ナプロキセン

成分名

ナプロキセン

適応症状

関節リウマチ/変形性関節症/痛風発作/強直性脊椎炎/腰痛症/肩関節周囲炎/頸肩腕症候群/腱・腱鞘炎/月経困難症/帯状疱疹/外傷後並びに手術後の炎症・疼痛/歯科・口腔外科領域における抜歯並びに小手術後の炎症・疼痛

簡易説明

ナイキサン(一般名:ナプロキセン)は、解熱鎮痛剤として広く使われている薬で、「非ステロイド抗炎症薬」という種類に属しています。
非ステロイド抗炎症薬の中には、子どもには使えない薬もあるのですが、本剤は小児にも適応がありますので、使い勝手が良いと言えます。
ただし、錠剤しかないので注意が必要です。
また本剤は症状をあくまで一時的に抑えるお薬であり、病気自体を治す治療薬ではないという点にも注意が必要です。

処方可能な診療科目

リウマチ科/膠原病科/整形外科/内科/婦人科/歯科/口腔外科

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

【薬価】
ナイキサン錠100mg(田辺三菱製薬):6.1円/錠

厚生労働省による認可、または発売年月日

1978年3月(発売)

国内のジェネリック認可

なし

関連製品(先発薬)

ナイキサン錠100mg(田辺三菱製薬)

関連製品(ジェネリック)

なし

効果・作用

〇効果
本剤は痛みや発熱を抑える薬です。
痛みは一般的に
1.侵害受容性疼痛(火傷、切り傷など痛みを感じる神経が刺激しておこる痛み)
2.神経障害性疼痛(帯状疱疹のように神経がウィルスにやられる場合や、手術で神経を傷つけた時におこる、神経そのものが損傷された時の痛み)
3.心因性疼痛(体には問題がないのにストレスなどから感じる痛み)
の3つに分けられます。
その中で、本剤は主に1.侵害受容性疼痛の鎮痛に効果を発揮します。

〇作用
ナイキサンが属する非ステロイド抗炎症薬の作用は、消炎(炎症を抑えること)により解熱と鎮痛を行うことです。
炎症とは、発赤(赤くなる)、熱感 (熱くなる)、腫脹(腫れる)、疼痛(痛みを感じる)の4つの徴候を生じる状態のことで、感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーで生じることもあります。
ナイキサンは炎症の原因が何であれ、炎症そのものを抑える作用を持ちます。
具体的には、炎症や痛み、発熱を誘発する物質に「プロスタグランジン(PG)」というものがあり、これは「シクロオキシゲナーゼ(COX)」という物質のはたらきによって作られるのですが、
本剤にはそのシクロオキシゲナーゼ(COX)のはたらきをブロックする機能があり、これにより炎症を抑えることができるのです。

使用方法

ナプロキセンとして1日量300~600mgを2~3回に分け、なるべく空腹時を避けて服用します。
痛風発作には初回400~600mgを経口にて服用します。
頓用する場合及び外傷後並びに術後初回には300mgを経口にて服用してください。
なお、年齢や症状により適宜増減してください。

副作用

重大な副作用
ショック/PIE症候群/皮膚粘膜眼症候群/胃腸出血/潰瘍/再生不良性貧血/溶血性貧血/無顆粒球症/血小板減少/糸球体腎炎/間質性腎炎/腎乳頭壊死/ネフローゼ症候群/腎不全/表皮水疱症/表皮壊死/多形性紅斑/胃腸穿孔/大腸炎/劇症肝炎/聴力障害/視力障害/無菌性髄膜炎/血管炎

その他の副作用
発疹/そう痒/蕁麻疹/光線過敏症/胃部不快感/胃痛/悪心・嘔吐/食欲不振/下痢/便秘/口内炎/腹部膨満感/口渇/血小板機能低下/黄疸/AST(GOT)の上昇/ALT(GPT)の上昇/眠気/めまい/頭痛/手足のしびれ感/耳鳴/聴力減退/痙攣/集中力低下/見当識障害/不眠症/脱毛/浮腫/心悸亢進/脱力感/血尿

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
〇以下の疾患や症状のある方
消化性潰瘍/)重篤な血液異常/重篤な肝障害/)重篤な腎障害/重篤な心機能不全/重篤な高血圧症/本剤の成分又は他の非ステロイド性消炎鎮痛剤に対する過敏症(既往歴)/アスピリン喘息

