成分名 |
エプタゾシン臭化水素酸塩 |
適応症状 |
各種癌、術後の鎮痛に使用されます。 |
簡易説明 |
4-ベンザゾニン誘導体の中から、1975年に日医工株式会社において薬理学的に選択され合成された拮抗性鎮痛薬です。
各種基礎試験の結果、エプタゾシンは強い鎮痛作用を有し耐性の獲得が緩徐で、身体依存形成作用も比較的弱く、かつ呼吸抑制や胃腸管運動への影響の少ない等の特徴がみられました。
そして前臨床試験及び臨床試験を実施し、各種癌及び術後の鎮痛におけるセダペインの有用性が確認され、1987年に承認されました。
こちらの特性としては(1)各種癌及び術後の疼痛患者を対象とした臨床試験において、有用性が認めらている。(2)耐性形成が緩徐であり、モルヒネ等との間に交叉耐性が認められないことなどがあります。
術後疼痛においては泌尿器科手術後創部痛、胸部外科手術後疼痛、整形外科手術後疼痛など種々の手術術式で検討されその有用性が報告されています。
また、癌性疼痛においても中等度から高度の癌性疼痛を訴える患者を対象とした試験をおこなっております。
名前の由来は痛みを鎮静する(Sedative+Pain)から来ています。
セダペイン注15は劇薬、習慣性医薬品、処方箋医薬品としての規制があります。
諸般の事情により2020年10月に販売中止を決定、2021年1月下旬には在庫消失し、2022年3月31日をもって薬価収載から削除となりました。 |
処方可能な診療科目 |
内科/外科/整形外科/泌尿器科 など |
健康保険の適応 |
健康保険適応(2022年3月31日迄) |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
当時1.5%1mL1管で162円で薬価収載されておりましたが、2022年3月31日をもって薬価収載から削除されております。
日医工株式会社からの販売も中止となり以降使用することはできなくなりました。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
1987年1月12日承認
1987年3月12日薬価収載
1987年4月15日販売開始
2020年10月販売中止
2022年3月31日経過措置満了 薬価削除 |
国内のジェネリック認可 |
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関連製品(先発薬) |
セダペイン注15【製薬メーカー:日医工株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
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効果・作用 |
各種癌及び術後の鎮痛に使用します。
エプタゾシンはオピオイド受容体に対してカッパアゴニストとして作用し、大縫線核から脊髄後角シナプスへの下行性抑制経路を介して鎮痛作用を示すと考えられています。
ペンタゾシンなどのベンゾモルファン骨格のC環を7員環に拡大したベンザゾニンの誘導体である。
オピオイド受容体に対する作用から、μアンタゴニスト、κアゴニストとして分類されます。δ受容体には作用しません。
鎮痛作用はベンタゾシンの1~2倍、モルヒネの1/3程度との報告があります。作用発現には多少時間を要するようです。持続時間は約2時間程度のあるとのことです。呼吸抑制作用はペンタゾシンの1/3程度で、しかもモルヒネにみられるような持続性ではなく、投与直後の一過性のものであるとのことでした。循環器系に及ぼす影響はペンタゾシンと同様で、低用量では一過性の血圧上昇と心拍数増加が認められ、高用量で血圧の低下と心拍数減少が認められております。交感神経終末部でのカテコラミンの再取り込み阻害、不活性化機構の抑制等による交感神経刺激作用を示す。胃腸管運動及び膀胱排尿反射運動に対する抑制作用はペンタゾシンよりも弱いです。
エプタゾシンの特徴は、ペンタゾシンと同等の鎮痛作用を有し、呼吸抑制作用が弱く、胃腸管・膀胱への影響が少ないこと、耐性の形成も比較的ゆるやかで交叉耐性も付きにくいことが挙げられます。
健康成人に15mg皮下又は筋注投与時で、約20~30分後に最高血漿濃度に達します。主代謝物はグルクロン酸抱合体であり、おもな排泄経路は腎で、24時間で90%が排泄されます。 |
