成分名 |
デクスメデトミジン塩酸塩 |
適応症状 |
〇集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静
〇局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静 |
簡易説明 |
デクスメデトミジン塩酸塩は集中治療における人工呼吸中の鎮静、並びに離脱後の鎮静に使用される医薬品です。また局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静にも適応があります。一番の特徴としては呼吸抑制作用がほとんどない事が挙げられます。もともと現場で使用されていたプロポフォールやミダゾラムとの違いがここにあります。
デクスメデトミジン塩酸塩は選択制の高いα2アドレナリン受容体作動薬です。脳内の青班核に分布するα2受容体に作用してノルアドレナリンの放出を抑制する事で効果を発揮します。
鎮静作用とともに鎮痛作用も有しており、せん妄の発生が少ない言った長所もあります。 |
処方可能な診療科目 |
救命救急/麻酔科/集中治療センター/消化器内科 など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
静脈注1瓶の価格:2764円
静脈注1筒の価格:2824円
後発品静脈注1瓶の価格:1364円
後発品静脈注1筒の価格:1804円
使用量においては年齢及び体重により決めらる為価格もここにより異なります。
基本的に集中治療時又は局所麻酔下時に使用される医薬品になる為処方箋として院外処方で処方されることはありません。
その他かかる費用としては診察費、入院費、手術代、医薬品代等があげられます。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
【プレセデックス静注液200μg「ファイザー」】
2004年1月29日製造販売承認
2016年12月7日薬価基準収載
2006年3月1日発売
【プレセデックス静注液200μg/50mLシリンジ「ファイザー」】
2018年3月23製造販売承認
2018年5月30日薬価基準収載
2018年6月14日発売 |
国内のジェネリック認可 |
ジェネリックあり |
関連製品(先発薬) |
プレセデックス静注液200μg「ファイザー」2mL【製薬メーカー:ファイザー株式会社】
プレセデックス静注液200μg/50mLシリンジ「ファイザー」【製薬メーカー:ファイザー株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
デクスメデトミジン静注液200μg「ニプロ」2mL【製薬メーカー:ニプロ株式会社】
デクスメデトミジン静注液200μg「サンド」2mL【製薬メーカー:サンド株式会社】
デクスメデトミジン静注液200μg/500mLシリンジ「ニプロ」【製薬メーカー:ニプロ株式会社】 |
効果・作用 |
デクスメデトミジン塩酸塩は集中治療における人工呼吸中の鎮静及び離脱後の鎮静、また局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静にも適応のある医薬品になります。
〇局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静における注意事項
全身麻酔に移行する意識下気管支ファイバー挿管は、国内臨床試験において検討されておらず、本剤の有効性及び安全性は確立されておりません。
〇作用部位・作用機序
デクスメデトミジンは脳内青班核に分布する中枢性α2アドレナリン受容体を介して、大脳皮質等の上位中枢の興奮覚醒レベルの上昇を抑制することにより鎮静作用を発現します。
通常、青班核ノルアドレナリンニューロンは大脳皮質等の上位中枢の興奮・覚醒レベルを上げる方向に機能していますが、α2アドレナリン受容体が賦活化されると、負のフィードバック機構により神経末端からのノルアドレナリンの遊離が抑制され、また青班核ノルアドレナリンニューロンの活動が抑制されて、鎮静状態が発現するとされております。デクスメデトミジンは、この青班核のα2アドレナリン受容体を刺激することにより、鎮静作用をもたらします。
α2受容体には詳しく分けるとα2A受容体とα2B受容体が存在します。α2A受容体は主に青班核、脊髄、延髄などに分布し、その作用としては鎮静、鎮痛、血管拡張などの作用を呈します。またα2B受容体は末梢血管に分布し、血管収縮作用を持ち合わせております。デクスメデトミジン塩酸塩はそのどちらの受容体にも作用する事が分かっております。 |
