成分名 |
ロメリジン塩酸塩 |
適応症状 |
偏頭痛 |
簡易説明 |
ロメリジン塩酸塩は鐘紡株式会社で見いだされた化合物で、脳血管に選択的に作用し、脳血流増加作用など様々な作用を有していることが確認されました。1992年からアップジョンファーマシュウティカルズリミテッド(現ファイザー株式会社)が共同開発に参画し、片頭痛治療薬としてミグシス錠5mg(以下、本剤)を開発しました。
本剤は2005年に再評価が終了し、2009年9月29日に承認拒否事由(*)のいずれにも該当しないとの厚生労働省からの結果を受領しました。
(*)医薬品の発売前に行われる臨床試験(治験)は限られた症例数、特定の症例(小児等)を除外して行われるため、市販後に広く一般に使用された後で承認された有効性等を再確認する制度があります(再評価制度)。市販後調査として行われたデータを元に再評価を行い、薬事法第14条第2項各号(①有用性が認められる②承認を一部変更すれば有用性が認められる③有用性が認められない)に該当するかを確認します。本剤の場合は、「承認拒否事由のいずれにも該当しない」つまり「①有用性が認められる」という結果が厚生労働省より通知されました。 |
処方可能な診療科目 |
脳神経内科/脳神経外科/神経内科/ペインクリニック/小児科/内科など |
健康保険の適応 |
片頭痛 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安:1,190円(通常量30日分)~2,390円(最高量30日分)
薬代1錠あたりの目安:19.90円
薬代後発品1錠の目安:後発品なし
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
発売年月日:1999年7月21日 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
ミグシス錠5mg【製薬メーカー:ファイザー株式会社】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
効果・作用 |
片頭痛は前兆と呼ばれる神経症状を伴う頭痛と伴わない頭痛がありますが、その発症機序については明確になっていません。血管説、神経説、三叉神経血管説等が提唱されていますが、脳血管の収縮による脳の低酸素状態が前兆を誘発し、拡張が頭痛を誘発する等が原因として考えられています。
なお、前兆とは通常5~60分続く一過性の中枢神経症状であり、視覚症状、言語症状、運動症状が典型的とされています。前兆の90%は視覚症状の閃輝暗点とされていて、感覚症状としてチクチク感が次に多く、最も低頻度なものとして言語症状の失語が紹介されています(日本神経学会、日本頭痛学会、日本神経治療学会の監修により作成された「頭痛の診療ガイドライン2021(以下、GL)より。)
GLでは、片頭痛の有病率は8.4%(前兆なし:5.8%、前兆あり:2.6%)であり、20~40歳代の女性で高いとされています。また、未成年の有病率は、高校生:9.8%、中学生:4.8~5.0%、小学生:3.5%と記載されています。
また、GLでは片頭痛の誘発因子・増悪因子として、ストレス、疲れ等の精神的因子、月経周期、天候の変化や音などの環境因子、運動、旅行などのライフスタイル因子、空腹、アルコールなどの食事性因子が挙げられています。
本剤はカルシウム拮抗薬(血管拡張剤)であり、脳血管の収縮を抑えることで、様々な片頭痛の要因を抑えると考えられています。このため、本剤の添付文書には「本剤は発現した頭痛発作を緩解する薬剤ではない」と記載されています(発言した頭痛発作には酒石酸エルゴタミン、無水カフェイン等が使用されます)。なお、本剤の臨床試験では有効率は55%(179例/324例)でした。
GLでは、「ロメリジンは片頭痛の予防に有効か」というクリニカルクエッションに対し「弱い推奨」とされながら「片頭痛発作がある患者の予防薬の1つとして勧められる」と記載されています。本剤は日本国内で20年以上使用実績がある点、全身の末梢血管に対する作用が少ないことが評価されています。また、同系統の薬(フルナリジン)で報告されているパーキンソニズム(注:添付文書では錐体外路症状と記載)についてもロメリジンでも注意は要するが、その発現頻度はプラセボと同程度と報告されているとの記載もあります。一方、本剤は日本国内で開発された薬剤であり海外での使用実績がなく、そのためエビデンスとなる論文が少ないことが挙げられています。 |
使用方法 |
1回1錠1日2回(朝食後と夕食後あるいは就寝前)に飲みます。症状などにより飲む量は増減しますが、1日最高量は20mg(4錠)を超えてはいけません。 |
副作用 |
主な副作用
副作用発現率:3.95%(147例/3769例)
主な副作用:ALT上昇 0.45%(17件)、眠気 0.37%(14件)、めまい 0.37%(14件)、AST上昇 0.34%(13件)、悪心 0.32%(12件)など
重大な副作用
抑うつ(0.1~1%未満)
※同系統の薬(塩酸フルナリジンン)で錐体外路症状(*)があらわれたとの報告があります。
(*)錐体外路症状
手足がふるえる、じっとしていられなくなる、身体がこわばる、正常に歩けなくなる、動作が遅くなるなどの症状
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■頭蓋内出血又はその疑いのある方
脳血流増加作用により、症状を悪化させるおそれがある為、服用できません。
■脳梗塞急性期の方
病巣部の血流低下をおこすおそれがある為、服用できません。
■妊婦または妊娠している可能性のある女性の方
動物実験で胎児への悪影響(骨格・外形異常)が報告されている為、服用できません。
■本剤及びロメリジンを配合した医薬品の添加物にアレルギーをお持ちの方
本剤及び、下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ミグシス錠5mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません
▼ミグシス錠5mgの有効成分
ロメリジン塩酸塩
▼ミグシス錠5mgの添加物
カルメロースカルシウム、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、D-マンニトール、メチルセルロース
※本剤は月2回以上の片頭痛発作で日常生活に支障をきたしている方にのみ使用します。日常生活への支障がなくなったら一旦本剤の使用を中止します。効果が見られない場合には漫然と使用継続はしません。
※眠気等を催すことがあるので、自動車運転等の危険を伴う機械の操作を行わないでください。
使用に注意が必要な方 ・重篤な肝機能障害のある方:高い血中濃度を維持するおそれがあります。
・QT延長(心電図異常)の疑われる方:動物実験でQT延長が報告されています。
・パーキンソニズムの方:同系統の薬で錐体外路症状が報告されていて、本剤でも症状が悪化するおそれがあります。
・うつ状態またはうつ状態になったことのある方:症状の悪化や再発がおこることがあります。
・高齢者:高い血中濃度を維持するおそれがあります。
・授乳婦:動物実験で乳汁への移行が報告されています。
・小児等:臨床試験を行っていないので情報がありません。
上記にあてはまる方は、ロメリジン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 ロメリジン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 降圧剤:相互の薬の作用を増強するおそれがあります。
上記を使用している方は、ロメリジン塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 ロメリジン塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 なし
併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
ロメリジン塩酸塩に関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
ロメリジン塩酸塩(添付文書、インタビューフォーム) 【PMDA 医療用医薬品 情報検索】
再審査制度・再評価制度について 【厚生労働省 医薬食品局審査管理課】 |
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