トファシチニブクエン酸塩

成分名

トファシチニブクエン酸塩

適応症状

関節リウマチ/潰瘍性大腸炎

簡易説明

炎症による腫れや痛みを抑える薬です。関節リウマチや潰瘍性大腸炎の治療に用いられます。
JAK(ヤヌスキナーゼ)という酵素を阻害し、免疫反応に関わるサイトカインの働きを抑えることで、炎症を鎮めます。
強力な薬である反面、副作用が強く出る、発がん性が否定できないなどの問題があるため、安易に処方されることはなく、最後の切り札として用いられます。

処方可能な診療科目

リウマチ科/膠原病科/整形外科/消化器内科 など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

ゼルヤンツ錠5mgを処方してもらう場合。
診察料などの目安:約1000円~約2000円(保険により3割負担の場合)
薬代1錠あたりの目安:約2659.9円(薬価)
病院によって差ががあります。また、診察料・薬代の他に、初診料・検査料などが必要になる場合があります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2013年7月販売開始(ゼルヤンツ錠5mg)

国内のジェネリック認可

なし

関連製品(先発薬)

ゼルヤンツ錠5mg(ファイザー)

関連製品(ジェネリック)

なし

効果・作用

炎症を抑える薬です。関節リウマチや潰瘍性大腸炎の治療に用いられます。

リウマチは、関節に強い炎症を生じ、腫れや痛みをともなう、体の免疫系がかかわっている膠原病の一種です。進行すると関節の骨や軟骨が破壊され、変形とともにその機能が失われます。

本剤が関節リウマチの治療に使われると、関節の炎症をしずめ、腫れや痛みを軽くし、関節破壊を防ぎます。ただし、感染症など副作用が出やすいので、既存の標準療法が効果不十分な場合に用いられます。

潰瘍性大腸炎は、大腸に炎症を起こす病気です。直腸など大腸の一部または大腸全体の粘膜層に潰瘍やびらんを生じ、ひどい下痢や腹痛を起こします。直腸炎型では血便をともなうことも多いです。完治は難しく、そのような症状が出る活動期と、軽快する寛解期を繰り返します。潰瘍性大腸炎の国内患者数は、2016年までの10年間で約1.9倍に増えました。

本剤は潰瘍性大腸炎治療薬としても有用です。大腸粘膜の炎症を抑えて諸症状を改善します。活動期においては寛解導入を目的とし、さらに寛解後は維持療法としても用いられます。ただし、初めから使うのではなく、既存治療で効果不十分な中等症から重症の潰瘍性大腸炎に限ります。

作用としては、JAK(ヤヌスキナーゼ)という酵素を阻害し、免疫反応に関わるサイトカインの働きを抑えることで関節リウマチや潰瘍性大腸炎の症状を改善します。腫れや痛みを強力におさえる作用をもち、その効果は生物製剤に匹敵します。その裏返しとして、重い感染症を誘発する危険性があり、また発がんリスクについても否定できません。飲み薬といっても敷居が低いわけではなく、むしろ最後の切り札とみなされています。

使用方法

■関節リウマチ
通常、トファシチニブとして1回5mgを1日2回経口投与します。

■潰瘍性大腸炎
導入療法では、通常、成人にトファシチニブとして1回10mgを1日2回8週間経口投与します。なお、効果不十分な場合はさらに8週間投与することができます。
維持療法では、通常、成人にトファシチニブとして1回5mgを1日2回経口投与します。なお、維持療法中に効果が減弱した患者では、1回10mgの1日2回投与に増量することができます。また、過去の薬物治療において難治性の患者(TNF阻害剤無効例等)では、1回10mgを1日2回投与することができます。

副作用

重大な副作用
感染症(帯状疱疹、肺炎(ニューモシスティス肺炎等を含む)、敗血症、結核 等)/消化管穿孔/好中球減少/リンパ球減少/ヘモグロビン減少/肝機能障害/黄疸/間質性肺炎/

