成分名 |
ブプレノルフィン |
適応症状 |
非オピオイド鎮痛剤で治療困難な変形性関節症・腰痛症に伴う慢性疼痛における鎮痛
術後、各種癌、心筋梗塞症における鎮痛、麻酔補助 |
簡易説明 |
オピオイドと呼ばれる部類の鎮痛剤です。
オピオイドとはケシから採取されるアルカロイドや、それから合成された化合物、また体内に存在する内因性の化合物をさします。
オピオイドは、鎮痛や陶酔といって共通した作用を持ちます。ケシから採取されるアルカロイドや、それから合成された化合物は、高用量を摂取した場合に、昏睡、呼吸抑制を引き起こします。
一般的に「オピオイド」は「麻薬性鎮痛薬」を指す用語ですが、麻薬=オピオイドというわけではありません。
今回紹介するブプレノルフィンもオピオイドですがこちらは麻薬ではなく、向精神薬に該当されます。
ブプレノルフィンは同類の代表薬であるモルヒネをしのぐ鎮痛作用を示し、また、作用時間が長いのが特徴です。
特に持続する鈍痛に効果が高く、一般的な鎮痛剤が効きにくい手術後や各種癌等に用いられます。作用メカニズムは痛みの抑制系を更新するオピオイド受容体と結合することによります。
モルヒネに比べ、便秘や呼吸抑制の副作用も少ないです。
坐薬と注射と貼付剤があります。貼付剤においては適応症が異なります。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/泌尿器科/ペインクリニック等 |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
疾患により治療方針・検査項目が異なります。
病院によっても若干前後しますがおおよそ以下の通りになりますが、検査する項目が多ければさらに加算されます。また、痛み止めは根本的治療ではなくあくまで対症療法となります。
診察料としては3500円~5000円
検査料としては3500円~
薬剤料としては使用する医薬品により異なりますが、例えばレペタン坐剤0.4mgを1日2回30日使用すると仮定した場合の総額は10740円になります。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
レペタン坐剤0.2mg/0.4mg
1990年3月30日製造承認
1990年5月25日薬価基準収載
1990年6月1日発売 |
国内のジェネリック認可 |
ジェネリックあり |
関連製品(先発薬) |
ノルスパンテープ5mg/10mg/20mg【製薬メーカー:ムンディファーマ株式会社】
レペタン坐剤0.2mg/0.4mg【製薬メーカー:大塚製薬株式会社】
レペタン注0.2mg/0.3mg【製薬メーカー:大塚製薬株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
ブプレノルフィン注0.2mg「日新」/0.3mg「日新」【製薬メーカー」:日新製薬株式会社】
ノルスパンテープ5mg/10mg/20mg【製薬メーカー:ムンディファーマ株式会社】 |
効果・作用 |
本剤は非オピオイド鎮痛剤で治療困難な変形性関節症・腰痛症に伴う慢性疼痛における鎮痛、及び術後、各種癌、心筋梗塞症における鎮痛、又は麻酔補助に用います。
これらは使用する剤形により適応症が異なります。
ブプレノルフィンはμオピオイド受容体に対して作動薬として作用し、κオピオイド受容体に対しては拮抗作用を示します。モルヒネより25~50倍強い効力をもち、モルヒネと類似する作用を示しますが、天井効果を有します。
ブプレノルフィンは、オピオイド受容体に対して親和性が高く、かつ高い脂溶性を持つため、受容体からの解離が緩やかであり、長時間の作用を示します。
μオピオイド受容体を介した鎮痛作用は、脊髄における感覚神経による痛覚伝達の抑制や視床や大脳皮質知覚領域などの脳内痛覚情報伝達経路の興奮抑制といった上行性痛覚情報伝達の抑制に加え、中脳水道周囲灰白質、延髄網様体細胞および大縫線核に作用し、延髄ー脊髄下行性ノルアドレナリン及びセロトニン神経からなる下行性抑制系の賦活化等によります。また、オピオイド受容体は偏桃体や帯状回、腹側被蓋野、側座核などの部位に高密度に存在していることから、情動抑制にも深くかかわっています。
さらに、その他の中枢神経系作用として呼吸抑制作用、鎮咳作用、催吐作用などが、末梢神経系への作用として消化管運動抑制作用などが知られています。
ブプレノルフィンは直腸内、静脈内、皮下へ投与することができます。注射において2mg/日で天井効果がみられるため、強オピオイドに変更する必要があります。
ブプレノルフィンは、μオピオイド受容体に対する親和性がモルヒネよりも強いため、大量にモルヒネを投与している患者にブプレノルフィンを投与すると、μオピオイド受容体に結合できるモルヒネと競合するために、総合的に鎮痛効果が弱まる可能性があります。 |
使用方法 |
【ノルスパンテープ5mg/10mg/20mg】
通常、成人に対し、前胸部、上背部、上腕外部又は側胸部に貼付し、7日毎に貼り替えて使用します。
