は麻薬を同時投与した場合に、特異的に効果を示すことが分かっております。甲状腺摘除術患者15例を対象に行われた試験で証明されています。
レボルファノールを投与した群、モルヒネを投与した群またはペントバルビタールナトリウムを投与した群の3群に分け、上昇した呼吸中枢の炭酸ガス閾値におよぼすレバロルファンの効果を検討しました。
レバロルファンの呼吸抑制に対する拮抗的な作用は、麻薬を投与した群に特異的でした。一方、ペントバルビタールナトリウムを投与した群では効果を示しませんでした。

使用方法

麻薬投与前後もしくは同じタイミングで皮下注射、筋肉注射、もしくは静脈注射を行います。投与する麻薬や、その量、使い方によって投与方法が異なっています。
一般的な投与方法を下記にお示しします。

<レボルファノールとレバロルファン酒石酸塩>
投与比率:10対1
例:皮下注射もしくは静脈内注射
経路:レボルファノール3mgとレバロルファン酒石酸塩0.3mg

<モルヒネとレバロルファン酒石酸塩>
投与比率:50対1
例:モルヒネ15mgとレバロルファン酒石酸塩0.3mg
経路:皮下注射もしくは静脈内注射

<アルファプロジン塩酸塩とレバロルファン酒石酸塩>
投与比率:50対1
例:アルファプロジン塩酸塩60mgとレバロルファン酒石酸塩1.2mg
経路:皮下注射もしくは静脈内注射

<ペチジン塩酸塩とレバロルファン酒石酸塩>
投与比率:100対1
例:ペチジン塩酸塩100mgとレバロルファン酒石酸塩1mg
経路:筋肉内注射もしくは静脈内注射

副作用

主な副作用
主に、呼吸抑制や、幻視、めまいや悪心などがあげられますが、いずれも発現頻度は不明です。

項目別の副作用は以下の通りです。


眼・・縮瞳/眼瞼偽下垂症
精神神経系・・めまい/発汗/傾眠
胃腸・・悪心/嘔吐/胃部不快感
過敏症・・過敏症状
その他・・不快感/蒼白/四肢重圧感

重大な副作用
・呼吸抑制は/反復投与の場合でも1回投与した場合でも起こすことがあります。
・幻視/もうろう状態/見当識障害

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■レバロルファン酒石酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼ロルファン酒石酸塩の有効成分
レバロルファン酒石酸塩

▼代表薬の添加物
塩化ナトリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル

・以前、レバロルファン酒石酸塩を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・呼吸抑制が強く生じていない方は無効となる恐れがあるため、使用できません。
・バルビツール系薬剤など非麻薬性中枢神経抑制剤もしくは病的原因によって呼吸抑制が生じている方は無効となる恐れがあるため、使用できません。
・麻薬に依存している方は禁断症状を起こす可能性ががるため使用できません。

使用に注意が必要な方
・妊婦は治療上、有益性が危険性を超えるとされる場合にのみ注意をしながら投与してください。
・小児は、新生児仮死で投与をすると、易刺激性もしくは啼泣増大傾向をおこすことがあります。

上記にあてはまる方は、レバロルファン酒石酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
レバロルファン酒石酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

レバロルファン酒石酸塩に関する
よくある質問
レバロルファン酒石酸塩の作用発現はどのくらいですか?

1~2分程度で作用が発現すると考えられています。ペチジン塩酸塩を160から 215mg投与によって呼吸抑制をおこした5例を対象に、レバロルファン酒石酸塩1から1.5mgを静脈投与しました。結果、1分後には呼吸数及び分時呼吸量の改善がみられました。

作用発現時間及び作用持続時間

【上記引用元:レバロルファン酒石酸塩 医薬品インタビューフォーム】

本剤を投与するときに気を付けることはありますか?

以下の3点に注意をしてください。①筋肉内注射はやむを得ない場合にのみ、必要最少限に行ってください。同じ部位に繰り返して注射は行わないでください。また、低出生体重児/新生児/乳児/幼児/小児には特に注意してください。
②神経走行部位を避けて注射をしてください。
③注射針を刺したとき、激しい痛みを訴えたり、血流の逆流をおこした際は、すぐに針を抜いて、部位をかえて注射してください。

適用上及び薬剤交付時の注意(患者等に留意すべき必須事項等)

【上記引用元:レバロルファン酒石酸塩 医薬品インタビューフォーム】

参考元一覧

レバロルファン酒石酸塩 添付文書

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