使用方法 |
エプタゾシンとして、通常成人1回15g(本剤1アンプル)を皮下又は筋肉内注射します。
(1)筋肉内注射時
筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、下記の点に注意すること。
1)同一部位への反復注射は行わないこと。また、低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児には特に注意すること。
2)神経走行部位を避けるよう注意すること。
3)注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合には直ちに針を抜き、部位を変えて注射すること。
(2)調製時
バルビタール系薬剤(注射剤)と同じ注射筒を使用すると沈殿を生じるので、同じ注射筒で混ぜないこと。
(3)アンプルカット時
本剤はワンポイントカットアンプルを使用しているので、アンプル枝部のマークを上にして反対方向に折ること。
なお、アンプルカット時の異物の混入を避けるため、カット部をエタノール綿等で清拭し、カットすること。
使用にあたって
1)皮下注・筋注:術後創部痛ならびに癌性疼痛に対して、通常成人で1回15mgを皮下注または筋注する。
2)持続皮下注:エプタゾシン持続皮下注は、全身状態の悪い患者や排尿障害のある癌性疼痛患者には第一選択として適している。癌性疼痛患者でブプレノルフィン、モルヒネ等のオピオイドに対する嘔気、混乱などの副作用のコントロールに難渋する場合に、次に示す静脈内持続点滴法や持続硬膜外投与法と並んで有用である。また、オピオイドの使用前から、病状によりもともと嘔気、嘔吐、混乱等のある患者、あるいは高齢者で副作用が予想される患者にも、WHOの提示する除痛ラダーの第2段階の鎮痛薬として有効である。注射部位は、前胸部、腹部、大腿部など、皮下脂肪と血流に富み固定もしやすい部位を選択する。注入には26~27G程度の翼状針を用いる。絆創膏で固定でき、しかも長期に留置が可能である。注入器は通常のシリンジポンプを用いるか、あるいは携帯性のバルーン型ディスポーザブル注入ポンプを用いる。60~90mg/dayを初期量の目安とする。
3)静注:周術期特に麻酔覚醒直後の激しい疼痛時には静注も可能である。循環・呼吸の変化に注意しながら緩徐に投与する。低用量では血圧上昇・心拍数上昇、高用量では呼吸数減少、血圧下降、心拍数減少に注意する。
4)持続静注:主に癌性疼痛に対して本法を用いる場合もある。モルヒネの副作用が懸念される場合に考慮される。既存の中心静脈栄養のルートがあればそれを使用する。皮下注のほうが管理がしやすい。患者の行動を制限しにくい、さらに過量注入を起こしにくい点で勝っているが、刺入部に発赤、腫脹、硬結などが生じる場合や、持続皮下注のための器具がない場合はこの方法を考慮する。
5)持続硬膜外投与:エプタゾシンには1mLあたり5mgのグリシンが含有されているのでその適応には慎重を要する。グリシンを含有するレミフェンタニルの硬膜外及び脊髄くも膜下腔への投与は禁忌とされている。 |
副作用 |
主な副作用
1)ショック(0.1%未満)
2)呼吸抑制、胸部圧迫感(0.1~5%未満)
3)依存症(頻度不明)
この3点が重大な副作用として報告されています。しかし、この副作用においては、別途市販後に報告された頻度の算出できない副作用が含まれております。
再審査終了時にまとめた副作用は以下の通りです。
[中枢末梢神経系障害]
朦朧感、冷感、頭痛、頭重感、手足痺れ、眩暈、ふらつき、眼内違和感
[自律神経障害]
発汗・多汗、冷汗
[聴覚前庭障害]
耳鳴り
[精神障害]
興奮、多弁、不安感、不眠、幻覚
[胃腸系障害]
悪心・嘔気、嘔吐、口渇、吃逆、胃部不快感、胸やけ、胃重感
[肝臓・胆管系障害]
血清GOT上昇、血清GPT上昇
[心・血管障害]
血圧上昇、ショック症状、チアノーゼ、血圧低下
[心拍数心リズム障害]
心悸亢進・動機、頻脈
[呼吸器系障害]
呼吸抑制、呼吸不全、呼吸困難、頻呼吸
[白血球網内系障害]
頸部リンパ節腫脹
[一般的全身障害]
胸部圧迫感、発熱、顔面紅潮、熱感、気分不良
[適用部位障害]
注射部疼痛、注射部発赤・腫脹、注射部硬結