初回貼付用量は、ブプレノルフィンとして5mgとし、その後の貼付用量は患者の症状に応じて適宜増減するが、20mgを超えないこととする。
1.初回貼付時
1)初回貼付72時間後までブプレノルフィンの血中濃度が徐々に上昇するため、鎮痛効果が得られるまで時間を要します。そのため、必要に応じて他の適切な治療の併用を考慮すること。
2)他のオピオイド鎮痛剤から本剤へ切り替える場合には、切り替え前に使用していたオピオイド鎮痛剤の鎮痛効果の持続時間を考慮して、本剤の貼付を開始すること。なお、高用量のオピオイド鎮痛剤から切り替えた場合には、十分な鎮痛効果が得られない恐れがあるので、注意すること。
2.貼付方法
血中濃度が上昇する恐れがあるので、毎回貼付部位を変え、同じ部位に貼付する場合は、3週間以上の間隔をあけること。
3.増量
本剤貼付開始後は患者の状態を観察し、適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調節を行うこと。鎮痛効果が十分得られない場合は、ブプレノルフィンとして5~10mgずつ貼り替え時に増量する。
4.減量
連用中における急激な減量は、退薬症候が現れることがるので行わないこと。副作用等により減量する場合は、患者の状態を観察しながら慎重に行うこと。
5.投与の継続
本剤貼付開始後4週間を経過してもなお期待する効果が得られない場合は、他の適切な治療への変更を検討する。また、定期的に症状及び効果を観察し、投与の継続の必要性について検討すること。
6.投与の中止
1)本剤の投与を必要としなくなった場合には、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。
2)本剤の投与を中止し他のオピオイド鎮痛剤に変更する場合は、本剤剥離後24時間以上の間隔をあけること。また、ブプレノルフィンのμオピオイド受容体への親和性は他のオピオイド鎮痛剤より強いため、切り替え直後には他のオピオイド鎮痛剤の鎮痛効果が十ブウに得られないことがあるので、注意すること
【レペタン坐剤0.2mg/0.4mg】
(術後)
通常、成人にはブプレノルフィンとして1回0.4mgを直腸内に投与する。その後、必要に応じて約8~12時間毎に反復投与する。
ただし、術直後の激しい疼痛にはブプレノルフィンの注射剤を投与し、その後、必要に応じて坐剤を投与する。
(各種癌)
通常、成人にはブプレノルフィンとして1回0.2mg又は0.4mgを直腸内に投与する。その後、必要に応じて約8~12時間毎に反復投与する。なお、低用量より投与を開始することが望ましい。
【レペタン注0.2mg/0.3mg】
①鎮痛を目的とする場合
(術後、各種癌)
通常成人には、ブプレノルフィンとして1回0.2mg~0.3mg(体重当たり4μg/Kg~6μg/Kg)を筋肉内に注射する。なお、初回量は0.2mgとすることが望ましい。その後必要に応じて約6~8時間毎に反復注射する。症状に応じて適宜増減する。
(心筋梗塞症)
通常成人には、ブプレノルフィンとして1回0.2mgを徐々に静脈内に注射する。症状に応じて適宜増減する。
②麻酔補助を目的とする場合
通常成人には、ぶぷれのるふぃんとして0.2mg~0.4mg(体重当たり4μg/Kg~8μg/Kg)を麻酔導入時に徐々に静脈内に注射する。症状、手術時間、併用薬などに応じて適宜増減する。
【ブプレノルフィン注0.2mg「日新」/0.3mg「日新」】
ブプレノルフィン注0.2mg「日新」/0.3mg「日新」はレペタン注0.2mg/0.3mgのジェネリック医薬品に該当しますので使用方法については上記と同様になります。 |
副作用 |
重大な副作用
1)呼吸抑制、呼吸困難(0.1%~5%未満)
2)舌根沈下(頻度不明)
3)ショック(頻度不明)
4)せん妄(頻度不明)、妄想(0.1%未満)
5)依存性(頻度不明)
6)急性肺水腫(頻度不明)
7)血圧低下から失神に至った症例(頻度不明)
その他の副作用
『精神神経系』
めまい・ふらつき、眠気、頭痛・頭重感、発汗、幻覚、見当識障害、不安感(0.1~5%未満)
意識障害、痙攣、痺れ、鎮静、軽度の多幸感、興奮、健忘、悪夢等(0.1%未満)
抑うつ、顔面蒼白(頻度不明)
『循環器』
血圧低下(0.1%~5%未満)
血圧上昇、動機、徐脈、皮膚潮紅、熱感等(0.1%未満)
不整脈、胸内苦悶(頻度不明)
『消化器』
嘔気、嘔吐、口渇、食欲不振、便秘、腹痛(0.1%~5%未満)
下痢、腸管連動障害、肛門部痛等(0.1%未満)
『過敏症』
掻痒感、発疹等(0.1~5%未満)
『肝臓』
総ビリルビン、AST(GOT)、ALT(GPT)、AlーPの上昇等(0.1%未満)
『眼』
羞明感、視力以上等(0.1%未満)
縮瞳(頻度不明)
『その他』
倦怠感、不快感、尿閉(0.1~5%未満)
脱力感、悪寒、尿失禁、発熱、耳鳴り(0.1%未満)
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1.本剤の成分に対し、過敏症の既往歴のある患者
2.重篤な呼吸抑制状態及び肺機能障害のある患者
3.重篤な肝機能障害のある患者
