成分名 |
オキシコドン塩酸塩水和物 |
適応症状 |
癌性疼痛 |
簡易説明 |
オキシコドンは医療用麻薬で中等度から高度の疼痛の鎮痛を目的に使用される薬でオピオイドと総称されています。アメリカではオピオイドの乱用による死亡事故等が社会問題となりました。このため、オピオイドを注射、吸入出来ないよう錠剤の強度を高めた薬剤が開発されました(日本国内ではオキシコンチンTR錠となります)。
オキシコンチンはフランクフルト大学で半合成に成功し、1917年からドイツで臨床試験が開始されました。その後アメリカを含む各国で使用されています。
日本国内では塩野義製薬株式会社ががん疼痛治療薬としてオキシコドン製剤を開発しました。 |
処方可能な診療科目 |
緩和ケア/ペインクリニック等 |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安:5,520円円(後発品徐放剤 5mg×1日2回×30日)~47,940円(オキシコンチンTR錠 40mg×1日2回×30日)
薬代1錠あたりの目安:オキノーム散(2.5mg 53.80円/5mg 111.20円/10mg 220.70円/20mg 457.50円)、オキシコンチンTR錠(5mg 121.40円/10mg 233.60円/20mg 433.70円/40mg 799.10円)
薬代後発品1錠の目安:錠(2.5mg 51.70円/5mg 94.70円/10mg 174.00円/20mg 323.00円、内服薬(2.5mg 89.20円/5mg 155.10円/10mg 298.30円/20mg 545.50円)、徐放カプセル(5mg 92.00円/10mg 169.40円/20mg 318.50円/40mg 554.70円)、徐放錠NX(5mg 92.00円/10mg 175.10円/20mg 318.50円/40mg 575.10円)
※オキシコドン錠は2023年3月31日で経過措置満了(薬価削除)となります。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。
※背景にある癌治療によって高額療養費制度の対象となることがあります。
高額療養費制度の対象となった場合、患者の年齢、所得水中によっても異なってきます。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
オキノーム発売年月:2007年2月
オキシコンチン発売年月:2017年12月 |
国内のジェネリック認可 |
国内ジェネリック認可あり |
関連製品(先発薬) |
オキノーム散2.5mg/5mg/10mg/20mg【製薬メーカー:塩野義製薬株式会社】
オキシコンチンTR錠5mg/10mg/20mg/40mg【製薬メーカー:塩野義製薬株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
オキシコドン錠「第一三共」2.5mg/5mg/10mg/20mg【製薬メーカー:第一三共株式会社】
オキシコドン錠NX「第一三共」2.5mg/5mg/10mg/20mg【製薬メーカー:第一三共株式会社】
オキシコドン徐放剤NX「第一三共」5mg/10mg/20mg/40mg【製薬メーカー:第一三共株式会社】
、オキシコドン内服液「日本臓器」2.5mg/5mg/10mg/20mg【製薬メーカー:日本臓器製薬株式会社】
※オキシコドン錠「第一三共」は2023年3月31日で経過措置満了(販売中止)となります。 |
海外での使用実績 |
アメリカではオキシコドン単剤は1981年から使用が可能となり、オキシコドン徐放製剤(OxyContin)は1996年から販売を開始され、同年カナダでも販売され、その後世界各国で販売されています。 |
効果・作用 |
オキシコドン製剤はモルヒネと同様にオピオイド受容体を介して鎮痛作用を示すと考えられています。オピオイド受容体は脳や脊髄など中枢神経系に広く分布しています。オキシコンチン製剤は脳が感じた痛覚を脊髄に伝達するのを抑える働き(下行性痛覚抑制)と末梢神経から中枢神経、脊髄から脳への痛覚伝達を抑える働き(上行性痛覚抑制)の2つの作用によって鎮痛効果を発揮します。
オキシコドン製剤を癌性疼痛で使用する場合には、臨時追加投与という方法が取られることがあります。痛みが突発性に強まった場合などの使用となりますが、この場合はオキノームのみが使用可能となります。この治療方法は慢性疼痛でオキシコンチンを使用している場合には行われません。
オキシコンチンを慢性疼痛で使用できるのは、慢性疼痛の診断、治療に精通した医師のみで、調剤できる薬局も管理、説明が十分に出来るなどの条件が示されています。また。この際に処方できる量も30日分までと制限されています。