〇妊娠後期の方
動物実験で周産期・授乳期投与により母体への影響及び新生児毒性並びに胎児毒性が報告されています。

使用に注意が必要な方
〇以下の疾患及びその既往歴のある方
消化性潰瘍/)血液異常/出血傾向/肝障害/腎障害/心機能障害/高血圧症/過敏症/気管支喘息/潰瘍性大腸炎/クローン病

〇非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍があり、かつ本剤の長期投与が必要であり、さらにミソプロストールによる治療が行われている方
ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能・効果としていますが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もあります。

〇高齢者
一般に高齢者では副作用があらわれやすく、また消炎鎮痛剤による消化管の潰瘍、出血等の発現率が高い傾向が認められていますので、少量から開始するなど慎重に服用する必要があります。

〇妊婦、産婦、授乳婦等
妊娠中の服用に関する安全性は確立していません。
母体から胎児に薬が移行することで胎児のPG(プロスタグランジン)が減少し、動脈管が収縮するおそれがありますので、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ服用してください。
その際使用量は必要最低限ににとどめ、適宜羊水量を確認するなど慎重になる必要があります。
授乳中の方が服用する場合は授乳を避けてください。動物実験において、乳汁中への移行が報告されています。

〇小児等
1歳以下の乳児に対する安全性は確立していないので、なるべく服用しないことが望ましいです。

上記にあてはまる方は、ナプロキセンを使用する事が出来ない可能性があります。
ナプロキセンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
【ヒダントイン系抗てんかん剤(フェニトイン)】
ヒダントインの血中濃度が上昇し、作用が増強することがあります。異常が認められた場合には本剤を減量するなど適切な処置を行ってください。

【スルホニル尿素系血糖降下剤】(クロルプロパミド、トルブタミド、グリベンクラミド)
血糖降下剤の作用が増強(低血糖)することがあります。血糖値に注意し、異常が認められた場合には本剤を減量するなど適切な処置を行ってください。

【抗凝固剤】(ワルファリン、ダビガトランエテキシラート等)
これらの薬剤との併用により、出血の危険性が増大する可能性があります。注意してください。

【抗血小板剤(クロピドグレル等)】
これらの薬剤との併用により、出血の危険性が増大する可能性があります。注意してください。

【プロベネシド】
本剤の血中濃度が上昇し、半減期が延長することがあります。異常が認められた場合には本剤を減量するなど適切な処置を行ってください。

【メトトレキサート】
メトトレキサートの血中濃度が上昇し、副作用(骨髄抑制、腎機能不全等)が増強することがあります。異常が認められた場合にはメトトレキサートを減量するなど適切な処置を行ってください。

【降圧剤】(β遮断剤、利尿剤、ACE阻害剤、A-Ⅱ受容体拮抗剤等)
降圧作用及び利尿作用が低下することがあります。併用する場合には、定期的に血圧を測定し、用量について注意してください。

【ACE阻害剤、A-Ⅱ受容体拮抗剤】
腎障害があらわれることがあります。異常が認められた場合には両剤を減量するなど適切な処置を行ってください。

【リチウム製剤】(炭酸リチウム)
リチウム中毒(振戦、悪心、嘔吐等)を起こすことがあります。定期的にリチウムの血中濃度を測定し、異常が認められた場合にはリチウム製剤を減量するなど適切な処置を行ってください。

【ジドブジン】
ジドブジンの血中濃度が上昇し、副作用(骨髄抑制等)があらわれるおそれがあります。定期的に血液検査を行うなど観察を十分行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行ってください。

【ニューキノロン系抗菌剤】(エノキサシン等)
痙攣発作が増強するおそれがあります。異常が認められた場合には両剤の投与を中止し、適切な処置を行ってください。

【イグラチモド】
胃腸障害の発現率が増加するおそれがあるので、特に消化性潰瘍があらわれた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行ってください。

【アスピリン製剤】(抗血小板剤として投与している場合)
アスピリンの血小板凝集抑制作用を減弱するとの報告があります。

上記を使用している方は、ナプロキセンを使用する事が出来ない可能性があります。
ナプロキセンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
食後の服用が望ましいのはなぜですか?またどうしても服用前の食事が難しい時はどうすればいいですか?

食後の服用が望ましいのは、胃粘膜障害を予防するためです。どうしても空腹時に使用する場合は、牛乳などを1杯飲んでから服用してください。

副作用はどのくらいの頻度で現れますか?

総症例26,917例中副作用が報告されたのは941例、3.5%でした。
主なものは胃腸障害や腹痛などですが、重篤な副作用が現れる場合もあります。
何か異常や違和感を感じたら、医師の指示に従い対処してください。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。