4.頭部傷害、脳に病変のある場合で、意識混濁が危惧される患者
5.頭蓋内圧上昇の患者
6.妊婦または妊娠している可能性のある婦人
7.直腸炎、直腸出血又は著名な痔疾のある患者
8.ナルメフェン塩酸塩水和物を投与中の患者又は投与中止後1週間以内の患者
使用に注意が必要な方 9.QT炎症を起こしやすい患者
10.薬物・アルコール依存又はその既往歴のある患者
11.麻薬依存患者
12.麻痺性イレウスの患者
13.胆道疾患のある患者
14.高熱のある患者
上記にあてはまる方は、ブプレノルフィンを使用する事が出来ない可能性があります。 ブプレノルフィンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 中枢性鎮痛剤
ペンタゾシン(ソセゴン注射液15mg/30mg、ソセゴン錠25mg、ペンタゾシン注15mg「KN」/30mg「KN」)
エプタゾシン臭化水素酸塩(セダペイン注15)
酒石酸ブトルファノール等
ベンゾジアゼピン誘導体・その他の鎮静剤
ジアゼパム(2mgセルシン/5mgセルシン/10mgセルシン、エリスパン錠0.25mg、セルシンシロップ0.1%、セルシン注射液5mg/10mg、ダイアップ坐剤4/6/10、ホリゾン注射液10mg、ホリゾン錠2mg/5mg/10mg)
ニトラゼパム(サイレース錠1mg/2mg、サイレース静注2mg、ベンザリン錠2/5/10/細粒1%)
メタゼパム(エバミール錠1.0、ロラメット錠1.0)等
中枢抑制剤(催眠剤等)
フェノチアジン系薬剤
ベンゾジアゼピン誘導体
バルビツール酸誘導体(フェノバルビタール等)
全身麻酔剤
モノアミン酸化酵素阻害剤
オピオイド鎮痛剤
骨格筋弛緩剤
アルコール等
モルヒネ(MSコンチン錠10mg/30mg60mg、アヘンチンキ「第一三共」、アポカイン皮下注30mg、アンペック坐剤10mg/30mg/60mg、アンペック注200mg、オプソ内用液5mg/10mg、パシーフカプセル30mg/60mg/120mg、モルヒネ塩酸塩水和物「タケダ」原末、モルヒネ塩酸塩錠10mg「DSP」)等
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
イトラコナゾール(イトリゾールカプセル50、イトリゾール内用液1%)
エリスロマイシン(エリスロマイシン錠200mg「サワイ」、エリスロシンW顆粒20%、エリスロシンドライシロップ10%100mg、エリスロシンドライシロップW20%200mg、エリスロシン錠100mg/200mg、エリスロシン点滴静注用500mg)
リトナビル(カレトラ配合内用液、カレトラ配合錠、ノービア錠100mg、パキロビッドパック)
アタザナビル硫酸塩(レイアタッツカプセル150mg/200mg)等
CYP3A4誘導作用を有する薬剤
フェノバルビタール(フェノバルビタール散10%、フェノバルビタール散10%「ホエイ」、フェノバール散10%、フェノバルビタール散10%「マルイシ」、フェノバルビタール散10%「シオエ」、フェノバルビタール、フェノバール原末、フェノバルビタール「ホエイ」原末、アストモリジン配合胃溶錠、アストモリジン配合腸溶錠、トランコロンjP配合錠、ノーベルバール静注用200mg、ヒダントールD配合錠、ヒダントールE配合錠、ヒダントールF配合錠、ルピアール坐剤25/50/100、ワコビタール坐剤15/30/50/100、複合アレビアチン配合錠)
リファンピシン(リファジンカプセル150mg、リファンピシンカプセル150mg「サンド」、リファンピシンカプセル150mg「サンド」)
カルバマゼピン(カルバマゼピン錠100mg「アメル」/200mg「アメル」/細粒50%「アメル」、カルバマゼピン錠100mg「フジナガ」/200mg「フジナガ」/細粒50%「フジナガ」、テグレトール錠100mg/200mg/細粒50%)
フェニトイン(アレビアチン散10%、アレビアチン注250mg、アレビアチン錠25mg/100mg、ヒダントール散10%、ヒダントール錠25mg/100mg、ヒダントールD/E/F配合錠、ホストイン静注750mg、複合アレビアチン配合錠)等
セロトニン作動薬
上記を使用している方は、ブプレノルフィンを使用する事が出来ない可能性があります。 ブプレノルフィンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 ナルメフェン塩酸塩水和物(セリンクロ錠10mg)【レペタン坐剤0.2mg/0.3mg及びレペタン注0.2mg/0.3mg】
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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サイト利用に関する注意事項 | 医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。 医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。 |