使用方法 |
【集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静】
通常、成人には、デクスメデトミジンを6μg/kg/時の投与速度で10分間静脈内へ持続注入し(初期負荷投与)、続いて患者の状態に合わせて、至適鎮静レベルが得られる様、維持量として0.2~0.7μg/kg/時の範囲で持続注入する(維持投与)。また、維持投与から開始することもできる。
通常、6歳以上の小児は、デクスメデトミジンを0.2μg/kg/時の投与速度で静脈内へ持続注入し、患者の状態に合わせて、至適鎮静レベルが得られる洋、0.2~1.0μg/kg/時の範囲で持続注入する。
通常、修正在胎(在胎週数+出生後週数)45週以上6歳未満の小児には、デクスメデトミジンを0.2μg/kg/時の投与速度で静脈内へ持続注入し、患者の状態に合わせて、至適鎮静レベルが得られる様、0.2~1.4μg/kg/時の範囲で持続注入する。
なお、患者の状態に合わせて、投与速度を適宜減速すること。
【局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静】
通常、成人には、デクスメデトミジンを6μg/kg/時の投与速度で10分間静脈内へ持続投与し(初期負荷投与)、続いて患者の状態に合わせて、至適鎮静レベルが得られる様、維持量として0.2~0.7μg/kg/時のお範囲で持続注入する(維持投与)。なお、患者の状態に合わせて、投与速度を適宜減速すること。 |
副作用 |
重大な副作用
1)低血圧(5%以上)
2)高血圧(5%以上)
3)徐脈(5%以上)
4)心室細動(0.1~1%未満)
5)心停止(0.1~1%未満)、洞停止(頻度不明)
6)低酸素症(1~5%未満)、無呼吸(0.1~1%未満)、呼吸困難(0.1~1%未満)、呼吸抑制(5%以上)、舌根沈下(0.1~1%未満)
その他の副作用
1)精神神経系
激越(1%以上)
不安、錯乱、幻覚、眩暈、頭痛、不全麻痺、せん妄、傾眠、落ち着きのなさ(0.1~1%未満)
うつ病、錯乱、神経過敏、意識低下、神経痛、神経炎、ニューロパシー、知覚脱失、ジストニア、言語障害、昏迷、痙攣(0.1%未満)
2)消化器
嘔吐、嘔気、口内乾燥(1%以上)
腹痛、下痢(0.1~1%未満)
おくび(0.1%未満)
3)循環器
心房細動、頻脈(1%以上)
末梢性虚血、血管障害、血圧変動、心不全、心電図異常、特異的心電図異常、高血圧悪化、心筋梗塞、不整脈、心室性不整脈、期外収縮、上室性頻脈、心室性頻脈(0.1~1%未満)
脳出血、血管拡張、脳血管障害、血管痙攣、循環不全、チアノーゼ、心疾患、狭心症、心筋虚血、心房性不整脈、AVブロック、脚ブロック、心ブロック、T派逆転、上室性不整脈、心電図QT延長(0.1%未満)
4)感覚器
視覚異常(0.1~1%未満)
複視、光視症、耳不快感(0.1%未満)
5)血液
出血、血小板減少、貧血、白血球増加症(0.1~1%未満)
凝固障害、播種性血管内凝固症候群、好酸球増多症(0.1%未満)
6)肝臓
AG比異常、血清AST上昇、血清ALT上昇(0.1~1%未満)
γーGTP上昇、黄疸、肝機能異常(0.1%未満)
7)皮膚
多汗(0.1~1%未満)
紅班性皮疹(0.1%未満)
8)泌尿器
乏尿(0.1~1%未満)
腎機能異常、尿閉、急性腎障害(0.1%未満)
多尿(頻度不明)
9)代謝栄養
口渇(1%以上)
アシドーシス、呼吸性アシドーシス、高血糖、高カリウム血症、血液量過多、低蛋白血症、NPN上昇(0.1%未満)
アルカリフォスファターゼ上昇、低カリウム血症(0.1%未満)
高ナトリウム血症(頻度不明)
10)その他
発熱、血液量減少、疼痛(1%以上)
背部痛、異常高熱、浮腫、悪寒、失神(0.1~1%未満)
胸痛、筋肉痛、感染、敗血症、異常感(0.1%未満)
薬剤離脱症候群(頻度不明)
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
〇有効成分:デクスメデトミジン塩酸塩
〇添加物:塩化ナトリウム
使用に注意が必要な方 1)合併症・既往歴等のある患者
①心血管系障害のある患者
患者の全身状態を十分に観察しながら投与速度を調節すること。徐脈に対してはあらかじめアトロピンの投与、ペースメーカーの使用を考慮すること。低血圧、徐脈が現れやすくなります。特に高度な心ブロックを伴う患者等は重度の徐脈が現る恐れがあります。
