成分名 |
ナロキソン塩酸塩 |
適応症状 |
麻薬による呼吸抑制ならびに覚醒遅延の改善 |
簡易説明 |
ナロキソン塩酸塩は、麻薬によって呼吸抑制が起こった場合、覚醒遅延が起こった場合に服用する薬剤です。効果の発現が早く、持続時間が短いことが特徴です。効果は5~15分ほどでピークに達し、30分ほど続きます。第一三共株式会社が開発しましたが、現在はアルフレッサーファーマに販売移管しています。1985年より発売しており、歴史の長い薬剤の1つです。 |
処方可能な診療科目 |
呼吸器外科/総合診療科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
この薬は処方薬ではありません。
ナロキソン塩酸塩静注0.2mg「AFP」【製薬メーカー:アルフレッサファーマ】0.2mg1管908円(薬価) |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月日:1985年1月(ナロキソン塩酸塩静注0.2mg「AFP」) |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
ナロキソン塩酸塩静注0.2mg「AFP」 【製薬メーカー:アルフレッサファーマ】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
海外での使用実績 |
【アメリカ】
kaleo,IncからEVZIOという名前で2016年10月から発売されています。
<効能及び効果>
EVZIOは、成人および小児患者の呼吸器または中枢神経系の抑制による、既知または疑われるオピオイド過剰摂取の緊急治療を適応とするオピオイド拮抗薬です。
EVZIOは、オピオイドが存在する状況での緊急治療としての即時投与を目的としており、救急医療に代わるものではありません。
<用法及び用量>
初期投与の場合、成人または小児患者には、必要に応じて衣類を通して、太ももの前外側に EVZIOの初回用量を筋肉内または皮下に投与してください。
呼吸抑制が長引くと、中枢神経系の損傷または死に至る可能性があるため、EVZIOはできるだけ早く投与してください。
反復投与の場合、EVZIOの反復投与の要件は、拮抗するオピオイドの量、種類、投与経路によって異なります。
2~3分後に効果が得られない場合は、EVZIO を追加投与することができます。 それでも反応がなく、追加の用量が利用できる場合は、再びEVZIOを2~3分ごとに追加投与することができます。
追加の支持または蘇生措置は、緊急の医療援助を待っている間に役立つ場合があります。患者が EVZIOに反応し、救急隊が到着する前に再び呼吸抑制に戻った場合は、EVZIOを追加投与することができます。
成人および 1 歳以上の小児患者における投与の場合、使用説明書に従って、筋肉内または皮下に EVZIOを投与するように患者またはその介護者に指示してください。
1歳未満の小児患者への投与の場合、EVZIO を投与している間、太ももの筋肉をつまむ必要があります。 注射後の感染の徴候とオピオイドの緊急事態の解決について、投与部位を注意深く観察してください。
【イギリス】
2018年2月から発売されています。 |
効果・作用 |
ナロキソン塩酸塩は、第一三共株式会社によって開発された薬剤です。オピオイド受容体において麻薬性鎮痛剤の作用を競合的に拮抗することにより、これらの薬剤に起因する呼吸抑制等の作用を改善すると言われています。
ナロキソンの呼吸抑制に対する拮抗作用の強さは、鎮痛作用に対する拮抗作用の強さに比べ、2~3倍強力です。さらに、臨床上麻薬性鎮痛剤の鎮痛作用を減弱させることなく、呼吸抑制を緩解し得ることが裏付けられています。
また、麻薬様アゴニスト作用を有しないことが動物の実験より示されています。
フェンタニルを投与した57例の術後呼吸抑制や覚醒遅延の改善を検討した試験が行われています。51例は0.2mg静脈内注射1回、6例は0.2mg静脈内注射2回投与でした。
本剤投与直後から呼吸数、換気量の増加がみられ、投与前値に比し、呼吸数は150%、1回換気量は67%、分時換気量は200%それぞれ増加しました。また、効果は30分後でも十分保持されていたことが認められています。
本剤を手術終了後に投与した場合、病室へ帰ってもよいと判断する時間が短くなり、加えて術後の呼びかけに反応を示さなかった症例への反応が明らかに認められました。
モルヒネを投与した99例の術後呼吸抑制の改善を検討した試験も行われています。85例は0.2mg静脈内注射1回、14例は0.2mg静脈内注射複数回投与でした。。呼吸数、1回換気量、分時換気量とも投与後のすべての値が投与前値に比べ有意に上昇しており、この傾向は特に15分までの値で顕著でした。投与後5分で呼吸数は平均12.3±1.1回から17.1±0.6回(39% 増)へ、1回換気量は平均323±26mL から500±29mL(52%増)、分時換気量は平均4.07±0.36Lから8.10±0.49L(99% 増)へそれぞれ上昇し、120分値まで持続していました。本剤は、5~15分で効果のピークを示し、30分後から徐々に低下しました。 |
使用方法 |
1回0.2mgを静脈内注射します。
効果不十分の場合は、2~3分間隔で0.2mgを1~2回追加投与します。
患者の症状を見ながら増減が可能です。 |
副作用 |
主な副作用
血圧上昇、頻脈、振戦、術後疼痛、悪心。嘔吐などがあげられます。
項目別の主な発現頻度は下記の通りです。
循環器・・血圧上昇(8.1%)、頻脈(1%以上)胸部苦悶感(1%未満)
精神神経系・・振戦、術後疼痛(1%以上)
消化器・・悪心・嘔吐(1%以上)腹痛(頻度不明)
肝臓・・AST上昇、ALT上昇、肝機能障害(頻度不明)
重大な副作用
頻度不明ですが、肺水腫が起こることがありますので注意をしてください。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■ナロキソン塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ナロキソン塩酸塩の有効成分
ナロキソン塩酸塩
▼代表薬の添加物
塩化ナトリウム、塩酸、水酸化ナトリウム
・以前、ナロキソン塩酸塩を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・バルビツール系薬剤等の非麻薬性中枢神経抑制剤又は病的原因による呼吸抑制のある方は無効のため使用できません。
使用に注意が必要な方 ・高血圧、心疾患のある方は、麻薬等による抑制が急激に拮抗され、血圧上昇、頻脈等を起こすことがあるため注意をしてください。
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
・小児は、対象とした臨床試験を行っていないため注意をしてください。
・高齢者は、一般的に生理機能が低下しているため減量して投与するなど注意をしてください。
上記にあてはまる方は、ナロキソン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 ナロキソン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
参考元一覧 |
ナロキソン塩酸塩添付文書
ナロキソン塩酸塩 【麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン 第3版Ⅱ鎮痛薬・拮抗薬】 |
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