が報告されました。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 (1)重篤な呼吸抑制状態にある患者
(2)頭部傷害がある患者又は頭蓋内圧が上昇している患者
これれに該当する患者は投与禁忌となります。
呼吸抑制作用は他のオピオイド系鎮痛剤と比較すれば弱い部類に該当しますが呼吸抑制状態にある患者への使用においては特に呼吸機能を悪化させる恐れがあります。
また頭蓋内圧上昇の副作用も併せて報告があり、頭部傷害のある患者は特に使用は注意が必要です。
使用に注意が必要な方 (1)薬物依存の既往歴のある患者
(2)麻薬依存患者
(3)胆道疾患のある患者
(4)高齢者
(5)妊婦、産婦、授乳婦
上記にあてはまる方は、エプタゾシン臭化水素酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 エプタゾシン臭化水素酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
・中枢性鎮痛剤
ペンタゾシン(ペンタゾシン注15mg「KN」、ソセゴン注射液15mg、ペンタゾシン注30mg「KN」、ソセゴン注射液30mg)
ブプレノルフィン(ブプレノルフィン注0.2mg「日新」、レペタン注0.2mg、ブプレノルフィン注0.3mg「日新」、レペタン注0.3mg)
酒石酸ブトルファノール
ベンゾジアゼピン系化合物
・催眠・鎮静剤
ジアゼパム(セルシン散1%、ジアゼパム散1%「アメル」、ホリゾン散1%、ジアゼパム錠2mg「アメル」、ジアゼパム錠2「トーワ」、ジアゼパム錠2「サワイ」、ジアゼパム錠2mg「ツルハラ」、ジアゼパム錠2mg「タイホウ」、2mgセルシン錠、ホリゾン錠2mg、ジアゼパム錠5mg「アメル」、ジアゼパム錠5mg「トーワ」、ジアゼパム錠5mg「「ツルハラ」、ジアゼパム錠5mg「タイホウ」、5mgセルシン錠、ホリゾン錠5㎎、10mgセルシン錠、ジアゼパム錠10mg「ツルハラ」、セルシンシロップ0.1%)
ニトラゼパム(ネルボン散1%、ベンザリン細粒1%、ニトラゼパム細粒1%「TCK」、ベンザリン錠2,ニトラゼパム錠5mg「JG」、ニトラゼパム錠5㎎「トーワ」、ニトラゼパム錠5㎎「ツルハラ」、ニトラゼパム錠5㎎「TCK」、ニトラゼパム錠5㎎「テバ」、ベンザリン錠5、ネルボン錠5,ニトラゼパム錠10mg「JG」、ニトラゼパム錠10㎎「ツルハラ」、ニトラゼパム錠10mg「TCK]、ネルボン錠10mg、ベンザリン錠10mg)
メダゼパム(メダゼパム錠2(ツルハラ)、レスミット錠2、メダゼパム錠5(ツルハラ)、レスミット錠5)
・中枢抑制剤
バルビツール酸誘導体
フェノバルビタール(フェノバルビタール散10%、フェノバルビタール散10%「ホエイ」、フェノバール散10%、フェノバルビタール散10%「マルイシ」、フェノバルビタール散10%「シオエ」、フェノバルビタール、フェノバール原末、フェノバルビタール「ホエイ」原末)
エタノール摂取
モルヒネ(モルヒネ塩酸塩錠10mg、モルヒネ塩酸塩錠10mg「DSP」、モルヒネ塩酸塩筋和物「シオノギ」原末、モルヒネ塩酸塩水和物「第一三共」原末、モルヒネ塩酸塩水和物「タケダ」原末、MSコンチン錠10mg、MSコンチン錠30mg、MSコンチン錠60mg、MSツワイスロンカプセル10mg、MSツワイスロンカプセル30mg、MSツワイスロンカプセル60mg等)
上記医薬品についてはエプタゾシン臭化水素酸塩の作用が増強されるため使用には十分な注意が必要とされております。
また飲食物との相互作用においてはアルコールを含むもの(ジン、ウオッカ、ラム、ウイスキー、ブランデーなど)の摂取は控えることとされております。
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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サイト利用に関する注意事項 | 医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。 医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。 |