②心機能が低下している患者
投与速度の急激な変更は避け、常に循環動態及び出血量を監視しながら慎重に投与速度を調節すること。また、必要に応じて強心薬及び血管作動薬を併用しながら、慎重に投与し、適切な循環動態の維持を行う事。本剤の初期負荷投与時に一過性の血圧上昇が現れることがあります。予期せぬ重篤な循環動態の変動を誘発する恐れがあります。
③循環血流量が低下している患者
本剤投与開始前及び投与中に輸液負荷等を行い、患者の全身状態を慎重に観察しながら投与速度を調節すること。低血圧が現れやすくなります。循環血流量が低下した状態で低血圧が持続した場合には、特に注意を払って投与速度の減速を考慮すること。肝血流量の低下から本剤の消失が遅延する恐れがあります。
④血液浄化を受けている患者
頻回に鎮静深度を観察しながら必要に応じて本剤の投与速度を調節すること。持続血液浄化法の導入時、終了時、あるいはカラム交換時や血液量、水分除去率の変更時には特に注意を払い、患者の鎮静深度及び循環動態を観察すること。
⑤薬物依存又は薬物過敏症の既往歴のある患者
2)腎機能障害患者
投与速度の減速を考慮し、患者の全身状態を観察しながら慎重に投与する事。鎮静作用の増強や副作用が現れやすくなる恐れがあります。
3)肝機能障害患者
投与速度の減速を考慮し、特に重度の肝機能障害患者に対しては、患者の全身状態を慎重に観察しながら投与速度を調節すること。肝機能障害の程度が重度になるにしたがって本剤の消失が遅延し、鎮静作用の増強や副作用が現れやすくなる恐れがあります。
4)妊婦
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する事。動物試験において、生存胎児数の減少、胎盤移行性、子宮血流量低下によると考えられる胎児体重の低下及び骨化遅延が認められております。ヒトにおいて胎盤移行性が認められております。
5)授乳婦
本剤投与後24時間は授乳を避けさせること。動物試験及びヒトにおいて、乳汁移行性が認められております。
6)小児等
「集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静」
〇低出生体重児及び新生児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施しておりません。
〇小児への投与に際しては、小児の集中治療に習熟した医師が使用すること。小児では成人よりも低血圧、徐脈、呼吸抑制、嘔吐、悪心、激越及び発熱の有害事象が高頻度に認められております。
「局所麻酔下における非挿管での手術及び処置時の鎮静」
〇18歳未満の患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施しておりません。
7)高齢者
投与速度の減速を考慮し、患者の全身状態を観察しながら慎重に投与する事。生理機能の低下により、鎮静作用の増強や低血圧や徐脈等の副作用が現れやすくなる恐れがあります。
上記にあてはまる方は、デクスメデトミジン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 デクスメデトミジン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 1)ベンゾジアゼピン系薬剤
ミダゾラム、ジアゼパム等
2)全身麻酔剤
プロポフォール、セポフルラン等
3)局所麻酔剤
リドカイン塩酸塩等
4)中枢神経系抑制剤
モルヒネ塩酸塩水和物、フェンタニルクエン酸塩、バルビツール酸誘導体等
※相互に作用(鎮静・麻酔・鎮痛作用、循環動態への作用)を増強するため、血圧低下、心拍数低下、呼吸数低下等の症状が現れる恐れがあるので、使用する場合にはデクスメデトミジン塩酸塩の投与速度を減速する。本剤あるいはほかの鎮静薬、鎮痛薬の投与量を減量するなど、慎重に投与する事。
上記を使用している方は、デクスメデトミジン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 デクスメデトミジン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 報告なし
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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