その他の副作用
鼻咽頭炎/気管支炎/尿路感染/インフルエンザ/膀胱炎/咽頭炎/副鼻腔炎/肺炎/単純ヘルペス/蜂巣炎/ウイルス性胃腸炎/腎盂腎炎/ウイルス感染/細菌性関節炎/サイトメガロウイルス感染/細菌性肺炎/肺炎球菌性肺炎/脳炎(BKウイルス脳炎を含む)/クリプトコッカス性髄膜炎/マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス感染/壊死性筋膜炎/ニューモシスチス肺炎/非定型マイコバクテリア感染/菌血症/ブドウ球菌性菌血症/貧血/白血球減少/過敏症(蕁麻疹/血管浮腫等)/高脂血症/脂質異常症/脱水/不眠症/頭痛/錯感覚/高血圧/咳嗽/呼吸困難/副鼻腔うっ血/悪心/下痢/腹痛/消化不良/嘔吐/胃炎/脂肪肝/発疹/そう痒症/紅斑/関節痛/筋骨格痛/関節腫脹/腱炎/疲労/発熱/末梢性浮腫/血中クレアチンホスホキナーゼ増加/血中コレステロール増加/γ-GTP増加/低比重リポ蛋白増加/体重増加/肝酵素上昇/血中クレアチニン増加/高比重リポ蛋白増加/トランスアミナーゼ上昇/肝機能検査異常/靭帯捻挫/肉離れ

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
・重篤な感染症(敗血症等)の患者[症状を悪化させるおそれがあります。]
・活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがあります。]
・重度の肝機能障害を有する患者[副作用が強くあらわれるおそれがあります。]
・好中球数が500/mm3未満の患者[好中球減少があらわれることがあります。]
・リンパ球数が500/mm3未満の患者[本剤投与によりリンパ球減少が認められています。]
・ヘモグロビン値が8g/dL未満の患者[ヘモグロビン値が低下することがあります。]
・妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[動物試験において催奇形性が報告されています。]

使用に注意が必要な方
・感染症の患者又は感染症が疑われる患者[本剤は免疫反応を減弱する作用を有し、正常な免疫応答に影響を与える可能性があるので、適切な処置と十分な観察が必要です。]
・結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)[結核を活動化させるおそれがあるので、胸部レントゲン検査等を定期的に行うなど、結核症状の発現に十分注意して下さい。]
・易感染性の状態にある患者[感染症を発現するリスクが増加します。]
・高齢者[高齢者において重篤な感染症の発現頻度の上昇が認められています。]
・腸管憩室のある患者[消化管穿孔があらわれるおそれがあります。]
・好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン値減少のある患者[好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン値減少が更に悪化するおそれがあります。]
・軽度又は中等度の肝機能障害を有する患者[副作用が強くあらわれるおそれがあります。]
・腎機能障害を有する患者[副作用が強くあらわれるおそれがあります。]
・間質性肺炎の既往歴のある患者[間質性肺炎が増悪又は再発することがあります。]

上記にあてはまる方は、トファシチニブクエン酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
トファシチニブクエン酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・CYP3A4阻害剤:マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン、エリスロマイシン等)/ノルフロキサシン等/アゾール系抗真菌剤
(イトラコナゾール、ボリコナゾール等)/カルシウム拮抗剤(ジルチアゼム、ベラパミル)/アミオダロン/シメチジン/フルボキサミン/抗HIV剤(リトナビル、インジナビル、アタザナビル、ネルフィナビル、サキナビル)/抗ウイルス剤(テラプレビル;C型肝炎)/
グレープフルーツ/フルコナゾール
→トファシチニブの曝露量が増加するおそれがあります。

・CYP3A4誘導剤:抗てんかん剤(バルビツール酸誘導体、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン等)/リファンピシン/リファブチン/モダフィニル
・セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
→トファシチニブの血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱する可能性があります。

・肝機能障害を起こす可能性のある薬剤
→関節リウマチ患者において、メトトレキサートを含むDMARD等併用時に本剤単独投与時と比較して肝機能障害の発現割合上昇が認められています。

上記を使用している方は、トファシチニブクエン酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
トファシチニブクエン酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
報告なし

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
この薬を飲むとコロナなどの感染症にかかりやすくなるのでしょうか。

免疫弱めるので、かかりやすくなります。人ごみは避けたほうがよいかもしれません。外出のときはマスクをし、うがいや手洗いをしっかりしてください。

ジェネリックはないのでしょうか。

2013年に販売が開始された薬なので、まだジェネリックは出回っていません。

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