【国内臨床試験】
(癌性疼痛)
・疼痛改善効果(オキシコンチン錠)
モルヒネ硫酸塩水和物からの切替:82.5%(66/80例)
オピオイド鎮痛薬非使用例:90.2%(37/41例)
(慢性疼痛)
・治療中止試験(オキシコンチン錠)
オキシコンチン錠はプラセボ群と比較して、鎮痛効果不十分と判定されるまでの期間が有意に長かった(P=0.0095)。 |
新型コロナウイルス感染症予防・治療に関して |
予防接種や感染治療を受ける方は、必ず医師または薬剤師に相談してください。 |
使用方法 |
【オキノーム】
1日10㎎~80mgを4回に分けて6時間ごとの定時に飲みます。
【オキシコンチン】
1日10mg~80mg*を2回に分けて12時間ごとに投与します。
*慢性疼痛では10mg~60mg
【注意事項】
(初回投与時)
・オピオイド系鎮痛薬を使用していない場合は10~20mgを1日投与量とすることが望ましい(慢性疼痛の場合は10mg)。
・モルヒネ製剤から変更する場合はモルヒネ量の2/3量を1日投与量とすることが望ましい(慢性疼痛の場合は添付文書の換算表を目安に適切な1日投与量を設定する)。
経皮フェンタニル貼付剤から変更する場合は適切な濃度に低下するまで時間を空けるとともに、低用量からの投与開始を考慮します(フェンタニルは血中濃度が50%まで減少するまで17時間かかります)。
(臨時追加投時:オキノーム散のみ)
定時投与中のオキシコドン投与量の1/8~1/4を経口投与します(癌性疼痛のみ)。 |
副作用 |
重大な副作用
【重大な副作用と主な自覚症状】
ショック:冷や汗が出る、めまい、顔面蒼白、手足が冷たくなる、意識の消失
アナフィラキシー:全身のかゆみ、蕁麻疹、喉のかゆみ、ふらつき、動悸、息苦しい
依存性:ある薬を摂取したいと強く思いコントロールが出来ない、手足のふるえ、発汗、幻覚、不眠
呼吸抑制:呼吸回数が減る、呼吸が浅くなる
錯乱:注意力が散漫になる、問いかけに間違った答えをする、行動にまとまりがない
譫妄:軽度の意識混濁、興奮状態、幻覚、妄想
無気肺:息苦しい、唇や指先が青紫色になる、意識の低下・消失、動悸
気管支痙攣:息がぜいぜいする、息をするときヒュウーヒューと音がする
喉頭浮腫:声が出にくい、喉がつまる感じ、息苦しい、息をするときヒュウーヒューと音がする
麻痺性イレウス:便やおならが出にくい、吐き気、嘔吐、お腹が張る
中毒性巨大結腸:発熱、お腹が張る、激しい腹痛、下痢、便に鮮紅色~暗赤色の血が混じる
肝機能障害:疲れやすい、体がだるい、力が入らない、吐き気、食欲不振
【主な副作用(5%以上の副作用】
(オキノーム)
便秘(26.8%)、吐き気(16.9%)、眠気(16.9%)、傾眠、めまい、嘔吐
(オキシコンチン)
便秘(42.4%)、吐き気(39.5%)、眠気(22.8%)、傾眠(18.7%)、嘔吐(16.5%)、めまい
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■重篤な呼吸抑制のある方、重篤な慢性閉塞性肺疾患の方、急性アルコール中毒の方
呼吸抑制を増強します。
■気管支喘息発作中の方
呼吸を抑制し、気道分泌を妨げます。
■慢性肺疾患でおこった心不全の方
呼吸抑制や循環不全を増強します。
■痙攣状態にある方(てんかん重積症、破傷風、ストリキニーネ中毒の方)
脊髄の刺激効果があらわれます。
■麻痺性イレウスの方
消化管運動を抑制します。
■出血性大腸炎の方
症状の悪化や治療期間の延長をきたすおそれがあります。
■ナルメフェン塩酸塩水和物を投与中または中止後1週間以内の方
オキシコドン製剤の作用が弱まる、退薬症候を起こすことがあります。
■アヘンアルカロイドに対し過敏症の方
■オキシコドン塩酸塩水和物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記添加物にアレルギーをお持ちの方、オキノーム、オキシコンチンはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼オキノーム、オキシコンチンの有効成分
オキシコドン
▼オキノーム散の添加物
粉末還元麦芽糖水アメ、D-マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、含水二酸化ケイ素
▼オキシコンチンTR錠の添加物
ポリエチレンオキシド4000K、無水クエン酸、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、乳糖水和物、酸化チタン、マクロゴール4000、トコフェロール酢酸エステル(5mg、10mg)、軽質無水ケイ酸(5mg、10mg)、三二酸化鉄(5mg、20mg)、黄色三二酸化鉄(5mg、40mg)
使用に注意が必要な方 ・細菌性下痢のある方:治療期間の延長をきたすおそれがあります。
・心機能障害あるいは低血圧のある方:循環不全を増強するおそれがあります。
・呼吸機能障害のある方・呼吸抑制を増強するおそれがあります。
・脳に基質的な障害のある方:呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇をおこすおそれがあります。
・ショック状態にある方:循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがあります。
・代謝性アシドーシスのある方:呼吸抑制をおこした時のアシドーシスを増悪させるおそれがあります。
・甲状腺機能低下症の方:呼吸抑制や昏睡をおこすおそれがあります。
・副腎皮質機能低下症の方:呼吸抑制に対する感受性が高くなっています。
・薬物・アルコール依存の方、過去にあった方:依存性が生じやすくなっています。
・薬物・アルコール等による精神障害のある方:症状が増悪するおそれがあります。
・衰弱者:呼吸抑制作用に対する感受性が高くなっています。
・前立腺肥大による排尿障害、尿道狭窄、尿路手術後の方:排尿障害を増悪することがあります。
・基質的幽門狭窄又は最近消化管手術を行った方:消化管運動を抑制します。
・痙攣を起こしたことのある方:痙攣を誘発するおそれがあります。
・胆嚢障害、胆石症又は膵炎の方:症状が増悪することがあります。
・重篤な炎症性腸疾患のある方:連用した場合に巨大結腸症をおこすおそれがあります。
・嚥下が困難な方、消化管狭窄をおこす病気のある方:嚥下障害や消化管閉塞の危険性が高まります。
・腎機能障害、肝機能障害の方:副作用があらわれるおそれがあります。
・妊婦:同系統の薬(モルヒネ)の動物実験で胎児への悪影響が報告されています。また、新生児に退薬症状、呼吸抑制があらわれることがあります。
・授乳婦:母乳に移行することが報告されています。
・小児:臨床試験を行っていません。
・高齢者:一般に生理機能が低下していて、特に呼吸抑制への感受性が高くなっています。
上記にあてはまる方は、オキシコドン塩酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。 オキシコドン塩酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 ・中枢神経抑制剤、吸入麻酔剤、MAO阻害剤、三環系抗うつ薬、β遮断薬、アルコール:呼吸抑制、低血圧、顕著な鎮静、昏睡がおこることがあります。
・ワルファリンカリウム:ワルファリンカリウムの作用が増強されることがあります。
・抗コリン作用を有する薬剤:麻痺性イレウスに至る重篤な便秘や尿貯留がおこることがあります。
・ブプレノルフィン、ペンタゾシン等:オキシコドン製剤の鎮静作用を減弱させることがあります。
・CYP3A4阻害作用を有する薬剤:オキシコドン製剤の血中濃度が上昇し、副作用がおこるおそれがあります。
・CYP3A4誘導作用を有する薬剤:オキシコドン製剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがあります。
上記を使用している方は、オキシコドン塩酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。 オキシコドン塩酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 ナルメフェン塩酸塩水和物:【使用が出来ない方】参照
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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参考元一覧 |
オキシコドン塩酸塩水和物(オキシコンチン、オキノーム 添付文章) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】
慢性疼痛に対する適正使用ガイドブック オキシコンチンTR錠【PMDA 医薬品リスク管理計画(RMP)】
オキシコンチンTR錠 【PMDA 患者向医薬品ガイド】
医薬品マスター検索(オキノーム、オキシコンチン、オキシコドン) 【厚生労働省 診療報酬情報提供サービス】 |
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